構造物理化学II (20140122) M: 以下は宮本のコメント
12s3001: 
(8.57) の選択律の許容または禁制について, $ \Delta L$ の値を基準とされているが (教科書) $ \Delta S$ または $ \Delta J$ では許容または禁制の考察はできるのか. M: (8.57) の使い方を誤解している. 全部を一度に使う.

12s3002: 
ボルン-オッペンハイマー近似が非常によい近似であるのはなぜか. M: 近似の根拠となるモデルの妥当性が高い.

12s3003: 
ほとんどの目的にはボルン-オッペンハイマー近似が非常によい近似なのはなぜか? M: 12s3002 参照

12s3004: 
ボルン-オッペンハイマー近似を使う際の条件はあるのか? M: 近似の根拠となるモデルの妥当性を考える.

12s3005: 
核が動かないのに核間キョリを R とおきパラメータとするというのは どういうことか. M: 電子は固定された核の作るポテンシャル場の中を運動しているというモデル. 核の配置 (パラメータ) が異なれば, 異なるポテンシャル場なので, 電子の持つエネルギーや存在確率密度分布 (波動関数) は異なる. 異なる R ごとにエネルギー (や波動関数) を求めることになる.

12s3007: 
三体問題で 3 つの粒子のうち 1 つを原点に固定して変数を減らしてはいけないのですか. M: もちろんいい. 重心の座標系と内部座標系に分離する, すなわち分子全体の並進運動を分離することは可能. しかしそれでも, 粒子間の距離という要素があるので, 個別の粒子または個別の変数ごとに方程式を分離することはできない.

12s3008: 
ボルン-オッペンハイマー近似を使うと, HA, HB の運動エネルギーの分だけ誤差が生じると思うのですが, その誤差は無視できる大きさなのですか? M: ``誤差'' ではない (用語の正しい使い方をしましょう). // 電子のエネルギーを考えるときに, 核の運動エネルギーを考慮する (加える) ことに意味はあるか?

12s3009: 
ボルン-オッペンハイマー近似で無視した 2 つの核の運動エネルギーは求めることは可能なのか. M: 反応物理化学で何を習いましたか?

12s3010: 
電子の数が多くなれば, 核を止めても, 変数の数が増えると思いますが, どのように近似しますか. M: そうですね. 電子の数が多くなれば変数の数が増えるのは当たり前. それがどうかしたのか? // ボルン-オッペンハイマー近似とは, どういう近似か考えればいいのでは(?)

12s3011: 
分子オービタルに付随する確率密度について議論するために $ \displaystyle \psi_\pm$ を規格化するのはなぜですか? M: 波動関数の二乗にはどんな意味があるか? 確率の総和はいくつ?

12s3012: 
ボルン-オッペンハイマー近似によれば核を止めることで近似をするということであったが, 核を止めたら HA と HB 間の R は一定になってしまうが, そうなっても良いのか. M: 何が困るのか? // 12s3005 参照

12s3013: 
水素原子に電子が 1 つ入っているのに, H$ _2^+$ の図で電子が 1 つだったのはなぜか? 電子は 3 つではないのか? M: 本気ですか?

12s3014: 
ボルン-オッペンハイマー近似と運動エネルギーの実測値の誤差は無視できるほど小さいのか. M: 意味不明. 何の運動エネルギーの話か? // 12s3008 参照

12s3015: 
ボルン-オッペンハイマー近似の解は扱いやすいものではないと記述されているのに, なぜこの近似をつかうのか. 他に良い近似はなかったのか. M: 教科書の記述をよく読んでください. ボルン-オッペンハイマー近似の元での H$ _2^+$ の解析解の話をしています. で, 教科書ではつづいてわかりやすい近似解として分子軌道法を使うという論理の流れになっているのだが…

12s3016: 
二原子分子の話で, なぜ三原子が出てきたのか. 単なる例か. M: 誤解でしょう. どこにも三原子など出てきていませんが(?)

12s3017: 
金属触媒の表面で分子がどのような挙動を示すかを探る手段として どのようなものがありますか. M: そりゃ, いろいろあるでしょう. 少しは自分で調べたのでしょうか?

12s3018: 
ボルン-オッペンハイマー近似では核の質量が電子の質量と比べて非常に大きいことから原子核を止めて考えるとしていたが, そのような近似を用いたら多原子分子になると実験値との誤差が大きくなってしまうのではないか. M: どうして そうなるの?

12s3019: 
H$ ^+$[原文ママ] において, ボルン-オッペンハイマー近似を用いることでシュレーディンガー方程式を解くことができるが, 近似を用いているのにどうして厳密に解くことができるのか. M: 何の話か? // もしかして日本語の問題(?) それとも論理の問題(?)

12s3020: 
1 電子波動関数から成る行列式によって分子波動関数を構成できるとあるが 多電子原子の場合と同じように考えることができるのはなぜか. 条件が異なるのではないのか. M: 意味不明. ``同じよう'' とは何のことか? ``条件'' とは何か??

