プログレス物理化学 II (20141031) M: 以下は宮本のコメント
12s3033: 
VSEPR では非共有電子対の反発が大きいとされているが なぜ非共有電子対の反発が大きいのか. M: 電子対の種類として結合電子対 (X) と非結合電子対 (E) があり, これらの組み合わせとして bp-bp, bp-lp, lp-lp の三通りがありますネ. 反発の大小が何によって決まるのか考えたり, 参考書をいろいろと見ればいいのでは(?) // しかしいずれにしても, 今では不完全な理論であることが分かっており, 定性的な議論しかできないものなので, 基本的な概念を理解した後では理論的背景にこだわってもあまり得るところは無いと思いますけど...

12s3035: 
PC で Walsh 図を調べたところ $ \displaystyle 1\sigma_$u が 90 の方が不安定になっていたのですが 何故でしょうか. M: さあ(?) 個別具体的な系についての計算を行うと, そうなるものもあるのかもね. // 講義では説明しませんでしたが, ウォルシュの相関図をどうやって描くのか考えてみると... 個別具体的な系について MO 計算をして, オービタル・エネルギーをプロットするという方法はすぐに思いつく. そうでなければ, 定量性に欠ける概念図・模式図を描くしかないのでは(?)

12s3036: 
ウォルシュの相関図以外に 4 原子以上での似たような相関図はあるのか? M: 誤解の予感. ウォルシュの相関図は 3 原子分子に限った話ではない. 教科書 p.438 の図10.26 は XH$ _3$ 分子についての図だ. またウォルシュの相関図が存在するのに, あえて類似の別物を持ってくる必要性があるのだろうか(?)

12s3040: 
教科書には AH$ _2$ 分子の価電子についてのウォルシュの相関図とあるが, AH$ _2$ と表される分子について全てにあてはまるようなものなのか. また例外的な値を示す分子はあるのか. M: 前提が何で, どういう図なのか, 良く良く考えてみましょう. また本文の記述も ``一般的特徴を予想することができる'' とあり, 必ずとか厳密とか言っていませんネ.

12s3045: 
H$ _2$O は折れ線型であるが, 非共有結合の反発の力の方が強い為 O-H 結合の方が角度は小さいが, その H$ _2$O が存在する環境などによって微妙な誤差が生じることはないですか? M: VSEPR って, どのくらい厳密で定量的なものなのか?

12s3047: 
BeH$ _2$ について, 電子が入っている $ \displaystyle 2\sigma_$g 軌道と $ \displaystyle 1\sigma_$u 軌道のエネルギー準位が異なっていますが, 同じ水素が結合しているのにオービタルが等価でなくていいのでしょうか? また, なぜ BeH$ _2$ は混成軌道をとらずに, 2s, 2p$ _$z が H オービタルと作用して結合するのでしょうか? M: Be のオービタルが 2s と 2p$ _$z のように異なっています. この二つのオービタルは, 方位量子数がことなるので角度方向の形が異なっています. それに加えて, 動径方向の形も違います (違うはずです). 別の原子オービタルを使って作られる分子オービタルなので, 等価でないのは当然では(?) // 混成オービタルは方向性を持って特定の原子間の結合に局在しているオービタルです. しかしこれは, 20141017 の 12s3035 のコメントに記したように, カノニカルなオービタルではなく実在しません. 本当は分子オービタルを考えるべきです. 分子オービタルにおいて, Be の 2s と 2p$ _$z は, 属する規約表現が異なるために混合しません.

11s3013: 
H$ _2$O のロンペアが VSEPR 理論のうさぎの耳の様に存在していないことは, 図10.14 でわかりました. しかし, O のもつ軌道は 4 つあるのに 3 つの軌道からのイオン化しか現れていません. 残りの 1 つはどこですか? M: 教科書 p.464, 表11.7 にハートリー-フォック 計算の結果が示されています (図10.14 に 11 章参照と書かれている). これによれば, イオン化にはもっと大きいエネルギーが必要なようです.



rmiya, 2014-11-27