構造物理化学II (20131023) M: 以下は宮本のコメント

M: 今回はボーアモデルに関係した質問, エネルギーと電子密度が最大の r がボーア半径であること, が多かった. スペクトルを説明するのに成功を納めた理論だが, 今では誤っていることが明らかである. 厳密解も既知なので, 今さらボーア理論がなぜ正しいエネルギーを与えるかを考えても, 得るものはないと思われるのだが. ボーアモデルの価値は, 正しいエネルギーや軌道半径を与えることにあるのではない.

12s3001: 
球殻上の電子密度について, 1s が最大のときの r と 2s の節のときの r は等しいように図から読みとったが, 仮にそうなら, なぜ 2s はボーア半径のときに電子密度が節となるのか. M: 正確な図を自分で作図してみてください.

12s3002: 
水素原子オービタルの動径部分を解くとそのエネルギーが水素原子のボーアモデルから得られる $  E_n$ と一致するが, 電子はボーア軌道上に束縛されないことがわかった. もし電子がボーア軌道上に存在すると完全にボーアモデルと一致するのか. M: 角運動量の差違については, 講義で説明済み. その他にも, 化学の基本事項で, ボーアモデルで説明できないものはたくさんある. 自分で考えてみてはいかがか. 12s3013 も参照

12s3003: 
$  \int_0^\infty [R_$1s$ (r)]^2 r^2$   d$ r = \frac{4}{a_0^3} \int_0^\infty r^2 e^{-2 r / a_0}$   d$ r = 1$ 上の式から, なぜ電子が $ r$ $ r +$   d$ r$ の間にいる確率が $  [R_$1s$ (r)]^2 r^2$   d$ r$ になることがわかるのか. M: 積分の意味は 被積分関数$ \times$   d$ r$ の和なのだから, 明らかでしょ(?)

12s3004: 
$  R_{nl}(r)$ が規格化されているのは どうしてなのか? M: 別に. そういう風に作ったから.

12s3005: 
ゼーマン効果は式で表すことができるのか? M: 章末問題 6.43, 6.44, 6.45, 6.46 の文章を読んだのだろうか(?)

12s3006: 
ボーア模型の理論には間違いがあるのに, 何故得られた $  E_n$ と一致するのか. M: 不思議ですね. 本質をとらえていたから(?) 12s3013 も参照

12s3007: 
スピン量子数については どういった計算で求められたものなのか. M: §8.4 参照

12s3008: 
ラゲールの陪多項式は何を意味しているのですか. M: シニフィアンとシニフィエとの関係に必然性はない :-p

12s3009: 
なぜ節がある方が電子密度が大きくなるのか (1s と 2s, 2s と 2p の比較). M: 何を言っているのか, わからない.

12s3010: 
水素原子波動関数の球殻上の電子密度において主量子数が増えると, 節はどこまでも増えるのですか. M: 例えば s オービタルの節が生じるのは, なぜか?

12s3011: 
角運動量 $  \hat{L}_z$ とハミルトニアン $  \hat{H}$ は交換できますか. M: 自分で計算してみればいいのでは (?)

12s3012: 
量子数が増えると角度方向に節が増え, 2s, 2p になると p は角度方向に表れないが, d, f もそうなのか. M: 意味不明. ``2s, 2p になると p は角度方向に表れない'' とは, 何の事か??

12s3013+: 
ボーアモデルではエネルギーが変化すると円軌道上を遷移するが, ボーアモデルが正しくないとわかり, 円軌道がないとわかった今, エネルギーが変化するとどうなるのか. M: ``ボーアモデル'' は, 複数の事柄 (仮定, 結論) を含んでいる. その中で, 円軌道は否定されたが, 否定されずに生き残っている重要な概念もある.

12s3014: 
量子数 l は方位量子数と角運動量量子数の両方を示しているのか. また, その 2 つは別々のものか. M: 講義で説明したのに, 伝わらなくて残念. 教科書 p.226 参照

12s3015: 
ボーア模型となぜ違う型なのか. M: 意味不明. ``違う型'' とは, 何の事か?

