物理化学演習 A (20100730) M: 以下は宮本のコメント
08s3001: 
化学結合の議論では, 価電子のみを考慮すればよいという仮定の基で行っていますが, 価電子以外が結合に関わっている事例は何がありますか. M: 価電子と内殻電子のエネルギーは, どのくらい違うと思いますか ? (教科書にもデータが載ってるので見てください)

08s3002: 
におい分子の構造はふくざつですが, これはにおいを発生させる物質から出てきているのですか ? それとも, においを発生させる物質が空気中に何か作用して, 空気中でにおい分子を構成しているのですか ? M: 本気ですか ? 後者だと仮定すると, 空気中に原料が豊富に漂っているという事になりますけど......

08s3004: 
シュレディンガー方程式を解く際, 変数を分離して解きますが, 変数を分離できない場合 どうするのですか ? M: 物理で多体問題が, 一般に解析的に解けないと言われているのは, どういうことでしょうか ?

08s3005: 
O$ _2$ 分子は常磁性であるが, 具体的にどういう磁気的性質があるのですか ? M: ``常磁性'' という表現以上に磁気的性質を具体的に述べている言い回しは無いと思いますけど. 言葉の意味を調べ, そこで言われている事を, よーく考えてみてください.

08s3006: 
金属錯体は光エネルギーを吸収し, 反応性に富んだ励起状態になりますが, しかし, それはすぐに基底状態に戻り反応性の高い状態をキープできません. どのようにしたら励起状態をキープできますか. M: 緩和あるいは失活の過程をよく調べてみてください. 一般にはどんな要因によって失活するのでしょうか. その原因を抑制すればいいでしょう.

08s3007: 
水素原子, 重水素原子, 三重水素原子のスペクトル線の振動数は, どう異なるのだろうか. M: どこかの章末問題にあったような気がします. 搦め手としては, 重水素発見の歴史を調べてみてはいかがでしょうか.

08s3008: 
有機化学的に見た分子の電子密度による反応性と 物理化学的に見た分子のフロンティア電子密度による反応性には 違いが出る場合があるが, その場合, どちらが正しいと言えるのか ? M: 勘違いしているようです. 電子密度も物理化学的見方だし, フロンティア電子密度も有機化学的見方です. 物理化学は (例えば電子密度やフロンティア電子密度といった物理量を手がかりにして) 物理的に化学にアプローチする手法ですが, 一方, 有機化学はあらゆる手法 (その中には物理的手法も含む) を駆使して有機化合物に取り組むものです. ある考え方が物理化学のもの, 別の考え方は有機化学のもの, という区別はありません. 現代ではどんな有機化学 (や無機化学) の教科書にも, オービタル, 電子密度 (電子雲), スペクトル (物質による光 (電磁波) の吸収や放出), エネルギーなどなど, 非常に多くの物理化学的概念が書かれているはずです. // 基本的には理論の正しさを担保するのは, 実験事実に合うかどうか, 実験事実をうまく説明するかどうか, ですね.

08s3009: 
励起三重項はスピンが平行になるように電子が入っているため, 磁性を帯びるのか ? M: スピン角運動量と磁性との関係を復習してください.

08s3010: 
1.[略] 2.陽子の重さが変わって物理学者はパニックになっていますが, 化学には影響ないのですか. M: 量子電磁気学でなければ説明できないような化学の分野は限られているので, 影響は限定的だと思われます. なにより, 現有の理論で説明できている事実は沢山あります. その範囲において, 現有の理論が有効である事は, 今後も変わりません. 量子論や相対論の発展にもかかわらず, 日常の世界では古典力学が有効であるのと同じ事です.

08s3011: 
光を吸収した電子が励起される時, 電子を励起させないためには, どのような操作を行いますか ? 逆に電子を励起させたままに保つには どのような事を行いますか ? M: 電子による光の吸収と励起は同時かつ瞬間的なものであって, 基底状態で光を吸収してから励起状態になるまでの途中の状態 (時間) というものは 存在しません. 水素原子のボーア模型をよくよく復習してください. また励起にしても失活にしても確率過程です. 個別の電子 (原子や分子) が, いつ遷移するかを予言することはできません. すなわち見かけは全く同じ二つの分子の, 一方はすぐ次の瞬間に遷移するが, もう一方はいつまでも遷移しないということが起こり得ます. これでは, どうしたら特定の分子が遷移するのを促進/抑制できるのか, 確かめる事ができませんネ. 唯一われわれに可能なのは, 遷移の確率に寄与する外的要因を操作する事だけです. 08s3006 参照.

