構造物理化学II (20131218)
M: 以下は宮本のコメント
- 12s3001:
- 表8.3 について, アルゴンのイオン化エネルギーについて, 2s 電子の実験値が出てないのは なぜなのか. M: 12s3019 参照
- 12s3002:
- 図8.1 の計算には調整できるパラメーターが含まれていないので, 実験値との一致は注目に値すると p.315 に示してあるが どの点に注目すればよいのか. M: ``××なので, ○○は注目に値する'' という日本語表現の意味が分からないのでしょうか? 注目されるのは ○○ で, その理由は ×× なのだが......
- 12s3003:
- ハートリー・フォックの計算の結果は実験データとなぜよく一致するのか. M: オービタル近似, 平均場近似 (1 電子近似) が, 悪くないということでしょう.
- 12s3004:
- 仮説6 などの公理はある式によって導かれたものではないが, では誰がどうやって決めたものなのか? M: 複数の研究者によって, その分野が次第に構築されていくということは, どういうことなのか? 科学史を勉強するとか, 読書感想文のネタ(?)
- 12s3005:
- 図8.1 の計算には調整できるパラメーターが含まれていないので この実験値との一致は注目に値すると教科書にかいてあるが なぜ注目に値するのか. M: 12s3002 参照
- 12s3006:
- ハートリーフォック法のエラーが大きいのであれば ハートリーフォック法が用いられる場面があるのか. M: エラーが数パーセント (1 桁の前半の方) だなんて, 当初目的からすれば, 十分に小さいと思いますが(?) まあ, 目的にもよるからね.
- 12s3007:
- フントの法則では, 例えば
軌道なら
に 1 つずつ入っていくが これも波動関数で説明できるのか. M: 多電子原子の電子配置を, 電子の入っている原子オービタルの積で表現することは, もちろんやられています. 代表的なものがスレーター行列式.
- 12s3008:
-
が反対称である とは, どういうことですか? M: ``反対称'' とは,
に対する
のように全体に負号
がつくということ.
- 12s3009:
- HF-SCF 法や変分法などの様々な近似法を学んできたが, どのように使い分ければよいのか. M: 別に. まずは好きなものを使ってみれば良いのでは(?)
- 12s3010*:
- 電子の数が多くなっても, 1 電子近似の値は厳密解から遠ざからないか. M: 実際に遠ざかるかどうかは知らないが, 電子の数が多くなれば, 指数関数的に電子間相互作用項の数が増えてくるのは確かだ. 重原子 (質量数が大きい原子, すなわち原子番号が大きい原子) ではスピン軌道相互作用項が効いてくる, という話もある. § 8.1 参照, 問題 8.46 参照
- 12s3011:
- 式 (8.32) と (8.33) が共存とあり, そのときの説明で, 2 つの式で重みが違うとあったが, それはどういうことか. また重みが違うと 1 とするのは なぜか. M: ``重みが違う'' や, ``重みが違うと 1 となる'' と, どこにありましたか? // 規格化直交している波動関数
,
を用いて,
と書ける時,
における
の割合は?
- 12s3012:
- パウリの排他原理は定義されているのに 仮説6 の電子の波動関数はすべて任意の 2 電子の交換に対して反対称でなければならないのか. M: ``パウリの排他原理を定義する'' とは?
- 12s3013:
- ヘリウム原子の波動関数の線形結合が
と
の 2 通りあり, 実験事実として
が採用されると教科書に書いてあったが, どのような実験事実から二電子の交換に対して
だけで記述されるのか? M: 単独の, 一つの実験事実から, そのように言えるというわけではない. むしろ, 多電子系のあらゆる問題が, 反対称な波動関数を採用することによって, よく説明される.
- 12s3014:
- 表8.3 において, ハートリーフォック計算の値の方が実験値に近く正確であるが, 最初からハートリーフォック計算を行えばよいのか? M: 必要な計算精度と, 利用できるコストとの兼ね合いでしょう.