12s3016: 
球殻上の電子密度を考えたときに, 最大の点がボーア半径と同じになるのはなぜか. 2 つの考え方には, 何が共通しているのか. M: 10s3021 参照 // 自分で共通点を考えてみればいいのでは(?)

12s3017: 
液体の動径分布関数を測定するにはどうすればよいか. M: ``液体の動径分布関数'' とは何か? // EXAFS のことか(?)

12s3018: 
n, l の値によって変化する動径関数 $  R_{nl}(r)$ の形は 軌道の形と関係があるのか. M: 水素原子の波動関数を構成している因子のひとつが, そのオービタル (波動関数) の形と無関係でいられるだろうか??

12s3019: 
水素原子のオービタルの角度部分と動径部分の解はどのように関わってくるのか. M: (6.49) 式. 講義で何度も板書してるのだが...(;_;)

12s3020: 
磁場があるときは準位が分裂するとあるが, なぜ磁場が存在するとエネルギー準位は分裂するのか. M: 12s3005 参照

12s3021: 
(6.47) の式で関数の前の階乗が $  R_{nl}(r)$ が規格化されていることを保証する因子であるのは どうしてか? M: 規格化定数であることは, 計算してみればわかるのでは? 12s3004 も参照

12s3022: 
2s 軌道では, 内側の球体の方が電子密度が小さくなるのはなぜか. M: 波動関数はわかったのだから, 自分で計算してみれば(?)

12s3023: 
電子密度が最大となる部分が $  a_0$ となりますが, 例えば n=2, l=0 のグラフの節の前にあるグラフの最大値は, $  a_0$ と何の関係もないのですか. M: 宿題をやってみればわかるのでは(?)

12s3025: 
$  R_{nl}(r)$ のグラフの形の違いは, 実際にどんな違いになっているのでしょうか. M: 波動関数が表す実体の違い.

12s3026: 
n と l が増加していくと, 角度方向と動径方向の 2 つで節が増えていくのですか? M: 波動関数はわかったのだから, 自分で考えてみればいいのではないでしょうか(?)

12s3027: 
p 軌道のエネルギーは違いがあるのでしょうか. M: 何と何との違いの話か?

12s3028: 
電子の存在がボーア模型とは異なる結果になるのはなぜか. M: 電子は波だから, 古典的な軌跡を持つような運動はしない.

12s3030: 
主量子数が増加すると, 図 6.3 の縦軸の最大値が小さくなるのはなぜか. M: 変わらないものはあるか? 面積はどうか?

12s3031: 
教 p.227 の図 6.3 の水素原子波動関数の動径部分に付随する確率密度 $  r^2 [R_$1s$ (r)]^2$ について 2s と 3s, 2p と 3p のグラフそれぞれ r が同じ付近に節がありますが, 存在しない位置が似ているということは電子は同じ軌道であるとき似たような運動をしているということなのでしょうか. M: 意味不明. ``電子は同じ軌道であるとき似たような運動をしている'' とは, どういう事か? // 電子は古典的な意味での運動はしていない.

12s3032: 
水素原子は 2s や 2p には電子を持ちえないのに, 2s や 2p の電子密度をグラフに書けているのは 何故ですか. M: 誤解しているから. // ``2s や 2p には電子を持ちえない'' のは, なぜか?

12s3033: 
2s 軌道は動径部分に 1 つ節があり, 2p 軌道は角度部分に 1 つ節がありますが, そのためエネルギーが同じくらいになるのか. M: ``エネルギーが同じくらい'' ではない.

12s3034: 
ボーアモデルはまちがっているがエネルギー $ E_n$ が一致したのはなぜか. M: 12s3006 参照

12s3035: 
電子のエネルギーが $  E_n = \frac{e^2}{8 \pi \varepsilon_0 a_0 h^2}$[原文ママ] で与えられるならば, なぜ磁気量子数が含まれていないのか. M: 意味不明

12s3036: 
球核上[原文ママ] の電子密度で 1s の最大のポイントで $  a_0$ になると言いましたが, それはどのように求められるのですか? M: 宿題です. // 関数の最大値は, どうやって求めるか?

