質問/要望/意見と答(前半)
口頭,メール,出席表での質問のうちの,
いくつかに対する答です。
また,意見・要望で回答が必要と思ったものも
含みます。
実際のやりとりそのままとは限りません。
昨年度以前の授業での質問も含まれます。
架空の質問もあるかもしれません。
答えにくいものは多少回答が遅くなることもありますので,
少し待ってみてください。
授業全体についてのよくある質問・要望と回答
- [質問]
- 教科書以外のおすすめの参考書はありますか。
- [答]
- 以下の本はお勧めできます。
- 地学の基礎IB(高等学校地学基礎)の内容とほぼ対応したもの
- 杵島正洋・松本直記・左巻健男[編著],「新しい地学の教科書」,講談社ブルーバックス.
- 在田・竹下・身延・渡部[編著],「地球惑星科学入門」,北海道大学出版会.
- 日本地質学会[監修]・地学読本刊行小委員会[編],「地学は何ができるか」,愛智出版.
- 一部の分野と関係するもの
- 深尾良夫,「地震・プレート・陸と海」,岩波ジュニア新書.
- 鎌田浩毅,「地球は火山がつくった」,岩波ジュニア新書.
- 横山一己[監修]・宮下敦[著],「ゼミナール地球科学入門」,日本評論社.
- 岡村・池内・海部・佐藤・永原[編],シリーズ現代の天文学1,「人類の住む宇宙」,日本評論社.
- [要望]
- スライドで重要な語句に色を付けてほしい[強調してほしい]。
- [答]
- スライドに示しているのは教科書を要約したもので,基本的には全て重要な部分です。
従って,説明する上で特に必要な場合を除き,特定の語句を強調したりはしません。
全体が見づらくなるからです。
キーワードとなるような専門用語はテキストに太ゴシックで示されていますので,それを参照して下さい。
[要望]○○についてもっと詳しく知りたいです。
[答]時間的制約が厳しく,教科書に載っている範囲をカバーする必要があるため,
それぞれの分野の詳しい話は,各専門の講義で聞いてもらうことになります。授業の内容に関連して
質問してもらえれば,私のわかる範囲で答えたり,参考書などを紹介することはできます。
[初回アンケートの要望と答を一般化]
- [質問]
- 具合が悪くなったときは途中退室していいですか。
- [答]
- かまいません。特に断る必要もありませんが,できるだけ周りの人に
迷惑にならないようお願いします。
- [質問]
- ウェブページのユーザー名,パスワードがわからないので教えて下さい。
- [質問]
- メモしたウェブページのユーザー名,パスワードが間違っているようです。
- [答]
- ウェブページのパスワードについては,
授業の際または直接研究室に来てもらった場合のみ
教えることにしています。
メールでの問い合わせにはお答えできませんのでご了承下さい。
- [質問]
- 授業内容をwebに掲載したのは,そのうち消すのですか。消すのならいつごろですか。
パスワードは変更されますか。
- [答]
- 掲載の期限は決めていません。パスワードの変更の予定はありません。
- [質問]
- 試験の答案は、解答例と同じように書かないと点数はもらえないのでしょうか。
- [答]
- 掲載しているのは「解答例」です。例の様に書いてあれば満点に
なりますが、例と異なっていても十分であれば満点になります。
また、記述された内容に応じてかなり細かく部分点をつけています。
初回アンケートから
- [要望]
- 楽しく学びたい。
- [要望]
- わかりやすい解説・説明をおねがいします。
- [要望]
- 地学は全然わからないので,分りやすい授業をしてほしいです。
- [答]
- この種の要望については,人によって受け取り方に違いがあるので,
全ての受講者に満足してもらうのはなかなか難しいです。
具体的な要望を出してもらえれば,できることについては
実現したいと思いますが,種々の理由,考えから必ずしも要望に添えないことも
あることはご承知おき下さい。
- [質問]
- 地学の授業の予習・復習はどのようにやればよいですか。
