構造物理化学II (20131016) M: 以下は宮本のコメント

M: 角運動量演算子について, 同時固有関数, 交換関係, 不確定性関係の質問が多かった. 一般論としては第 4 章で学習済みなのだが, 身についていない人が多数ということか. また, 具体的には教科書の §6.3 にちゃんと書いてあるのだけど, 読んでいないか読んでも理解できないかのどちらなのだろうか. また不勉強ゆえの事実誤認は, 今後の学習の障害になるので, 早期に解消しておくべし. この話題の質問の中では, 12s3001 は視点が普通と少し違っていたし, 12s3021 もうまく料理すれば普通の本に書いていないことへと展開できるものだった. もっとも答えは, 少し真剣に考えればわかるようなものだと思うが.

12s3001+: 
$  \hat{L}_z$ が確定しているとき $  \hat{L}_x$, $  \hat{L}_y$ は不確定であると学んだが, 仮に $  \hat{L}_z$ が不確定で $  \hat{L}_x$ もしくは $  \hat{L}_y$ が確定した場合, 図6.1 の図は変化するのか. M: 教科書 p.222 参照, ただし 12s3005 にも注意. // 12s3016 や 12s3021 も参照

12s3002: 
例題6.6 で式 (6.37) を用いて, $  Y_1^{-1}(\theta,\phi)$ $  \hat{L}_x$ の固有関数でないことを証明しているが, $  Y_1^{-1}(\theta,\phi)$ を使うのはそれが一番解きやすいからか? M: 別のものについて, 自分で計算して比べてみればいいのでは(?)

12s3003: 
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\reflectbox{』}2 と $  \hat{L}_z$ の精確な値を同時に観測できるかもしれないのに, なぜ, $  \hat{L}_x$ $  \hat{L}_y$ のいずれの精確な値は同時に観測できないのだろうか. M: 不確定性原理について復習が必要か(?)

12s3004: 
$  Y_l^m$ $  \hat{L}_x$, $  \hat{L}_y$ の固有値ではないのに $  \hat{L}_z$ の固有値[原文ママ]であるのはどうしてなのか? ( $  \hat{L}_x$, $  \hat{L}_y$ $  \hat{L}_z$ の違いは何なのか?) M:  $  \hat{L}_z$ の固有値でもありませんけど.

12s3005: 
教科書で 回転する系では x, y, z の 3 方向を区別できるということが (2l+1) 重の縮退度を説明しているとはどういうことか. M: 記述がわかりにくいのは確か. ``区別できない = (例えば) エネルギーが同じ'' なので, 縮重が生じることはわかる. しかしこれだけでは多重度はわからない.

12s3006: 
すべての原子において才差運動はしているのか, 対称性のないものはあるのか. M: 何が才差運動をしているという話か?

12s3007: 
なぜ x 軸や y 軸のまわりでは運動しないのか. M: 意味不明.

12s3008: 
$  Y_l^m$ 2 と $  \hat{L}_z$ の同時固有関数であるのは 水素原子以外の場合も当てはまりますか? M: 20131009 の 12s3005 参照

12s3009: 
2 と $  \hat{L}_z$ は同時に正確に決定できるのに, $  \hat{L}_x$$ _{(y)}$ $  \hat{L}_z$を同時に決定できないのはなぜか. 固有関数かそうでないかの違いがあるのはなぜか. M: 12s3003 参照 // 固有値方程式とは何か?

12s3010: 
(6.39) で $  m^2$ $  l^2$ ではなく $ l(l+1)$ となるのは なぜですか. M: 意味不明

12s3011: 
教科書には $  \hat{L}_x$, $  \hat{L}_y$, $  \hat{L}_z$ において, z を x あるいは y に置きかえても同じこととあり, この 3 方向を区別できないとあるが, これがなぜ (2l+1) の縮退度を説明しているのか. M: 12s3005 参照

12s3012: 
角運動量が分かれば質点も分かるのですか. M: 意味不明

12s3013: 
水素原子が 1s 軌道以外の軌道をもつ場合はあるのか. M: 教科書の第 6 章では何をやっているのか?

12s3014: 
平均値 $  \BRAKET1{\ensuremath{ \hat{L}_y}}=0$ の場合, $  \hat{L}_y$ どう存在するのか. M:  $  \hat{L}_x$ についての説明の, どこが不十分だったのか?

