ゲルマニウム上の銀薄膜

膜の作り方の違いによる影響
(電解析出法により作成した場合)

これはゲルマニウムという半導体の単結晶基板の上に銀を電解析出法により析出させた薄膜の走査型電子顕微鏡写真です。
電解析出法は、いわゆるメッキと原理は同じで、銀イオンが溶けている溶液に基板を浸し、その基板と対極の間に電気を流すことによって銀を析出させる方法です。

真空蒸着法で作った薄膜との構造の違いを見て下さい。
おおまかな構造としては、真空蒸着法の場合と同様に“島”が出来ています。しかし、島のでき方がかなり異なり、隙間無くびっしりと並んでいます。さらに、真空蒸着法の場合は島がランダム(でたらめ)に並んでいたのに対し、電解析出法で作った薄膜ではまるで整列しているかのように規則正しく並んでいます。

この薄膜の「薄い」と「厚い」は厚さが倍違います。にもかかわらず、構造には大きな変化がないように見えます。真空蒸着法の場合のように「薄膜の膜厚を厚くしてゆくと島が大きくなってゆき、お互いにくっついてゆく」という様子は見えません。この電解析出法で作った薄膜の場合、「膜厚を厚くしてゆくと、並んだ島の列の上に、さらに島の列ができて並んでゆく」という成長の仕方をするようです。

この様に薄膜の作り方を変えても、薄膜の構造・性質は大きく異なります。どの様な作り方をするかでどの様な構造・性質の膜を作るかがコントロールできるわけです。


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