- [答]
- まずガイダンスでの説明に従って
やってみて下さい。
- [質問]
- 研究室に17:30以降に質問に行ってもいいですか。
- [答]
- 在室していて,特に都合がない限り対応します。
ただし,在室している場合でも22:00以降はご遠慮下さい。
- [要望]
- 部屋が暑い。換気をして欲しい。
- [答]
- 前回は暖房が入っていました。
気がつけば授業前に窓を開けるようにしますが,
自分たちで授業中に開けてもかまいません。
- [要望]
- 部屋が明るくてスクリーンが見えにくい。
- [答]
- 暗くするとそれも不都合があるので,
黒板灯と最前列のみ消しています。
教室内の液晶ディスプレイにも表示されているので,
各自で見やすいところに着席して下さい。
4月17日の授業から
[質問]内核と外核はいずれも金属鉄からなるとされていますが,内核の方が高温なのに固体なのはなぜですか。
[答]地球の内部は平均的には深くなるほど温度が高くなっています。
教科書24ページの図にあるように,外核と内核の境界である
深さ5100km付近でも,その関係は変わりません。つまり
内核は外核よりも温度が高いと考えられています。
一般に物質は温度が高くなると液体に,温度が低くなると
固体になりますから,これは一見矛盾しているように見えます。
それではなぜ内核は温度が高いにもかかわらず固体なのか。
これは物質のもつ次の性質から説明できます。
液体から固体に,あるいは固体から液体に変わる温度(融点)は,
圧力が変わると変化するということです。多くの場合,融点は
圧力が高くなると高くなります(ただし例外もあり,水の例が有名)。
深くなると圧力が高くなり,それによって融点が浅いところに比べて
上昇するため,その上昇の程度が温度の上昇より大きければ,
浅いところでは融点より高温で液体,深いところでは(その深さでの)
融点よりは低温なので固体,となることがありえます。内核と外核はそのような関係になっていると考えられます
(参考:4月24日 スライド5)。
- [質問]
- 教科書17ページの「遠心力の値は(赤道で)引力の1/300」というのは,地球の偏平率 f=(a - b)/b = 1/298
というのと関係があると考えていいですか。
- [質問]
- 地球より重い星はもっとつぶれた回転楕円体になるのですか。
- [答]
- 物体は自転する速度が速いほど遠心力が大きいためよりつぶれた形になると考えられます。
遠心力と引力の比と偏平率が類似した値になるのが偶然かどうかは(私には)わかりませんでした。
- [質問]
- 沈み込んでいったプレートは最終的にどうなるのですか。
- [答]
- 沈み込んだプレートは,マントル内に一度溜まった後,
最終的にはマントルと核の境界まで沈んでいくと考えられています。
教科書33ページの図16「マントルの運動とプレートの動き」には,
沈み込んだプレートがマントル内を降下していく様子が描かれています。
地球全体では,沈み込んだプレートがマントル-核境界まで沈降する「冷たいプルーム」となり、それに対応して
マントル-核境界付近から上昇する「熱いプルーム」が存在すると考えられています。
近年、このようなプルームの動きがプレート運動を含む地表に見られる様々な現象に
影響を与えているという考えが提唱され、「プルームテクトニクス」と呼ばれています。
- [質問]
- 地球の自転軸が公転面に対して傾いているのはなぜですか。
- [答]
- 正確な原因はわかりません。第4部で説明するように,惑星の自転軸の傾き,自転速度などは
惑星により大きく異なり,過去に惑星ごとの個別の原因で決まっているようです。
- [質問]
- 教科書19ページで,「マントルは固体だが,長時間で見ると流動性を持つようにふるまう」とは
どういうことですか。
- [答]
- マントルは固体ですが長い時間かけると変形するので、時間スケールを長く取ると流体と見なすことが
