質問と答（前半）

口頭，メール，出席表での質問のうちの，いくつかに対する答です。また，意見で回答が必要と思ったものも含みます。実際のやりとりそのままとは限りません。架空の質問もあるかもしれません。答えにくいものは多少回答が遅くなることもありますので，少し待ってみてください。

全体について

[質問]

教科書以外のおすすめの参考書はありますか。

[答]

とりあえず，以下の本はお勧めできます。

杵島正洋・松本直記・左巻健男[編著]，「新しい地学の教科書」，講談社ブルーバックス
深尾良夫，「地震・プレート・陸と海」，岩波ジュニア新書
鎌田浩毅，「地球は火山がつくった」，岩波ジュニア新書
横山一己[監修]・宮下敦[著]，「ゼミナール地球科学入門」，日本評論社

初回アンケートから

[要望]: 声は大きめでお願いします。
[要望]: 声が聞こえにくいです。
[要望]: うしろまで声がきこえないです。
[要望]: 後ろの方にいると声が聞こえにくいので，マイクにもう少し近付いて話してほしいです。
[要望]: 自分が後ろの席に射たのが悪いのですが，できるならもう少しマイクの音量を上げていただきたいです。
[答]: 少しマイクが遠かったようです。2回目以降は改善されているはずです。

[要望]: 一番前の席の電気をつけてもらえないでしょうか。
[要望]: スライドを見せるときにもう一段電気を消してほしい。現時点だと多少不鮮明。
[答]: 最前列の電灯をつけると，スクリーンに光が当たってしまいます。 2列目まで消灯すると，最前列が暗くなってしまいます。そのため(黒板灯と)最前列の電灯のみ消灯しています。

4月24日の授業から

[質問]: 「・・・」がよくわかりませんでした。
[答]: （まずはお決まりの答です）授業で説明したことに対し，理解できなかったという場合，「わかりません」だけでは，どこがわからなかったのか，どのように説明したらいいのか，こちらもわからず，ちょっと困ってしまいます。具体的にどこがわからないのか明確に表現できるのであれば，それに対してはお答えできます。どこがわからないのかもよくわからない，という場合には，直接質問に来てもらって話を聞けば，説明できる場合が多いと思います。以下ではうまく疑問を解くような答になるかどうかは分かりませんが，追加で説明してみます。

[質問]: 伏角の意味がよくわかりませんでした。
[答]: 我々は「磁石が北を向く」ことは日常的な知識として知っています。その場合の北は，水平方向の方位を意味します。実際には磁石はその場での磁力線の方向と平行になるような向きを向くはずで，これはたいていの場合水平方向からある傾きをもっています。この傾きの角度が「伏角」です。

[質問]: 重力の向きを“自転している場合”で説明していましたが， “自転していない場合”は向きが変化するのですか。また，地球上はすべて自転していると考えてよいのですか。
[答]: 仮に“自転していない場合”を考えると，赤道と両極以外の場所では重力の向きが変わります（引力と遠心力の向きが違うため）。地球上の全ての場所は自転していますが，両極では重力に対して自転の影響がないため，自転していない場合と同じことになります。

[意見]: 縦波，横波のイメージはつかめたのですが，言葉での説明が少しわかりにくかったです。
[答]: 「イメージはつかめた」ということですので，それをあなたにとってぴったりとくる言い方で表現するとどのようになるのか，よかったら教えて下さい。参考にしたいと思います。

[質問]: 地球は回転していて，そのために球形から少しずれているということですが，形が変わるほどのとは，どのくらいの速さで回転しているのですか。
[答]: 地球が1日1回自転していることはご存知ですね。地球を半径rの球と仮定すると，緯度θの場所は，自転によって2πr×cosθの長さの円周上を1日に移動していることになります。具体的な数字を入れて計算してみて下さい

