化学の基礎II(G) (20150105) M: 以下は宮本のコメント
14s3001*: 
圧力一定では系に出入りする熱量=エンタルピーとなり, ヘスの法則が成り立ちますが, 圧力一定でない条件でもヘスの法則は成り立つのでしょうか? M: ヘスの法則の肝は, エンタルピーが状態量であることです.

14s3002: 
高校とは違い ヘスの法則で求められるのがエンタルピーであるメリットとは何かあるのでしょうか? M: では, 高校で求めていたものは, 何だったのか? // こうやって知識・概念が精密化されていく.

14s3003: 
(8.18) 式で $ \displaystyle \int_{T_1}^{T_2} C_p \,$d$ T$ の積分で足し合わせた表現は 105p の 6 行目の式を見て理解できるのですが $ \displaystyle \sum$ は何を合計しているのですか? M: ``反応物'', ``生成物'' と書いてありますが(?) 例えば (8.15) では, 何が ``反応物'' か?

14s3005: 
現在知られている熱機関の中で最も効率よく熱を仕事に変換できるのは, どのような装置でしょうか. // 宇宙全体が孤立系であると考えられるのはなぜでしょうか. できたばかりの宇宙には星が無かったらしいのですが, 現在の宇宙にはたくさんの星があります. 直感的には乱雑さが減ったような気がしますが, それでもこの孤立系のエントロピーは増大しているといえますか. M: 具体的な装置については知りません. (9.14) に基づけば, 熱源が高温なほど, 排熱を捨てる先が低温なほど, 理論的な効率は良い. // 局所的にエントロピーが減少しているように見えても, 系全体では増大しているというのが, 熱力学の教えてくれるところ.

14s3006: 
標準生成エンタルピーは物質に固有の値ですが, それを決定する要素にはなにがあるのでしょうか. M: 物理化学全般の復習が必要な予感. p.53 とか p.42 とか参照

14s3007: 
エンタルピーは温度を変えても考えることができるとありますが, 温度ではなく圧力を変えた場合も考えることができるのですか? M: 理想気体であれば, エンタルピーは圧力に依存しない.

14s3008: 
エンタルピーとは系に出入りする熱のことだと習いました. でも単位は kJ/mol なのでエネルギーを示しています. ``熱'' と ``エネルギー'' というのは同じものなのですか? M: 習ったことの理解に厳密さを欠いています. // 第五章からの復習が必要な予感.

14s3009: 
エンタルピーとエントロピーは互いに全く異なる物理量なのに こんなにも名前が似ているのはなぜでしょうか. M: 名付けた人に聞けばいいのでは(?) :-p

14s3010: 
熱力学第二法則で他に何の変化も残さずに吸収した熱をすべて仕事に変えることはできないということですが, 何か変化を残せば吸収した熱をすべて仕事に変える方法は存在するのでしょうか. M: 裏の命題が真とは限らない. // 仕事に変換されずに捨てられた熱を熱源に戻してやれば, 結果として熱源から取り出した熱を全て仕事に変換したことになる. しかし熱源に熱を戻すためには何らかの変化を残すことになる (クラウジウスの表現). これは対偶の命題. つまり, 第一の熱機関で仕事に変換した熱以外に, その排熱を熱源にもどす第二の熱機関を運転するためのエネルギーをも熱源からもらう必要がある. 結局, 熱源から取り出した全ての熱を仕事に変換できていない.

14s3011: 
宇宙全体を孤立系をしてみなすとエントロピーはつねに増大しているとありますが, つり合うようなエネルギーの減少というのは存在するのでしょうか? M: 意味不明. ``つり合うようなエネルギーの減少'' とは, 何のことか? 減少した分のエネルギーは, どこへ行ったのか?? エネルギー保存則は??

14s3012: 
クラウジウスとトムソンの表現は同じことを意味しているということは, ``他に何の変化ものこさずに'' の ``他'' は同じものを示しているんですよね? M: 文の意味するところが同じだからといって, 使われている言葉が同じものを指しているとは限らない. // しかし今回は系 (= 熱機関, エンジン) と他 (= 外界) ということなので, 同じものといえば同じものではある. でも ``変化'' が同じものである保証はない.