できます。道路の舗装に用いるアスファルトは(固まった状態では)たたけば割れますが,力を加えた状態で放置すると連続的に変形します。マントルは更に長時間かけてゆっくりと変形し,「流れる」と見なすことができます。
- [質問]
- 教科書22ページの走時曲線は,A→D,A→B→C,A→B→C→D の3種類の経路があるということですか。
- [答]
- A地点からD地点に伝わるのに,A→D,A→B→C→D の2種類の経路がある,ということを示しています。
- [質問]
- 出席票の計算問題の考え方がわかりません。
- [答]
- いずれも「比の計算」で求められます(参考:4月24日 スライド2)。
- [質問]
- 青森県内で化石や地質について学べる博物館はありますか。
- [答]
- 県内では,青森県立郷土館
に,地質関係の展示があります。
[質問]エラトステネスが地球の大きさを推定した当時、
アレキサンドリアとシエネの距離はどうやって測ったのですか。
[答]基本的には人が歩いて行くのに掛かる時間に基づいていたようです
参照
Wikipedia「スタディオン」。
- [質問]
- S波が固体しか伝わらないのはどのような理由によるものでしょうか。
- [答]
- 液体や固体中では物体をずらすような力(せん断応力)に対して抵抗する力が
ほとんどなく変形してしまうので,そのような力の伝播で発生する横波は直ちに弱められて
なくなってしまうからです。
- [質問]
- 地震でP波とS波の2種類の波が発生するのはどうしてですか。
- [答]
- 正確な説明は私にはできませんので,地震関係の授業を受講してみてください。
- [要望]
- 授業スライドを,授業の前にウェブページに掲載してもらうことはできませんか。
- [答]
- ガイダンス時に説明したような勉強の仕方を想定しているので,今のところ
授業前に掲載することは考えていません。
- [質問]
- 月が大きく見えたり小さく見えたりすることがありますが,これは
大きく見えるには低い位置にあるときで,建物などの大きさと比べて見るための錯覚だそうですが,本当ですか。
- [答]
- 1日の内で高いところと低いところで大きさが変わって見えるのは錯覚です。
ただ,月と地球の距離は一定ではないので,距離が大きい時と小さい時では見かけの大きさが変化します
(参考:月の見かけの大きさはいつも一緒なのですか?)。
4月24日の授業から
- [質問]
- 拡大する境界の例としてあげられているアイスランドでは火山が多く分布していますが,
他の拡大する境界では火山があまりないようなのはなぜですか。
- [答]
- 拡大する境界のほとんどは海嶺で,深い海の底にあります。
海嶺は全体として非常に活発な火山活動が起きている場所なのですが,それが人間の目に触れることは
ほとんどないため,たとえば教科書26ページの図4でも描かれていません。
なおアイスランドは拡大する境界の例として教科書に出ていますが,ここは実はホットスポットと拡大する境界が
重複して存在する場所だと考えられています。
- [質問]
- 温泉源もホットスポットにあたりますか。
- [答]
- 温泉の熱源は地殻内の比較的浅いところにあると考えられますので,
プレートテクトニクスで言うところのホットスポットとは別です。
- [質問]
- 出席票の「問2」が良くわかりません。なぜ移動方向が北北西になるのでしょうか。
- [答]
- 5月1日の授業の際に追加説明を行いました。
- [質問]
- ハワイ諸島から天皇海山列の火山の分布から,プレートの運動方向が変化したことがわかると
いうことですが,方向が変化した原因は何ですか。
- [答]
- 原因については良く分かっていないようです。屈曲の原因をプレートの運動方向以外に求める説もあるようです。
- [質問]
- 最近,小笠原諸島の西ノ島で火山噴火があり,島が拡大していることが報じられていますが,
ハワイのようなホットスポットの火山とは,島ができる材料(?)などでどのような違いがあるのでしょうか。
- [答]
