期末試験結果
(2005/09/07)
解答例,配点,採点基準など
以下では,×(かける)を“ * ”,xのy乗を“ x^y ”と表記している。
- 問1
- 解答例
(1)A地点からB地点までは,乾燥断熱減率に従って温度が変化すると考えられるので,B地点での気温は,
26 - (600/100)*1 = 20[℃]
B地点からC地点までは,湿潤断熱減率に従って温度が変化すると考えられるので,C地点での気温は,
20 - (1200/100)*0.5 = 14[℃]
C地点からD地点までは,乾燥断熱減率に従って温度が変化すると考えられるので,D地点での気温は,
14 + (1800/100)*1 = 32[℃]
(2)水蒸気で飽和している空気塊は,上昇することによって温度を下げると,含みきれなくなった水蒸気を水滴に変える。このとき潜熱(凝縮熱)が放出されるが,この熱が断熱変化による温度低下の一部を補うため,湿潤断熱減率は乾燥断熱減率よりも小さくなる。
(3)A地点にあった空気塊は,B地点で気温20℃になった時に水蒸気に飽和した。すなわち水蒸気圧は23.4[hPa]であった。よって26℃の飽和水蒸気圧33.6[hPa]との比から,
(23.4/33.6)*100 = 69.6[%]
C地点では,空気塊はその気温で水蒸気に飽和していると考えられる。すなわち水蒸気圧は16.0[hPa]であった。よってD地点での32℃の飽和錘状気圧47.6[hPa]との比から,
(16.0/47.6)*100 = 33.6[%]
- 配点と採点基準
(1)9点。各地点3点。A地点の計算が間違っていて,B,C地点の温度差が正しい場合は,B,C地点については
そのまま3点を与えた。
(2)10点。水蒸気が凝集することにより潜熱が発生することが書かれていればよい。
8点〜1点まで,可能な限り部分点を与えた。
(3)6点。各地点3点。
- 問2
- 解答例
(1)約12時間
(2)A:上弦あるいは下弦(太陽と90°離れた方向にある)
B:満月あるいは新月(太陽と同じあるいは180°離れた方向)
(3)太陽による起潮力をTs, 月による起潮力をTmとすると,kを定数として,
Ts = k*1/(1.5*10^8)^3
Tm = k*3.7*10^-8/(3.8*10^5)^3
Tm/Ts = (3.7*10^-8)*(1.5*10^8)^3 / (3.8*10^15)^3
= (3.7*1.5^3)*10/(3.8^3)
= 2.3
- 配点と採点基準
(1)5点。
(2)10点。A,B各5点。Aで下弦,下弦の月のみや,Bで新月,満月の一方は,最大3点減点。
(3)10点。本問の結果はテキストにも書いてあるが,ここでは計算して求めることを要求しているので,
結果のみ書かれている場合は5点。途中の計算過程が正しければ,最大9点の部分点を与えた。
- (1)を大潮-小潮,あるいは大潮-大潮間の周期と誤解した人が多かった。
- 問3
- 解答例
(1)気圧傾度力:気圧が場所によって異なっていると,ある程度の大きさの空気塊を考えたとき,その側面に加わる力が気圧の高い側と低い側とで差が生じることになる。この力を気圧傾度力という。
転向力:回転している物体上に視点をおくと,その上で運動する物体には運動方向と直交する向きに見かけの力が働く。これを転向力あるいは「コリオリの力」という。
(2)地上付近では,気圧傾度力,転向力,地表との摩擦力の3つの力のつりあいによりかざの向きが決まっているから(図は略)。
(3)海陸風が生じる原理は以下のとおりである。日中は日射により陸の方が温まりやすく高温になり,陸地が低圧,海洋が高圧となるため,海から陸に風が吹く。夜間は放射冷却により陸地の方が低温になるため,陸地が高圧,海洋が低圧になり,陸から海に風が吹く。
上記の作用はいずれも晴れた日の方が曇った日よりも強く作用する。よって海陸風は晴れた日に現れやすい。
- 配点と採点基準
(1)10点。各5点。
(2)7点。図がなければ最大4点。
(3)8点。
いずれも可能な限り部分点を与えた。
- 問4
- 解答例
(1)逆行
(2)衝(しょう)
(3)昇る時刻:0時(深夜)ごろ,沈む時刻12時(正午)ごろ
(4)会合周期を計算すればよい。2年2ヶ月後で,2008年2月(1月)ごろ(詳細略)。
- 配点と採点基準
(1)6点。
(2)6点。
(3)6点。+-1時間程度のずれは可。+-2時間だと1点減。
(4)7点。
- (3)は,地球の自転面と公転面がほぼ一致していて,自転と公転の向きが同じであることを知っていれば,
あとは図を見てよく考えればわかります。
- 問5
- 解答例
(1)A,B,C: 白色わい星
D,E,F,G,H: 主系列星
I,J,K: (赤色)巨星(超巨星)
(2)等級で10等の差があるから,100*100=100000(1万)倍
(3)D→F→H:恒星の寿命は,恒星の質量に比例し,光度に反比例する。主系列星では,光度が質量の3〜4乗に比例するため,主系列星の寿命は質量の2〜3乗に反比例する。よって絶対等級の小さい主系列星の方が寿命が長いことになる。
- 配点と採点基準
(1)9点。各グループについて,グループ分け2点,グループの名称1点。
I,J,Kの属するグループは,巨星でも超巨星でも可。
問題文の“それぞれに所属する星”を,実在の具体的な星と解釈した人が何人かいた。
出題の意図とは異なるが,特に加点も減点もしなかった。
(2)8点。2.5^10倍でも可。
(3)8点。内容により2〜4点の部分点を与えた。
各問毎および合計の統計
|
平均点 |
最高点 |
最低点 |
選択率 |
問1 |
14.63 |
25 |
0 |
86.81 |
問2 |
10.49 |
25 |
0 |
94.51 |
問3 |
13.23 |
25 |
0 |
82.42 |
問4 |
9.58 |
25 |
0 |
79.12 |
問5 |
13.00 |
25 |
0 |
57.14 |
合計 |
48.14 |
93 |
6 |
400 |
3問解答者と,5問解答者が各2名いました。
5問解答者の1名は,うち1問が0点だったため,他の4問の合計を得点としました。
他の1名は5問とも高得点だったため,合計点の0.8倍を得点としました。
平均点は48点と,中間試験よりも下がってしまいました。残念。
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Minoru SASAKI
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