12s3015: 
才差運動の図はなぜ円錐の表面をくまなくなぞったのか. M: 何が疑問なのか? 円錐であること? くまなく? なぞること?

12s3016+: 
3 成分のうち $  \hat{L}_z$ だけが 2 と可換だということは, どんな意味があるのか. M: 事実誤認. 章末問題 6.13 参照. // 12s3001 も参照

12s3017: 
ルジャンドル方程式が有限でなければいけない理由は何ですか? M: 方程式が有限とは? // 我々はルジャンドル方程式を解いて何をやりたいのか?

12s3018: 
球面調和関数 $  Y_l^m$ に作用させたときに, x 成分と y 成分が z 成分と同時固有関数になるような演算子はあるのか. あるとしたらどのような演算子か. M: 位置の演算子とか. 表4.1 を見て考えればいいのでは(?)

12s3019: 
ボーアモデルが量子論的に間違っているのに, その考え方が用いられているのはなぜか? M: ``その考え方'' とは, 具体的に何か?

12s3020: 
1 $  \hat{L}_x$ と 1 $  \hat{L}_y$ の平均値は 0 になる, とあるが 1 $  \hat{L}_z$ の値を求めることはできないのか. M: 普通に計算してみればいいのでは(?) もしかして第 4 章の復習が必要か(?)

12s3021: 
x, y, z の 3 次元においてこの 3 つのもっている性質は同じだと思うのですが なぜ $  \hat{L}_z$ だけ $  Y_l^m$ が固有関数を示すのか. M: (*) 別に. $  \hat{L}_x$, $  \hat{L}_y$はそれぞれ別の関数を固有関数として持つだけでしょ. ま, 簡単には $  Y_l^m$ が向きを変えたものだとか. 12s3001 も参照

12s3023: 
ベクトルの長さと, z 成分の大きさが同時に分かるとき, $ z=1, 0, -1$ の部分に電子が存在できるなら, どうして電子は $ 1, 0, -1$ の間を移動できるのですか. M: 著しく誤解

12s3024: 
同時固有関数で交換できるということは具体的にどういうことですか? M: 私にも ``同時固有関数で交換できる'' の意味がわからない.

12s3025: 
授業の最後の方で平均値は 0 となったがどうして 0 となるのでしょうか. 少しでも確率がかたよったりしないのでしょうか. M: 自分で計算してみればいいのでは(?)

12s3026: 
$  L_x$ の平均値が 0 ではなく, 他の数字が出た場合, x 成分が $  +L_x$ $  -L_x$ が等しい確率で存在しなくなるのだと思うのですが, その時の平均値はどのように解釈したらいいですか. M: そのまんまでしょ, または杞憂.

12s3027: 
$  L^2$ $  L_z$ の正確な値を求めることはできるが, $  L_x$ $  L_y$ $  Y_l^m$ の固有関数でないので, $  L_x$ $  L_y$ の正確な値はどうやっても求めることは出来ないのか? M: ハイゼンベルクの不確定性関係を復習する必要があるようだ.

12s3028: 
才差運動は角運動量を持つ剛体でなければ起こらないのか. M: なぜ ``剛体'' ??

12s3030: 
$  L^2$ $  \hat{L}_x$, $  \hat{L}_y$, $  \hat{L}_z$ は可換だが, $  \hat{L}_x$ $  \hat{L}_y$, $  \hat{L}_y$ $  \hat{L}_z$, $  \hat{L}_z$ $  \hat{L}_x$ が可換でないのはなぜか. また, x, y, z 成分は特に差がないのになぜ 1 つの成分だけが特別になるのか. M: 12s3001 参照

12s3031: 
教 p.217 の式 (6.36) をなぜ偏微分することにしたのか. ただ偏微分を行い式 (6.37) になると都合がよいからなのでしょうか. M: 全然違う. 多変数の関数を微分するとき, どうするか?

12s3032: 
$  Y_l^{\vert m\vert}$ 2 と $  \hat{L}_z$ の同時固有関数である. という事は 2 と $  \hat{L}_z$ が可換 ( $  L^2$ $  L_z$ を同時に決定できる) という事以外に, 何か物理化学的な意味はありませんか. あれば, 教えていただきたいです. M: なぜ, 自分で勉強し, 考えようとしないのか?