- 一般的に言えば,日本列島のような沈み込み帯で噴出するマグマと,ホットスポットのマグマとでは,含まれる化学成分の量比(化学組成)に系統的な違いが見られ,それぞれで形成された岩石を分析すればほぼ識別することができます。具体的な違いについてはここでは説明は省略します。
- [質問]
- 授業で説明していたアフリカにある拡大境界とはどこですか。それはどのプレートに関係していますか。
- [答]
- アフリカ大陸の東部,エチオピア中央部からケニアにかけてほぼ南北に伸びる大規模な他に地形があり,
「大地溝帯」,「東アフリカ地溝帯」などと呼ばれています。
ここは現在アフリカプレートが分裂して拡大しはじめているプレート境界と考えられています。
- [質問]
- 明治海山や推古海山はなぜこのような名前になったのでしょうか。
- [答]
- 以下の論文に命名の経緯が紹介されています。
天皇海山列 : 発見・命名のいきさつと生成の謎
- [質問]
- プレートが少しずつ動いているのなら,いつかはハワイと日本がつながってしまうのですか。
- [答]
- 太平洋プレートが日本海溝で沈み込んでいるために,太平洋プレートに乗っているハワイ島は
プレートの動きによって日本に近づいています。
教科書31ページにあるように,現在のミッドウェー島は
現在のハワイ島の場所で形成され,2770万年かけて現在の場所まで移動して来たと考えられています。
この年代と,地図上でのハワイ島―ミッドウェー島―日本列島の位置関係を見て,
日本付近に到達するまでどれ位かかるか考えてみて下さい。
- [質問]
- リソスフェア,アセノスフェアはどういう意味の言葉ですか。
- [答]
- リソスフェア(lithosphere),アセノスフェア(asthenosphere)は,
ギリシャ語に起源を持ち,石の(litho),脆い(astheno)に球,圏(sphere)を組み合わせてつくられた用語です。
- [質問]
- プレートの境界を,「広がる境界」,「狭まる境界」,「ずれる境界」と書いても
かまいませんか。
- [答]
- たいていの場合は問題ないと思います。
- [質問]
- 年代を決めるのに放射性同位体を用いるということですが,どのようにして年代がわかるのですか。
- [答]
- 第2部で説明する予定です(教科書84ページ)。
- [要望]
- メモを取るのに,スライドにページ数(番号)がついていると便利なのですが,
そのようにできないでしょうか。。
- [答]
- すぐにはできませんが,今後そのようにする予定はあります。
- [質問]
- ホットスポットでは深所からマグマが連続的に上昇するように図では示されていますが,
その上に形成される火山が連続した尾根にならずに,不連続な島の連なりになるのはなぜですか。
- [答]
- ある程度の深さまでは高温の物質が連続的に上昇し,マントル最上部から地殻ではそれが
不連続な塊に分れるからと考えられます。
- [質問]
- 化石が海水に溶けずに残るのはなぜですか。
- [答]
- 化石として残る部分は炭酸カルシウム(CaCO3)か二酸化ケイ素(SiO2)からなる場合が多いですが,
これらが海水に飽和している場合には溶けずに残ります。二酸化ケイ素は多くの場合飽和していますが,
炭酸カルシウムは浅い海では飽和していますが深海では不飽和になり,炭酸カルシウムの殻を持つ生物は
深海に堆積した場合溶けて残らなくなります。
5月1日の授業から
- [質問]
- 通常の地震は震央を中心にほぼ同心円状に分布するため,
ある程度の震源の位置は分かると思いますが,異常震域があった場合はどのようにして決めるのですか。
- [答]
- 異常震域の場合,震度の分布は通常の地震と異なりますが,
PS時間が伝播距離が大きくなるほど増大することは変わりありませんので,同じ方法で震源を決定できます。
- [質問]
- 日本で最も多い火山の形はどれですか。
- [答]
- 教科書の47ページに紹介されているうちでは,
(b)の成層火山になると思います。
- [質問]
- 出席票の2番目の問題ですが,東京都に火山があるんですか?