08s3012: 
分子が直線形か折れ曲がっているかで, オービタルの重なり方が変化すると思うのですが, この違いは結合エネルギーなどに影響するのですか ? M: 二原子分子の場合, いや水素分子イオンの場合に, 重なり積分がエネルギーにどう関与するのか, 教科書の第 9 章で計算しましたね. 多原子分子の場合については, ウォルシュの相関図として § 10.3 に記述されています.

08s3013: 
裸眼でも 3D な映像の動画が見れることが話題になってますが, 専用のメガネ無しでどのようにして左右の目に異なる映像を見せているのでしょうか. M: 一枚の画像が細く短冊状に区切られていて, 左目用の画像と右目用の画像が交互に並んでいるものをつくり, この表面に回折格子のようなレンズを貼って, 左目用の画像と右目用の画像の進行方向を調整すればいいですね. 昔からそういうオモチャはあります. それを動画にすれば, 裸眼で立体の動画が見れます. ただしこれは, 見る人の位置が非常に限定されます. 現在話題になっているものが, そういう仕組みなのかどうかは知りません.

08s3014: 
エントロピーとは物質や熱の拡散の程度を表すパラメーターであるが光の拡散もエントロピーの増加と言えるのだろうか. M: エントロピーはあくまでも物質の状態に関するものでしょう. 光の拡散も熱の拡散のようにエネルギーが散逸しているように見えますが, 後者は媒体を構成している粒子の運動状態の変化を伴います.

08s3015: 
9.16 節のタイトルで,「ほとんどの分子は励起状態をもつ」とあります. これは励起状態をもたない分子の存在を示唆していると思われますが, だとすれば, そのような分子が励起状態になれない理由は何なのですか ? M: 既出. 励起状態を持たない理由は, なれないから (あいまいな表現ではあるが) だけじゃないと思う.

08s3016: 
異核二原子分子などのエネルギー準位図をつくる際, A 原子の 2p オービタルと B 原子の 2s オービタルのエネルギーが近いときに 2pz と 2s の混成した軌道ができることがあります. どのくらい近いとき, またどういうときに 2pz と 2s が混成することがあるのですか. M: 混成する/しないの境界が明確にあって, そこを境に (相転移のように) 挙動が変化するとお考えでしょうか ? § 10.1, 10.2 のように, 今では混成軌道はある種の LCAO です. そこには係数の連続的変化しかありません. 対称性によって完全にゼロとなる場合はありますが :-)

08s3017: 
オービタルの大きさの結合性への寄与は, どうすると知ることができますか ? M: 質問の意味が, 全く見当もつきません.

08s3018: 
$ \pi$ 電子オービタルを書く際に (例としてベンゼン) [絵は省略] 上記のような 2 つの書き方があるが, どのようなときに 2 つの書き方を使い分けるのでしょうか. M: 何を議論したいか, どちらが分かりやすいか, だと思います. という基準は, あたりまえですけど, いつも同じですね.

08s3019: 
分子が発光する際, 光子は分子のどのような位置から出ているのですか ? また, 分子のどこに光子が当たっても相当するエネルギーがあれば電子は励起するのですか ? M: 一瞬面白い質問だと思ったけど, 位置と運動量の不確定性で説明すればいいんだね. 相対論を少し考慮すれば光子の運動量は $ \displaystyle p = h \nu / c$ となるわけだが, 運動量を正確に決めようとすると, すなわち光の振動数を正確に決めようとすると, 位置の不確定さが増加する. つまり, ある特定の準位間のエネルギー差に相当する光とはっきりと決めれば決めるほど, どこからその光が出てくるかの場所が不確かになる. 逆を考えれば, 特定の準位間の遷移に相当するエネルギーの光を正確なエネルギーとして当てるのであれば, 分子の特定の場所じゃなくて全体に当てなければ吸収してくれない (?) // 実際の遷移には対称性による選択律もあるので, ただ準位間のエネルギー差に等しい光を当てただけでは, 遷移するとは限らない.

