化学の基礎II(G) (20131022) M: 以下は宮本のコメント
13s3001: 
系と外界での出入りする要素が 3 つあり, その内 2 つの組合せは講義中に名前が挙げられていましたが, 他の組合せすべてにも○○系といった名前はあるのですか. M: 自分で調べてみればいいのでは? // 名称を付けて区別する意味はあるか? 物質の出入りがあるのにエネルギーの出入りが無いような場合はあるだろうか? それって意味があるか?

13s3002: 
完全な理想気体は作れる? M: 不完全な理想気体とは? // ``作る'' と言うからには, 実在の理想気体??

13s3003: 
閉じた系内に理想気体が 1 mol あるとして, このとき状態方程式は $ PV = RT$ となる. 一方実在気体が閉じた系内に 1 mol あるときファンデルワールスの状態方程式から $ \displaystyle (P + \frac{a}{V^2})(V - b) = RT$ となる. この 2 式からでは $ \displaystyle PV = (P + \frac{a}{V^2})(V - b)$ となってしまって理想気体と実在気体で差がないように思えてしまうが, この等式が成り立たないのはどうしてか. M: そもそも二つの状態方程式がそれぞれ何を表しているのか, 式の意味を考えれば, ``等しいと置けない'' ことは自明では(?)

13s3004: 
孤立系での内部エネルギーは変化しないが, 分子の並進運動で消費したエネルギーは衝突によって補われるのですか. また, 真空を熱するとどうなりますか. M: ``分子の並進運動で消費'' というところが誤解. 静止していた分子が動き出したならば, もちろん他の分子の衝突によってエネルギーを得たのだが. 力学を復習することをお勧めする. // 二つの系の温度の同一性を, 熱平衡によって定義するのならば, 真空はどう扱ったら良いだろうか. 黒体輻射と言ってみるテスト :-)

13s3005: 
孤立系をつくることは可能ですか? M: もちろん, 全宇宙はひとつの孤立系を成す :-)

13s3006: 
分子の運動には向きがあるので温度はベクトル量ではないですか. それともただのパラメータだからスカラー量なのですか. また, 熱は波ですか. M: ベクトル量のパラメータというものもありうる. しかし温度は ``内部エネルギーに比例するもの'' であり, 比例定数もスカラー量なので, スカラー量. // 今のところ, 熱は (仕事以外の) エネルギーという意味. エネルギーの形態には, どんなものがあるか?

13s3007: 
エネルギーと仕事は同じ単位 [J] なのに区別できるのはどうしてでしょうか. // 熱はどうやって伝わるんですか. M: 仕事は力が作用している感があるのでは(?) 区別しにくい例もあるでしょうが. // ``伝導, 対流, 放射'' の 3 つと習いませんか(?)

13s3008: 
断熱系ではなぜ熱の移動がないのですか? M: 論理が逆. 熱の移動がない系を断熱系と呼ぶ.

13s3009: 
温度の定義 $ \displaystyle \frac{3}{2}kT$ $ \displaystyle \frac{3}{2}$ はどこから出てきましたか? M: 今回は説明無し. 単なる比例定数なので, 後の都合のため. // ちゃんと導出するには, 並進の分配関数を考える. マッカーリ& サイモン や アトキンス などを参照.

13s3010: 
気体分子の速さの 2 乗の平均値は実験などで求める事は可能なのですか? M: 個別の分子全ての速度をラプラスの悪魔に聞かなくても :-p (2.18) と (2.21) を組み合わせれば...

13s3011: 
絶対温度を 0 K まで下げると, すべての気体分子の運動が停止し, 実際はヘリウムを除く物質は 0 K まで下がる前に固体になるとあるが, なぜヘリウムだけ大気圧下では絶対零度でも液体なのですか. M: その言い方は厳密ではない. // アトキンスの教科書には ``原子が軽いので, 極低温でも振幅の大きな振動を行なっており, 固体ができたとしても自分から壊れてしまう'' と書いてある. でもそれでは ``0 K で気体分子の運動が停止'' に反すると思われるかもしれないが, 停止しない理由があると言っておく (理由は教科書に記載あり).

13s3012: 
最初に書いたグラフの 2 段目が 断熱系・閉じた系 となっているが, 3, 4 段目の可逆, 等温変化と不可逆変化は閉じた系ではないのですか? [図は省略] M: 横線から上の 1-4 段目が全て 閉じた系 という説明をしたつもりだったが, 伝わっていなくて残念.

13s3013: 
「分子の運動エネルギーの平均値が大きくなると上がるもの」という, 温度の定義は物質が固体や液体のときにもあてはまるのですか. M: 教科書に固体や液体についての温度の決め方が書いてあるのを読んだか? // 固体や液体では, 分子間の相互作用が無視できないので, 理想気体に対する考え方を素直に延長できない.

13s3014: 
$ 0~[$K$ ] = -273.15~[\ensuremath{^{\circ}\text{C}}]$ と定めたならば, 物質を $ -273.15~\ensuremath{^{\circ}\text{C}}$ より低い温度にすることは不可能なのですか? M: ``(絶対) 温度に比例する内部エネルギーの正体は, 気体分子の運動エネルギーである'' のだが, 運動エネルギーの最小値は?