5月1日の授業から

[質問]: 地震波が曲がる理由がいまひとつよくわかりません。
[答]: 光の屈折についての説明からの類推で理解できるのでなはいかと思います。マントルないでは深くなるにつれて地震は速度が増大します。核になると液体になるため，S波は伝わりませんが，P波も速度が著しく小さくなります(教科書19ページ，図20)。速度の変化に対応して，波の進行方向が変化して曲がることになります。

[質問]: 異常震域でプレートを伝わるとなぜ震度が弱まらないのでしょうか。
[答]: 直感的な説明のみになってしまいますが，沈み込んだプレートの部分は温度が低く，“かたい”ので地震波が減衰しにくいのです。

[質問]: どこからどこまで覚えるのかよく分りません。とりあえずノートは全部ですか。
[答]: 個々の事項を覚えるというよりは，全体像を理解して自分で説明できるように勉強してほしいと思います。細かな数値や公式の機械的な暗記は求めません。スライドで提示した内容を授業時間中にすべてノートに写す必要はありませんが，できればwebに掲載したスライドを見直しながら自分でノートをまとめて下さい。

[質問]: 余震にも初期微動や主要動はありますか。
[答]: はい，地震そのものとしては本震も余震も変わりはありません。

[質問]: 大森公式はどのように発見されたのですか。
[答]: 大森公式は地震学創世期の地震学者大森房吉（おおもりふさきち）により発見されました。歴史的な状況はわかりませんでしたが，遠方ほど初期微動継続時間が長くなることが経験的事実として見出された後，P波とS波が同時に発生した速度の異なる波であると仮定して定式化されたものと考えられます。なお，「大森公式」と呼ばれるものには，教科書で扱っている初期微動継続時間と震源距離の関係を表すもの（震源距離の「大森公式」）のほかに，本震からの経過時間に伴う余震の回数の減少を表す，余震の「大森公式」もありますので，資料を調べるときには注意して下さい。

[質問]: 青森に活火山があるとは初耳でした。岩木山は休火山ではなかったのですね。
[答]: 現在は「活火山」という言葉には厳密な定義がありますが，「休火山」や「死火山」という言葉は，少なくとも学術的には使われなくなっています。従来「休火山」と考えられていた火山は，現在の定義では多くが活火山になります。

5月8日の授業から

[質問]: 貫入岩体は花こう岩しかないのですか。基本的に大陸だけに分布しているということですか。
[答]: 深成岩に分類されるかんらん岩，斑れい岩，閃緑岩なども貫入岩体を形成します。花こう岩は大陸や大陸地殻をもつ沈み込み帯に主に分布し，海洋地殻だけからなる海洋底などではほとんど見られませんが，かんらん岩や斑れい岩は海洋にも分布します。

[質問]: 地元に鉱山跡が多いので色々な鉱石をみてきましたが，黄銅(鉱)は何に分類されるのでしょうか。
[答]: 黄銅鉱は，硫化鉱物とよばれるグループに属します。硫化鉱物は金属ないし半金属元素と硫黄との化合物です。代表的なものに黄鉄鉱(FeS2)，黄銅鉱(CuFeS2)，閃亜鉛鉱(ZnS)，方鉛鉱(PbS)などがあります。

5月15日の授業から

[質問]: 地理の用語で安定陸塊という言葉がありますが，安定地塊と同じ意味でしょうか。
[答]: 「陸塊」と「地塊」は，意味する内容や用例が必ずしも同じではありませんが，「安定陸塊」と「安定地塊」と言った場合は，事実上同じものを指すようです。

[質問]: 造山帯の形成年代が10億年以上前であれば安定地塊だと考えてもいいのでしょうか。
[答]: 教科書65ページの図24，25からはそのようにも読み取れますが，時代で区分する場合は先カンブリア時代(5億4千300万年より前)に形成されたものとするのが普通のようです。