08s3020: 
音は真空中では伝わらないが, 光は真空で伝わる. では音は光を媒体として伝わるのか. M: 電話線も最近では光ファイバーケーブルが多くなってきましたね. すなわち音声が光に媒介されて伝わっている ;-p

08s3021: 
9.3〜9.4 節の計算では, H$ _2^+$ の結合エネルギーが 170 kJ mol$ ^{-1}$, 結合長が 132 pm と求められました. 実験値は 268 kJ mol$ ^{-1}$, 106 pm で, 差は小さくないように思われます. この差は, 何に起因するのですか. M: おしい, § 9.2 まで視野を広げれば, 採用されていた近似に気がついたであろうに...

08s3022: 
電子殻は K L M ... と記号がつけられているが, はんぱな K からはじまっているのはなぜか ? A B C ... だといけないのか ? M: 何を半端と感じるか, 思慮の浅さが透けて見える. 命名者は当時, K 殻の内側にも未発見の shell があるかもしれないと考え, その時のためにとアルファベットの途中の K から使い始めた. 実際には K 殻よりも内側には無かったわけだが, それは結果論だ. さて本当だろうか ;-)

08s3023: 
電子だけを何個も集めて一定の空間に置いたら電子はどのような動きをするのか. M: えーと, どのくらい本気ですか (苦笑). まず電子は, 古典的な粒子のような軌跡を持って運動はしない. それから, 互いにクーロン力による斥力を受ける. これらの知識は持っているはずですよね.

08s3024: 
教科書 p.382〜383 にある全電子密度図や分子オービタルの等高線図は 誰が考えたんですか. M: 変な事を聞きますね. p.384 に, 多くの二原子分子についてハートリー-フォック波動関数が求められていること, そして当該の図 9.20 は H$ _2$ から F$ _2$ までの等核二原子分子の全電子密度と分子オービタルの電子密度であることが, ちゃんと記述されています. 計算方法 (ハートリー-フォック法) は公知の手法なので, 誰でもが計算して求めることができます. それとも ``電子密度の大小を等高線で書く'' ということの方ですか ? そんなの 二変数の関数 (二次元の関数) を鳥瞰図や等高線で図示するのは, 誰でも考えつくことじゃないんですか ?

08s3026: 
分子オービタルのエネルギー順位図[原文ママ]はどんな分子もあらわすことができるのでしょうか ? また, 例外などはありますか ? あるとしたら何でしょう ? M: これも本気度を疑いますね. 分子を与えれば, 分子オービタルとそのエネルギー準位を求めることができます. 計算の手間や精度については今は問いません. 結果が得られれば, 図を書くことは可能ですよね. したがって図を書けない場合とは, オービタルエネルギーを求めることができないような分子が存在するという事ですけど, それはどんな状況を想定していますか ?

08s3027: 
ある物質の液体または固体の表面張力は温度によっても大きく変化するが, この時 温度に対して表面張力はどのように変化するのだろうか. M: そこまで事例がはっきりとしているのであれば, これはもう専門書を調べてくださいとしか言いようがないという気がします.

08s3028: 
p.388 分子の項の記号は波動関数の対称性を表すとしていますが, 対称操作とは何か関係があるのでしょうか. M: 回転軸とか対称心とか鏡映とか, 対称操作なのではないでしょうか ?

08s3029: 
強い酸性の液体に手をいれると, 溶けるが, 強いアルカリ性の液体に手を入れると手にどのような変化があるんですか ? M: たんぱく質 (アミノ酸の多量体) とアルカリとは, どんな反応をしますか ?

08s3030: 
ボルン-オッペンハイマー近似の仮定として, 核の質量が電子の質量に比べてはるかに大きいので, 電子は核がどんな運動をしてもそれに瞬時に追随できるとありますが, 核がどんな運動をしても追随できるとは どういうことですか ? M: どの単語の意味がわからないのでしょうか ? 国語辞典を持っていますか ?

