質問と答(後半)

口頭,メール,出席表での質問のうちの, いくつかに対する答です。 また,意見で回答が必要と思ったものも 含みます。 類似した質問に対しては、過去の質問と回答を掲載している場合があります。 実際のやりとりそのままとは限りません。 架空の質問もあるかもしれません。


6月7日の授業から

[質問]
オゾン層のオゾンはずっとオゾン層にとどまっているのですか。 低い所に降りてきたりしないのですか。
[答]
オゾンは時間とともに一定の割合で酸素に戻っていきます。オゾン層の オゾンは時間とともに拡散しますが、新たに発生しない場所では減少していき、無くなってしまいます。 オゾン層では発生と生成がつりあった状態にあるため、定常的にオゾンが存在しています。
[質問]
教科書130ページ図2に記されている「流星」は何を意味しているのですか。
[答]
流星は太陽系内の粒子(1mm未満から数cm以上程度)が地球の大気圏に突入して 大気との摩擦により発光する現象です。図では、流星が発光する主な高さを示しています。
[質問]
地球の大気で窒素の量が多いのはなぜですか。
[答]
地球の初期の大気では、現在の金星や火星と同様に大気の95%程度が二酸化炭素で、 窒素は数%未満だったと考えられます。地球ではその後、光合成を行う生物の進化や、 海に二酸化炭素が溶け込んで炭酸カルシウムとして沈殿することにより、 二酸化炭素が減少しました。そのため残った窒素の割合が高くなったと考えられます。
[質問]
どこに行けば宇宙の勉強できますか。
[答]
宇宙については第4部で学びます。それ以上のことは、 何をどれくらい学びたいのかがわからなければ答えられないので、 具体的に質問して下さい。
[質問]
トリチェリの実験の際に、試験管の口の大きさは関係ありますか。
[答]
試験管の口径には関係なく、気圧が同じであれば一定の高さになります。
[質問]
オゾン層の破壊は地球にどんな影響がありますか。
[答]
地表に到達する紫外線の量が増大すると考えられます。

6月21日の授業から

[質問]
フェーン現象の「フェーン」とは何ですか。
[答]
“フェーン”は“Fohn”というドイツ語で,もともとはアルプス地方でアルプス山脈を超えて吹き降ろす高温で乾燥した風に対して使われていたものが,一般名になったものです。
[質問]
フェーン現象は太平洋側にはあまり起こらないんですか。
[答]
フェーン現象によって顕著に温度が上昇するのは、湿度の高い比較的高温の空気が 風によって高い山を超えた場合で、そのような状況は季節風の関係で太平洋側よりは日本海側で起こりやすいでしょう。 原理的には冬季の太平洋側でも生じているはずですが、気温がそもそも低いのでそのように認識されていないのかも知れません。
[質問]
漠然と宇宙のことについて詳しく学びたいと思った場合、どのような本がおすすめですか。
[答]
(「漠然と」「詳しく」というのがいまひとつよくわかりませんが)宇宙・天文関係について 詳しく勉強したい場合には、 「シリーズ 現代の天文学」(日本評論社,全17巻)を薦めます。 附属図書館にもあります。

6月23日の授業から

[質問]
冬は大陸に高気圧が発達し、夏は海洋に高気圧が発達するのはなぜですか。
[答]
大陸と海洋の相対的な温度差によります。
[質問]
台風・ハリケーン・サイクロンは規模が違うということ以外に、違いはありますすか。
[答]
定義の違いにより規模の違いが生じますが、本質的には同じものと考えて良いようです。 <参考>世界の台風(タイフーン)・ハリケーン・サイクロンの比較
[質問]
コリオリの力はなんで発見されたんですか。
[答]
具体的な現象としてどのように発見されたのかは分かりませんが、 名前の由来であるコリオリ(Coriolis)は、運動方程式の解析からそのような見かけの力の存在を 明らかにした、のだそうです。

6月28日の授業から

[質問]
エルニーニョ現象やラニーニャ現象が起こる周期が数年に1度であるのはなぜですか。
[質問]
エルニーニョやラニーニャという名前はどこからつけられたのですか。
[答]
気象庁の解説を見て下さい。
[質問]
オゾン層破壊の対策としてどのようなことが行われていますか。
[答]
フロンの排出量規制、代替物質の開発などが行われています。
[質問]
海水中に含まれる成分の起源はどこでしょうか。
[答]
海水中の成分は、いずれも元をたどれば岩石の風化や火山ガスなどに由来します。
[質問]
海水の上下交換にかかる約1000年とは、どのようにして計算したのですか。
[答]
深層水中の放射性炭素(14C)や他の放射性同位体の濃度に基づき、いくつかの仮定の下に 計算されています。
[質問]
南半球でも「西岸強化」になりますか。
[答]
はい。北半球の場合と同様な図を描くとそうなるはずです (コリオリ力が進行方向左向きに働くので)。
[質問]
弘前市でもヒートアイランドは生じますか。
[答]
過去の理工学部地球環境学科の卒業研究で、 ヒートアイランドと考えられる現象を観測したという報告を聞いたことがあります。

