構造物理化学II (20140129)
M: 以下は宮本のコメント
- 12s3001:
- 図9.6 の H
の分子オービタル波動関数の
,
に対応するエネルギーについて, H
の励起状態, 基底状態のエネルギーは E の極小や収束している部分に対応しているのか. M: 質問の意味がよくわからない. // 図によれば, 基底状態でも励起状態でも, 系のエネルギーは分子構造 (核間距離) に依存している. 即ち特定の構造に限定した話をしていない. // 通常は基底状態といえば, 最安定構造 (ポテンシャルの極小点) を考える (電子的に基底状態で, 振動や回転についても基底状態). これに対して励起状態は, それなりの配慮が必要. すなわち電子励起される話であれば, 普通は垂直遷移なので分子構造は変化していない. しかし発光や励起状態での反応を考えると, 電子励起状態における安定配座 (励起状態のポテンシャルの極小点, 一般には基底状態のそれとは異なる) を考えたりもする. // 教科書 13, 15 章も参照
- 12s3002:
- 交換積分の項に古典的に対応するものがないのは なぜか. M: 質問の意図不明. 実際に無いのだからしょうがない.
- 12s3003:
- 安定なヘリウムの二原子分子が存在しないことを なぜ, 分子軌道は予言できるのか. M: 教科書 §9.8, p.370 を読んで, いったい何がわからないのでしょうか?
- 12s3004:
- 分子軌道法 (MO) と原子価結合法 (VB) では MO の方が一般に使われていることは分かったが, MO より VB の方が優れている点はあるのか? M: 化学的描像は分かりやすい. と講義で話したのが伝わっていなくて残念.
- 12s3005:
- R の値は どのように決めているのか M: あなたが何をするために, それを決めるの必要があるのか?
- 12s3006:
- 活性酸素の利用でマイナスな点はあるのか. M: 健康オタク に聞けばいいのでは
:-p
// 12s3019 も参照
- 12s3007:
- 異核に原子分子では対称心をもたないから添え字 g と u を使わないとあるが どういうことですか. 結合性, 反結合性オービタルが区別できないということではないと思うのですが. M: §9.12 を読んで, 何が分からないのでしょうか?
- 12s3008:
- 平衡核間距離は求めることができますか? M: 図9.6 や 9.9 等は, いったい何なのでしょうか?
- 12s3009:
- 分子軌道法は多原子分子の結合に関してよい近似を示すということだったが, 二原子分子の場合では MO と VB では どちらがよい近似を示すのか. M: 近似を改良することはできるのか? すると二つの近似法の優劣は, どうやって決めればいいのか? 教科書 7 章の始めの段落の文章を, もういちどよく読んではいかがか(?)
- 12s3011*:
- 原子価結合法の計算において, 電子は 2 つの中心から引力を受けるので, 軌道の大きさが原子のときと異なるのではないかと思うのですが, このとき計算は どのようになりますか? M: 全くその通りですね. 教科書では VB 法については詳しく書いていませんので, 別の参考書を参照してください. 単純な VB 法を発展させて, より現実に近い値を出そうとすると, さまざまな工夫が必要です. その中で, 原子価軌道として単純な AO (水素原子の AO) を使わずに改良することは, あり得るでしょう.
- 12s3012:
- 僕の今日の疑問は調べれば分かりそうなものばかりなので 質問はありません. M: 謙虚ですね
:-)
- 12s3013:
- O
の場合は結合次数はどうなりますか? M: 自分で電子の数を数えて計算すればいいのでは?
- 12s3014:
- 反結合性分子オービタル
で, 二つの核の中点に節があるが, 電子密度に切れ目があるということは電子が存在しないということか? M: ``切れ目'' とは? 波動関数の二乗は何を表しているか?
- 12s3015:
- LCAO-MO 近似の利点は? M: 大きな分子にも容易に拡張できる, と講義で説明したのに, 伝わっていなくて残念.
- 12s3016:
- SCF-LCAO-MO 波動関数はつじつまが合うように係数が決定された. とあるが, 自分で考えるときには, どうしたらよいのか. M: 別に, 普通に考えればいいのでは(?) // 何を困っているのか全く分からない.
