化学の基礎II(G) (20150114) M: 以下は宮本のコメント
14s3001+: 
考えが混同してしまっているのかもしれませんが, クラウジウスの不等式において可逆反応の方がエントロピーは大きい値になるとありました. しかし, 「孤立系において不可逆変化ではエントロピーは必ず増大する」という考えと比べると矛盾しているような気がしてしまいます. 不可逆変化でエントロピーが増加するなら $ \DS \frac{Q}{T} > \frac{Q_\text{rev}}{T}$ となりませんか? クラウジウスの不等式は孤立系で考えていないということなのでしょうか. M: クラウジウスの不等式について誤解している. 不等式 $ \DS \frac{Q_\text{rev}}{T} > \frac{Q}{T}$ の左辺は系のエントロピー変化 $ \Delta S$ ですが, 右辺は違います (単に, 実際に移動した熱量をその時の温度で割ったもの. あるいは, 外界のエントロピーの減少分).

14s3002: 
全世界でのエントロピー変化がマイナスになることがないとのことなので, 地球温暖化を止めることはできないということでいいのでしょうか? M: ダメです. 限定条件に注意.

14s3003: 
エンジンの変換効率について, 何でエンジンの効率が 20-30 % なんですか? 例えば, 単純に低温熱源をもっと下げたりすれば, もっと良くなるような気がします. M: まず熱源の温度から期待される理論的に最大の効率はいくつでしょうか? それから個別具体的な熱機関 (エンジン) について, その構成要素の一つ一つを吟味して考えてみたらいいのでは(?)

14s3005*: 
クラウジウスの不等式は, 系を可逆的に変化させた時に移動する熱量 $ \DS Q_$rev $ >$ 系が受け取った実際の熱量 $ Q$ であることによって成り立っていますが, 常に $ \DS Q_$rev$ > Q$ であることはどうして保償されているのでしょうか. // エントロピーの時間あたりの変化の量は, 化学反応の進行する速さに関係するでしょうか. M: キーワードは ``最大仕事''. P-V 図で状態変化の経路で囲まれる面積と仕事との関係を考えよ. // 始状態から終状態へ移る時にエントロピーの変化が単調ならば, エントロピーの値を反応の進行度の指標とみなせるだろう.

14s3006: 
熱から仕事への変換効率 100 % が不可能だということは理解しましたが, では実現可能な変換効率の限界はどのくらいなのでしょうか. M: 14s3003 参照

14s3007: 
$ W'$ は系のミクロな状態の数とありましたが, 系のミクロな状態とはどのような状態なのですか? M: 系のエネルギーは同じだが粒子の配置が異なる, など. 教科書や参考書も参照

14s3008: 
全世界のエントロピーが増え続けているなら, 極限まで増えるとどうなるのですか? M: 宇宙の熱的な死

14s3009: 
統計論的エントロピーの $ S = k_$B$ \ln W$$ \ln W$ は何を積分した結果であるか. // 第力学第三法則[原文ママ]で純物質と限定しているのはなぜか. M: 別に. 単なる対数. 逆にどうして積分じゃなければならないのか? // 混合物だと, 絶対零度で状態数が 1 になる保証はあるか?

14s3010: 
式においてエントロピーは熱と温度で決定するようなのですが, 気体 A と気体 B の混合気体と, 気体 A と気体 B を仕切った気体を同温・同体積で用意した場合のエントロピーは異なりますか. M: 分離した状態から混合した状態へと変化するのが自然の方向なので, 後者の方がエントロピーは大きいと予想される.

14s3011: 
p.113 の表 9.1 に標準エントロピーがのっていますが, 固体が小さく, 気体が大きい値を取るのはわかるのですが, H$ _2$O (l) より Fe$ _2$O$ _3$ (s) が大きい値をとるのは何故なのでしょうか. 液体より固体の方が分子の乱雑さが大きいというのが納得があまりできません. M:  $ S^\plimsoll$ の小さい液体とは, 液体中であっても何らかの秩序構造を持っているのかも, または熱容量が小さいか. 化合物の固体は, みな比較的大きな $ S^\plimsoll$ を持つようだが.

14s3012: 
統計論的な視点からでしか熱力学第三法則をかんがえられないのでしょうか. ミクロ性質を考えるために統計論の概念を用いるのですよね? M: 何だか勘違いの予感. 熱力学第三法則は, 熱力学的エントロピー変化を考えるときの基点を与えるし, 個別の分子のミクロな性質をいちいち考える代わりに, マクロな視点の物理量にまとめてしまうというのが, 統計論を使う意義なのだが.