08s3031: 
「反対称である」という表現がありますが 反対称→対称でない→そのまま というように聞こえてしまうのですが, 先生はどう思いますか. M: どうして p.311 の記述 (索引で示されているページ) などを読んでくれないのかな, って思います. 化学では, 対称・反対称・逆対称・非対称などの専門用語 (technical term) が登場しますが, それぞれの意味を理解しようと思わないのかな ? // ところで「対称でない→そのまま」とは, どういう発想なのだろうか ?

08s3032: 
3d 軌道までにおいて結合最大次数は 6 と問題 9.21 にて導かれたが, HClO$ _4$ のような分子はどのように説明されるのだろうか. M: 「結合次数」って, 何ですか ? そもそも「原子価」が何であるのかなんて, 化学系の大学生がいまさら問いただされるのは, 恥ずかしくないんですか ?

08s3033: 
p.222 より, なぜ $ \displaystyle \hat{L_x}$, $ \displaystyle \hat{L_y}$, $ \displaystyle \hat{L_z}$ の 3 方向を区別できないと $ (2\ell+1)$ 重の縮退度となるのですか. M:  $ \displaystyle \hat{L_x}$ 等の代わりに $ p_x$ オービタルなどではどうでしょうか ?

08s3034: 
電場は, 電場が発生している点から見て, 動いている電荷には仕事をして, 動かない電荷には仕事をしないのはなぜでしょうか. 電場から見て動かない電荷にとって, 電場は 0 であるといえるのか. M: 電磁気学 (静電気) に喧嘩を売っているのですか ? ポテンシャルエネルギーと力と仕事の関係は ?

08s3035: 
真空では音波が伝わらないと高校で学習したが, 最近ノーベル賞を授賞[原文ママ]した方には, 真空中には何もないわけではないということを見つけたと聞きました. では, 音波は真空でも伝わるのでしょうか ? M: その発見とやらの前後で, 音波の真空中での伝わり方が変化するのでしょうか ? 人類の自然に対する解釈が変化すると, 実験事実が変化するのでしょうか ?? // で, 真空とは何なのでしょうか ? (読書感想文のネタ ?)

08s3036: 
教科書に, ほとんどの分子は励起状態を持つとあるが, ではどのような分子が励起状態をもたず, またどうして励起状態をもたなのですか ? M: 既出. この講義 (今学期) だけでも, 過去に複数回聞かれている質問だと思います. 他人の質問とその答えを見て, 色々考えるのも, プリントとして配布している目的の一つなのですけど, 活用してくれなかったのですね. 残念です.

08s3037: 
抵抗体には, クロム合金, 白金, タングステンなどの金属があるが, 非金属にはどのようなものがあるのか. M: 炭素とかセラミックスとか. 電気の部品を調べてみたら ?

08s3039: 
電子配置の ( $ \sigma_g2s$) や ( $ \sigma_u2s$) の「g」や「u」は何を意味しているのですか ? M: それってどこで出てきましたか ? p.367 は読みましたか ? 読んでも理解できない箇所は何処でしょうか ?

08s3040: 
CO の基底状態の電子配置は, マッカーリサイモンだと非結合性軌道がなく, 反結合性軌道があるものと書かれていますが, 基礎無機化学という本だと, 反結合性軌道がなく, 非結合性軌道があるものと書かれています. なぜ, 本によってこのような違いが生じているのでしょうか ? どちらかが間違っているのでしょうか ? M: マッカーリ・サイモンのどこに反結合性軌道と書いてあったのか, 見つけ出せませんでした. 基礎無機化学や, シュライバー・アトキンス, コットン・ウィルキンソン・ガウスでは, 確かに非結合性と書いていますけど, 完全な非結合性軌道じゃないですよね. 軌道の形の絵もありますので, よく分かると思いますけど.

08s3041: 
化合物のエネルギー準位において, π結合のエネルギー準位とσ結合のエネルギー準位が一致したとしたら, どちらのエネルギー準位に入りやすいかを決めるファクターというのは存在するのでしょうか. また, 存在するなら, どのようなものがあるでしょうか. M: 縮重している複数の軌道から, ひとつを優先的に選ぶ理由はありませんね. もしも特定の軌道が選ばれるのであれば, 実際には縮重していないか縮重が解けたことによるのでしょう. それは軌道の電子密度分布の違い (電子間反発が異なるのかな), 分子構造の歪み (ヤーン・テラー効果), 振電相互作用などが考えられますけど......