- 12s3018:
- 原子価結合法では O
分子に不対電子はないのに, 分子軌道法では不対電子があるとされるが, 原子価結合法が間違っていることには ならないのか. M: 酸素分子の磁性を説明できないという意味では VB 法は誤りといえるかもしれないが, すると同時に酸素分子のルイス構造式 O=O も誤りということになる. これは化学的常識にとって, いががなものか.
- 12s3019:
- 活性酸素が体内に入ると悪影響を及ぼすと聞いたのですが, どうしてでしょうか? M: そのように主張している人に理由を聞けばいいのでは(?) ちなみに, 生体内に異物 (細菌やウイルス) が入ってきたとき, 生体はどのようにして (どのような物質を用いて) 防御しているのだろうか?
- 12s3020:
- 式 (9.10) の積分は問題 9.3 や 9.42 のように解析的に求めることができる, とあるが これを解析的な手法以外で求める方法はないのか. M: そりゃあるでしょ. ちなみにシュレーディンガー方程式の解を解析的に求めることができない場合に, 私たちはどうしましたか?
- 12s3021:
- 重なりの程度は核間距離 R に依存するが, 図9.4 のとき重なりが異なるとき, 具体的に変わるものは
以外に何かあるのか? M: 当然,
から派生する ありとあらゆる物が変わるでしょう.
- 12s3023:
- HF などの二原子分子の場合, 1s 軌道と 2p 軌道の
結合だと思うのですが, 異なる軌道間の結合で平衡核間距離でのエネルギーに大きな変化はあるのですか. M: 意味不明. 何から何への変化に対応したエネルギーの変化の話ですか?
- 12s3024:
- 活性酸素が増えると体によくないときいたことがありますが, なぜ反応性が高いと体にわるいのですか? M: 12s3019 参照
- 12s3025:
- 反結合性オービタルの存在確率で まん中は 0 になるのですか. M: 自分で計算してみればいいのでは(?)
- 12s3026:
- 二電子系で, 交換積分の正負によってのスピン一重項と三重項でのエネルギー差及びエネルギーの大小は何が引き起こしているのでしょうか? M: スピンが同じ軌道に入るのならば反平行 (一重項), 異なる直交する軌道に入るのなら平行 (三重項) になる (の方がエネルギーが低い) ということで, まさに交換積分の正負によって決まります. 前者はパウリの排他律, 後者はフントの規則などが思い当たりますネ.
- 12s3027:
- LCAO-MO 法は無機化学だと電子で考えていたのですが, それとはまた違うのでしょうか. M: 意味不明です. ``無機化学だと電子で考えていた'' とは, 何のことでしょうか?
- 12s3028:
- 水素分子ではなく, より複雑な系の場合でもクーロン積分を用いることはできるのか. M: ``クーロン積分を用いる'' というあたりが, 意味不明です. 式を立てて展開してと, 計算してみればいいのではないでしょうか?
- 12s3030:
- ハミルトン演算子がスピンに依存しないとあるが, なぜそう考えるのか. M: この文の ``スピン'' は, 何を指しているのだろうか? // スピンとやらが変わったときに, 実際にハミルトン演算子がどうなるか, 自分で考えてみればいいのでは(?)
- 12s3031:
- ボルン-オッペンハイマー近似が結構正確であるということは, 水素分子イオンの測定値の HA と HB に相当する
A
と
B
は e
に相当する
に比べて非常に小さいということなのか? M: 講義時間の初めに説明したことが, 全く伝わっていなくて残念. 20140122 のプリント中の多数のボルン-オッペンハイマー近似に関する質問も参照
- 12s3032:
- 仮に O
という分子があったとすると, 結合次数は 3 となるので, O
よりも安定に存在するように考えられますが, 実際はどうなのでしょうか. もし O
が存在しないなら, なぜですか. M: 実測データの話ですか? 自分で探してみればいいのでは(?)