14s3013: 
熱を 100 % 仕事に変換する, 第二種永久機関と, 最高の熱効率を与えるカルノーサイクルについて, 最高の熱効率=100 % ということではないのですか. M: 誤解, (9.14) 式参照. 参考書も多数ある. // もしも 100 % の熱効率が達成できたら, それは熱力学第二法則に反する.

14s3014: 
エントロピー $ S=0$ の純粋な物質の完全結晶を作り出すことは可能か. M: 絶対零度は達成可能か?

14s3015: 
熱量は状態量でないのにエントロピーが状態量なのはなぜですか. M: エントロピー変化を求める式 $ \DS \Delta S = \frac{Q_\text{rev}}{T}$ で用いられる熱量は, どんな熱量でも良い訳じゃない.

14s3016*: 
可逆的な変化は, どのような系に対しても存在するのですか? M: もしも可逆的な変化が出来ない系が存在したら, いったいどういうことになるのか, 考えてみるのも面白いカモ.

14s3017+: 
エントロピー変化を求める際に $ \DS Q_$rev を用いる理由はなんなのでしょうか. M: 14s3015 参照

14s3018: 
図9.1 で $ \DS \Delta S = \Delta S_$$ + \Delta S_$低 は $ \Delta S = 0$ になると思ったのですが, $ \Delta S = Q > 0$ となるのは 吸収した熱のすべてを仕事に変えることはできないからですか? M: 最後の式は, ちがーう. // ここでは何の仕事も行われていない. (9.1) 式とその下の文章をよく読めばいいのでは(?)

14s3019: 
熱力学第三法則によると「絶対零度において純粋な物質の完全結晶のエントロピーは $ S=0$ である」とありますが, エントロピーが小さい結晶ほど硬度が増すのか. それとも硬度は関係なく結晶としての質が上がるだけなのか. M: 硬度が高い(?)ということは, 原子レベルのミクロな視点で見るとどういうことか? またエントロピーが大きいということは, ミクロな視点で見るとどういうことか? // 原子が動きにくいことと, 原子の配置の場合の数が多いこととは, 同じことなのか?? // ``結晶の質'' とは何か?

14s3020: 
エントロピーについて, 熱力学的定義において, 自発的変化でなければ $ \Delta S < 0$ となることはあるのですか? M: A→B が自発的変化だとして, この逆方向の変化 B→A は?

14s3021: 
クラウジウスの表現は, 数学的表現で表すことができるのに対して, トムソンの法則では数学的表現で表することができていないため, もし第二種永久機関を作り出すことができればトムソンの表現は間違っているのでしょうか? M: ``数学的表現'' とは何か? // トムソンの表現は間違っているし, 間違っていない. ``A ならば B'' という命題の真偽を考えてみればいいのでは(?)

14s3022: 
図9.6 のグラフで傾きが曲線になっていますが, これは温度をどんなに上げてもエントロピーは一定の値までしか上がらないということですか. そうだとすればなぜですか. M: ``傾きが曲線'' とはどういうことか? グラフの傾きとは接線のことなので直線のはずでは?? // なぜ図から, エントロピーの値に上限があると分かるのか? 前頁からの記述をよく読めばいいのでは(?)

14s3023: 
なぜエントロピーの式は統計論的にも定義されたのか. $ \DS \Delta S = \frac{Q_\text{rev}}{T}$ でまかなえないのか. M: 少し違うものを表しているのに(?) // どうして複数あってはいけないのか?

14s3024: 
エントロピーの値の増大は変化の方向だけでなく反応の速さなどにも影響をあたえるのでしょうか. M: ``状態量'' というのは, そこに到達する経路には依存しない量です. 近道をしても遠回りをしても, 状態量の変化は同じです. また, 化学反応の前後でエンタルピーが変化したとして, 発熱反応と吸熱反応では, 反応速度に違いがある (あるいは反応の進行方向自体が逆向き(?)) でしょうか? // 14s3005 参照

14s3025: 
「エントロピーは系の無秩序さ (乱雑さ) を表す熱力学量である.」 とあるが, 系の無秩序とはどういう意味ですか? M: ``系の無秩序'' だけを切り出されても, 意味不明. 国語力に不安がありそうな予感.

14s3026: 
「孤立系では自発的に進む変化では必ずエントロピー増大」とあるが孤立系以外では減少することもあるか. また減少するのはどんなときか? // カルノーさんは どのようにしてこのような変換効率の式を求めたのか? M: 講義で, シリンダーに閉じ込めた理想気体の等温膨張の例を示したのに, 全く理解されていないようで, とても残念. また, (9.1) 式を良く見ればわかる. // 効率だけをいきなり求めたのではないだろう. 詳しくは本人に聞けばいいのでは? または読書感想文(仮)のネタか(?)

