構造物理化学II (20140108)
M: 以下は宮本のコメント
- 12s3001:
- C の基底状態を求めるさいに 3P0 が基底状態と学んだが 1S0 も基底状態に近いほどの値をとるのか? M: Na については, 教科書にある Moore の表の数値を見てみればいいのでは(?) 12s3003 も参照
- 12s3002++:
- スピン-軌道結合が小さい場合のみ
という選択律のための遷移が起こらないのは なぜか. M: ここでは pp.328-329 に記述されているように, (8.55) のハミルトニアンにおいて末尾の項を摂動と考えている. そこでこの摂動が小さければ, スピン禁制のために遷移が起こらないと考えるのが普通. これは遷移モーメント積分を評価すればわかる. しかし LS 結合が大きければ (摂動が大きい場合には), L や S などの量子数はよい量子数ではなくなるために, 波動関数の混合がおきて (波動関数の補正項が大きくなり), 禁制遷移が許容になってくる. // 問題8.46 や参考書なども参照. 摂動エネルギー (スピン-軌道結合) は,
(原子番号の四乗!) で効いてくる.
- 12s3003:
- 三重項状態 (3S1) が一重項状態 (1S0) よりも低いエネルギーをもつのは なぜか. M: (8.55) のハミルトニアンに基づいてエネルギーを求めればわかるのでは(?)
- 12s3004:
- 項記号を考えることで基底状態やナトリウムの D 線を説明できることが分かったが, 項記号は他にも何か説明するときに利用されているのか? M: マッカーリ&サイモンの 15 章も参照. 他にも調べてわかったら教えてください. でも, スペクトルを理解することに利用できれば十分では?
- 12s3005:
- 重力が発生する理由はなんですか? M: 一般相対性理論を勉強してみればいいのでは(?)
- 12s3006:
- 項記号の決定でフントの規則を使わない場合もあるのか. M: 電子一個の系や閉殻系などでは使う必要がないと思うが(?)
- 12s3007++:
-
は 1D2,
は 1S0 は どのようにして区別されるのですか. どちらも
が 1 と
であるのに
の値がスピンとの組み合わせで変わってしまうのは どのようにスピンがオービタルのベクトルに奇与[原文ママ]しているのですか. M: どちらでもよい. そもそもミクロ状態はハミルトニアン (8.55) の厳密な固有関数になっていない. そこで LS 結合により項記号を考えて,
から
へと基底系の変換をしている. すなわち例えば具体的に
と
と
の線形結合を作って
と
と
が生成される. なおこの変換はユニタリ変換なので, 変換前の次数 (基底ベクトルの数) と変換後の次数は同じ. クレプシュ-ゴルダン係数とかウイグナー係数と言ってみるテスト. // しかしこれでも LS 結合を摂動と考えているので, (かなり良い近似ではあるが) 厳密ではない. その証拠に 12s3002 参照.
- 12s3008:
と
を最大のものから考えるのは なぜですか? M: では, 小さい方から考えてみればいいのでは(?) でも
,
は, それだけでは
と
が一意に決まりませんよ(?)
- 12s3009:
- 原子の電子状態を項記号で表すことで, どのようにして原子がもつエネルギーがわかるのか. M: 項記号だけでは, 電子状態を分類しただけであり, ただちにエネルギーの値にならない. 項記号で示される状態について, (8.55) のようなハミルトニアンを用いてエネルギーを計算する.
- 12s3010:
のエネルギーを比べるときに, フントの規則を使いましたが, 他の授業に出てきた, スピンが反発しないように電子が配列するフントの法則とは違うものですか. M: 自分で考えてみて, 何が分からないのか? // 例えば d オービタルに 3 個の電子が配置されるとき, その授業で習った ``もっとも安定な電子の配置のされ方'' は, 他の別の入り方と比べて
や
は, どうであるか?
- 12s3011:
- 多くの
,
の組が可能で電子状態を正確に指定できていないとは どういうことか. M: 講義の内容, 講義中に示された結果が, 全く理解されていないようで, とても残念です.
- 12s3013:
のとき
が対応するらしいが,
のときは
とならないのか?
が
の z 成分なら
が 0 のとき
は 0 ではないのか? M: 角運動量について, しっかり復習してください. // もしもあなたのいうことが正しければ, 水素原子の原子オービタルにおいて,
の p オービタルは 何個になるか?
- 12s3014:
- 遷移元素の場合, ラッセル-ソーンダース結合は どのように表されるのか. M: 別に. 元素の種類に依存して, 表し方を変えなければいけない理由があるのか?
- 12s3016:
- D 線を調べることにより, 原子の何がわかるのか. M: ``スペクトルは, 原子からの手紙'' とは名言ですね. あなたが知りたいことを原子に尋ねてみればいいのでは(?)
