質問/要望/意見と答(前半)
口頭,メール,出席表での質問のうちの,
いくつかに対する答です。
また,意見・要望で回答が必要と思ったものも
含みます。
実際のやりとりそのままとは限りません。
昨年度以前の授業での質問も含まれます。
架空の質問もあるかもしれません。
答えにくいものは多少回答が遅くなることもありますので,
少し待ってみてください。
授業全体についてのよくある質問・要望と回答
- [質問]
- 教科書以外のおすすめの参考書はありますか。
- [答]
- 以下の本はお勧めできます。
- 地学の基礎IB(高等学校地学基礎)の内容とほぼ対応したもの
- 杵島正洋・松本直記・左巻健男[編著],「新しい地学の教科書」,講談社ブルーバックス.
- 在田・竹下・身延・渡部[編著],「地球惑星科学入門」,北海道大学出版会.
- 日本地質学会[監修]・地学読本刊行小委員会[編],「地学は何ができるか」,愛智出版.
- 一部の分野と関係するもの
- 深尾良夫,「地震・プレート・陸と海」,岩波ジュニア新書.
- 鎌田浩毅,「地球は火山がつくった」,岩波ジュニア新書.
- 横山一己[監修]・宮下敦[著],「ゼミナール地球科学入門」,日本評論社.
- 岡村・池内・海部・佐藤・永原[編],シリーズ現代の天文学1,「人類の住む宇宙」,日本評論社.
[要望]○○について詳しく説明してほしいです。
[答]時間的制約が厳しく,教科書に載っている範囲をカバーする必要があるため,
それぞれの分野の詳しい話は,各専門の講義で聞いてもらうことになります。授業の内容に関連して
質問してもらえれば,私のわかる範囲で答えたり,参考書などを紹介することはできます。
- [要望]
- 楽しく学びたい。
- [要望]
- わかりやすい解説・説明をおねがいします。
- [要望]
- 地学は全然わからないので,分りやすい授業をしてほしいです。
- [答]
- この種の要望については,人によって受け取り方に違いがあるので,
全ての受講者に満足してもらうのはなかなか難しいです。
具体的な要望を出してもらえれば,できることについては
実現したいと思いますが,種々の理由,考えから必ずしも要望に添えないことも
あることはご承知おき下さい。
- [質問]
- 地学の授業の予習・復習はどのようにやればよいですか。
- [答]
- まずガイダンスでの説明に従って
やってみて下さい。
- [要望]
- スライドで重要な語句に色を付けてほしい[強調してほしい]。
- [答]
- スライドに示しているのは教科書を要約したもので,基本的には全て重要な部分です。
従って,説明する上で特に必要な場合を除き,特定の語句を強調したりはしません。
全体が見づらくなるからです。
キーワードとなるような専門用語はテキストに太ゴシックで示されていますので,それを参照して下さい。
- [質問]
- ウェブページのユーザー名,パスワードがわからないので教えて下さい。
- [質問]
- メモしたウェブページのユーザー名,パスワードが間違っているようです。
- [答]
- ウェブページのパスワードについては,
授業の際または直接研究室に来てもらった場合のみ
教えることにしています。
メールでの問い合わせにはお答えできませんのでご了承下さい。
- [要望]
- 授業スライドを,授業の前にウェブページに掲載してもらうことはできませんか。
- [答]
- ガイダンス時に説明したような勉強の仕方を想定しているので,今のところ
授業前に掲載することは考えていません。
- [質問]
- 授業内容をウェブに掲載したのは,そのうち消すのですか。消すのならいつごろですか。
パスワードは変更されますか。
- [答]
- 掲載の期限は決めていません。パスワードの変更の予定はありません。
- [質問]
- 具合が悪くなったときは途中退室していいですか。
- [答]
- かまいません。特に断る必要もありませんが,できるだけ周りの人に
迷惑にならないようお願いします。
- [質問]
- 試験の答案は、解答例と同じように書かないと点数はもらえないのでしょうか。
- [答]
- 掲載しているのは「解答例」です。例の様に書いてあれば満点に
なりますが、例と異なっていても十分な内容であれば満点になります。
また、記述された内容に応じてかなり細かく部分点をつけています。
- [質問]
- 研究室に17:30以降に質問に行ってもいいですか。
- [答]
- 在室していて,特に都合がない限り対応します。
ただし,在室している場合でも22:00以降はご遠慮下さい。
初回アンケートから
- [質問]
- 外国からの留学生で,「地学」という概念が全くありません。
地理学と地学の違う点は何ですか。