14s3013: 
すべての安定な単体の標準生成エンタルピーはゼロであると書いていますが, 標準生成エンタルピーが大きいほど不安定であるということですか. M: 化学では, 系について安定・不安定という言葉を, 系の持つエネルギー (今回はエンタルピー) が小さい・大きい (または 低い・高い) という意味で使います. もちろん負側では, $ -5$ よりも $ -20$ の方が低い・小さいことになります.

14s3014: 
ヘスの法則など人の名前が法則によく付けられるのに熱力学第一法則など人の名前でない場合があるのはなぜか. M: どういう場合に人名を付けるのがふさわしいでしょうか? 付けることが可能でしょうか?

14s3015: 
自発的な変化であってもエントロピーが増大しないのは どのようなときですか. M: 例えば孤立系じゃない場合に, 系だけを見ている場合. もちろんこの場合でも, 系と外界の全てを考えれば, エントロピーは増大している.

14s3016: 
平衡状態を保ったままの状態の実験は現実的に行うことは可能なのですか? M: 現実には, 系が受け取った熱を 100 % の効率で仕事に変換することは出来ないと熱力学の第二法則は述べている. また, シリンダーの内外の圧力差を無限小にしてピストンを動かすことはできるだろうか?

14s3017: 
エンタルピーは状態に固有の量ということですが, 計算的には何に依然[原文ママ]するのでしょうか. M: 状態を指定する変数として, 何を採用しますか? 例えば p.98 をよく読めばいいのでは(?) 他にも参考書は多数紹介している.

14s3018: 
標準反応エンタルピーや, 標準生成エンタルピーについて考える時は, 内部エネルギーや仕事は考えた方がいいですか? M: 必要だと思えば, 考えればいいのでは(?)

14s3019: 
エンタルピーがなんとなくしかわかりません. 熱化学方程式の熱量という認識でいいですか. M: 不十分です. てゆうか, ダメです. p.98-99 を熟読のこと. 他にも参考書は多数紹介している.

14s3020: 
エントロピーの定義がよくわかりません. 無秩序さとは, どのように解釈すればいいのでしょうか. M: ``解釈'' という言葉の使い方が変な気がする. // エントロピーには, 熱力学的定義 (9.1) 式と統計論的な定義 (9.7) 式があります. ``無秩序さ'' とは, エントロピーの説明でよく用いられる言葉ですが, イメージ先行でわかったような気がするだけで, 定量的な理解ができませんネ. 14s3019 参照

14s3021: 
今日の授業を通して高校のときに学習した熱化学方程式を用いた標準エンタルピーの求め方が詳しくわかりました. M: よかったネ. しかし, 提出物が要件を満足していません.

14s3022: 
ヘスの法則を用いることでほとんどの化学反応のエンタルピー変化を知ることができますか. M: 自分で判断できないのは, なぜか?

14s3023: 
はじめの例題で, ゆっくり圧力を下げる場合, $ \displaystyle P(V) = \frac{P_0 V_0}{V}$ で表されていましたが, なぜこの式になったか理解できませんでした. どのような考え方をしてこの式に至ったのでしょうか. M: 理想気体についての, ボイル・シャルルの法則 との説明が理解されていなくて残念.

14s3024: 
単体から化合物が生成するときの標準生成エンタルピーと標準反応エンタルピーの違いがいまいちわかりません. 教科書では水の生成の時の熱を標準反応エンタルピーといっていますが, 水素と酸素という単体から生成されているのでこの反応の熱を標準生成エンタルピーといってもいいのですか. M: 単体から化合物が生成するのも, ある化合物から別の化合物に変化するのも, どちらも ``反応'' でしょ(?) ただし前者だけは, 特別な反応だと.

14s3025: 
ジュールによる自由膨張とありましたが どのようなケースで起こる可能性があるのですか? M: 自分で探してみればいいのでは(?)