7月5日の授業から

[質問]
教科書などで見る天体の写真は人間によって色がつけられていると何かで聞きました。 それは本当ですか。
[答]
観測のために天体を撮影する場合、フィルターを通して特定の波長領域の光(赤外線や紫外線を含む)のみからなる画像を得ることが多いのですが、それらを合成してカラー画像にする場合、どのように色を割り当てるかによって 見かけが全く変わってしまいます。特に赤外線や紫外線を含む場合は、「本当の色」がそもそも存在しないわけで、 作成者の判断で様々な色のものができることになります(「擬似カラー」などと呼ばれます)。 そういう意味では、「人間が色をつけた」と言えるかもしれません。
[質問]
惑星,準惑星,小惑星の違いは何ですか。
[答]
国立天文台サイトの 惑星の定義とは?を参照して下さい。
[質問]
どうして惑星は球体なのですか。
[答]
惑星の定義の一部に、 「十分大きな質量を持つために自己重力が固体としての力よりも勝る結果、 重力平衡形状(ほぼ球状)を持ち」という言葉あるとおり、ある程度よりも大きな質量になると 重力(と遠心力)のもとで球あるいは回転楕円体が安定な形になるからです。

7月12日の授業から

[質問]
地球から見た太陽の自転周期が緯度によって異なるとあり、教科書には太陽が固体でなく気体であるからとありますが、よくわかりません。
[答]
たとえば地球を外からみて自転周期を決めようとするとき、地表の大陸などを目印として測定すれば、 どこの場所で測っても同じになりますが、雲を目印にすると雲の移動により時と場所により一定にならなくなります。 それと同じ様に考えれば理解できると思います。
[質問]
どうやって星や惑星の質量を測っているのですか。
[答]
基本的には、連星の場合(教科書213ページ)と同様に、重力による運動を観測して測定します。
[質問]
オーロラは、いつ、どこでみることができるか教えて下さい。
[答]
南極と北極の周りを取り巻く「オーロラベルト」と呼ばれる領域(緯度65〜80度程度)で 主に発生します。カナダやアラスカへの観光ツアーが多数行われていますので、それに参加するのが 簡単でしょう。

7月19日の授業から

[質問]
231ページのグラフでは、赤方偏移のzが0.003→v=1000km/s(だいたい)ですが、このグラフがきれいに比例しているとすると、z=6.6 の銀河の後退速度は2.2×10^6km/s となり、光速を超えてしまいます。
[答]
赤方偏移の原因を、教科書231ページに説明されているような一般的なドップラー効果によると 仮定した場合には、赤方偏移zと後退速度vは正比例し、z=1 で 「後退速度」が光速に等しくなります。このような場合は一般相対性理論に基づく解釈が必要で、 「後退速度」を単純な速度と考えることはできなくなります (zが1よりも十分に小さければ図12の説明でよい)。 この点については授業での説明は不正確でした。
[質問]
銀河面に星間物質が集中するのはなぜですか。銀河の中心から球状に集まらず、 円盤状になるのはなぜでしょうか。
[答]
銀河が全体として回転しているから、というのがとりあえずの説明になると思いますが、 それ以上はわたしにはよくわかりません。
[質問]
なんで銀河が集中するところと全くないところができるんですか。
[答]
「ビッグバン直後に生成した密度ゆらぎが自己重力で成長して形成された」構造と 考えられているそうです。
[質問]
「腕」って何ですか。
[答]
銀河の場合、渦巻きを構成する細長く伸びた部分です。
[質問]
水素の分布によって、銀河系が渦巻銀河であると考えられるのはどうしてですか。
[答]
教科書227ページの図6をそのつもりで見ると渦巻きに見える、ということです。
[質問]
自分たちが肉眼で1つの星にみえるものも銀河のことが多いのですか。それとも天の川銀河の恒星が明るく多く見えていますか。
[答]
肉眼で見える恒星はほすべて天の川銀河(銀河系)内のものです。大型の天体望遠鏡で 非常に暗い天体を調べると、ある程度より暗い天体はほとんどが遠方の銀河になります。

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Minoru SASAKI minoru@cc.hirosaki-u.ac.jp