13s3015: 
(1) 教科書でまず気体分子から取り扱っているのはなぜか. // (2) 熱平衡では「heat」というものが温度の高い方から低い方に移動するのか. [丸数字は括弧書きに変更] M: (1) 物事を理解するのに, まず単純なものから入り, それから複雑なものに進むのは, 普通のやり方では(?) ある種の理想的な状況について考えて本質を理解し, 個別のケースについてはその特徴を理想状態からの差違として理解する. // (2) 移動しているうちは ``平衡'' ではない.

13s3016: 
教科書 p.22 で分子の仮定をしている文で, ``通常われわれが扱う程度の大きさの反応容器では, 重力で気体分子が下にたまるようなことは起きない'' とありますが, 重力が発生しない大きさとはどのくらいですか? また, 形状は関係ありますか? M: 重力の由来は? 容器の上端と下端の重力によるポテンシャルエネルギーの差は? これに容器の形状の影響はあるか?

13s3017: 
ヘリウムの時例外とありますが, この時はどう扱うのですか. 液体だから扱えないのでしょうか. M: 何の話か? // どのように例外なのか? 13s3011 も参照

13s3018: 
冷たい気体と熱い気体を接触し, 熱平衡になる時は熱い方から冷たい方へ運動エネルギーが流れ込むのか? そうなのであるなら具体的にどうエネルギーが動くのか? M: 13s3015 の (2) と同じ誤解. // 熱と (気体分子の) 運動エネルギーとの関係は?

13s3019: 
真空は孤立系ですか? M: ``孤立系'' の定義は?

13s3020: 
教科書 25 頁の記述にあるヘリウムは大気圧下では絶対零度でも液体であるというのは, どうしてそうなるのでしょう? M: 13s3011 参照

13s3021: 
気体分子が壁にあたって仕事をするときに分子がエネルギーを失って他の物質になったり分子が分離することなどはないのですか? M: ここで考えている気体分子とは, どういうものか?

13s3022: 
$ \displaystyle U = \frac{3}{2} PV$ の定数は, 運動方程式の $ \displaystyle \frac{1}{2}$ と, 立体である (m$ ^3$) の 3 から来ていると考えていいのですか? M: いいえ. 13s3009 参照

13s3023: 
理想気体にあてはまらない物質には どのようなものがあるのでしょうか? M: 実在気体

13s3025: 
完全な孤立系は宇宙であると以前使っていた教科書にあったのですが, 人工的に完全な孤立系を作ることは不可能なのでしょうか. M: 不完全な孤立系ってアリか(?) // 孤立系とは?

13s3026: 
物をただ動かすだけでも熱は発生していますか? M: 13s3029 参照 // どうやって動かすのか? 熱力学第二法則と言ってみるテスト :-p

13s3027: 
厳密にエネルギーの出入りを防ぐことは可能なのですか?? M: 13s3005, 13s3025 参照

13s3028: 
$ \displaystyle \frac{3}{2} NkT$ $ \displaystyle \frac{3}{2}$ という数字はなんで $ \displaystyle \frac{3}{2}$ でなければならないのですか? 1 自由度あたり $ \displaystyle \frac{1}{2} kT$ ずつのエネルギーをもつから理想気体だと, 3 つの自由度があり, N 個の粒子全体としては 3N の自由度をもつと言えるから, $ \displaystyle \frac{3}{2} NkT$ なのですか? M: 13s3009 参照

13s3029: 
ボールを速く投げるとボールの内部の気体の分子も運動して気体が熱くなりボール自身も温かくならないんですか? もし, ならないなら, なぜ温かくならないんですか? M: 日常の経験では, ボールは温まるか? // 講義では初めに系の持つエネルギーを 2 つあげたが, そこを理解していなくて残念.

13s3030: 
生物はなぜ分子の運動エネルギーの大きさを温度として (熱いや冷たいなど) 感じられるのでしょうか. M: そういう風に進化したから :-p 生体は, 何から出来ている?

13s3031: 
系と外界との間で, 物質が出入りせず, エネルギーや仕事が出入りすることはあっても, 物質が出入りして, 他は出入りしないことはありますか. M: 自分で判断できないのは, なぜでしょうか? // 13s3001, 13s3007 の後半 等を参照

13s3032: 
何故 熱の移動は冷たい方から熱い方へ移動しないのですか. M: 熱力学第二法則

13s3033: 
どうして「理想気体」という概念が生まれたのか? M: 13s3015 の (1) 参照

13s3034: 
ボルツマン定数と熱容量の単位が同じであるが, 何か関係があるのか? M: 自分で探してみれば楽しいのでは(?)

13s3035: 
実在気体で分子に体積があるとき 分子同士や気体が入っている容器と分子の間で摩擦は生じるのですか. M: 分子に体積がないとしたときには摩擦は無いのか? // 気体の摩擦とは?