14s3027: 
カルノーサイクルの熱機関から $ \DS Q_c ~~(< 0)$ が低温熱源に移動するところについて, 低温熱源へ $ \DS Q_c ~~(< 0)$ が移動するということは, 熱機関を動かせば動かす程効率が上がるということでしょうか. M: どこをどう誤解するとそういうことになるのか, さっぱり分からない. // 一般の熱機関でも, 同様に熱は移動する. 熱力学の第二法則についてよくよく考えてみればいいのでは. 参考書も読んでみればいいのでは.

14s3028: 
気体分子の運動がはげしくなることが乱雑さが増大することにつながるのであるならば, 温度を上げるとエントロピーもエンタルピーも増大するということですか? M: 図8.5 や図9.6 などを元にして, 自分で判断できないのは何故なのか?

14s3029: 
$ \DS \Delta S \geq \frac{Q}{T}$ であるのは等温, 理想気体の条件下で非常にゆっくり外圧を変えてやれば可逆過程に近づけるということでしょうか? (条件の ``急に'', ``ゆっくり'' 等, 外圧の変化のスピードで $ \Delta S$ の値は変わるということですか?) M: 等号が成り立つのは, どういうときか? // (9.1) 式を見てよくよく考えればいいのでは(?)

14s3030: 
カルノーサイクルは理想気体として考えていますが, 現実の気体でカルノーサイクルを表すグラフ (P-V グラフ) を書いたとすればどのくらい異なるのでしょうか. M: 現実にカルノーサイクルが実権可能だろうか? 教科書や参考書を良くよく読んで考えて見ればいいのでは(?)

14s3031: 
カルノーサイクルよりエネルギー効率には $ T_C$$ T_A$ のみが[原文ママ]関係していることがわかったが, 原料の燃焼の速度もエネルギー効率に関係あるのではないだろうか. M: それって, ちっとも分かってないってことじゃん. // あなたのいう効率とは, 実際の効率なのか理論上の最大効率なのか??

14s3032+: 
外界のエントロピー変化を求めるとき, 外界は非常に大きいので $ \DS Q_$rev$ = Q$ としましたが, $ \DS Q_$rev のまま計算してはいけないのでしょうか. $ \DS Q_$rev のまま全世界のエントロピー変化が 0 になってしまうからダメなのでしょうか. M: アトキンス では $ \DS \Delta S_$外界$ = \frac{\Delta H}{T} = \frac{Q}{T}$ として, $ \DS Q_$rev ではなくて $ Q$ を用いています. やはり色々な本を読み比べる必要がありますね.

14s3033: 
孤立系のエントロピーが増大するということは, この世界は段々無秩序になっていくということでしょうか. どのようにしてこの世界の秩序は保たれているのでしょうか. またこの事と宇宙の膨張はなにか関係がありますか. M: 法則が述べている通りです. どうして自分で判断できないのでしょうか. // 秩序が保たれている世界とは, どこのことですか? 14s3026 の前半参照 // 私は知りません, 調べて分かったら教えてくださいネ. ただし, 体積が膨張した時のエントロピー変化については, p.112 なども参照

14s3034: 
エントロピー変化という言葉の意味がよく理解できなかったので, 無秩序になる可能性を表すものと言いかえてみたのですが, これで意味が合っていますか? また, もっと分かりやすい言いかえがあれば, 教えてほしいです. M: 全然違います. 意味が分からなければ, 辞書を見ればいいのでは(?) // というか, ``エントロピー変化'' レベルが理解できないのであれば, 日本語をうまく使えていないということか? ``体積変化'' や ``質量変化'' も分からないのだろうか?

14s3035: 
「外界が非常に大きいとき, 少しの $ Q$ が失われても何も変化がない」 とありましたが, このとき外界は非常に大きなエネルギー (熱量) を持っているので, $ Q \doteqdot 0$ として外界のエントロピー変化を考えるのはやりすぎでしょうか? M: 等温で理想気体が圧縮される過程を考えてみれば, エントロピー変化はどうなるでしょうか?

14s3036: 
エントロピー変化は $ \DS \Delta S = \frac{Q_\text{rev}}{T}$ で求めますが $ T$ はどの状態での絶対温度なのでしょうか. 等温の場合は一定なのでわかるのですが温度が変化する時はどの状態の温度をもちいるのですか. M: 講義で図9.1(b) の例を示したが, 理解できなかったのでしょうか?