- [答]
- これは一種のひっかけ設問になったかもしれません。
23区内はもちろん,本州内の東京都には火山はありませんが,
伊豆大島や,三宅島,八丈島などはすべて“東京都”です。
- [質問]
- なぜ、すれ違う境界には火山が形成されないのですか。
- [答]
- 5月15日の授業で、拡大する境界、収束する境界、ホットスポットでそれぞれどのようにして
マグマが発生するかを説明しました。そのようなことがすれ違う境界の地下では起こらず,
マグマが発生しないと考えられるからです。
- [質問]
- 教科書47ページの写真には,緑の多い火山と少ない火山がありますが,
それにはなにか理由がありますか。
- [答]
- 溶岩や火山灰で火山が形成された直後には,当然ながら火山は植生に覆われていません。
湿潤で温暖な気候の下では,火山は徐々に植生に覆われていきます。
どのくらいの時間がかかるかは,主に気候条件に左右され,10年ほどで周囲と見分けがつかなくなることもあれば,
乾燥した気候のもとではそもそも植生が発達しないこともありえます。
- [質問]
- 軽石は火山が近くにないようなところでも見られます(家の庭など)。
このような軽石は火山噴火ではない原因で形成されたものなのでしょうか。
- [答]
- 軽石に似た人工物などは別として,本物の軽石は火山の噴火によって形成されたものです。
軽石を噴出するような噴火は爆発的で,軽石を空高く吹き上げたり,火砕流によって地表を流れたりして,
噴出した場所からかなり遠方まで運ばれます。
そのため近くに火山がないと思われる場所でも見つかることはよくあります。
5月15日の授業から
- [質問]
- 結晶が成長するというのはどういうことですか。
- [質問]
- 出席票の問題で(h)と(g)でどちらが先なのかよくわかりませんでした。
- [答]
- 5月22日の授業で追加説明します。
- [質問]
- 火成岩中の鉱物組織で,自形の鉱物が他形の鉱物よりも先に晶出したということですが,
後から硬い鉱物ができて先に晶出した鉱物が削られて自形でなくなるというようなことはおきないのですか。
- [答]
- 硬い鉱物に削られるということはないと思いますが,温度や残った液の化学組成の変化により,
周りの液や鉱物と反応して,先に晶出した鉱物が不規則な形状になることはあります。
よって実際の岩石ではそのような現象も含めて良く観察する必要があります。
- [質問]
- 層理と葉理の違いは何ですか。
- [答]
- いずれも地層の成層構造を表しますが,1枚ずつの層が厚いのが層理,薄いのが葉理です。
層理を成す各層の内部に見られる成層構造を葉理とする場合と,
単に厚さ1cmよりも厚ければ層理,薄ければ葉理とする場合とがあります。
- [質問]
- 「超塩基性岩」に対して「超酸性岩」というのはないのですか。
- [答]
- そのような区分はなく,教科書52ページの表に従えば,SiO2が約66%よりも
多い火成岩はすべて「酸性岩」になります。
- [質問]
- 「デーサイト質マグマ」とは具体的にはどのようなものですか。
- [答]
- 火山岩として固結したときにデーサイト
(「デイサイト」という表記の方が一般的と思いますが,教科書に従います)になる
マグマがデーサイト質マグマです。教科書52ページの表ではSiO2の量が約66%を超える
酸性岩(ケイ長質岩)の火山岩をデーサイト・流紋岩としています。
デーサイトと流紋岩の区別は,単にSiO2の量に基づく場合(SiO2が70%を超えると流紋岩)と,
SiO2とNa2O+K2Oの量の両方を考慮して決める場合(SiO2とNa2O+K2Oに富むほうが流紋岩)とがあります。
- [質問]
- 超塩基性岩から酸性岩に変化するにつれてカリウムの量が増加するのはなぜですか。
- [答]
- 単純化するために,変化が結晶分化作用によって生じると考えます。
カリウムは,52ページの図41の中ほどに示されたマグマから結晶化する鉱物の内,
黒雲母とカリ長石以外にはほとんど含まれません。そのため結晶ができるとどんどん液体マグマのほうに
