質問と回答 (2001-12-18, M が宮本による回答)
- 00s2004:
-
- M:
- 質問が書いてありません。
- 00s2014:
- 量子化学は有機化学のどんなところで, 役に立ちますか。
- M:
- ふだん合成や反応についての実験を行なっている時には, 必要性をほとんど
意識されないかもしれません。しかし ``なぜ ?'' を考え始めると必須ですし,
それを考えることは現代の化学としては必須です。
化合物の構造・反応性などを説明して理解するための言葉が ``量子化学'' と
言えるでしょう。
- 00s2015:
- 積分する時に, 例えば, \phi と \phi^* を交換したら, 等式が, なぜ,
成り立たないのですか ?
- M:
- 質問の主旨がよくわかりません。数学の操作に従った交換であれば,
数学的な ``等式'' は成り立つと思いますが ?
- 00s2016:
- 演算子が交換できるか, できないかということは量子論ではとても
重要なことなのですか ?
- M:
- 重要です。量子論では物理量を演算子で表現しているので, 演算子の性質は
現実の世界での測定実験で得られる測定値と密接に結びついています。
演算子の性質を考えて, どのような実験をすればいいのかなどを工夫することも
あります。
- 00s2018:
- Schr\"odinger 方程式は, どのくらいの範囲で対応しているのか
- M:
- ここで言う ``対応'' の意味がよくわかりません。ボーアの言う対応原理に
よれば, マクロな世界のニュートン力学は, 量子数が大きい場合または
プランク定数をゼロと近似した場合として量子力学の中に含まれます。
しかし, 周期表の後ろの方の重原子中の電子を扱う場合には, 相対論的な効果を
無視できません。ディラックによりこれを取り込んだ拡張がなされています。
- 00s2025:
- ない
- M:
- 質問になっていません。
(質問が無いということは, 全てを知り全てを理解した悟りの境地に達したと
いうことでしょうか ? (別の可能性にはあえて言及しない))
- 00s2035:
- {\cal H} ハミルトニアンはこのじゅぎょうですでに出てきていますが
{\cal L} ラグランジュアンは出てくるのでしょうか。
- M:
- 天下り的にハミルトニアンを出しましたが, 歴史的経緯を考えれば,
[ニュートン力学 → 解析力学 (ラグランジュアン, ハミルトニアン) → 量子力学]
という流れもあるかもしれません。しかし量子論ではラグランジュアンは出て
きませんね。なぜ解析力学というモノが必要だったかということをふまえて,
量子論にハミルトニアン以上のものが必要であるのか, 考えてみるのも面白いかも。
- 00s2037:
- トンネル効果のポテンシャル場について説明してほしいのですが ...
- M:
- (限られた領域の中で) 一様なポテンシャル場にある粒子の運動の問題と
見れば, 特に難しいものではないと思います。注意点は領域が接する場所の
取り扱いで, ここから境界条件などが導き出されます。
また問題によっては興味ある現象が見いだされるので, 壁の中での粒子の
存在確率などを求めていたりしますが, 全ての系について同じように求めても
いっこうにさしつかえありません。(原理的には同じことが起っているはずです。)
- 00s2046:
- 虚数単位「i」の由来は ?
- M:
- 発明した人じゃないとわかりませんね。私は虚数 (imaginary number) の i だと
思っています。電磁気学の分野では電流を表わすのに i を用いるので, 虚数単位と
しては j を使うという話を聞いたことがあります。その意味では絶対的なものでは
ないのかもしれません。
- 00s2053:
-
- M:
- 質問が書いてありません。
- 00s2055:
- なぜ, 時間内に終わらないのですか ? 次の授業があるため,
次回の説明を最後まできけません。
- M:
- どうしてでしょうね。黒板に出てくる学生さんが, てきぱきと要領よく
解答し説明してくれれば, 私が修正事項を指摘したり補足説明したりしなくて
済みますね ;-p
- 00s2058:
-
- M:
- 質問が書いてありません。
- 00s2060:
- 本を見ていると, 答えを ○ と決めて解いている。一年の時物理数学で
解を多少変化させて, 一般解をつくったりしているが, どうしてそうなるか
わからない。経験的にそうなのでしょうか。
- M:
- ``どうしてそうなるか'' の指すものは, 今の決め打ちの答えのことか,
以前の一般解のことかわかりません。``経験的にそう'' が指すものも, 何なの
でしょうか。今回のように答えの関数の形を仮定して解いたのは, 帰納的な意味での
``経験'' ではなく, その問題が過去において演繹的に解かれた事実があるという
意味です。または, 解答者が勉強した経験がある とか。
- 00s2069:
- むずかしいのでもう少しゆっくりやってもらえませんか。(問題を
へらしてもらえませんか)
- M:
- 演習の時間 90 分だけで, 全ての人に全ての事項を理解して納得してもらう
ことは不可能です。この演習の第一の目的は ``論理的に考え, 説明すること'' です。
ところで, 大学の一時限 (90 分) は, 二倍程度の自宅学習を含んで設定されて
いるはずですが, あなたは一週間 (7 day * 24 hour * 60 min = 10080 min) のうち
どのくらいを (この演習のための) 自習にあてていますか ?