- 12s3018:
- ラッセル-ソーンダース結合で複数の状態が出てくることがあるが, 実際に電子はそれら全ての状態をとり得るのか. M: ``それら全ての状態をとり得る'' とは どういう意味か? // ``電子が基底状態だけでなく励起状態もとり得るのか?'' や ``電子は複数の状態 (例えば基底状態と励起状態) を同時にとり得るのか?'' などと解釈できるが, それぞれ答えは明らか. // 12s3007 も参照
- 12s3019:
- 教科書に
という選択律は スピン-軌道結合が小さい場合だけ当てはまり, 原子番号が大きくなると, その選択律は破れるとあるが どうしてそのようになるのか. M: 12s3002 参照
- 12s3021:
- 非等価なオービタルと等価なオービタルでは どのように変わってくるのですか(?) M: 同種粒子が区別できないこととの関連を今日の講義で説明したのに, 伝わっていなくて残念.
- 12s3023:
- Na ランプについてやりましたが, 項記号の異なる電子の遷移で, 光の強さは異なるのでしょうか? M: 同じである必然性はありませんね. p.566 あたりも参照
- 12s3024:
- どうして 3S1 が 1S0 よりも低いエネルギーをもつのですか. M: 12s3003 参照
- 12s3025:
か
が最大のものから考えると書いてあったが どちらで考えても同じですか. M: やってみればいいのでは(?) 12s3008 も参照
- 12s3026:
- スピン軌道結合が大きくなっていくと
は成り立つのでしょうか? M: 12s3002 参照
- 12s3027:
- p.330 のライマン系列のすべてのスペクトル線が二重線で, n が大きくなるにつれて分裂幅が小さくなるとあるが, この分裂幅はどこまでも小さくなるものなのでしょうか. M: どうして小さくなるのでしょうネ(?) 問題8.46 も参照
- 12s3028:
- 励起状態の項の記号を決定するのにフントの規則は用いないのか. M: どれが最も安定な状態 (基底状態) なのかがわかれば, それ以外は励起状態ですネ
:-)
- 12s3030:
- 基底状態の炭素の電子配置について項記号を決定したが, 励起状態になると どのように項記号は変化するのか. M: 12s3028 参照 // 普通にその電子配置に基づいて考えればいいのでは?
- 12s3031:
- 1D2 では電子はどのような状態であるか. M: 1D2 の状態. あなたは何を知りたいのか?
- 12s3032:
- p.335 で, 「ここで用いている選択律は (中略) 原子番号が小さい原子だけに当てはまる」とありますが, 選択律が破れるのは原子番号何番からですか. また, それを調べるには何をしたら良いですか. M: 私は知りません. // 12s3002 も参照
- 12s3033:
の基底状態で副殻に電子が半分より少ない数しか入っていないとき J が最小の方がエネルギー状態が小さいのは なぜですか. M: ``エネルギー状態が小さい'' とは, どういうことか? // 12s3003 も参照
- 12s3034:
- 教科書でヘリウム原子に関して書かれているが, なぜ, ここで用いる選択律はスピン-軌道結合が小さい場合にのみ当てはまると述べているのか. M: 事実だから. // 12s3002 も参照
- 12s3035:
- 量子コンピュータなどでは原子内の電子を操作する場合がありますが, そのときは同種粒子の区別ができていると言って良いのでしょうか. M: なぜ, そう言って良いのですか? // 量子コンピュータの原子内では量子力学に反する力学が通用しているのか?
- 12s3036:
- 例題8.10 のように波長を計算するのは, 全ての原子において可能なのですか? M: その例題では, どうやって波長を計算しているか? 全ての原子において, 必要な情報は知られているのか?
- 12s3037:
- 項記号によって定めた状態のエネルギーの順番を正確に決めることはできるのですか. M: 12s3003 参照
- 12s3038:
- 原子の項の記号を全て求めれば, 軌道の状態や数が求まるのでしょうか. M: ``軌道の状態'' や ``軌道の数'' とは何ですか?
- 12s3040:
- 実験によって
の基底状態を観察することは可能か. また, P や D, S の具体的な軌道は どのようになるか.
M: ``基底状態を観察する'' とは, どういうことか? // 激しく誤解の予感. P などは軌道ではない.
- 12s3041:
-
と
はどちらも
をとるとあったのですが, パウリの排他原理から一方は
でなければいけないのでは? M: 何の話か? パウリの排他原理は, 正確には何と言っているか?
- 12s3042:
- 原子スペクトル以外の項記号の利用のしかたはありますか. M: 12s3004 参照
- 12s3043:
- C のように 15 通りくらいならいいが, 大きくなればなるほど複雑になると思うのですが 他の方法等もあるのでしょうか. M: 何をする方法の話か? たかだか有限個なので, 愚直に手を動かしてください.