濃集していくことになります。黒雲母とカリ長石は酸性岩(ケイ長質岩)にならないと結晶化しないため,
それまではカリウムが増えていくことになります。
- [質問]
- 直径が2mmちょうどの砕屑物は礫と砂のどちらになりますか。
- [答]
- 教科書66ページの表1では,直径2mm「以上」を礫としていますので,
教科書に従えば礫ということになります。実際は,2mmちょうどの砕屑物はない(理論的には確率0)ですし,
そもそも不定形の粒子に対し「直径」をどう定義するのか,
定義できたとしてどのような方法で測定するのか,また普通は単独の粒子ではなく
粒子の集合である堆積物を問題としますが,2mmをはさんで径の異なる粒子が含まれる場合どうするのか,
など考える必要があることがたくさんあるので,「ちょうど2mm」の場合をまじめに議論することはないと思います。
- [質問]
- (回覧した標本の)黒雲母はどのようにしてはがすのですか。
- [答]
- はがさないで下さい(笑)。
5月22日の授業から
- [質問]
- 鍵層の例として火山灰層が挙げられていましたが,他にはどのような地層が鍵層になるのですか。
- [答]
- 鍵層は「地層の対比に役だつ地層(教科書82ページ)」なので,一連の地層中で他と区別できる
特徴があれば鍵層として用いられる可能性があります。たとえば特定の化石や鉱物がある層の中にしか含まれなければ
鍵層に成り得ます。やや特異なものとしては,白亜紀末の大量絶滅を引き起こしたとされる隕石の落下が推定されたのは,一般の岩石にはごく微量しか含まれていないイリジウムという元素がその時代の層に濃集していることが発見されたのがきっかけでした。その結果,「イリジウムを含む層」が白亜紀末を示す鍵層と見なすことができることになりました。つまり,ある地層が鍵層であることがはじめから決まっているわけではなく,いろいろと調査した結果,鍵層である(鍵層として使える)ことが明らかになる,ということになります。
- [質問]
- 教科書などに載っている古生物の体の色は想像で決めているのでしょうか。
- [答]
- 化石に体表の色が保存されていることはほとんどないので,現生の生物の類推から
決めていると思われます。
- [質問]
- 地球の形成時に運動エネルギーの変換により大量の熱エネルギーが発生したということですが,
私たちが現在動いているエネルギーも地球形成時のエネルギーに由来するのでしょうか。
- [答]
- 私たちが現在動いているエネルギーは,ほとんどが太陽光に由来すると考えられます。
これについては第3部,第4部で扱われます。
- [質問]
- 太古代を始生代と書いたら間違いですか。
- [答]
- ほぼ同義に用いられますので,どちらでもかまいません。
- [質問]
- 放射性同位体の半減期はどのようにして調べるのですか。
- [答]
- 半減期は同位体が単位時間に崩壊する確率によって決まります。
崩壊する確率は,同位体を十分な量用意しておいて,物質の量(原子数,モル数)と
決まった時間の間に崩壊する量(崩壊に伴い発生する放射線の量を測定して決める)との
関係から求められます。
- [質問]
- 回覧した標本の結晶片岩の断面には,片麻状組織のような縞状構造が見られましたが,
どうしてでしょうか。
- [答]
- 結晶片岩と片麻岩は変成作用の条件(主に温度の上昇)に伴って連続的に変化します。
そのため結晶片岩と判断される岩石でも一部に縞状構造を示す部分が見られるのは珍しくありません。
5月29日の授業から
- [質問]
- 出席票の日付が…。
- [答]
- はい,印刷ミスです。
- [質問]
- カンブリア紀の地層が日本に無いと言う事は,日本はカンブリア紀には存在していなかったということですか。
- [答]
- 現在の日本列島を構成している地層は,全てが順次同じ場所で形成されたわけではなく,
お互い水平方向にも深さ方向にも異なった場所で形成された地層・岩石がその後のプレート運動,地殻変動で
様々に変形されたり,つなぎあわされたりしてできたと考えられます。カンブリア紀の地層が日本に無い
(見つかっていない)というのは,文字通りそれだけの意味で,「カンブリア紀の日本」というのを特定して
