構造物理化学II (20131204) M: 以下は宮本のコメント
12s3001: 
He について, 電子配置は 1s$ ^{2}$ なのに, 2 つの電子が同じ軌道上にあるとは限らないのは なぜか? M: その電子配置自体が, 原子オービタルの概念を維持するという仮定の上に建っている.

12s3002: 
1 電子関数でオービタルの積の形の $ \psi(r_1,r_2) = \phi(r_1)\phi(r_2)$ (8.11) で柔軟な試行関数を用いて, $ \phi(r)$ を完全に一般的にした場合, なぜ実実上[原文ママ]も理論上も一つの限界に達するのか. M: 教科書の続く文章を読んだのか? 実測の値 (真の値) に到達する前で, 限界に達している事実が述べられているでしょ. 次のパラグラフには, 試行関数を 1 電子オービタルの積に限らなければ改良が進むことを述べ, 理論上の限界が突破され得ることが示されている.

12s3003: 
摂動論と変分法のいずれもがヘリウム原子について非常によい結果を与えるのはなぜか. M: それぞれの近似法の原理を考えれば, 摂動論で逐次補正項をたくさんとったり変分法で変分パラメータをたくさんとれば近似の精度が向上することに納得できるのでは? 何が不満なのか??

12s3005: 
教科書 表8.2 でヘリウム原子の基底状態エネルギーがのっているが実験値とはどのように得たものなのか. M: 教科書 p.303 に ``イオン化エネルギ−の実験値は〜'' との記述がある. あなたはこの件について, どの程度熱心に調べたのでしょうか?

12s3006: 
2 電子系では空間部分とスピン部分に分解できるが, 一般にはできないのは なぜか. M: 自分の手を動かして, 式をいじってみれば分かるのでは(?)

12s3007: 
電子間反発の項が原因でシュレーデインガー方程式がとけなかったのに, 摂動法ではこの項をそのまま使えるのはなぜか. M: 質問の意味がわからない. 全く異なる計算をしているのだから, 使えても良いのでは(?) 何が不満なのでしょうか?

12s3008: 
摂動論の二次の補正の $ i$ は どのような値を使うのですか? M: 状態を区別する番号で, たいていは量子数がそれに相当する.

12s3010: 
ハートリーフォック法は変分法よりも良い近似であるということですが, それよりも良い近似はありますか. M: HF 法も, 変分の要素を含んでいる. // p.306 や p.317 には, HF 法で得られたオービタルを 0 次の波動関数として, 摂動論により相関エネルギーを計算する方法があることを紹介している. 他にも 配置間相互作用 (CI) を考慮する方法等々. 詳細は高度な参考書を参照.

12s3011: 
ハミルトン演算子を $ \displaystyle \hat{\cal{H}} = \hat{\cal{H}}^{(0)} + \hat{\cal{H}}^{(1)}$ とし $ \displaystyle \hat{\cal{H}}^{(1)}$ の影響が小さいとあるが なぜ小さいと仮定できるのか. M: そもそも ``摂動'' という言葉の意味を理解しているのだろうか?

12s3012: 
摂動論と変分法で有意差が出る原子があるのか. M: 何の有意差の話か? そもそも意味不明だし.

12s3013: 
ヘリウム以外の原子のエネルギーを摂動論を使って出す場合電子間反発項以外の摂動はでてくるのか. M: 意味不明. そもそもどんな項があるのか. また, 何を非摂動項とするかは一意に決まるのか.

12s3014: 
試行関数 $ \psi(r_1,r_2,r_{12})$ をより厳密解に近づけるにはどうすればよいのか. M: 教科書 p.305 にあるとおり, ピケリスの論文を見ればいいのでは?

12s3015: 
スレーターオービタルを用いるのなら, なぜ変分計算をしたのか. M: スレーターオービタルは, 正解 (真の関数) なのか?

12s3016: 
He 原子の基底状態ではなく, 励起状態で考える場合には, 試行関数は変わるのか. そもそも He の励起状態を考えることはできないのか. M: p.277 の ``もっとよい値を得る方法'' の本質を理解して応用すればいいのでは(?)