- 12s3015:
- イオン化エネルギーを表せるのであれば, 第 2 イオン化エネルギーも表すことができるのか. M: ``何がどうやって(?)'' の話か? // 自分で判断できないのは, なぜか?
- 12s3016:
- ハートリーフォックのつじつまの合う場, というのは, どのような場の状態なのか. M: 有効ポテンシャルを計算するために仮定した系の波動関数と, それを用いたフォック演算子から HF 方程式を解いて得られた波動関数とが一致する. ということを以前の講義でも説明したし教科書にも書いてあるのだが, 理解してもらえなくて残念.
- 12s3017:
- 対称分子は, IR 不活性ですが, どうして IR でピークがでないのですか? M: 遷移モーメント積分を考えて, これが (対称性により) 零であれば, その遷移は禁制.
- 12s3018+:
- Li についてスレーターの行列式を考えたが, Li 原子のある 1 つの電子の着目すると, 1s 軌道にも 2s 軌道にも存在するということになるのか. M: 状態の波動関数を, 複数の電子配置の重ね合わせで表す, という意味ではイエス.
- 12s3019:
- 表8.3 のアルゴンのイオン化エネルギーの実験値で, 2s だけ実験値がないが, 何か実験値を得られない理由があるのか? M: 私は知りません. 調べて分かったら, 教えてくださいネ. ところで, その値がないと, 何かの説明に支障があるのか? // ちなみに手元の資料では 31.48 MJ/mol
- 12s3020+:
- 2 電子系では空間部分とスピン部分へ分解できるが, 一般には分解できないことは重要である, とあるが どのような点から分解できないことが重要なのか. M: 分解できる・分解できないということにより, 何にどういう違いが生じるか, 参考書等で調べて勉強してはいかがか(?)
- 12s3021:
- 行列式で書くと便利なことで行・列の交換に関しては行列式の性質がありましたが, 対角での交換をした場合になにか行列式の性質はありますか? M: ``対角での交換'' とは, 何か?
- 12s3023:
- Li のスレーター行列式で, 2s 軌道のスピンオービタルを 2s
としましたが, これを 2s
とすることはできないのですか. できるとしたら, 波動関数に違いはでるのですか. M: 別に. // 自分で書いて比べてみればいいのでは?
- 12s3024:
- クープマンスの近似は どのように計算するのですか. M: イオン化ポテンシャルが HOMO の軌道エネルギー (の逆符号) に等しいとする近似.
HOMO // cf. 電子間反発のエネルギーがあるため, 系の全エネルギーはオービタルエネルギーの和に等しくならない. また, イオン化する前後で, 一電子波動関数は変化する.
- 12s3025:
- 反対称の波動関数を行列式にするととても便利だったのですが そもそも行列式はどうやって考え出されたのでしょうか. M: 数学の歴史(?) を調べればいいのでは(?)
- 12s3026:
- スレーター行列式はパウリの排他原理を全て満しているが, その逆が成り立つことはあるのでしょうか? M: 逆が成り立たないことがあるのかどうか, 数学的にちゃんとした行列式の定義をもとに, 自分で考えてみてはいかがでしょうか(?)
- 12s3027:
- p.315 のハートリー-フォック計算が近似式の中で一番実験値に近くなるものなのか? M:
-
類似論法に基づくと, HF より良い近似が存在する可能性を否定できない :-p
- 12s3030:
- 表8.3 のアルゴンの 2s 電子が取り除かれたときのイオン化エネルギーが記載されていないのだが, これはアルゴンの 2s 電子がネオンや他の希ガス原子と比べて何か異なった性質を持っているのか. M: 12s3019 参照
- 12s3031:
- Ne, Ar のイオン化について, 内部からのイオン化と最外殻からのイオン化によってできる陽イオンはそれぞれ電荷の強さに違いはあるのか. M: ``電荷の強さ'' とは, 何か? 示強性の物理量か?? 電荷や電荷密度とは異なるもののことか???