12s3033: 
$ l=1$ のとき $ m=0, \pm1$ $  \ensuremath{ \hat{L}_z}Y_l^m = \left\{ \begin{array}{c} +1 \\ 0 \\ -1 \\ \end{array}\right\} \hbar Y_l^m$ が z 成分の大きさを示すが p$ _z$ 軌道が m=0 となり, p$ _x$, p$ _y$ が m=$ \pm1$ となるのに どう関係しているのか. M: 一部に誤解アリ. p 軌道と量子数の関係は教科書 §6.6 参照.

12s3034: 
$  L_x$ $  L_y$ が同時に正確に観測できないことは不確定性原理に関するということであるが, それぞれの運動量が決まらないということは位置は決まっているのか. M: 12s3027 の回答参照.

12s3035: 
電子の角運動量を精確に測定できないとすると, 分子の結合角なども平均値としてとらえた方が良いのでしょうか. M: 論理がめちゃくちゃ. 電子の角運動量と, 分子の結合角との関係は?

12s3037: 
2 と $  \hat{L}_z$ が可換であることは, 何の役に立つのですか. M: 自分で考えて, 好きな所に役立てればいいのでは(?)

12s3038: 
なぜ z 軸だけ同時固有関数で x 軸と y 軸は同時固有関数ではないのですか. M: 事実誤認. または言葉の使いかたが大雑把すぎる.

12s3039: 
歳差運動の図は円錐以外の形をとることはないのか. M: 歳差運動とは, どういう運動か? 力学を復習すればいいのでは(?)

12s3040: 
ボーアの $ mvr=n\hbar$ と, $  \sqrt{L^2}=\hbar\sqrt{l(l+1)}$ が違うという事は, ボーアの式では厳密な水素の角運動量はわからないという事ですか. またボーアの式が正確な値を出すことは出来ますか. M: 式を見比べればわかるのでは(?)

12s3041: 
$  \hat{L}_x$, $  \hat{L}_y$ $  Y_l^{\vert m\vert}$ に作用させることが 物理的にどのような意味を持つのですか? M: それだけでは特に意味はなさそうにも思えるが, 自分で意味を見出すのも一興かも.

12s3042: 
球面調和関数の x 成分か y 成分の値を求めてしまうと, 角運動量は求めることができないのか. M: 意味不明. 著しく誤解の予感.

12s3043: 
なぜ $  \hat{L}_z$ だけ 2 と可換であるのか. M: 事実誤認. 12s3016 参照

12s3044: 
ルジャンドル方程式をとく際に用いた境界条件はどのようなものか? M: 参考書を参照. // 20131002 の 12s3032 も参照

12s3045: 
角運動量の 3 成分の値は同時には測定できませんが, すべて測定できない場合というのは存在するのですか. また, 存在するのであれば, どのような場合ですか. M: 別に. できるでしょ.

12s3046: 
$  \hat{L}_x$, $  \hat{L}_y$ は同時に正確に決定できるのか. M: 講義で説明したのに伝わっていなくて残念. 12s3003 も参照

12s3047: 
$  Y_l^{\vert m\vert}$ $  \hat{L}_z$ の固有関数であることは, 磁気量子数 m が 0 をとるときに, z 軸に依存した軌道をとることと, 何か関係があるのですか? M: ``z 軸に依存した軌道'' とは何か? 12s3033 の回答も参照

11s3001: 
$  \hat{L}_x$ $  \hat{L}_y$ は位置の演算子として等価であると思うのですが, 同時に正確に求められないというのはどのように解釈すればよいのでしょうか. M: そのままでしょ.

11s3009: 
球面調和関数の $ \phi$ 依存性はすべて因子 $  e^{im\phi}$ の形で出てくるのは, $  \hat{L}_z$ が球面調和関数の固有関数であるからですか. M:  $  \hat{L}_z$ は固有関数じゃない. // 教科書 p.209 参照 // 鶏と卵

11s3014: 
$  \ensuremath{ \hat{L}_z}Y_l^m(\theta,\phi) = m \hbar N_{l m} P_l^{\vert m\vert}(\cos\theta) e^{im\phi} = m \hbar Y_l^m$ となるという箇所がよくわかりませんでした. なぜ $  N_{l m} P_l^{\vert m\vert}(\cos\theta) e^{im\phi}$ $  Y_l^m$ とおけたのですか. M: なぜ講義中のその時に質問しなかったのか? // (6.30) 付近参照

11s3015: 
現在, 物理学では, 「ある出来事の情報が光速以上で他の場所に伝わって何らかの結果を及ぼすようなこと」, つまり「相対論的な因果律」が破られることがありえないと記述されたものを見たのですが, なぜでしょうか? 相対論的因果律に矛盾せずに存在することができる粒子タキオンというものがありますが これはなぜ矛盾しないのですか? M: 事実誤認. 物事は正確に.