- [答]
- 「地学」は,おそらく日本の高等学校の科目としてのみ存在する領域で,
地球科学と天文学をあわせた広い分野を対象とします。
起源から考えると,古くからある博物学(natural history)から生物関係を除いた残りと考えたほうが
いいかもしれません(古生物や生物進化関係は重複しますが)。
地理学(自然地理学)の一部も内容に含まれています。
- [要望]
- ガイダンスはもう少し短くしてほしい。
- [答]
- ガイダンスのはじめにも言いましたが,
1年生対象ということで,大学での勉強の一般論も含めて
かなり細かいところまで説明しているため,どうしても長くなってしまいます。
今年は70分ぐらいでしたが,このぐらいかけて説明しても,
後でそこで話しておいたはずの内容について質問してくる人が毎年いますので,
この程度の時間は必要だと判断しています。
4月23日の授業から
- [質問]
- 内核と外核はいずれも金属鉄からなるとされていますが,内核の方が高温なのに固体なのはなぜですか。
- [質問]
- 核が金属鉄からなることは地震波の観測でわかるのですか。
- [答]
- 4月30日の授業で説明します。
- [質問]
- S波が固体しか伝わらないのはどのような理由によるものでしょうか。
- [答]
- 液体や固体中では物体をずらすような力(せん断応力)に対して抵抗する力が
ほとんどなく変形してしまうので,そのような力の伝播で発生する横波は直ちに弱められて
なくなってしまうからです。
- [質問]
- 地震でP波とS波の2種類の波が発生するのはどうしてですか。
- [答]
- 正確な説明は私には難しいので,地震関係の授業を受講してみてください。
- [質問]
- 皆既月食のときに月の色が赤く見えるのはなぜですか。
- [答]
- 国立天文台のページを参照して下さい。
- [質問]
- 光は横波なのになぜ気体中を伝わるのですか。
- [答]
- 光は気体や固体などの物質を媒体とする波ではなく,
磁場と電場の振動によって伝わる波だから,ということになります。
- [質問]
- 教科書p.18に,「マントル上部は主にかんらん岩質岩石でできている」とありますが,
マントル下部は何でできているのですか。また,マントル上部とはどのくらいの深さまでを指すのですか。
- [答]
- 上部マントル−下部マントル境界は深さ660kmの位置にあり,この深さを境に
地震波速度が不連続に大きくなります。この深さ以深の下部マントルは,
「珪酸塩ペロブスカイト岩」といわれる岩石から構成されると推定されています。
- [質問]
- 「太陽高度」と「南中高度」はどのように意味が異なるのですか。
- [答]
- 「南中」とは日周運動により天頂より南側を通過する天体が,
地平線上の真南の位置と天頂とを結ぶ線を通過することを言います。
このとき天体の高度は一日の内で1番高くなります。
太陽は正午(正確にはその場所での地方時の正午)に南中するので,
正午の太陽高度が太陽の南中高度になります。
- [質問]
- 教科書19ページに「モホ面の深さは標高が高いほど深くなっている」とありますが,
なぜですか。
- [答]
- 教科書のその場所に説明されている通りですが,
地殻がマントルに「浮いている」と考えれば理解できます。
- [質問]
- 地震波が屈折したことによって,距離と走時の関係が逆転することはありますか。
- [答]
- 地殻とマントルを通過する程度の距離ではありませんが,
地球の深部で核を通過するような波まで考えると,逆転して見える場合もあります(修正しました)。
- [質問]
- 内核や外核を構成している物質が何かどのようにして判断するのですか。
- [質問]
- 内核が主に鉄でできているというのはどのような方法で明らかになったのですか。
- [答]
- これについては4月30日の授業で説明しました。
- [質問]
- 計算問題が難しいのですが,理解するにはどうすればいいでしょうか。
- [答]
- 今回の計算はいずれも「比の計算」です。
過去の説明のスライドを参照して下さい。
- [質問]
- なぜ4kmより深いところには人は行けないのですか。
- [答]
- 人が入れるようなそれより深い穴が掘られていないからです。
技術的にはもう少し深くまで可能かもしれませんが,
深い穴を掘るのには莫大な経費がかかるので,それに見合うだけの何らかの利益がない限りは
掘られることはありません。
- [質問]
- 走時曲線で,ある程度の距離があるとマントルを通るのは,
地球が丸いので遠い地点ではマントルが最短経路に入るからではないのですか。
- [答]