12s3021: 
ボルン-オッペンハイマー近似により核の運動を無視しているが, 何粒子まででも良い近似として結果をのこせるのか? M: 近似の限界が, 粒子数によって決まると考えた理由は何か?

12s3023: 
1 粒子の系では核を原点に固定して変数 3 つですが, 水素分子イオンの系で, HA を原点に固定すると変数 6 つとはならないのですか. M: 12s3007 参照

12s3024: 
禁制の遷移はどうやってもおこらないのですか? M: 遷移金属イオンの d-d 遷移も禁制なんですけど, 普通はそれによって色が付いて見えるわけだが.

12s3025: 
三体問題は解析的には解けないと書いたがこれからも解けるようになることはないのでしょうか. M: たとえばピタゴラスの定理は将来変わることはあるのでしょうか.

12s3028: 
基底関数系は線形結合で表すことができるということは関数系の基底ベクトルということなのか. M: 言葉使いが何か変だ. // 線形代数を復習すればいいのでは(?)

12s3030: 
核と電子の質量は大きく異なるので, 電子の運動に比べて核は一定の位置にあると記載されているが, 核を一定の位置にあるとするならば, 核の質量は電子の運動エネルギーとほぼ等しいということか. M: 意味不明. 質量は運動エネルギーとは別種の物理量ですけど(?)

12s3031: 
和訳ではなぜ $ L=0, \pm1$$ L=0$ がつけ足されたのか. M: 訳者に聞けば良いのでは(?)

12s3032: 
ボルン-オッペンハイマー近似では, 核の運動を無視しましたが, 電子の運動を無視してはならないのですか. 例えば H$ ^-$ イオンを考えたとき, 核の運動を無視するだけでは解けないと思いますが, このときは電子の運動を無視すればよいのでしょうか. M: 電子の運動を無視することの妥当性, 根拠は何ですか? どういうモデルを考えているのか?? // 1 電子近似とは何か?

12s3033: 
$ \Delta L = 0$ で本によって記載が異なるということは このことから禁制かどうか判断が難しいと思いますが, どのようなことが言えれば判断できますか. M: 誰かの言ったことを無批判に写すのではなく, 自分の頭でしっかり考える. 時間に依存する摂動を勉強すればわかるのでは(?)

12s3034: 
ボルン-オッペンハイマー近似の下では シュレーディンガー方程式を厳密に解くことができると教科書に書かれているが, 近似であるのに厳密に解くことができるのは なぜか. M: 何をどう近似しているのか. そして何を厳密に解くことができるのか. しっかりと論理を区別すると分かるのでは(?)

12s3035: 
多原子分子のある結合を考える場合, 他の原子や電子の影響は相対的にどの程度なのでしょうか. M: 対象とする系, 分子により異なるだろう. あたりまえですね.

12s3036+: 
ボルン-オッペンハイマー近似の利点は? M: 分かりやすく, 理解しやすい. 結構正確.

12s3037: 
ボルン-オッペンハイマー近似で求めたエネルギーは実験値にどれくらい近づくのですか. M: マッカーリ&サイモンの第 10-11 章参照

12s3038: 
ボルン-オッペンハイマー近似では, 原子核の位置を固定しますが, そうすると原子核と電子との距離はどのようにして出すのでしょうか. M: 三次元空間で二点間の距離をどのようにして求めるのかを知らないのですか?

12s3039: 
ボルン-オッペンハイマー近似下で シュレーディンガー方程式を厳密に解いた際の解が扱いやすいものではないというのは なぜか. M: 実際に具体的にどんなものか調べてみれば分かるのでは(?) // 数学的に厳密に得られた解 (関数) が, 物理的に理解しやすい形をしているかどうかは, 自分の目で見て判断すればいいのでは(?)

12s3040: 
H$ _2^+$ $ \hat{\cal{H}}$ の変数の数で, HA, HB のどちらか一方を H 原子の $ +Ze$ を固定して考えた様に, 固定して考えることは出来ないのか. (ボルン-オッペンハイマー近似の前) M: 12s3007 参照 // ちなみに ``H 原子の $ +Ze$ を固定'' とは, どういうこと?

12s3041: 
古典力学で分極が大きいことを示すことはできる, とは言ったが, 不都合な面はあるのか? M: 古典的には電子は粒子なので, 確率密度分布という電子雲という考えには馴染まない. // 前半のこと, 誰がいつ言ったの??

12s3042: 
ボルン-オッペンハイマー近似で原子の運動エネルギーを無視できるということは, 原子間距離が固定されるので そのときは変数をつかうのでは? M: ``変数をつかう'' とは, 何のことか? 12s3007 参照

12s3043: 
数学が単に実験値に近い値を求めるためのものなのか. M: 意味不明

12s3044: 
古典力学的に三体問題の 3 つの球体はカオスであるということをきいたことがありますが, カオスとはどうゆう意味でしょうか. M: 言葉の意味が分からなければ, 辞書を見ればいいのでは(?) ただしここの ``カオス'' は専門用語なので注意. あるいは中間レポートのネタ発見?!