12s3018: 
He 原子について専用の試行関数が得られているとあったが, 他の原子についても専用の試行関数を得ることは可能ではないのか. M: そりゃ可能でしょうね. では, 既知のものだけに限っても数十万種の分子について (日々増加している), いちいち専用の試行関数を考えるのは, 意味のあることでしょうか?

12s3019: 
(8.16) 式は He 専用であると聞いたが, その他の原子にも, その原子専用の (8.16) 式のようなものはあるのか. M: 私は知りません. 12s3018 参照

12s3020: 
変分計算の結果が満足できるものではないとき, 結果の改良をするための方法として より一般的な試行関数を用いること, とあるが この他に方法はないのか. M: 変分法は, どういう原理で近似波動関数を得ているのか? 一般的な試行関数を用いることの, 何が不満なのか?

12s3021: 
摂動法と変分法 いずれもヘリウム原子ではよい結果が得られたようだが, ヘリウムより原子番号が大きいものでは良い結果にならないのはなぜか. M: 系が複雑になれば, 高次の摂動項まで計算することは困難だろうし, あるいは適切な試行関数を選ぶことも難しくなるだろうと.

12s3022: 
摂動法において分割のしかたがちがうものは, $ \displaystyle E^{(1)}$ までしかしなかった場合においは[原文ママ], 〓たような式になるものの, ちがう式になってしまうのですか. [〓は判読不能] M: 摂動法は既知の答えに補正項を加えるやりかたなので, 出発点が異なると既知の答えが違うので, 補正項の形も異なっておかしくないと思うのだが. そうではありませんか?

12s3023: 
式 (8.16) は He 専用ですが, 他の原子にも専用の試行関数は存在するのですか. M: 12s3019 参照

12s3024: 
物理定数の値が実験技術の進歩によって更新されるとは どういうことですか? M: 光速度の測定の歴史など, 科学史を勉強してはいかがか(?) // 読書感想文のネタでしょ :-)

12s3025: 
試行関数 $ \displaystyle \psi({\bm r}_1,{\bm r}_2,{\bm r}_{12}) = \e^{-Zr_1} \e^{-Zr_2} (1 + c r_{12})$ は物理的意味が分からないのに どうやって考え出したのでしょうか. M: 考えた人に聞けばいいのでは? // $ r_{12}$ を含んだ形にしたかったのでしょうネ

12s3026: 
振動論[原文ママ]は天体の軌道計算にも用いられていると聞いたことがあるが, 他には具体的にどのような時に有用なのか? M: 別に. 近似計算にいつでも好きに使えばいいのでは(?)

12s3027: 
原子分子の計算をする際に今までの通り, ある程度数値で出していたのを原子単位系に簡略化して計算の答として出してしまってもいいのでしょうか. M: 単位が変わっても物理量は変わらないのだから, 別にいいのでは? 必要なら換算すればいいだけでしょ.

12s3028: 
よりよい試行関数を得るためにスレーターオービタルを用いるのは なぜか. M: 何に比べて ``よりよい'' ということなのか?

12s3030: 
原子単位の利用によって得られたエネルギーが電子の質量やプランク定数などの物理定数の値に依存しないのは なぜか. M: もしも物理定数の値が変わったら, J 単位と $ E_h$ 単位のエネルギーがそれぞれどう変わるか, 考えてみればいいのでは(?) // あなたの見立てでは, 原子単位で得られたエネルギーの値は, 物理定数の値の更新に依存するのですか? なぜ??

12s3031: 
教 p.306 に ここで添字の eff は $ \displaystyle V_1^$eff$ (r_1)$ が実効的で平均的なポテンシャルであることを表している, とあるが ここでの実効的であるとはどういうことなのか. また実効的であることによる利点はなにか. M: 言葉の意味が分からなければ, 辞書を見ればいいのでは? // 原語は ``有効'' 核電荷と同じ effective ですね.

12s3032: 
重水素などの同位体のエネルギーも摂動法や変分法で近似できますか. できるとすれば, どのように考えればよいのですか. M: 軽水素と重水素の Schrödinger 方程式は, どこが違いますか?