12s3037: 
s オービタルが球対称となるのは なぜですか. M: l=0 の時の $  Y_l^m$ を見れば自明では(?)

12s3038: 
$  \psi_{nlm}(r, \theta, \phi) = R_{nl}(r) Y_l^m(\theta, \phi)$ では 主, 方位, 磁気量子数が求められましたが, この式からスピン量子数は求められるのでしょうか. M: 完全に分かった厳密解である $  \psi_{nlm}(r, \theta, \phi)$ の, どこにスピン量子数が入る余地があるのでしょうか? 12s3007 参照

12s3039: 
ボーアモデルとなぜ違う型となるのか. M: 12s3015 参照

12s3040: 
$  a_0$ は電子密度が最大と位置にあるというだけで, 平均の位置になったりはしないのですか. // また, ラゲールの陪多項式は $  L_\alpha^\beta(\rho) = \frac{\text{d}^\beta}{\text{d}\rho^\beta} L_\alpha(\rho)$ $  L_{n+l}^{2 l + 1}\left(\frac{2Zr}{na_0}\right)$ は同じなんですか. M: 平均の位置を求めてみればいいのでは(?) // 11s3035 参照

12s3041: 
教科書 (6.47) 式で $  e^{-r/n a_0}$ のところを板書では $  e^{-Zr/n a_0}$ と書かれていたのですが, $ -r$$ -Zr$ は同一と見ていいのですか? M: 水素原子だけでなく類似原子まで含めて記述するために $ Z$ を核の電荷として導入したのですが, 説明が伝わっていなくて残念.

12s3042: 
水素原子に対して計算するとボーアの理論が一致したのは なぜか. M: 何の話か? // 12s3006 も参照

12s3043: 
ボーアモデルがここまで量子力学に入ってくるほどに優れた偶然というのは どうなんだろうか. M: どうなんだろうかとは, 結局, 質問は何か?

12s3044: 
ラゲールの陪多項式を教科書 表6.4 では, x を用いて表されていますが, この x は直交座標の x を表わすものなのか. M: 式 (6.22) のルジャンドル方程式で用いられている x について学んだことは, ここでは無関係なのか.

12s3045: 
式 (6.45) で得られたエネルギーが水素原子のボーア模型から得られたエネルギーと一致することから, どのようなことがわかるのか. M: あなたは何を見出しましたか?

12s3046: 
$  E_n$ の値がボーアモデルから得られる一致するのに なぜ, 角運動量の値は一致しないのか. M: ボーアモデルは量子力学的には誤りなのだから, 何が起こっても不思議は無いのでは(?) 12s3002 参照

12s3047: 
波動関数は 3 つの量子数 n, l, m に依存するといいましたが, スピン量子数 S は考慮されないのでしょうか? また考慮しないならなぜ考慮しないのでしょうか? M: 問題は ``いつどこで考慮するか'' 12s3007 参照

11s3001: 
ラゲールの陪多項式は現存するすべての原子において実験的数値と正しいことが確認されていますか? M: ``実験的数値'' とは, 何のことか? 第 8 章 p.304 参照

11s3005: 
図 6.3 のプロットから分かる重要な点は動径関数の節が $ n-l-1$ に等しくなることである. とあるが $ n-l-1$ に等しくなることが なぜ重要なのか. M: 参照先として §2.4 が記されているが, 読んだか? 節の数が量子数と関連づけられるのは, 重要だと思いませんか?

11s3009: 
動径関数の規格化 ( $  R_{nl}(r)$) のとき 体積素片の r 部分のみに依存するのは なぜですか? M: 積分変数は何か?

11s3014: 
電子密度のグラフでエネルギーの高い軌道ほど節が多くなることについて質問です. 2s 軌道と 2p 軌道については球形とアレイ型なので図的に納得できたのですが, 1s と 2s 軌道の場合, どこに節が出来たのかわかりませんでした. 節はどの部分なのでしょうか. M: 1s に節は無い. 2s の節は動径方向にある. すなわちある r の値 (自分で計算してみよう, 宿題に関連あり) をもつ点が節になる. あるいは 図 6.5, 6.6 参照

11s3015: 
放射性核種の物質の原子核が壊変しやすく, α線, β線, γ線その他に中性子線, X 線などを放出されるわけですが, 中性子線や X 線が放出される場合は何か特定の名称で呼ばれているのでしょうか? M: 何を調べて分からなかったのでしょうか?