11s3022: 
$  \frac{\partial^2}{\partial\theta \partial\phi} = \frac{\partial^2 f}{\partial\phi \partial\theta}$[原文ママ] の式は, なぜ波動関数として十分に行儀よく振まう任意の関数に対して成立するんですか? そもそも行儀よく振舞う任意の関数とは, どういうもののことを言うんですか? M: ``行儀よく'' については p.128 付近参照 // 偏微分については教科書の第 H 章参照

11s3025: 
トンネルの光は視認性にすぐれているナトリウムランプが用いられていますが, 最近は LED 照明が使われることもあるそうです. ナトリウムランプより, LED 照明を用いることにどのような利点があるんですか. M: ナトリウムランプの光は視認性に優れているんですか? あまり聞いたことがないなぁ. // 大きな要素は費用だと思うが. そして白色光の方が人の自然な感覚に合ってる.

11s3026: 
ボーアモデルの角運動量は正確ではないのに なぜ成功したのか. M: 不思議ですね. 12s3019 の回答にも注意.

11s3027: 
なぜ古典力学で $ L$ が才差運動をしているという考えに至ったのでしょうか. M: 12s3039 参照

11s3028: 
角運動量の 3 成分を同時に正確に決定できないことがわかったが, もし同時に正確に決定できたら, 化学に何らかの恩恵はあるか? M: 12s3027 参照 // 量子力学が別のモノになる?!

11s3031: 
基本的な所ですみません. 角運動量の z 成分を極座標系にした $  \ensuremath{ \hat{L}_z}=-i\hbar \frac{\partial}{\partial\phi}$ $  e^{im\phi}$ $  \hat{L}_z$ の固有関数であることがすぐにわかるのはなぜですか. M: 固有値方程式とは, どんなものか?

11s3034: 
レポートの件についてで, 日本語の記述と計算でやっている〓の理論[〓は判読不能]が違っている場合はやはり良い評価はもらえないのでしょうか. [具体例は省略] この場合, 正しい記述としては「(1) の左辺にそれぞれを代入」になるとは思いますが, どうでしょうか. M: 間違ったことが書かれている答案に, あなたは何点つけますか? // 何をやりたいのか?

11s3035: 
$  Y_l^{\vert m\vert}$ は, 2 と $  \hat{L}_z$ の同時固有関数と習いましたが, なぜ 2 と $  \hat{L}_z$ は交換できると, 2 と $  \hat{L}_z$ で同時に測定できるのですか. M: 教科書 §4.6 参照

11s3039: 
ルジャンドル方程式は極座標を使って表される問題に出てきますが, クーロンポテンシャルなどの中心力場?における問題以外にどんなものがありますか. M: (*) なぜ ``極座標を使って表される問題'' に出てくるのでしょう? そのような問題の特徴は?

11s3044: 
角運動量をデカルト座標以外ではどんなもので計算できるのですか. M: 別に. 好きな座標系で計算すればいいのでは?

11s3046: 
授業で紹介されたものの他に, 歳差運動が原理となっているものには何があるか. M: 北極星の移動 :-p

10s3021: 
$ l=1$ のときの角運動量で $ m=-1, 0, +1$ の 3 つしかないということは, 電子は m が異なるところに遷移するときはどのように遷移するのだろうか? M: 縮退してるなら混合状態だから遷移は無意味. 分裂してるなら, 遷移の選択則を考える.

10s3039: 
授業で z 軸で考えていたが x または y 軸ではどうなるのか. M: 何の話か? 12s3021 も参照

10s3044: 
L が z 軸まわりに歳差運動しているのはわかりますが, x 軸を中心に考えて, L が x 軸のまわりを歳差運動する場合は $  L_z$ $  L_y$ が正確に求められず $  \BRAKET1{L_z} = \BRAKET1{L_y} = 0$ になりますよね? M: 12s3021 参照. // 自分で判断できないのは, なぜ?

07s3042: 
水素原子のまわりに磁場が存在する時, それでも正確な (近似値でない) 水素原子のエネルギーを求める事はできるのか. M: ハミルトニアンは, どうなる?



Ryo MIYAMOTO, 2013-10-28