14s3037: 
純粋な物質の完全結晶は実際には存在しうるのか. M: 14s3014 参照

14s3038: 
クラウジウスの不等式の $ \DS \frac{Q}{T}$ の値が不可逆過程の場合 $ \DS \Delta S$ よりも常に小さくなるのはなぜですか? M: 理想気体の等温変化の時に系に出入りした熱は, P-V 図のどこに相当するか? 可逆過程と不可逆過程について比べてみればいいのでは(?)

14s3040*: 
なぜエントロピー変化を考えるとき, 実際に受けとった熱量ではなく可逆過程で考えることが重要なのですか? M: エントロピーは状態量だが, 実際に出入りした熱量は経路に依存していて状態量ではない. しかし可逆過程であれば, その経路は一意に決まる. また可逆過程では系は平衡状態を維持しているので, 系の内部で温度にむらは無い. もしも温度分布にむらがあれば, 均一に成るように自発的に状態変化してその分だけエントロピーも増大する.

14s3041: 
「状態の数は体積に比例する」 とおっしゃっていましたが, 私は真空状態であるところに体積が増えても状態の数は変わらないと思ったのですが, どうして体積が増えると状態の数も増えるのですか? M: ``真空状態であるところに体積が増え'' とは, どういうことか? 微視的な状態の数について, 教科書 p.112 や参考書をよく読んで考えればいいのでは(?)

14s3042: 
あまりエントロピーについて実感することができなかったので, 復習したいです. 自然変化について, エントロピーの差を無くすように高い方から低い方へ移動するということですか? M: 何が移動するという話か? 全然分かっていない雰囲気ですね. 教科書や参考書をよくよく読んで考える必要があると思われます.

14s3043: 
エントロピーの統計論的定義式の状態の数の $ \DS {W_N}'$$ N$ 個の分子があるので $ \DS N \times ({W_1}')$ ではないのですか? $ \DS {W_N}' = ({W_1}')^N$ の理由がわかりません. M: 高校数学レベルでいいので, 場合の数 についての復習が必要な予感. 全事象の数は独立事象の数の積です. 例えばオセロの駒を三個 ``黒白黒'' のように並べる時, パターンは全部で何通り? $ \DS {W_1}' = 2$ $ 3 \times 2 = 6$ または $ \DS 2^3 = 8$ ?

14s3044: 
エントロピーに関しても, 結局は, エネルギーが低い, 安定した状態に移動するという解釈で合っていますか? 違っていたらぜひご指摘お願いします. M: 間違い // 何のエネルギーの話?

14s3045: 
エントロピー変化を求める際, 可逆的に変化させた時に系へ移動する熱 ( $ \DS Q_$rev) を使って求めていましたが, 不可逆的に変化させた時の系へ移動する熱を用いてエントロピー変化を求めることはないのですか. M: 外界のエントロピー変化は, そうやって求めた. 14s3040 と 14s3032 参照

14s3046: 
クラウジウスの表現があるが, では逆に高温から何も変化せずに低温に熱が流れるのは可能なのでしょうか. M: それは自発的に進行する過程ですが......

13s3010: 
理想気体の自由膨張時, 不可逆変化であれば $ Q=0$ となり $ \Delta S$ は変化しないのですか? M: 教科書 p.111 や参考書をよく読んで考えればいいのでは(?) // $ \Delta S$ が変化するとは, 何から何に変化するのか?

13s3025: 
電気→仕事は 100 % 変換できるのか? 超電導素材があれば可能か? M: 電気のエネルギーは, 突き詰めれば (静電) ポテンシャルエネルギーなので, 原理的には全て力学的エネルギーに変換できる(?)

13s3030: 
熱力学法則が成り立たない状態が存在する可能性はあるのでしょうか. M: もしも存在したら, 天地がひっくりかえるような出来事だ. (相対性理論とか不確定性原理とか(?))

13s3041: 
エントロピーの式が $ \DS \Delta S = \frac{Q_\text{rev}}{T}$ でコップが割れるなんて激的[原文ママ]な変化が大して熱もいらない小さなエントロピーに思えるのですが, 気体ではもっと大きな変化を起こしているのですか. M: 意味不明

12s3024: 
宇宙は膨張しているので体積は増えているのに, 圧力の変化を感じないのはなぜですか? M: その圧力の生じるミクロなメカニズムをは何か?

11s3001: 
$ T = 0 K$ では分子内のエネルギーは 0 となるのでしょうか? M: 何のエネルギーの話か?

10s3042: 
``完全な断熱過程'' を, 実験的に再限[原文ママ]することはかのうですか. 可能であればどのような方法を用いるのでしょうか. M: 現実には熱はどうやって伝わるか?



rmiya, 20150202