- 12s3033:
- 分子軌道法が一般的に用いられていると言っていましたが, 原子価結合法を用いることで利点はなにかあるのか. M: 12s3004 参照
- 12s3034:
- 分子軌道法は, 単純な二原子分子だけでなく多原子分子についても適応できるのか. M: 12s3015 参照
- 12s3035:
- He
の結合を予想する分子軌道法は電子に重みをつけるなど何か少し変えているのでしょうか. それとも別の物なのでしょうか. M: 状況が全く分からない. ``He
の結合を予想する分子軌道法'' とか ``電子に重みをつける'' とか, 一体全体なんのことでしょうか?
- 12s3036:
- 他の希ガス原子でも, He
と同じように弱い結合が予想されるのですか? M: まずは基本をしっかりと身につけ, それに基づいて自分で考えてみればいいのでは(?)
- 12s3037:
- 式 (9.20) はなぜ交換積分と呼ばれているのですか. M: 名づけた人に聞けばいいのでは? // 教科書 p.341 を見てよく考えてみればいいのでは(?)
- 12s3038:
- 分子軌道法によって計算した基底状態の水素分子のエネルギーは, 何故実験値と値が大きく異なるのか. M: 12s3009 参照 // 基底関数として 1s 軌道だけを用いた MO では, 不十分だったというだけ. もちろん電子相関の問題もある.
- 12s3039:
- LCAO-MO 近似のメリットはなんなのか? M: 12s3015 参照
- 12s3040:
について MO 法, VB 法でそれぞれの方法にかかる手間を無視すると, どちらが良い値を取るとかはあるのか. M: 12s3009 参照
- 12s3041*:
- O
に電子を無理に入れることで結合次数が下がり, 反応しやすくなるわけだが, 同じように結合次数が下がるようにすれば反応しにくい原子, 分子も反応させることができるのか? M: そのとおり. アンモニア合成のハーバー法を始めとする触媒は, そういうことをやっているものと考えられます. そして, そういったことを考えて, 触媒の開発研究が行われているのです(!)
- 12s3042:
- 節面の電子移動はどうなっていますか M: そういう描像は誤りだと講義でも説明したのに, 伝わっていなくて残念. 20140114 の 13s3011 参照
- 12s3043:
- 不対電子を持つと常磁性とあるが 磁界との関係はあるのか. M: 何と磁界との関係の話か? // 軌道角運動量と磁場との相互作用については, 章末問題 6.46 // 電子スピンは磁気モーメントを持っています. 磁界 (外部磁場) と物質の磁性との関係について, 勉強してみればいいのでは(?) // 電子スピンではなく核スピンの話ではあるが, 教科書 14 章も参照
- 12s3044:
- 分子軌道法において原子同士が結合して分子を作るのに, どうして ``反'' 結合性オービタルなんて必要なのか. M: 基底関数系 (例えば AO) のユニタリ変換によって分子オービタルを作っているので, 結合性オービタルが形成されるのならば, 当然, 反結合性オービタルも形成されます. 原子間の結合には寄与しませんが (むしろ負の寄与をすると言うべきか). 名称としての結合性 (bonding)・反結合性 (anti-bonding) は, 原子位置の交換(?) に対して波動関数の符号が反転するか否かというだけの話です. また今回の講義では登場しませんでしたが, 非結合性 (non-bonding) のオービタルというものも, 系によっては存在します. こちらは完全に結合が無い状態.
- 12s3045:
- 今回用いた方法で, 使う原子オービタルの数に制限がないのは なぜですか. M: 逆に, どうして制限しなければいけないのですか? // ある分子の分子オービタルの数は, いったいいくつあるでしょうか? それを全部作ろうとすると, 基底関数系となる原子オービタルも同数だけ必要です. (ユニタリ変換の話を講義でしました.)
- 12s3046:
- 反結合性オービタルについて どうして, 電子が全く存在しない節が生じるのか. M: 自然がそうなっているとしか言いようが無い. それが電子の波としての性質.
- 12s3047:
- 不対電子を持っていると, その分子は常磁性となって磁石にくっつくのは なぜですか? M: 12s3043 参照
- 11s3009:
- HF 法での計算結果と厳密解の計算結果の誤差の許容範囲は どのくらいですか? M: あなたは, どのくらいの誤差とやらを許容できますか? それはなぜですか?