08s3042: 
§ 9.16 でほとんどの分子は励起状態をもつとあるが, 励起しない分子とはどのようなものがあるか. M: 08s3036 参照

08s3043: 
9.21 で遷移金属の等核二原子分子の結合次数の問題がありましたが, 遷移金属の等核二原子分子は存在するのですか ? それと, この問題の回答が「Cr$ _2$ の, 結合次数 6」となっていましたが, O$ _2$ や N$ _2$ よりも結合が強くて, 結合距離も短いのでしょうか ? M: Cr$ _2$ について, 調べてみてはいかがでしょうか. 結果は教えてくださいネ :-)

08s3044: 
p.235 図 6.7 で, ``動径関数を含んでいないのでオービタルの形についてはよい表現ではない'' とかいてありますが, 動径関数を含むとオービタルの形はどう変化するのですか. M: 動径分布関数がどんなものであるかは, 例えば図 6.3 に与えられているので, 考えてみてはいかがでしょうか. ちなみに, p 軌道に関しては, 図 6.4, 図 6.5, 図 6.6 あたりを見比べてみればよいのではないでしょうか ?

08s3045: 
オクテット則を無視した「超原子価化合物」がありますが, この化合物の結合次数を求める際, 分子軌道のエネルギー準位図を書いて求めるのは複雑で, 確実に求まるのが難しそうですが, やはりエネルギー準位図を書く以外結合次数では求められないのでしょうか ? M: 例えばπ電子系の化合物について, あなたは自分の分子についてπ電子エネルギー準位図を書きましたね ? そこからどうやってπ結合次数を求めますか ??

08s3046: 
p.390 でほとんどの分子は励起状態をもつと書いてありますが, この例外となる分子にはどのようなものがあるのでしょうか ? M: 08s3036 参照

08s3048: 
ボルン-オッペンハイマー近似では核の運動を無視するとあるが, 運動しない核はあるのか ? M: あなたはどう考えますか, そしてその根拠は ? 「運動しない」とは, 運動量が完全に正確に精密に零ということですよね.

08s3049: 
p.381 SCF-LCAO-MO 分子オービタルがハートリーフォック極限に達するのに十分なだけ多くの項を含む場合に限って... とあるが このときの項の数は具体的にどのぐらいなのでしょうか ? M: 一般的にいくつと言えるものだと思っているのですか ? もしも言えるならば, なぜ初めから「n 個の項」ときちんと言わないのでしょうかネ.

07s3001: 
p.371 で He$ _2$ は結合次数をもっていないのに分子軌道法では弱い結合を持っているとされるのは何故か ? M: 自然は, あなたが考えているよりも, 遥かに深遠だという事.

07s3002: 
p.351 に「量子力学の登場以前には化学者は二つの水素原子が安定な化学結合を形成することを理解できなかった.」とあるが, 化学者は安定な化学結合を形成すると予想はできていたのですか. M: はぁ ? 現実に水素分子が二原子からできているでしょ. 原子間に何らかの結合があるはずだと考えるのは普通なのでは ?

07s3004: 
He$ _2$ 分子が存在するのはなぜですか ? M: 07s3002 によれば, p.351 に「量子力学の登場以前には化学者は二つの水素原子が安定な化学結合を形成することを理解できなかった.」とあるらしいが, 量子化学を勉強した今となっては, もうわかりましたネ :-)

07s3005: 
SCF-LCAO-MO 波動関数は, 原子オービタルの一次結合である分子オービタルから出発して, つじつまが合う場の方法で係数を決定するとありますが, つじつまが合う場とは何ですか ? M: pp.306-307 にかけて少し書いてあるのですけど, 読みましたか ? どこが分からなかったのでしょうか ?

07s3008: 
結合次数の最大値の決定の仕方を知りたいです. M: そうですか, でも質問になっていません. ところで, どうして授業中に質問しなかったのでしょうか ? 自分で考えた途中までの答案を黒板に示して, 続きをみんなに聞くとか.