- 12s3032:
- 教科書 p.311 で, 「ヘリウム原子の基底状態の波動関数として
を採用しなければならないことは, 実験的に知られている」 とありますが, 一体どのような実験をしたのでしょうか. 見当もつかないので教えてください. M: 12s3013 参照
- 12s3033:
- Ne, Ar の内部からのイオン化で最外殻の電子を失ってイオン化するというイメージを持っていたのですが, 1s 軌道の電子を失ってイオン化することは現実的に存在するのか. M: イメージするのは勝手だが, 古典的イメージには限界があるということ. ボーアの振動数条件を考えよ.
- 12s3034:
- Ne と Ar のイオン化エネルギーについて HF 法ではよい近似となっているが, あまりよくないクープマンスの近似はどのようにして近似しているのか. M: 12s3024 参照
- 12s3035:
- 多電子原子で原子がイオン化した場合は新しい
eff から
を求め直さなければならないのでしょうか. M: HF 法でやっていることの意味をよく考えればいいのでは(?) またはクープマンスの近似 (12s3024 参照).
- 12s3036:
- ハミルトン演算子をフォック演算子にした意味は? M: どのようにして HF 方程式が導出されたのかを考えればよいのでは(?)
- 12s3037:
- スレーター行列式によって求めた波動関数は, すべての電子の状態を表しているのですか. M: N 電子系に対して N 次の行列式を用るので, 無視されている電子は存在しないと思うが(?)
- 12s3038:
- どのような実験をすれば, ヘリウム原子の波動関数
と
のうちの
が基底状態の波動関数であることがわかるのでしょうか. M: 12s3013 参照
- 12s3039:
- 図8.1 は第一イオン化エネルギーを表しているのであれば, 同様に第二イオン化エネルギーを表すことができるのか? M: 12s3015 参照
- 12s3040:
- Li
や H
では, 核の電荷が違うのに行列式波動関数が同じになるが, これは実験値と比較してどこまで正確か. // どんなに高いエネルギーを与えたり, 電子 存在する環境を変えても (強い磁場をかけるとか?) 電子のスピンは極わずかな時間も同じにはならないのか. M: 核の電荷の違いについては, ハミルトニアン中の核の電荷が一般的な表現で書かれていれば厳密に考慮されるので, これによるエラーが両者で異なるとは考えにくい. しかし核の質量が異なる効果は......
- 12s3041:
- p.316 図8.1 の実験値で N-O 間が下がることはクープマンスの近似による計算では予測できないのですか? M: その図は, いったい何をプロットしたものなのか?
- 12s3042:
- 図8.3 の 2s 電子が取除かれたアルゴンの実験値が与えられていないのはなぜか 1s 電子のほうが取除きづらいと思うのだが. M: 12s3019 参照
- 12s3043:
- 電子の振る舞いを見てきたが, 光子の場合は反対称波動関数ではなく, 対称な波動関数を用いるのか? M: 何がわからないのか?
- 12s3044:
- 仮説6 はどのような実験から確かめられるのか? M: 12s3013 参照
- 12s3045:
- 電子がどのオービタルにあるか指定すべきではないのは なぜですか. M: ``指定すべきでない'' とは, 何の話か?
- 12s3046:
- 2 電子系は空間部分とスピン部分へ分解できるが, 一般には分解できないのはなぜか. M: ``分解できる'' とは, どういう意味か? 具体的にどういう事か? 12s3020 も参照
- 12s3047:
- 完全な波動関数のスピン部分の自由度はなぜ 1 なのですか? M: スピンとは何か? なぜ導入する必要があったのか? 自由度が 1 以外のことはあるのか?
- 11s3001:
- ヘリウムの 2 つの電子は区別することはできないということですが, 2 つの同種原子内の電子は区別できているのはなぜでしょうか. M: ``区別できている'' とは, 何と何とが区別できているという話か? // 交換の前と後は, 別の状態か?
- 11s3009:
- 2 つの電子が同じスピンオービタルに入れることはできないということは パウリの排他原理と関係していますか? M: 講義で説明したのに, 伝わっていなくて残念
- 11s3014:
- [前文は本人の希望により省略] ミクロの世界だと不確定性原理など, 測定に問題がでるように, 私達の生活している空間もとても大きなものに比べれば測定しにくいものなのでしょうか? M: ミクロの世界で日常と異なるようなコトが起こるのは, 主に何が原因なのだろうか?