14s3026: 
p.103 に反応エンタルピーが測定困難でも見積もることが可能とあるが どれくらい近い値になるのか? どんな反応でも間接的に見積もれるのか? M: 反応の種類や関与する物質の種類に依存した, 何か原理的な制限はあるのか?

14s3027: 
図9.1(b) について, 高温物体から低温物体へ熱が移るようすがかかれていますが, 日常生活の中では部屋の中と廊下の温度が異なって感じるように, 温度の移動が感じられることがありますが, それは何故でしょうか? 移動していないわけではないと思うのですが… M: ``温度の移動'' とは何か? // 熱は一瞬のうちに移るのか?

14s3028: 
(8.3), (8.4) を比べると, $ Q$$ H$ も表す内容はほぼ等しいことがわかりました. なぜ $ Q$$ H$ を使い分ける必要があるのですか? 違いがあるのですか? M: $ Q$$ H$ は, 全く同じものなのか? 14s3019 参照

14s3029: 
教科書 p.104 注釈 11) の ``すべての安定な単体の標準生成エンタルピーはゼロであることに注意'' が今一つ理解できません. 元素から単体への反応が平衡状態ではないということでしょうか. M: 元素とか単体とか平衡状態とか, 基本から復習する必要がありそうな予感.

14s3030: 
エンタルピー $ \displaystyle H^\circ$ を導入する際に $ \Delta H = \Delta U + \Delta (PV)$ とし, わざわざ $ -W$ として式に組み込んでいるのは, 得る熱を求めるために $ -W$ として組み込んでいるという理解で良いのですよね? M: ``わざわざ $ -W$ として式に組み込んでいる'' って, どういうことですか? すなおにエネルギー保存則 $ \Delta U = Q - \Delta (PV)$ を使っているだけでしょ(?)

14s3031: 
今回, 授業の最初にあつかった例題で経路によって同じ状態となる場合でも $ \Delta U$ が異なることを改めて理解することができたが これはエネルギー保存の法則に反しないのでしょうか. M: どの範囲でのエネルギー保存則なのか, よーーーく考えてください.

14s3032: 
CO$ _2$ (気体) の標準生成エンタルピーが気体にもかかわらず H$ _2$O (液体) や NH$ _4$Cl (固体) より小さいのはどうしてですか. M: ``気体にもかかわらず'' とは, 一体何を期待しているのですか?

14s3033: 
熱力学第二法則で 2 つの表現が出てきましたが, これは同じことを言っているのでしょうか. M: 教科書 pp.108-109 を隅々までよく読めばいいのでは(?) 他にも参考書は多数紹介している.

14s3035*: 
エンタルピーがそれぞれの物質に固有の値ということは, 計算によって求めた未知の物質のエンタルピーと実験値が一致することで未知の物質の正体をつきとめられるということですか. M: 原理的にはそういうことになりますね. 実際にやるには色々と困難があるだろうが. 例えばどんな実験 (反応) をさせるかとか.

14s3036: 
温度や圧力が 25 $ ^{\circ}$C, $ \displaystyle 10^5$ Pa 以外の値が標準状態となる物質はあるのでしょうか. それとも, その物質が安定ではなくても 25 $ ^{\circ}$C, $ \displaystyle 10^5$ Pa で標準状態なのでしょうか. M: 何のために標準状態というものを考えるのか? 少なくとも暗記のためではない :-p // 教科書の ``一般に'' という記述の意味は(?)

14s3037: 
熱源から吸収した熱を 100 % 仕事に変換することはできないというのはなぜでしょうか. 今のところどうやっても余分な熱が出てしまう方法しかないということなら, いずれは完全に仕事に変換することができるようになることもありうるのではないでしょうか. M: 熱機関の効率を考えると, 絶対零度または無限大の温度の熱源があってはじめて熱効率が 100 % になりうるが, このような熱源を作ることは不可能.

14s3038+: 
なぜエンタルピーは, その状態に至るまでの経路によらないのですか? M: そうなるように考えて作った(?) // $ H = U + PV$ だが $ U$, $ P$, $ V$ のいずれも過去の履歴を問わない.