12s3046: 
核の運動を無視することによって どのくらいの誤差が生じるのか. M: 12s3002, 12s3008 参照

12s3047: 
水素イオンのハミルトニアンについて, なぜ, 原子核 A, B 間の距離の項だけ「+」になっているのですか? M: 普通にクーロンポテンシャルを考えているだけです. 電磁気学 (静電気) を復習してください.

11s3001: 
(8.57) で $ \Delta L = 0$ は翻訳時につけ足されたものだと仰っていましたが, どのような意図でつけ足されたのでしょうか? M: 12s3031 参照

11s3009: 
1 電子分子イオン H$ _2^+$ はなぜ他の分子よりも分光学的に安定なのですか? M: そんなこと書いてありませんが(?) 教科書をよく読んでください. // ここで ``不安定'' とは, 原子間に結合が無く壊裂してしまうということなので, ``安定'' とはそれの裏返しで結合があるということ.

11s3014: 
原子数がより多いものでも今回の近似で対応できるのでしょうか. M: どうして場合場合で個別に異なる近似を考え出さなければいけないのでしょうか? それで共通の性質や法則を見つけたり議論したりできるのでしょうか?

11s3015: 
有名な化学物質として, フッ化水素酸がありますが, この物質は人体の皮膚に 1 滴でも付着すれば影響を及ぼしますが, この物質を活用したものとしてはどんなものがありますか? M: 自分でどれだけ調べたのでしょうか? Wiki レベルでもいくつか書いてありますヨ

11s3022: 
反物質は, この世に存在しているはずなのになんで存在してない考えの方が通説なんですか? M: ``存在しているはず'' の根拠は何か? // 南部陽一郎 について調べてみればいいのでは?

11s3025: 
d$ ^2$ 電子の項の記号は, 3F, 3P, 1D, 1G, 1S ですがエネルギーが低い順に並べると 3F, 1D, 3P, 1G, 1S となるらしいです. フントの規則を用いると 1D, 3P や 1D, 1G のエネルギーの大小の順番がちがうと思うのですが なぜフントの規則に従わないのでしょうか. M: フントの規則の内容を復習してはいかがか. // (8.55) に基づいてエネルギーを計算してみればいいのでは(?)

11s3027: 
「時間に依存する摂動」とは何ですか. M: 文字通りですけど, 何が分からないのでしょうか? // まずは教科書 § 13.11 を読んでみればいいのでは(?)

11s3028: 
ミクロ状態が異なる同じ原子で, 化学的性質が異なるとすれば, 具体的にどういった違いが想定されるのか? M: ミクロ状態は (8.55) の固有状態ではない. // 化学反応の磁場効果とか(?)

11s3031: 
基本的な所なのですが, 遷移の禁制・許容はどのように見分ければ良いのですか. M: 二つの状態が, 選択律に示された条件を満たすかどうかを見る, 以外に説明のしようが無い. いったい何がわからないのか?

11s3034: 
昨年は中間レポートの評価を発表していたと思うのですが, 今年は発表しないんですか? それともまだ評価が終わってないだけでしょうか? M: そうでしたっけか, あんまり覚えていません. 普通自分の出来具合は, 手応えとして感じているものなのでは(?)

11s3035: 
三体問題は解析的には解けないため近似を使うと習いましたが, なぜ解析的に解くことができないのですか? M: 粒子間の距離に依存する相互作用項が変数分離できないという説明をしたのですが, 理解していただけなかったようで残念です.

11s3039: 
He 原子に対する HF 法で E を求めたとき, 相関エネルギー CE の値が化学結合と同程度という誤差としては無視できない値になってしまいましたが, この値を E exact により近づけるためにはどうしたらいいですか? M: 教科書 p.317 に, 摂動論によって相関エネルギーを計算する方法があることが記載されている. これは MPn 法 (n=2,4 など, 摂動の次数を表す) として知られている. 他にも配置間相互作用 (CI) 法が p.461 に紹介されている.

11s3044: 
粒子が 3 つだから 9 個の変数があるのではなく, 粒子同士の関係 HA-HB 間, HA-e 間, HB-e 間がそれぞれ 3 つの変数があるから, 9 個の変数があるのではないのですか. M: 全然違います. 講義中に黒板に書き下したハミルトニアンを見て変数の数を数えなかったのですか? あなたの考え方では 4 粒子の系では変数の数が 18 個になりますヨ.

10s3021: 
分子軌道で MO は行ったが, VB はどうやってやるのだろうか? M: 意味不明. MO や VB の略語が何を表しているのか理解していない(?)

10s3039: 
p.330 の 2S1/2→2S1/2 が禁制の理由が $ \Delta L = 0$ だからというのが理由でないのはなぜですか. M: (8.57) に従えば理由になってないのは自明じゃん. 論理的に考えればそうなる.

10s3044: 
ボルン-オッペンハイマー近似は どのくらいによい近似か? M: 12s3037 参照

07s3042: 
ボルン-オッペンハイマー近似は原子番号が大きくなっても適用できるのか. M: 近似の妥当性の根拠は何か?



Ryo MIYAMOTO, 2014-01-24