- 12s3044:
の
の電子状態は実は 5 つあるとのことでしたが, それぞれの状態のエネルギーの差は具体的にどれくらいあるのでしょうか. M: 12s3003 参照
- 12s3045:
- 項記号で表す場合, 原子よりも分子の方が容易に導くことできるのはなぜですか. M: 意味不明. ``分子の方が容易に導くこと'' が出来るとは, どういうことか?
- 12s3046:
- 原子番号が上がるにつれて金属などでは, 電子が全ての p 軌道に入らずに, d 軌道などに先に入る場合があるがその場合はどのように S, L を考えるのか. M: 別に. 電子が入っているオービタルをもとに, 普通の手順で求めればいいのでは?
- 12s3047:
- p.327 のフントの規則の 2 について, 同じ S をもつ状態で 角運動量を示す L が最大のときを最安定になるのはなぜですか? M: 12s3003 参照
- 11s3001:
- p.327 のフントの規則の 3. について, 副殻が半分より多く or 少なく占有されている場合で分けられているのは どうしてでしょうか. M: 12s3003 参照
- 11s3009:
- 基本的な質問かもしれないですが, 基底状態の電子配置で
と
が同じ値の場合,
の値が小さいと必ず基底状態となりますか? M: フントの規則で考えればいいのでは(?)
- 11s3014:
,
,
などが記号として使われるようになったのには由来があるのでしょうか. M: 朝永振一郎の ``スピンはめぐる'' を読んでみてはいかがか.
- 11s3015:
- 日本のエネルギー供給率に関してですが, 原子力発電を全く使わないで他の発電方法を利用した方が安全で確実に電力をまかなえると思ったのですが, いかがでしょうか? (原発ゼロがベストだと) 2011 年の原発事故でウランやプルトニウムなどの化学物質が問題であると聞きましたが, これは実際危険なものなのでしょうか? M: 結論を導くには, 知識が圧倒的に不足していて, また思考も浅いと見受けられます. がんばってください.
- 11s3022:
- 光ピンセットは, どのような原理で超微小物質をつかむことができるのでしょうか? M: 何をどう調べて, 分からなかったのでしょうか?
- 11s3025:
- オーロラは窒素と酸素が出す光と言われますが, なぜ寒い所でしか見られないのでしょうか. M: なぜ, 窒素と酸素が光を出すのでしょうか?
- 11s3026:
- 項記号で
について表す場合,
と同様の方法でできるか, また
について表す場合,
と同様の方法でできるか. (
) M: 大きな勘違いの予感. 全て同じ方法を用いていますが(?)
- 11s3028*:
- ミクロ状態が異なる同じ原子では, 化学的性質はどう違うのか? M: 12s3007 参照 // ある電子配置から生じる複数の項の間で, 化学的性質が異なる可能性は, ゼロではないだろう.
- 11s3031:
- ある電子配置について, 項記号が複数あった時, 最もエネルギー状態の低い記号は, どのようにして知ることが出来るのですか. M: 講義でフントの規則に触れたのに, 伝わってなくて残念.
- 11s3034:
- 項記号で,
の項記号の考え方はわかるのですが,
などといったものの考え方がイマイチわかりません. M: そうですか, 質問になっていませんネ. // 11s3026 参照
- 11s3035:
- 同じ原子の場合, 化学的性質が異なるならば, ミクロ状態は異なるのですか? M: 11s3028 参照
- 11s3039:
- HF 方程式は F 演算子がないと解けないし, F 演算子は方程式がないとわからないのにどうやって F 演算子は見つけられたのですか? つじつまの合う場の方法で見つけたのでしょうか? M: 論理構成を理解してください. HF 方程式の導入自体は, 具体的な演算子の形を知らなくても可能です. その意味では F 演算子は見つかっている. しかし個別具体的な系について解こうとすると, 質問されたような問題点がある. これの解決方法は, 教科書にも記載されている.
- 11s3044:
- 教科書では 1D から先にとっていたのですが, 1D, 3P どちらが先でもよいのですか. M: あなたは何をしたいのですか? // 12s3008 参照
- 10s3021:
- 例題8-9 や 8-10 以外に何か項記号が役に立つ場面には何があるのか? M: 12s3004 参照
- 10s3039:
- ラッセル-ソーンダース結合以外にも電子状態を正確に指定できるのですか. M: 12s3007 の回答参照
- 10s3044:
- 項記号では分子の波動関数の対称性を表すのにも用いられるが, 対称性はどのような場面で必要となるか. M: ``分子'' の項記号ですか? 分子の対称性については, 例えば マッカーリ&サイモンの 12 章, 13 章を参照.
Ryo MIYAMOTO, 2014-01-09