07s3009: 
光には質量がないと言われるがその根拠は何か ? M: 特殊相対性理論によれば, 高速で運動している物体は, その質量が増加して見える: $ \displaystyle m = \frac{m_0}{\sqrt{1 - (v/c)^2}}$ ($ m_0$ はその物体の静止質量, $ v$ は物体の運動速度). すなわち, 光速 ($ v = c$) で運動している物体の質量は, 無限大なのだ. 一方で, 無限大の質量を動かす (加速する) には, 無限大のエネルギーが必要だ ! しかしそんなことは不可能. したがって光速で運動している光子の質量は, ゼロでなければならないのだぁ〜 ;-p

07s3010: 
反磁性と常磁性がわかることで なにがわかるか. M: 禅問答ですか ?

07s3012: 
O$ _2$ 分子の常磁性というのは どんな性質なんですか ? M: 何だか,「赤ってどんな色 ?」と聞かれた気分.

07s3013: 
教科書 p.369 図 9.13 で, Li$ _2$ から F$ _2$ に近づくにつれ $ \sigma_g 2p_z$ のエネルギーと $ \pi_u 2p_x$, $ \pi_u 2p_y$ のエネルギーは近づき, N$ _2$ から O$ _2$ へいくときに逆転していますが, この逆転はなぜ起こるのですか ? M: われわれの住んでいる世界 (宇宙) が, そうなっているとしかいえないと思う. エネルギー準位は, 思ったほど単純じゃないという事かな. ちゃんとした議論のためには, 縦軸の尺度をちゃんととる事が, まず第一でしょうね. 図 9.16 と比較せよ.

07s3014: 
結合次数の違いにより, 結合長, 結合の強さの違い以外にもわかるものはありますか. M: 神託に頼らずに, 新たな使いみちを自分の頭で考えてみてはいかが ?

07s3015: 
He$ _2$ には弱い結合が予想されるとありますが, 0 に限りなく近い結合で, どのくらいその形を保っていられるのでしょうか. M: ``0 に限りなく近い結合'' とは, どういうことでしょうか ? 表 9.1, 9.2 参照. 少なくとも結合エネルギーや結合長を見積もれる程度には, その形が定まっているようですね.

07s3016: 
H$ _2^+$ の分子軌道法において 1 電子であるのに, ボルン-オッペンハイマー近似を用いるのはなぜか. M: どんなときに B-O 近似を用いるべきだという主張なのでしょうか ? そしてそれはなぜ ?

07s3017: 
NO$ _2$ は中性原子ですが, [点電子式, ルイス構造式は略; 極限構造式の共鳴の絵も略] といった感じで中性原子として考えれません. 中性原子に見えるようなよい方法はありませんでしょうか ? M: あなたが勘違いしているだけでしょ. 価電子の合計は奇数のはずですが, あなたの書いた構造式では, 必ずしもそうなっていないのではないでしょうか. 構造式などを ``感じ'' といった不正確なものを基に書くのではなく, 電子の数をきちんと数えて, 構造を書けばよいだけでしょう.

07s3019: 
シュレディンガー波動関数は, ローレンツ変換に対して, 不変でないと聞いたんですが, もしそれがあるとすれば相対性原理はどうなるのか ? M: えーと, 何を聞きたいんでしょうか ? 意味不明です. ``それ'' って何を指しているのでしょうか ?

07s3021: 
原子の軌道の形というのは 具体的にどのような計算をして分かるものなのですか. M: 図 6.5, 6.6 は, それぞれのキャプションにも書いてあるとおり, 関数そのものをプロットしています. 具体的な計算といっても, 関数の値を求めているだけですね. 図 6.4, 6.7 は, それらとは少し違って, 球面調和関数の値を動径として, 極座標でプロットしてできた面 (に近いようだ).

07s3024: 
問 9.39 で [図は省略] とおいていましたが, 逆においた場合, 符号が逆になってもいいのですか ? M: 何の符号の話ですか ? 双極子モーメントですか ? 講義時間中の議論に, どうして参加しなかったのでしょうか ?

07s3027: 
そもそもどうして常磁性, 反磁性など ``磁性'' という言葉を使うのか. M: いつからこの言葉が使われるようになったのかは知りませんが, 日本語のこれらの言葉を考案した人は, 慧眼だったと言えるでしょう. では paramagnetic, diamagnetic, magnetism などにどのような訳語を当てればよかったとのご意見なのでしょうか ? ぜひ承りたいものです.