14s3039: 
安定な状態のときのエンタルピーを標準エンタルピーであると解釈したのですが, それでは不安定な物質は標準エンタルピーというものはないのでしょうか. M: 定義を誤解している(?)

14s3040: 
化学反応とエンタルピーを考えると大気圧下での化学反応が多いということですが 他の条件での化学反応を考えると どのような実験になるのですか? また日常生活でも可能な化学反応ですか? M: 密閉した圧力容器中での反応などもある. この場合は定容. あとは自分で考えてみればいいのでは(?)

14s3041: 
エンタルピーはどのようにして測定されたのですか. M: 何のエンタルピーの話か? // (8.5) 式や図8.4 をにらんで考えればいいのでは? または読書感想文(仮)ネタ(?)

14s3042: 
標準エンタルピー変化のお話がありましたが, 例として出された気化に関する数値が 40.656 kJ/mol とありましたが, これはどのように求められたものなのですか? M: 14s3041 参照

14s3043: 
授業中にやった例題の (i), (ii) で, 圧力を一気に変えたら等温条件を満たすことができないと思うのですが, 等温条件を満たせるのですか? M: 条件を満たすように変化させる. なおここでは, 変化にかかる時間に制限はない.

14s3044: 
定圧条件下ではエンタルピーは出入りした熱量と等しいということは分かりました. では, 定容条件下でもエンタルピーは何かと等しくなるのでしょうか. それともそういった考え方をそもそもしないものなのでしょうか? M: ある前提の下で記述されている物・事について, 前提条件をはずしたら意味はあるのか?

14s3045: 
圧力一定の条件で起こる状態変化で系へ移動した熱を論じる時は $ \Delta U$ ではなく $ \Delta H$ を用いなくてはいけないと教科書にありましたが, なぜ $ \Delta H$ を使用しなくてはいけないのか? M: 別に. 使いたくなければ使わなければいいのでは(?) その代わり, 体積変化に伴う仕事の出入りももれなく考慮する必要がありますけど.

13s3010: 
標準エンタルピーについて, 指定がないときの基準の温度が 298.00 K ではなく 298.15 K となっているのはどうしてなのですか? M: 298.15 K = 25.00 $ ^{\circ}$C ということから, 予想はつくのでは(?) 何のための標準状態? または読書感想文(仮)のネタ(?) // 昔から ``絶対温度'' というものが決められていたわけではない.

13s3012: 
シュレディンガー方程式やボイルの法則など人名のついた法則等が多く見られるが, これらの命名権はどこ (誰) にあるのか. M: どこにもない.

13s3025: 
逆に, 仕事をすべて熱に変えることはできそうだが, それは何故か. M: 仕事を無駄遣いしているだけですネ :-p // 仕事とは, 物体の秩序だった運動だが, 熱は (構成粒子の) 無秩序な運動. 後者のほうがエントロピーが大きい.

13s3030: 
エントロピーは乱雑さを表し, より増大する方向に進むということですが, エントロピーは無限に増大していき, 限界はないのでしょうか. M: (9.2) 式で書かれるエントロピー変化に上限はあるのか?

13s3041: 
第二法則で変化を残さずに仕事に変えられないってことは, 何かしらの変化を残せば 100 % の効率も夢ではないってことですか. M: 14s3010 参照

11s3001: 
標準状態は 25 $ ^{\circ}$C, 1 atm ということですが, 「温度 373 K の標準状態」とはどういう意味ですか? M: 講義で説明したことが伝わっていなくて残念. 14s3036 参照

10s3042: 
標準状態の温度条件である 25 $ ^{\circ}$C は何を基準に決められたのでしょうか. M: 13s3010 参照

記名なし: 
1 気圧を $ \displaystyle 10^5 Pa$ と近似して用いていますが これは計算時 2 桁として考えるべきですか? M: 意味不明. ``計算時 2 桁'' とは? // どこでそういう近似を行っているか?



rmiya, 20150202