質問/要望/意見と答(前半)

口頭,メール,出席表での質問のうちの, いくつかに対する答です。 また,意見・要望で回答が必要と思ったものも 含みます。 実際のやりとりそのままとは限りません。 架空の質問もあるかもしれません。 答えにくいものは多少回答が遅くなることもありますので, 少し待ってみてください。


全体について

[質問]
教科書以外のおすすめの参考書はありますか。
[答]
以下の本はお勧めできます。

授業について

[要望]
スライドで重要な語句に色を付けてほしい[強調してほしい]。
[答]
スライドに示しているのは教科書を要約したもので,基本的には全て重要な部分です。 従って,説明する上で特に必要な場合を除き,特定の語句を強調したりはしません。 全体が見づらくなるからです。 キーワードとなるような専門用語はテキストに太ゴシックで示されていますので,それを参照して下さい。
[要望]
○○についてもっと詳しく知りたいです。
[答]
時間的制約が厳しく,教科書に載っている範囲をカバーする必要があるため, それぞれの分野の詳しい話は,各専門の講義で聞いてもらうことになります。授業の内容に関連して 質問してもらえれば,私のわかる範囲で答えたり,参考書などを紹介することはできます。 [初回アンケートの要望と答を一般化]
[質問]
具合が悪くなったときは途中退室していいですか。
[答]
かまいません。特に断る必要もありませんが,できるだけ周りの人に 迷惑にならないようお願いします。

初回アンケートから

[要望]
楽しく学びたい。
[要望]
わかりやすい解説・説明をおねがいします。
[要望]
地学は全然わからないので,分りやすい授業をしてほしいです。
[答]
この種の要望については,人によって受け取り方に違いがあるので, 全ての受講者に満足してもらうのはなかなか難しいです。 具体的な要望を出してもらえれば,できることについては 実現したいと思いますが,種々の理由,考えから必ずしも要望に添えないことも あることはご承知おき下さい。
[要望]
ガイダンスのプリントに書いてあることを,長々と説明しなくてもいいと思います。
[答]
全ての人がプリントを配布しただけで理解してくれれば私も楽で助かるのですが, 決してそうではない事は経験上明らかですので,多少くどくとも時間をかけて説明しています。
[要望]
地学の授業の予習・復習はどのようにやればよいですか。
[答]
まずガイダンスでの説明に従って やってみて下さい。
[要望]
視力が悪いので,できるだけ大きめの文字にしていただけると嬉しいです。
[要望]
スライドの文字を大きくして下さい。小さくて見えないのと,目がちかちかしてくるので。
[要望]
字の大きさは今回の一番小さな物より小さくしないで欲しい。
[答]
スライドはおおむね32〜24ポイント程度の文字で作成しています。ガイダンスのスライドには 一部それを下回る部分がありましたが,できるだけ上記の範囲内になるようにします。 なお,どうしても見難い方は前のほうの席にどうぞ。たいていいくつか空いています。 また,図の出典など,その場で見えなくてもよいと判断した一部については, あえて字を小さくしている場合もあります(ウェブページに掲載した状態で読めればよいという判断で)。
[要望]
後でウェブページで見る機会があるとはいえ,ある程度はその場でノートに書ける内容のスライドが望ましいです。わかりやすい分類図などがほしいです。
[答]
その場でそのまま全部を写す必要はない,と言っているのであって,ノートをとることは必要です。 自分で必要と判断した範囲でノートをとって下さい。

5月19日の授業から

[質問]
マグマは外核から上昇してくるのですか。
[答]
地表で観察されるマグマは,マントルの比較的浅い部分(上部マントル) を構成しているかんらん岩と呼ばれる岩石が融解して発生すると考えられています。 詳しくは6月2日の授業で説明します。
[質問]
極と赤道では,赤道の方が体重が軽くなるのですか。
[答]
質量としての体重はもちろん変わりませんが,バネばかりなどで 計った「重さ」は,赤道のほうが重力が小さいため軽くなります。
[質問]
星の光が遠方からだと平行光と考えていいのはなぜですか。
[答]
近くからだんだん遠方に光源を移動していく様子を図に描いてみれば 理解できると思います。
[質問]
地球内部の温度の推定(教科書13ページ図10)で,途中で温度が 不連続に変化するのはどうしてですか。
[答]
地下深部の温度は直接測定することができないので,さまざまな情報を元に 推定しているのですが,まだ不確実な点が多いのが実情です。図に示されている温度幅は 推定の不確実さを表しています。急変するのは上部マントル-下部マントル境界と, マントル-核の境界ですが,そこでは構成している物質が変わるため,推定条件が変化して 見かけ上不連続になることになります。実際の温度分布は,この幅の中のどこかを通過する 連続な曲線になっているはずです。
[要望]
マイクの音が小さいです。
[要望]
マイクを使用して下さい。
[答]
授業のはじめに確認したはずだが…と思いましたが,終了後に確認したところ, マイクの電池が切れていました。気をつけるようにしますが,できれば授業中に教えてもらえれば 助かります。