07s3030: 
たびたび, 交換子の問題が出るのですが, これがわかることで どのようなことに応用できるか. [後略] M: 量子化学がわかることで どのようなことに応用できるでしょうか ? あるいは, みんなが気づかなかった, 新しい応用方法を発見・開発してみてはいかがでしょうか.

07s3031: 
4 次方程式の解を求める方法には どのようなものがあるのか ? M: そりゃ色々あるでしょうね. 5 次以上じゃないから, 解の公式もあるはずだし, 数値的に解くという荒業もあるし.

07s3032: 
単位の違うエネルギーの大きさは, どのようにして比較すればよいのですか. M: 真面目な質問ですか ? 単位が違うなら, そろえれば (換算すれば) いいのではないでしょうか ? 本当にこんなことも分からないのですか ? 何か, 騙されてるのかなぁ ??

07s3033: 
フラーレンのような分子の場合 双極子モーメントってどうなるんですか. M: ``ような分子'' であろうとなかろうと, 定義に従って考えればいいだけでしょ. 何か問題ある ?? ちなみに C$ _{60}$ ($ I_h$ 点群) であれば, 対称性により $ \mu = 0$ は自明ですね.

07s3035: 
項記号は何のために用いられるのでしょうか ? M: 別のものと認識すべきものには別の名前を与える. そのものの真の名前を知れば, そのものを支配できる ;-p

07s3038: 
ハートリーフォック極限を実現するための条件とはなんですか. M: どこがどう極限なのでしょうか ? その極限は実現できるものですか ?

07s3039: 
光電子分光法を用いてどれだけのことができるのですか ? M: 専門書を参照してください. または, 新しい活用法を開発する事に, 挑戦してみてはいかがでしょうか.

07s3042: 
(6.64) 式を $ M \gg m_$e だから (6.65) 式としたが, 実際, 精密な確率密度を計算する場合, (6.64) 式を利用するのですか ? M: 私は知りません. 調べて分かったら, 教えてくださいネ. しかし, 電子とヘリウム核との質量の違いを考え, ``精密な〜計算'' で必要な精度と, 比較すべき実測の精度と, 核の運動エネルギーを考慮した (6.65) 式を用いるがゆえに必要とされる近似の性能と計算の手間と, 電子間反発や電子相関を考慮する難しさと, などを考えると, そうまでして (6.65) 式を用いる意味があるのかなぁとは思いますけどね.

07s3043: 
VSEPR 理論と 10 章の分子の形を考える話は 全く別ものですか ? M: 神託が必要なのでしょうか ? 別ものかどうか, 自分で勉強して考えてみればよいのではないでしょうか. // さてそれはさておき, 同じ現象を説明する別の考え方があった場合, それらの考え方の間にはどんな関係があるのだろうか ?

07s3044: 
いい質問はどれくらいありましたか ? M: いい質問を集める事が目的ではなく, 質問の練習をする事が目的です. この質問はあたかも, 勉強するのはテストでいい点を取るためであるかのような物言いですね.

06s3003: 
p.425 でヒュッケル分子軌道法に関しての仮定があるが, このような仮定をする具体的な理由は何か ? M: 抽象的な理由はもちろん, 蓋然性があるから. では逆に, この仮定を採用できないと考える, 具体的な理由は何ですか ?

06s3004: 
[白紙] M: 提出物が要件を満足していません.

06s3008: 
講義を通じて心がけていたことはありますか ? M: いまさら有無を問うて, どうするつもりなのでしょうか ? 講義の初回に説明したし, 授業計画 (いわゆるシラバス) にも記載して, それらは授業サポート Web ページで公開して, またまた講義の中でもしばしば述べていたのですけど, それでも伝わらなかったというのは残念です.

05s2059: 
三次方程式 $ x^3 + a x^2 + b x + c = 0$ は変形すると $ x^3 + d x + e = 0$ の形になるが, どのようにしてこの形から三次方程式の解が求められるのか. M: 三次方程式のそういう変形が可能である事について記述してある本に書いてないんですか ?



Ryo MIYAMOTO, 2010-08-03