11s3022: 
$  R_{nl}(r)$ が規格化されていることを示す, $  \int_0^\infty R^*(r)R(r) r^2$   d$ r = 1$ の式は, なぜ 0〜∞ の範囲で規格化されるのですか? M: 規格化とは何か? // r の変域について講義で説明したのだが, 伝わっていなくて残念.

11s3025: 
刃物にダイヤモンドをコーティングしたものが売られているらしいのですが, ダイヤモンドをコーティングすると切れ味ってよくなるんですか? ただ単に頑丈でサビにくい刃物ってだけでしょうか. M: 切れ味はわかりませんが, 研ぐことはムズカシそうですね. 刃の部分にはコーティングが無くてもいいのかな.

11s3026: 
ラゲールの陪多項式は, シュレディンガー方程式の動径方向の解を求めるとき以外で どのような場合用いられるか. M: 私は知りません, 調べて分かったら教えてくださいネ

11s3028: 
動径関数 $  R_{nl}(r)$ の概略の形を書いたときに, 指数関数が 0 に収束する方が, 直線が無限大に発散するよりも強いとおっしゃっていたのですが, なぜか? M: ロピタルの定理

11s3031: 
s オービタルが球対称であることは, 水素原子の波動関数を求めることでわかりますか. M: 既に求めて得られた結果が, 教科書に書いてあるが(?)

11s3034: 
今回の期末についてですが, 昨年と同様にレポートですか? それともまだ決めてないですか? できればレポートだとうれしいです. M: 何点狙いの質問ですか?

11s3035: 
授業で, ラゲールの陪多項式が $  L_\alpha^\beta(\rho) = \frac{\text{d}^\beta}{\text{d}\rho^\beta} L_\alpha(\rho)$ と習いましたが, 教科書 p.224 では $  L_{n+l}^{2 l + 1}(2r/na_0)$ と書かれています. 授業で習ったラゲールの陪多項式を, どう処理すると教科書に書いてあるラゲールの陪多項式になるのですか? M: 対応する文字 (変数) を置き換えることが出来ないのですか?

11s3039: 
$  R_{nl}(r)$ が規格化されるとき, 体積素片 $  r^2 \sin\theta$   d$ r$   d$ \theta$   d$ \phi$ $  r^2$   d$ r$ のみが式に反映されているので, $ \sin\theta$   d$ \theta$   d$ \phi$ は考えなくていいのではないですか? M: なにを聞きたいのか?

11s3044: 
ボーアモデルは誤っているのに, なぜボーア半役[原文ママ]が式に使われるのか. M: 基礎物理定数と関係づけられ, かつ原子の大きさの尺度として適切だったから, かなぁ.

10s3021*: 
1s オービタルの電子密度が最大の位置が $  a_0$ なのは, ボーアモデルでは, 電子が最もありうる位置にあると仮定したことになるのだろうか. M: そうかもしれないが, それでもまだ円と球殻の違いがあるし, 1s 軌道の電子は角運動量を持たないという問題もある.

10s3026: 
動径方程式から求まるエネルギーがボーアモデルから得られるエネルギーが一致したのは なぜなのか. M: 12s3006 参照

10s3028: 
単原子分子は, 3 つの動きからなる運動をしていますが, 多原子分子 (特に 3 つ以上) ではその動きを予想する公式などはありますか. M: ``3 つの動きからなる運動'' とは何か? 多原子分子の ``運動'' の数は?

10s3039: 
1s 軌道の電子密度が最大のとき r がボーア半径になるのは なぜですか. M: 10s3021 参照

10s3044: 
水素原子の波動関数の動径部分に付随する確率密度の図は なぜこうなるか? M: 質問の意図が不明. $  R_{nl}(r)$ が分かったのだから, 自分でプロットしてみればいいのでは(?)



Ryo MIYAMOTO, 2013-10-28