- 11s3015:
- 光を使った完璧な「光時計」を用いて, ある実験を行うと時間が遅れるという現象が生じますが, なぜ完璧であるはずの時計で時間が遅れるのですか? M: ``光時計'' とは, 何か? ``完璧な'' とは, どういう意味か?? // 相対性理論を勉強したのか?
- 11s3022:
- スレーター行列式は, フェルミ粒子からなっている多粒子系の波動関数を表わすときにしかつかえないのでしょうか? M: 他にどこに使おうというのか?
- 11s3025:
- フントの規則の同じ S をもつ状態では, 最大の L をもつ状態が最安定とありますが, なぜ L が大きい方が小さい方に比べて安定なのでしょうか. M: スピン軌道相互作用のハミルトニアンを考えてみればいいのでは(?) § 8.1 参照
- 11s3026:
- 図8.1 について, クープマンスの近似による計算値と実験値の差が, 原子番号が 46 から 48 の間だけ他の差と比べて大きくなっている. これはどう説明されるのか.
M: 原子番号 8-10 も, 計算値と実験値との差が大きそうに見えますが, その図は, どの程度正確なのか?
- 11s3027:
- なぜ, 電子の波動関数はすべて任意の 2 電子の交換に対して反対称でなければならないという仮説をたてたのですか. M: 12s3013 参照
- 11s3028:
- スピン量子数を導入する以前は, 完全な波動関数を考えられなかったと思うのですが, そういったときに化学的解釈はどう行われていたのか? M: 朝永振一郎の ``スピンはめぐる'' を読んでみてはいかがか.
- 11s3031:
- 0 次の波動関数とは どんな式になるのですか. M: いきなり何の話か?? ハミルトニアンは系によって異るし, それを摂動で考えるときの非摂動項の取かたにも任意性があるというのに......
- 11s3034:
- 前回の質問に対する返答で, 「くり返しのサイクル毎に, しだいに厳密解に近づくわけではない」 とありますが, ではなぜくり返すのかがわかりません. M: 限定詞を省略したり, 勝手に一般化したり, 論理に飛躍がありませんか?
- 11s3035:
- N 電子系の時, 規格化定数は
になると習いましたが, なぜ規格化定数は
になるのですか? M: 限定詞を省略しないで, N が少数の場合について, 自分で手を動かして計算して考えてみればいいのでは(?) あ, 行列式の復習も必要かも.
- 11s3039:
- ハートリーフォック法で計算を行うと誤差が大きくなってしまうからあまりよくない. 化学としては不十分だということはわかったが, それではどの近似が 1 番実験値に近いのですか? M: 全エネルギーとしては数パーセント程度のエラーで, よく一致している. 化学的精度 (数 kJ/mol) には達していないが, それでも半定量的議論には十分使える. HF を超えて電子相関を考慮する方法はいくつも考えられている (より高度な参考書を参照).
- 11s3044:
- 表8.3 のクープマンスの近似の値はどのように求めたのですか. M: 12s3024 参照
- 10s3021:
- p.316 の表8-3 でアルゴンの 2s のイオン化エネルギーの実験値がないのだが, それは実験値出せなかったのだろうか? M: 12s3019 参照
- 10s3039+:
- 仮説 6 の任意の 2 電子に励起状態の電子も含まれるのでしょうか. M: 自分で考えて, どこがわからなかったのか? // 仮説 6 に, 基底状態・励起状態の別や, 量子数に制限はあるか?
- 07s3042:
- 任意の 20 の粒子の交換に対して波動関数が対称となる粒子はあるのか? 更に, 両方の性質を同時に満たすような物質は存在しないのか? M: 意味不明. 論理をわかっていない予感. // すべての物質が A か 非A かのどちらか一方である時に, ``A かつ 非A'' というモノは存在するのか?
Ryo MIYAMOTO, 2014-01-09