- 00s2074:
- \pi-電子系とは何ですか ?
- M:
- 口頭で述べた言葉に, 上記のような字を当てることができるということは,
実はもう知っている事項なのではないですか ? 有機化学の教科書に書いてありま
せんか ? または無機化学の教科書の化学結合に関するところや物理化学の教科書では
いかがでしょうか ? あ, 理化学辞典にも載ってますね。
- 00s2079:
- Schr\"odinger さんは本当にひらめきで波動方程式を考え出したので
しょうか。
- M:
- ``本当に'' と強調する主旨がよくわかりませんが, こればっかりは本人に
聞いてみないとわかりませんね。ド・ブロイの物質波の式の拡張だと書いてある本や,
振動する弦の力学から波動方程式を導出する過程が書いてある本などがありますね。
科学といえども人間の営みなのだから, 直感的なひらめきも重要であるといえます。
ただ, ひらめきをひらめきのままにしておかないで, 理論づけして定式化すること
こそが, 科学といえるでしょう。
- 00s2082:
- 新しい道具をつくるために, 研究をするとしたら, まず何からはじめたら
よいのか。
- M:
- 一般法則としてのベストな方法は存在しないと思う。しかし ``新しい'' と
言っても, 現状の改善・改良にしろ, アンチテーゼにしろ, ニッチにしろ,
現状から離れて全く独立した新しさというものは, あり得ないのではないでしょうか。
そういう意味で, 新しいことをするために過去と現在の知識の蓄積を知ることは,
とても重要なことだと思います。
- 99s2053:
- \left[\hat{\cal L}_x, \hat{\cal L}_y \right] = i \hbar \hat{\cal L}_z ...
(x, y, z を順に置換したものあと二つは省略します) の交換関係は
\hat{\bf L} \times \hat{\bf L} = i \hbar \hat{\bf L} となっているのですが
この式は {\bf L} \times {\bf L} = 0 と同じなのですか ?
- M:
- 交換子の式以外の式の意味がとれませんし, 日本語の文としての脈絡も
よくわかりません。まず前半の「... となっている」について, 本当にそうなって
いるのか ? どうしてそうなるのか ? どんな意味があるのか ?
また後半の「... と同じか ?」についても,
演算子間の関係式とベクトルの外積の式を比べてもねぇ ??
- 99s2070:
-
- M:
- 質問が書いてありません。
- 99s2082:
-
- M:
- 質問が書いてありません。
- 98s2052:
-
- M:
- 質問が書いてありません。
- 98s2059:
- 今回の問題で \sum_i という記号が出てきましたが, この記号の意味が
よくわかりません。\sum_i C_i u_i とあったとき, これは C_i u_i の i を
0 から i まで代入し, 足したものということでいいのでしょうか ?
- M:
- 大筋では間違っていませんが, より正確には i は唯の添字であって上限では
ありません。i のとりうる値の全てについて加え合わせる, 想定されている全ての
項について加えあわせるという意味です。あえて言えば, i = 1 から i = N まで
(明示されていない) 総数 N 個の項についての総和と考えてください。
i = 0 からじゃないのかという類いの議論に意味はありません。項の総数が N だ
とも明示されていないからです。ここでの議論には不必要な要素です。
- 98s2061:
- どういうものが, それぞれのポテンシャルに対応するのですか
- M:
- 今日の出題分については, 最後に説明しました。
Ryo MIYAMOTO
平成13年12月18日