5月26日の授業から

[質問]
沈み込んでいったプレートは最終的にどうなるのですか。
[答]
沈み込んだプレートは,マントル内に一度溜まった後, 最終的にはマントルと核の境界まで沈んでいくと考えられています。 教科書20ページの「参考:マントルの運動」の図には,日本列島の下から核にまでいたる地震波の 速度が速い部分(青色で示された部分)が示されています。これが 沈み込んだプレートの行方と考えられています。
[質問]
「プレート」は折れないのですか。
[答]
「プレート」はもっとも荒い近似では「剛体」ですが、 3次元的に考えると、沈み込んでいく時には曲がっているはずです。 実際、沈み込んでいくうちに、曲がったり、折れたり、ちぎれたりしていると 推定されるような観測結果も見出されています。
[質問]
大森公式の「大森」は人名ですか。
[答]
発見者である地震学者「大森房吉(1868-1923)」に由来します。 なお、参考までに、「大森公式」と呼ばれるものには、教科書に紹介されている 「震源距離に関する大森公式」の他に、余震の数の時間変化に関するものもあります。
[要望]
後のほうで私語をしている人がいるので,注意してほしい。
[答]
気がついたときはできるだけ注意するようにします。
[要望]
モニタディスプレイを使用して下さい。
[答]
電源が入っていなかったようです(特に使用することを意識していませんでした)。 前回,前々回には特に指摘がなかったので,そのときはついていたと思いますが, そうであればこれも授業中に教えてもらえればありがたいです。

6月9日の授業から

[質問]
なかなか立体視がうまくいきません。なにかコツがあるのですか。
[答]
河岸段丘立体視の ページに簡単な説明を付けておきました。ただ,どうしてもできないという人もいますので,そのときは残念ながら あきらめていただくより仕方ありません。
[質問]
領家変成帯の“領家”とは由来は何ですか。
[答]
静岡県浜松市天竜区水窪町の「奥領家」という地名にちなむ命名です。
[質問]
教科書61ページの図19(b)で、3つの直線の交点ではどの鉱物ができるのですか。
[答]
ちょうど交点に相当する温度・圧力の条件では、3つの鉱物が同時に岩石の中に存在する (共存する)状態になります。同様にそれぞれの直線上に相当する温度・圧力条件下では、直線の両側の 鉱物が共存します。
[質問]
「多形」と「同素体」は同じ意味ですか。違うのなら違いを教えて下さい。
[答]
「同素体」は、「単体」(単一の元素のみからなる物質)で結晶構造や分子構造が 異なるものをいいます。「多形」は、単体に限らず化学組成が同じで結晶構造の異なる物質同士の 関係を言います。つまりダイヤモンドと石墨の関係は同素体であり多形ですが、紅柱石と珪線石の 関係は多形であるが同素体ではなく、酸素(分子)とオゾン(分子)の関係は同素体ですが多形では ない(多分、普通は言わないと思う)ということになります。
[質問]
広域変成作用の高温低圧部でできる片麻岩と接触変成作用の結晶質石灰岩はできる条件は似ているのにどうしてこんなにも粒の大きさや特性に違いができるのでしょうか。
[答]
いろいろな要因がありますが、一番大きいのは原岩(変成作用を受ける前の岩石)の違いでしょう。
[質問]
結晶分化作用で岩石が変化するのはどうしてですか。
[答]
玄武岩質マグマの結晶分化作用によって、安山岩質マグマ、デイサイト質マグマ、流紋岩質マグマが 順次生じますが、それらのマグマがその時々で噴出すると、それぞれ玄武岩、安山岩、デイサイト、流紋岩が生じます (深成岩として固結すれば、斑れい岩、閃緑岩、花崗岩になる)。固体の岩石になってから変化するわけではありません。
[質問]
マグマの分化のところで、少しずつ冷やされて結晶化して沈んで行き、 玄武岩質→安山岩質→…と変化しますが、玄武岩のマグマのほうが熱いということですか。
[答]
はい、そういうことです。
[質問]
「片状組織」と「片理」,「片麻状組織」と「縞状構造」は,それぞれ同じ意味なのですか。
[答]
「片状組織」と「片理」はほぼ同じ意味で用いられると思います。 「片麻状組織」と「縞状構造」は、「縞状構造」の方がより広い意味で(変成岩以外にも)用いられます。
[質問]
侵食→運搬→堆積というサイクルで堆積岩ができるまでの家庭を続成作用というのではないのですか。
[答]
「続成作用」は、粒子がばらばらの状態である「堆積物」が、粒子同士が結合し全体として硬い「岩石」に 変化する作用を言います。
[質問]
沈積と堆積では意味が違うのですか。
[答]
一般の言葉としてはほぼ同じ意味ですが、ここでは「堆積」をより広い意味に(も)使用しています。
[質問]
カリ長石に炭酸水をかければ粘土ができるということですか。
[答]
原理的にはそのとおりですが、反応速度はさほど速くないと思いますから、 目の前で変化するというわけには行かないでしょう。
[質問]
今回回覧した大理石はおいくらですか。
[答]
自分で購入したものではないので、そのものの値段はわかりませんが、 大理石は普通に石材として使用されているので、似たようなものは数百円で入手できると思います。
[意見]
スライドを授業前に公開してほしいのは,予習できるのもそうですが,スライドをプリントアウトしてそれに書き込みしたいと思っているからです。
[答]
予習については教科書を使用することを想定しています。 スライドをプリントアウトすることは推奨していません。

