物質理工学演習 BII (2007-01-17) M: 以下は宮本のコメント
05s2001: 
相対性理論の本に He のスペクトル線の分裂のことが相対性理論で 説明できると書いてあったのですが, 相対性理論を用いられた量子力学の分野は ないのですか ? M: 相対論的量子力学という分野は, すでにあります。 そこでは Schrödinger 方程式の代わりに Dirac 方程式を使ったりします。 また光と物質との間の相互作用は分子分光学としても重要な問題ですが, 非相対論的な量子力学の枠から出てしまい, 電磁場を量子化した場の量子論が 必要になります。 また 2007-01-10 の 05s2009 にもあったように, 重原子のスペクトル (電子軌道の エネルギー準位) は, 相対論的な効果によるシフトを考慮しないと正しく 求まりません。 すなわち重い金属イオンを含む系 (希土類金属錯体もそのひとつ) の電子状態を 考えるときに, 相対論的量子力学を使う場合もあります。

05s2009: 
ふと思ったことですが, もし人間の目がミツバチの目のように 紫外線の部分に反応するようになっていたら, 太陽からやってくる紫外線の 「光子」は少ないので, 周りはもっと暗く感じると思うのですが, どうでしょうか ? M: 太陽からやってくる光子数としては, 可視光に比べて紫外光の方が, 確かに少ないかもしれません。 しかしそれを言うなら, 赤外線の方がもっと多いわけで ...... 結局それを明るく感じるか暗く感じるかという問題は, まず検出系の効率と, それからわれわれ生物の認識 (脳の働き) の問題だと思います。

05s2015: 
最新の科学の現状を知るためには, 科学雑誌が一番いいのですか。 M: まあそういう手もあるかもしれませんが, 編集の方針や記者の解釈やらが 入っていることを, 常に念頭においておきましょう。 あ, それとも学術論文を掲載している雑誌 (学術雑誌) のことを言っているのですか ?

05s2017: 
特になし M: 

05s2023: 
期末レポートは成績を左右するほど大事なレポートとなるのですか ? M: 成績に反映されることは, あたりまえですね。そうシラバスにも記載していますし。 またその他の評価項目 (授業態度・レポート・試験などを総合的に判断) も書いて あることから, 期末レポート (上記例示では試験に相当) の重みは, 10 % とか 90 % などの極端な割合ではないことは, 予想できませんか ? で, 何が聞きたいんでしょうか ?

05s2025: 
磁性について。``磁気モーメントをもつと磁性を示す''と 天下り的に覚えています。ですが何故磁性を示すのかがわかりません。 静電気的な作用によるものですか ? M: まず, ``磁性を示す''という言葉を, あなたはどういう意味で用いていますか ? 次に, 磁気モーメントと (電気) 双極子モーメントとは, 別物ですよ。 磁気的性質と電気的性質 (静電的性質) は, 一部互換はあるものの, 普通は別のものではありませんか ? しかし運動する電荷が磁場を生じることも (逆も) 良く知られていることで, 電磁石とか発電器の原理ですね。基本的な電磁気学の話です。 で, 原子・分子の話になると, 磁気モーメントは電子のスピン角運動量だけでなくて 電子の軌道角運動量により生じるものもあります。

05s2028: 
相対性理論によると, 理論上, 未来に行くことができる (ただし, 現在に戻ってくることはできないが...。) らしいのですが, もし, 何十年後かの 未来に行けるとしたら (それを可能にする装置ができたら) 先生は行ってみたい ですか ? 僕は未来に何があるかわからないので行きたくないです。 M: それはオカシナ事を言うものですね。 実際にあなた自身も, 毎秒一秒づつ, 何があるかわからない未来に向かって進んで いるというのに :-p そしてその未来社会を作るのは, あなたの社会的責任なのに。

05s2038: 
先生も以前講義でも話していた「エセ科学」についてレポートを書いた のですが。現在, 「エセ科学」がこれほど蔓延している大きな原因は何だと 考えますか。 M: 安易にわかりやすい結果だけを求めるという「インスタント思考^H^H指向」のせい でしょうか。 そんなに何でも安易に決めつけられたら, 人生つまらないのではないですか ?

05s2039: 
前回の 05s2028 の先生の返答に起因するのですが, 私は面倒くさい 問題は避ける派です。これは良い兆候とは言えないのでしょうか ? しかし, 物事を もっと楽に考えようとする所で法則性や規則性が見つかる場合もあります。 M: 面倒くささの程度を知っていて避ける派なら OK でしょう。 すなわち, 避けたときと避けないで立ち向かったときの差を認識してください。 差を認識するためには, 一度は面倒ごとを体験しておく必要があります。 訓練期間とはそういう期間でもあると思います。

05s2047: 
特にありません M: 

05s2054: 
特にありません M: 

05s2060: 
基礎学問 (自然科学) は, もうある程度飽和していると聞いたのですが, 発見, 発明等, 研究者の立場から見てどう思われますか ? M: そういう伝聞は, 誰がどういう根拠で発言しているかに注意しましょう ...... と, これまで何度も言っているのに。 では逆に, 研究者という職業が成り立っているという点から考えて, あなたはその言質をどう思いますか ?

05s2061: 
特になし M: 

05s2063: 
先生にとっての量子力学・量子化学のおもしろさって何ですか ? M: さまざまな物質の性質を, 共通の基本原理から説明・解釈できることが, 非常に面白いと思います。

05s2067: 
知識を単独で使わないためには どうしたらよいのでしょうか ? M: すでにその発問で答えを言っていると思うのですが ... ? すなわちもちろん複数を組み合わせて考える, が答えですね。 自分の持っている知識のなかで使えそうなものを複数ピックアップして色々考える, ですね。

05s2069: 
特にありません。 M: 

05s2072: 
特にありません。 M: 

05s2077: 
前回の 05s2025 の質問の先生のコメントについてですが, チェスをする コンピュータとはどのようなものですか ? M: 1996 年には IBM のディープ・ブルーが, 世界チャンピオンのカスパロフと対戦し, 1勝3敗2分と初白星をあげ, 翌 1997 年には 2勝1敗3分とついに勝利しました !

05s2079: 
特にありません。 M: 

04s2011: 
人工的に光合成をする研究をやっている研究者がよくいますが, 光合成では光子のうち最大 24 % しか吸収せず, そのうち 42 % が変換されて, 光子全体の約 10 % しか変換されないと聞いて, 模倣するより他の方法を考えたり しないのかと疑問を持ちました。その辺どうでしょう。 M: 太陽光の光エネルギーをデンプンの合成という化学エネルギーに変換するのが 植物の光合成ですが, 研究レベルではより広い概念として酸化還元反応を 光で誘起する反応系を含めて色々やられているようです。 で, 問題の効率ですが ...... たぶんトータルの反応系としては, 天然のものは非常に効率が良いのだったと思います。 もちろん素反応として高効率のものはたくさんあるとも思いますが。

03s2050: 
先生の考える, 科学者のあるべき姿とは どのようなものですか ? M: 「べき」論は, あんまりしたくありませんねぇ。 自然科学者は自然の謎を解明することで, 人類の叡智の蓄積に貢献すればいいのでは ?


Ryo MIYAMOTO, 2007-01-24