- 11s3014:
- 分子軌道法よりも原子価結合法が優れている点はありますか. M: 12s3004 参照
- 11s3015:
- 昨今, 地球温暖化問題が話題となりましたが, 実際温暖化を確実に防ぐことは不可能だと思ったのですが どうなんでしょうか? 発電するとき, 火力発電などを人間が利用することにより, CO
が発生するのが原因なのではないでしょうか? M: IPCC の第 5 次評価報告書が公表されていますので, 参照すればよいのではないでしょうか. // ヘンテコな独自解釈の垂れ流しに踊らされるのではなく, なるべく正確で信頼が置ける情報源にあたるべきでしょう.
- 11s3022:
- ボルン-オッペンハイマー近似がよいとされているのは, なぜですか? M: 近似計算の結果が実測値に良く合っていることを, 普通は ``近似がよい'' と言うでしょ.
- 11s3025:
- 酸素原子の項の記号は S, P, D ですが この 3 つで化学的性質は 何かちがうのでしょうか. M: 20140108 の 11s3028 や 20140122 の 11s3028 など参照
- 11s3026:
- 酸素原子 6 個で六角形の構造を生成することは可能か. M: MO 計算してみればいいのでは?
- 11s3027:
- p.359 の記述に, 「古典的な解釈をしたくなるが, これは純粋に量子力学的なものであって, 古典力学から類推はできない」 とありますが, なぜ交換積分が量子力学的なものだと分かるのですか. M: 類似のもので古典力学的な解釈が可能なものはあるか? それとの違いは何か? 違いを踏まえて, 交換積分を古典的にどのように解釈したらよいか, 考えてみてはいかがか.
- 11s3028:
- クーロン積分と交換積分で得られる値は意味合いがどう違うのか? M: それぞれはどういうものでどこが違うかを, 考えてみればいいのでは?
- 11s3031:
- ボルン-オッペンハイマー近似下でにシュレディンガー方程式を厳密に解くことができますが, その解が扱いにくいとはどういう意味ですか. M: 教科書 p.353 の後半に書いてあることを読んで, どこがわからないのですか? // 20140122 の 12s3015 も参照
- 11s3034:
- MO が分子軌道法を現すのはわかりますが, AO は何を表すのかが分かりません. M: atomic orbital すなわち原子軌道 // 教科書 p.354 の脚注も参照
- 11s3035:
- MO と VB はどちらがより優れた手法ですか? M: 12s3009 参照
- 11s3039:
- 今の授業の範囲と異なりますが, p.309 に
と
はエルミートでなければならないと書いてありますが, なぜエルミートでなければならないのでしょうか?
が
という実数値しかとれないことと, エルミート演算子の固有値が実数であることと関係があるのでしょうか? M: なんだか色々と混戦している予感. // 量子数が整数 (スピンが関与する場合には半奇数もあり) であるのは, 当たり前. // 一方で基本に忠実に, 問題としている演算子の固有値は何か? を考えればいいのでは(?)
- 11s3044:
- 結合次数はそれぞれのエネルギーについて考えていないように思われるのですが, 問題はないのですか. M: 別に. 何か問題があったとして (具体的にどんな問題??), それがどうかしましたか? そういう問題も含めて, 結合次数というものでしょ(?) // 一切の問題が無い, 完璧な指標があるのでしょうか?
- 10s3021:
- 結合次数の定義から考えると,
以上がやはり存在することになるのか? M: それなんで結合次数の上限の候補が
という? 多核の金属錯体では, d 軌道も使って金属間に 4 重結合があると考えられるようなものもあると…
- 10s3039:
- 原子によって, 軌道のエネルギー準位がかわるのは なぜですか. M: 原子 (議論の対象となる系) によってハミルトニアンの具体的な形は変わるか?
- 07s3042:
- H
というイオンを考えた時, 結合性オービタル, 反結合性オービタル両方に電子が入る. 結合次数を考えると 0 になるので, それは H
は, 存在できない, という意味になるのか? M: そこ, どうして他人の承認が必要なのでしょうか?
Ryo MIYAMOTO, 2014-01-30