6月16日の授業から

[質問]
続成作用で砂粒の隙間を埋める鉱物にはどのようなものがあるのですか。
[答]
カオリナイトやイライト、緑泥石などの粘土鉱物、オパールなどのシリカ鉱物、 方解石などの炭酸塩鉱物、斜プチロル沸石やモルデン沸石などの沸石類などがあります。
[質問]
テキスト82ページ、図6の「三日月湖」とは何ですか。
[質問]
三日月湖が干上がることはないのですか。
[答]
河川の中流から下流では傾斜がゆるやかなため、河川が蛇行します。 蛇行が著しくなると最後は流路が短絡し、残された蛇行部が三日月湖になります。 「地形からわかること(1)「三日月湖」について」 にわかりやすい説明があります。 三日月湖は時間がたつと徐々に埋まり、消失すると考えられます。
[質問]
標本観察で回覧した凝灰岩は緑色をしていましたが、どうしてですか。
[答]
安山岩質の火山灰からなる凝灰岩に含まれる火山ガラスが続成作用を受けると、 緑泥石などの緑色の粘土鉱物が生成します。そのため緑色になります。
[質問]
はっきりした形が残っている足跡の化石はどのようにして形成されるのでしょうか。
[答]
地表に残った動物の足跡は、普通は短時間で消えてしまいます。化石として残るのは、 たまたま形成された直後にその上に砂や泥などが堆積して、すぐに埋められてしまったという、 まれな場合だろうと考えられます。
[質問]
平面図は必ず線対称になるのですか。
[答]
問題ではわかりやすくするために地形が線対称になっていますが、 一般には複雑な形状になります。
[質問]
陸上の岩が河川の運搬によって無くなることはないのですか。
[答]
もし陸が安定していて大きな地殻変動がなければ、長期間侵食が続くと 地形が緩やかになり、運ばれる岩石も少なくなっていきます。日本列島のような 造山帯では陸の多くの部分が隆起しつつあり、現在の状態は隆起と侵食が ほぼつりあった状態にあると考えられます。
[質問]
クリノメーターの「E」(東)と「W」(西)が,一般の方位磁針とは逆になっているのはなぜですか。
[答]
クリノメーターは長辺の方向を走向と一致させて走向を測定します。長辺を北から東に向かって動かすと、 磁針は普通の方位磁針の文字盤では「W」(西)となっている方向に動きます。従って東西を逆にしておくと、 走向を文字板上で直接読むことができて便利だからです。
[質問]
クリノメーターは高価なものですか。
[答]
回覧したものは10年ほど前に6千円程度で購入したものです。 多分現在でも値段は変わっていないと思いますが、確認はしていません。
[質問]
恐竜の化石が見たいです。弘前市で見られるところがあったら教えて下さい。
[答]
弘前市内で見られるところはちょっと思いつきません。
[質問]
こはくはどのような過程で作られるのですか。
[答]
こはくは松や杉などの針葉樹の樹脂が化石となったものです。 現在の森林で松や杉の幹の周りを観察すると、樹脂が染み出して塊を作っているのが 観察できます。こはくは主にそのような針葉樹の樹脂が地層に埋積されて 化石になったもので、たいてい樹木の化石(広義の石炭)に伴われています。
[質問]
テキスト90ページ、図21の地質柱状図で、4mと15mの右にある+はどういう意味ですか。
[答]
これらの地層は観察した範囲の最上位あるいは最下位にあり、それより上位あるいは下位に 続いていると考えられます。したがって、厚さがそれぞれ「4m以上」、「15m以上」という意味で、そのように 記されています。
[質問]
「チャート」に日本語の名称はないのですか。
[答]
かつてはチャートの一部に対して「角岩」「珪岩」などの 名称が使われていたようですが、現在では「チャート」が一般的です。
[質問]
示準化石であり,かつ示相化石であるという化石はないのですか。
[答]
両者の条件を厳密に考えると難しいのですが,どんな生物でも生息する環境は無制限ではないので, ある程度は示相化石としての性質を持っています。 そういう意味では示準化石の一部は示相化石としても役に立ちます(古生代のサンゴの一部など)。
[質問]
クロスラミナの堆積の仕方をもう少し詳しく説明して下さい。
[答]
山口大学・宮田研究室のページにアニメーション付の説明があります。