[要望]: スライドの資料なのですが，１回ごとに分けて掲載してほしいです。ページが重くて表示されるのが遅いからです。今のままでも特に問題はないので，もしよかったらということでお願いします。
[答]: スライドのインデックスのページがやや重いのは，サムネイルに本体の画像を縮小表示しているからです。あらかじめ縮小したサムネイル用の画像を別に用意すれば早くなります。まとめてやればたいした手間ではないのですが，私自身はあまり気にならないのでそのままにしていました。暇を見て直しておきます。１回ごとにページを分けるのは，かえって見づらくなるように思います。

[質問]: ホルンフェルスの“ホルン”って，楽器のホルンと関係があると聞いたことがありますが，どういう意味なのでしょう。
[答]: ホルンフェルスは，“Hornfels”= horn(角)+fels(石)で，割れ目が角ばっていることにより付けられた名前だそうです。楽器のホルンは「角笛」から来ていますから，同じ語源ですね。

[質問]: なかなか立体視がうまくいきません。なにかコツがあるのですか。
[答]: 河岸段丘立体視のページに簡単な説明を付けておきました。ただ，どうしてもできないという人もいますので，そのときは残念ながらあきらめていただくより仕方ありません。

[質問]: 接触変成作用を人工的に圧力，高温をかけることによって確認することはできるのですか。
[答]: 実験室内で高温・高圧を発生させて岩石やマグマの状態を調べる研究分野を，実験岩石学といい， 20世紀前半から盛んに研究されています。教科書に示されている具体的な温度・圧力はそのような研究により明らかにされたものです。現在では地球の核に相当する温度・圧力領域まで実験がなされています。

[質問]: 火星にも火山があると聞いたことがありますが，火星でも地球同様に造山運動が行なわれているのでしょうか。
[答]: 火星で現在火山活動が起こっている証拠は見つかっていませんが，太陽系最大の火山といわれるオリンポス山をはじめとして，溶岩流やカルデラなどの明瞭な火山地形が観察され，比較的新しい時代に大規模な火山活動があったと考えられています。その年代は少なくとも１億年前まで，一部については240万年前という説も出されています。ただ火星で火山活動を引き起こすメカニズムは地球と同じではなく，プレート運動はおきておらず，その意味では地球のような造山運動とは異なった活動を行なっていた (いる?)ようです。

5月22日の授業から

[質問]: テスト対策で部末問題を解いた方がよいでしょうか。
[答]: 理解を確認するために解いてみるのは良いと思います。できる，できないに関わらず，教科書本文の該当するページを読み直して確認することを勧めます。

[質問]: 走向が何を意味しているのかがわかりません。
[答]: 走向・傾斜というのは，３次元空間内で任意の面の方向を定量的に表現する方法のひとつです。面の「方向」だけが問題の場合は，２つの数字で任意の面の方向を表現できます。たとえば，地球儀のような緯度経度が記された固定した球を考えて，面がその球に接する接点の緯度経度を用いてその面の方向を表現することができます。走向・傾斜は，鉛直方向(重力の向き)と，それに垂直な面内での基準となる方位（北）が決まっているとき，任意の面の方向を記述する方法です。鉛直方向がきまれば，それに直交する面（水平面）が一意的に決まり，水平面が決まれば，方向を記述したい面との間に１本の交線が定まります。この交線は当然水平面内にあり，その面内での基準となる方位（北）とある角度をなしています。この線の方向が走向で，普通は北から東または西に何度かという数字で表します。方向を記述したい面と水平面の交わる角度が傾斜で，この数字と面が下る方向を東西南北のいずれかで表せば，３次元空間内での面の方位を表現できることになります。やや形式ばった言い方になってしまいましたが，教科書88ページの図18を見ながら考えてみてください。

5月29日の授業から

[質問]: 将来，太平洋がなくなったりするのですか。
[答]: はい，十分に時間が経つと，なくなってしまうはずです。

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Minoru SASAKI minoru@cc.hirosaki-u.ac.jp