12s3033: 
式 (8.16) において He 専用で, 物理的意味がよくわからないと言っていましたが, どのようにして 式 (8.16) の試行関数が出てきたのか? M: 12s3025 参照

12s3034: 
ヘリウム原子の基底状態エネルギーを近似するとき, 2 次や, 13 次の摂動法を用いた場合よりもハートリーフォック法を用いた場合の方があまりよい近似とは言えないと思うが, これは He 原子の場合のみで, 他の原子についてハートリーフォック法を用いるとよい近似は得られるのか. M: He 以外の多電子原子で, 高次の摂動法によりどのような基底状態エネルギーが得られるのか, 私は知りません. 調べてわかったら, HF 法の結果と比較して教えてくださいネ.

12s3035: 
エネルギーを求めるだけならば理論値でなく最初から実験値を用いれば良いのでは? M: そうですね. // 原子や分子について理解するという別の重要な意味・意義があるということでしょう. 答さえ知ればいいという発想とは次元が違います.

12s3036: 
ヘリウムに摂動論と変分法を用いることによって どのような違いがでるのですか? M: 同じことを目的としているに, 違いが出なければいけないのですか?

12s3037: 
ヘリウム原子の基底状態のエネルギーの近似において, 1078 コものパラメーターを使ったピケリスより, 10 コしかパラメーターを使っていないハイレラスの近似値が実験値に近くなっているのはなぜですか. M: その評価は誤り. 変分原理を思い出せ. 表の注釈 a) にも注意.

12s3038: 
スレーターオービタルの動径部分はなぜ水素原子のオービタルと違って節をもたないのか. M: 単に, そういう関数を選んだから. // スレーターに聞けばいいのでは :-p

12s3039: 
「物理定数の値は実験技術の進歩によって更新されるが, 原子単位を使って計算したエネルギーはこうした更新に影響されない」 なぜ? M: 12s3030 参照

12s3042: 
なぜ物理的意味を持たないのに $ \displaystyle \psi(r_1,r_2,r_{12}) = \e^{-Zr_1} \e^{-Zr_2} (1 + c r_{12})$ のような試行関数を使うことにしたのか. M: ``物理的意味を持たない'' と 誰が言ったのか? 12s3025 参照

12s3043: 
スレーターオービタルとは どのような形なのか, 動径部分に水素と違って節がないとは. M: 自分でプロットして作図すればいいのでは(?)

12s3044: 
近似的に解を得ることでそれを何に応用することができるのでしょうか? M: 物質に関する好きなことに何でも応用できる. あなたが新しい応用方法を考えてもいいですね. たとえ近似解であっても, そもそも解が得られていなければ, 応用したくてもできない.

12s3045: 
摂動論について, 問題分割というものがありましたが, 分割する際の限界は何ですか. M: 意味不明. ある数を二つに分ける時に考慮すべき限界とは 何か?

12s3047: 
真空誘電率やボーア半径の原子単位に含まれる $ 4 \pi$ は何を意味しているのですか? M: クーロンの法則などの意味をよく考えてみればいいのでは(?)

11s3009: 
例7.6 でエネルギーに 1 次の補正をしたが, 補正がより高次になるほど値の変化に影響はあるのですか? M: 意味不明. ``値の変化'' とは, 何のことか?

11s3015: 
「原子線を不均一磁場に通すと複数に別れて進む」という Stern-Gerlach の実験において「中性の原子は電荷は 0 で, 軌道運動による磁気モーメントは生じない」と記述されているものを見ました. ここで, 例として水素原子を考えたとき原子としての電荷は 0 ですがクーロンの法則から電子の軌道運動だけによる磁気モーメント $ \mu_$e と陽子による磁気モーメント $ \mu_$p の比を求めると約 1000 倍 $ \mu_$e のほうが大きくなりますが これは Stern-Gerlach の実験の説明とは矛盾しませんか? M: いろいろと問題のありそうな記述と, 誤解して混乱した状況とが交錯している予感. // 「中性の〜」の文の ``軌道運動'' は, 何を意味しているか? 磁気モーメントと ``クーロンの法則'' とが, 何の関係があるのか? 水素原子の電子の磁気モーメントにより原子線が二本に分裂するのは, その通りで正しく何の矛盾もないが, それがどうかしたのか?

11s3022: 
原子の基底状態のエネルギーについての変分計算の結果は, より多くのパラメーターを含む試行関数を用いると, より良い結果がえられるとかかれているが, パラメーターの数に限界はあるのでしょうか? M: なぜ, 数に限界がありそうだと考えたのか?