考えることはできません。
- [質問]
- 5大絶滅事件ではその時代にいた生物の半数ほどがいなくなったと思っていたので,
意外と絶滅した種類が少ないと思いました。
- [答]
- 教科書101ページのグラフは,「科」の数での変化を示しています。
これを「種」の数で見ると絶滅した割合はずっと多くなり,たとえばペルム紀末の絶滅では
約95%の種が絶滅したという見積もりがあります。
- [質問]
- 日本列島はプレート運動に伴って将来どのように変化していくと考えられるのでしょうか。
- [答]
- たとえば「日本列島 プレート 未来」で検索すると
いろいろな考えが出てきますが,私にはどうなるのか良くわかりません。日本列島付近は世界的に見てもプレート境界の
分布が複雑な地域のひとつで,正確な予測はなかなか難しいと思います。
- [質問]
- 爬虫類から鳥類が分化したと書いてありますが,
ティラノサウルスには羽毛が生えていたという話を聞いたことがあります。
恐竜は爬虫類ですがティラノサウルスは鳥類に分化しなかったということでしょうか。
- [答]
- 鳥類の起源は恐竜(に分類される爬虫類)であるという説が有力ですが,
ティラノサウルスからというわけではないと思います。
- [質問]
- 氷河期にも火山の噴火は起こっていたのでしょうか。
- [答]
- 「氷河期」(あるいは「氷河時代」)という場合にはまさに現在がそうなので
(「氷河期」の中に氷期と間氷期があり,現在は間氷期),
もちろん噴火は起こっています。それを別にしても,
地球の歴史の中で,地球全体で地質時代として意味のある期間にわたり火山活動が停止した
例は知られていないと思います。
- [質問]
- 教科書94ページには「コケなどを除くと最初の陸上植物である,クックソニアが現れたのはシルル紀」
とありますが,コケなどを含む最初の陸上植物はいつ現れたのでしょうか。
- [答]
- オルドビス紀中期(4億5千万年前)頃とされているようです。
- [質問]
- 石炭紀にシダ植物が大型化して繁栄したのはなぜですか。
O2が増大したことと関係がありますか。
- [答]
- 原因を特定することは困難と思われますが,
O2の増大は植物の繁栄の結果と考えられます。
- [質問]
- 有孔虫とはどのような生物ですか。現在も生息していますか。
- [答]
- 主に海水中に生息する単細胞の生物で,炭酸カルシウムなどからなる
殻を持ちます。現在の海にも生息しています。
理工学部地球環境学科の根本教員は,現在及び地質時代の有孔虫について
研究しています。
- [質問]
- スライドのエディアカラ「動物群」は「生物群」ではないでしょうか。
- [答]
- そうですね(動物群としている文献もあるのですが教科書に従います)。訂正しておきました。
- [質問]
- 授業態度が評価されないのは少々不満です。
- [答]
- ガイダンス時の説明の通りに,授業態度は出席票の記述内容に基づいて評価されます。
メールでの質問から
- [質問]
- 4月24日の3枚目のスライドで,核の説明が「地球深部に液体部分が存在する」
となっていますが,内核は固体なので核ではない,ということになりませんか。
- [答]
- その記述のすぐ下に書いてあるように、
「外核…液体」,
「内核…固体」
で,両方が「核」です。
「地球深部に液体部分が存在する」というのは、
それが地球のほかの部分とは異なる核の大きな特徴
であるため強調して述べているのであり,
核の定義を示しているわけではありません。
- [質問]
- ウェブページのユーザー名,パスワードがわからないので教えて下さい。
- [質問]
- メモしたウェブページのユーザー名,パスワードが間違っているようです。
- [答]
- ウェブページのパスワードについては,
授業の際または直接研究室に来てもらった場合のみ
教えることにしています。
メールでの問い合わせにはお答えできませんのでご了承下さい。
[地学の基礎I(B) ホーム]
Minoru SASAKI
minoru@cc.hirosaki-u.ac.jp