13s3036: 
絶対零度になると内部エネルギーが 0 になって, 固体になるはずだがヘリウムが例外なのはなぜか? M: 13s3011 参照

13s3037: 
地球を系とすると開いた系, 閉じた系のどちらですか. // 前回の質問で運動エネルギーとポテンシャルエネルギーが常に一定と書きましたが, ミスです. 運動エネルギーとポテンシャルエネルギーの総和が一定であることがエネルギー保存則に従っているだけなのか, 理論的に証明できるのか ということです. M: 自分で判断できないのは何故でしょうか? // ポテンシャル $ V$ 中での質点の運動方程式 $ \displaystyle m \frac{v}{t} = - \frac{V}{x}$ を解けばいいのでは?

13s3038: 
教科書 p.21 l.4 の「宇宙における系」とは何ですか. M: 区切りが違う

13s3039: 
理想気体で考えても実際には実現できないのですか? M: 意味不明, 何の話か?

13s3040: 
圧力を内部エネルギーの項目の中で省略した説明の中にある $ \displaystyle (v_x)$ は何らかの意味があって () をつけたものなのか, または他の $ \displaystyle v_x$ と区別するためにつけたものなのですか. M: p.28 の最初の 2 行の文章のどこがわからないのか?

13s3041: 
同じ事象でも系のとらえ方によって結果が変わってくることはありますか? M: そりゃ, あるでしょうね.

13s3042: 
ボルツマン定数が, $ \displaystyle k = 1.381 \times 10^{-23}$    J K$ ^{-1}$ と書いてあるのですが, この数は, 実験などによって導き出されたものなのですか. M: 読書感想文ネタか(?)

13s3043: 
気体の分子運動の中の並進運動は, どのような運動をしますか? 直線運動ですか? それともふわふわ浮いているような運動ですか? M: 力学を復習することをお勧めする.

13s3044: 
移動可能なピストンに理想気体を入れたとして, 温度が上がると気体分子が並進するのはわかるのですが, 温度が $ -$ や, 絶対零度になったときは気体分子は どのような運動をしているのでしょうか? M: 教科書 p.25 とかを読んだのか? 式 (2.19) を見て考えたのか?

13s3045: 
理想気体内での分子の運動が並進のみなのはどうしてですか. M: 理想気体とは何か? 他にどんな運動があるか?

13s3046: 
絶対零度の物質は分子の運動エネルギーが 0 になり, 分子は全く運動していないのですか? M: 13s3011 も参照

12s3017: 
理想気体の場合, 等温変化であれば熱量は仕事のみを考えればよいが, ファンデルワールスの状態方程式による気体の場合は どうすればよいか? M: 別に. 理想気体から外れる効果は, パラメータとして方程式に取り込んである, という立場. もしそれで不都合があれば, それは vdW 方程式によるモデル化の限界.

12s3026: 
実際の気体は実在気体で, 理想気体とは違うのに, 理想気体から状態方程式を作っているのは何故ですか? M: 13s3015 参照

12s3047: 
なぜ, どんな原子でも原子核が必ず正電荷なのでしょうか? 原子核が負電荷を持つ場合はありえないのでしょうか? そもそも, 何を基準に電荷の正負を決めているのですか? M: 通常我々の世界を構成している粒子の陽子の電荷が正だから. もちろん電荷が逆の反粒子を用いて原子を作れば, 反陽子から成る核が負電荷で, その周りに存在する陽電子が正電荷をもつということになる.

11s3014: 
理想気体において $ \displaystyle U = \frac{3}{2} n R T$ で, つまり $ \displaystyle U = \frac{3}{2} PV$ であるということが納得できませんでした. これであれば $ \displaystyle P = \frac{n R T}{V}$, $ \displaystyle U = \frac{3}{2} n R T$ となり, 押さえつける圧力より, 気体のエネルギーの方が大きいため 膨張しても良さそうな気がするのですが, なぜ一定の状態 (体積) でいられるのですか. M: エネルギーと圧力は, 全く異なる物理量なので, そもそも比較は無意味. (身長と体重を比べて, 身長の方が大きいと言うようなものか.)

11s3022: 
気体の性質は成分分子の種類によらないと近似することができるのは, なぜでしょうか? M: どういう仮定の基に ``成分分子の種類によらない'' と主張しているのか?

11s3031: 
太陽や銀河による重力場中にある地球のポテンシャルエネルギーとは, 何ですか. ポテンシャルエネルギー=位置エネルギーですよね? M: 無限遠 (重力場がゼロの地点, またはポテンシャルエネルギーの基準地点) から問題の場所まで, 質点を移動するのに要するエネルギー. 力学の基礎に忠実に考えて何ら不都合は無いのだが, あえて質問する意味は何か??

10s3008: 
圧力の単位はなぜ複数存在するのですか? (他に比べても多いと思います.) M: 読書感想文ネタか(?) // 長さの単位: メートル, オングストローム, ミクロン, 天文単位, 光年, パーセク, 尺, 寸, 間, 尋, 里, 海里, ヤード, フィート, マイル, キュビット, スパン, パーム, 他 ...... 圧力の単位の数より少ないでしょうか?

10s3028: 
理想気体の状態を現実の気体で再現することはできるのか. M: 理想気体と実在気体の違いは何か?



Ryo MIYAMOTO, 2013-10-28