11s3025: 
加色法, 減色法についてなのですが, なぜ光が加色法であり, 色が減色法なのですか. M: 目に入る光のスペクトルを考えればよいのでは(?)

11s3026: 
近似的方法で近似値を求めるとき, 試行関数を用いるが, この試行関数はどのようにして求めているのか. M: p.264, p.266, p.304 などの記述をよく読めばわかるのでは(?)

11s3027: 
二次の補正の式に, $ \sum'$ という, シグマにダッシュがついている文字が出てきて, この場合では E については足し合わさないという意味ですが, なぜダッシュを使ったのですか. M: 誤解の予感. シグマは通常通りに総和の記号なので, 足し合わせる. ただし, 分母がゼロになる項は例外的に除く. 例外があるので普通の総和とは少し違うということで, ダッシュを付けて示した.

11s3028: 
摂動項が小さくなるように問題を解く上で, 類似性のある系を選ぶことになるが, 系を選ぶときのポイントはどんなものがあるのか? M: 既知の解けている系という以外の要請はないと思うのだが. 非摂動項・摂動項の選び方に唯一の解があるとでも考えているのだろうか(?)

11s3031: 
摂動論でエネルギー E を求める時, 教科書では, 一次の摂動論によるエネルギーを求めていますが, 逐次補正は急速に小さくなっていくということは, 二次, 三次… の摂動論まで求めても あまり意味はないのですか. M: あなたは何をやりたいのですか? 意味のあるなしは, あなたが判断することで, もしもあなたがそこを議論したいのならば, たとえ小さな値でも意味があるでしょ.

11s3034: 
摂動というのは厳密解へと数値を近づけるための補正という認識で大丈夫でしょうか. M: 言葉の意味が分からなければ, 辞書を見ればいいのでは(?) // 摂動法による解については, (7.45), (7.46) 式を参照

11s3035: 
p.305 で, $ \displaystyle \psi({\bm r}_1,{\bm r}_2,{\bm r}_{12}) = \e^{-Zr_1} \e^{-Zr_2} (1 + c r_{12})$ という試行関数があり, 授業で, これは中性のヘリウム専用の試行関数で物理的意味にも問題がある, と習いましたが, これよりも良い試行関数は存在するのですか? M: その後で紹介した 表8.2 から, 何が言えるか?

11s3039: 
より高次の摂動論で計算していくと実験値の誤差が小さくなっていきますが, 実験値に完全に一致することはありますか? また, 高次の計算によって逆に誤差が大きくなってしまうことはありえますか? M: 可能性はゼロではない. 偶然の一致とか, 実験値の測定誤差とか不確かさとか, 微小な相互作用項を無視していたためとか, 相対論的効果とか, いろいろと理由はあるでしょうね.

11s3044: 
(8.16) 式は物理的意味がわからないのなら, この式は物理的に意味があるのですか. M: 波動関数の意味自体は, 第三章で勉強したはずだが(?)

10s3021: 
例題7.6 で $ \displaystyle E^{(1)}$ $ \displaystyle \frac{V_0}{2}$ と n にも x にも依存しない値だったが, 箱が傾いていても x のどこをとっても同じエネルギーということなのか? やはり, 2 次以上に x をつかった $ \displaystyle E^{(n)}$ があるということだろうか? M: ある状態にある粒子のエネルギーが位置 x に依存して変化するとは どういう意味か? エネルギー保存則が破れている??

10s3026: 
He における相対論的補正は具体的にはどういう物理的な意味を持つのか? // 相対論的補正を含めて近似計算を行うことはできるのか? M: どんな系に対しても, 相対論的補正のもつ意味はいっしょでしょ. // 出来ないと考える理由が何かあるのか?

10s3039: 
水素原子のシュレディンガー方程式を重水素やトリチウムで考えると どのようになりますか. M: 同位体は, 何が違うのか?

07s3042: 
ヘリウムの式のような特殊な場合のみ使える近似的方法は他にもあるのか. M: 特殊でも何でもない普通の変分法だが(?) // 12s3019 参照



Ryo MIYAMOTO, 2013-12-19