6月23日の授業から

[質問]
質問に石の種類があるのですか。
[答]
「試験に岩石の名称を問うような問題が出題されるか」ということであれば、 そのような問題が出る可能性はあります。また、岩石の名称や定義を理解していないと 解答が困難な問題が出題される可能性もあります。
[質問]
クラウディナは何をエサとして生存していたのか。
[答]
ちょっと調べてみましたが、よくわかりませんでした。 逆に何かのえさになっていたらしい証拠はあるようです。
[質問]
出席表の問題の1問目で、現在地球に残っている最古の岩石が形成されるのが40億年前なのはいいのですが、1億年=7.9日なのに、40億年前が1月16日に対応するというのは違う気がするのですが、どうでしょう。私的には2月中旬になると思うのですが。
[答]
「1月16日」→「2月16日」の間違いでした。ウェブに掲載したスライドでは訂正しておきました。 ご指摘ありがとうございます。
[質問]
炭層はどうやって形成されるのですか。
[答]
典型的なものは陸上で植物が繁栄し、それが海や湖などの水域に運ばれて堆積し、 続成作用を受けて形成されます。
[質問]
プレート運動が終わってしまうことはないのですか。
[答]
プレート運動の原動力は、地球内部の熱が外部に運ばれることに起因します。 従って遠い将来、地球全体が冷えきってしまえばプレート運動も終わってしまうと推定されています。
[質問]
どうすれば中間テストの点数が取れますか。
[質問]
テストまではひたすら教科書を読んでいれば大丈夫なのでしょうか。
[答]
ガイダンス時の説明や過去の問題等で情報は示していますので、 それを元に各自で考えて下さい。
[質問]
なぜアンモナイトに個体差があるのですか。
[答]
どのような理由かはわかりませんが、多分人間に個体差があるのと 同じだと思います。
[質問]
縞状鉄鉱層は酸素濃度がどのくらいで形成されたのですか。
[答]
具体的な酸素濃度については現在でも議論があるようですが、 最近の総説論文 では、現在の1/100程度(約0.2%)という説が紹介されています。
[質問]
岩石や地層に含まれる放射性同位体は人体に全く影響はないのですか。
[答]
「全く」とは言えないでしょうが、「直ちに人体に影響を与える値ではない」でしょう。 これについては最近は沢山の情報がありますので、自分で調べてみて下さい。
[質問]
試験の話が出てきて不安になった。
[答]
直前まで出ないほうが不安だと思いますが、いかがでしょうか。

電子メールでの質問から

[質問]
教科書17ページに、地殻よりもマントルのほうが地震波速度が速い、 と いう記述がありますがそれはどうしてですか?
[答]
直接的な答えは、「観測事実がそうなっているから」ということになります。 そこに書かれている説明は、「地殻よりマントルのほうが地震波速度が 速いと仮定すると、走時曲線の変化が説明できる」ということを 言い換えたものです。 では、その速度変化が地殻とマントルのどのような性質の違いに 由来しているか、というと、一番大きいのは構成している 物質(岩石)の違いということになります。
[質問]
試験の答案は、解答例と同じように書かないと点数はもらえないのでしょうか。
[答]
 掲載しているのは「解答例」です。例の様に書いてあれば満点に なりますが、例と異なっていても十分であれば満点になります。 また、記述された内容に応じてかなり細かく部分点をつけています。

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