- 地震波が最短距離で到達する時の経路(波線)は
直線にはなりませんが,仮に直線と考えたとき,質問のような現象が起きるためには
震央距離が1000km以上必要になり,実際の観測とは合いません。
- [質問]
- 実際にどのような計算をして地球が楕円形(回転楕円体)だと求めたのですか。
- [答]
- 教科書16ページの図5,あるいは
4月23日 スライド12にあるように,
「緯度差1°に対応する子午線の長さ」が緯度によって異なることから求められました。
- [質問]
- ボーリングで試料を採取可能なのが12kmまでなのは,固すぎて掘れなくなるからですか。
- [答]
- 固さというよりはボーリングのロッドが長くなりすぎて重くなって回せなくなってしまうこと,
地下の温度が上昇することが技術的な困難であるようです。
- [質問]
- スライドを進めるのが速いです。
- [答]
- これについてはガイダンスで説明したとおりです。
- [質問]
- 重力の差による弊害はないのですか。
- [答]
- 場所による差は主に遠心力の向きの差によって生じますが,
教科書17ページにあるように大きさが引力の約1/300に過ぎないので,
それによる弊害は特にないと思います。
- [質問]
- 実際の地球の大きさはどのようにして求められたのですか。
- [答]
- 原理的にはエラトステネスの方法と同様で,
緯度と距離を高精度で測定すれば求められます。
4月30日の授業から
- [質問]
- プレートを動かす原動力は何ですか。
- [答]
- 現在のプレートを動かしている原動力としては,マントル内に沈み込んだプレートが
地表のプレートを引っ張る力が主要であると考えられています。
- [質問]
- 拡大する境界では,火山活動で発生したマグマが新しいプレートを作っているのですか。
- [答]
- マグマが固結してできるのは地殻の部分です。プレートはその下のマントルを含みます。
- [質問]
- リソスフェアとアセノスフェアの境界で,岩石の種類が同じであるのに
かたさが異なるのはなぜですか。
- [答]
- 温度の変化によってより高温の深い部分が柔らかくなっていると考えられています。
- [質問]
- ロッキー山脈はアンデス山脈のような陸弧と同じようなでき方でできたのですか。
- [答]
- かなり古い時代(白亜紀〜第三紀)ですが,同様の活動によって山脈となったようです。
- [質問]
- プレートの年代測定はどのようにして行うのですか。
- [答]
- スライド19で説明したとおりです。
- [質問]
- 将来は日本列島とハワイ諸島は衝突するのですか。
- [答]
- 第2部で説明します。
- [質問]
- マントルを伝わる地震波の経路が下に凸に曲がっているのはなぜですか。
- [答]
- 地下の圧力のために深い場所ほど密度が大きくなり,地震波の速度が徐々に大きくなるためです。
- [質問]
- 震源距離110°の地点に弱いP波が伝わることから,なぜ固体の内核が存在すると分かるのですか。
- [答]
- 震源距離110°付近は「P波の影」の中にあり,もしマントル核境界以深がすべて液体ならここには
P波は到達しません。そのため,核の内部に地震波速度が急変する(急増する)境界があり,その表面で
反射したP波が到達していると解釈されました。さらにこの地震波の急増を液体から固体に変化することによると
解釈したわけです。
- [質問]
- 収束境界で沈み込んだプレートは最終的にどうなるのですか。
- [答]
- 沈み込んだプレートは,マントル内に一度溜まった後,
最終的にはマントルと核の境界まで沈んでいくと考えられています。
教科書33ページの図16「マントルの運動とプレートの動き」には,
沈み込んだプレートがマントル内を降下していく様子が描かれています。
地球全体では,沈み込んだプレートがマントル-核境界まで沈降する「冷たいプルーム」となり、それに対応して
マントル-核境界付近から上昇する「熱いプルーム」が存在すると考えられています。
近年、このようなプルームの動きがプレート運動を含む地表に見られる様々な現象に
影響を与えているという考えが提唱され、「プルームテクトニクス」と呼ばれています。
- [質問]
- 新しいプレートができるのに何年ぐらいかかるのですか。
- [答]
- どのような状態になれば「プレートができる」といえるのかが
はっきりしないので,答えるのは難しいです。
- [質問]
- プレートと地殻は同じですか。
- [答]
- 異なります。授業で説明したとおりです。
- [質問]
- 震源の位置が深い所と浅い所ではどのような違いがあるのですか。
- [答]
- 答え方が難しいですが,ある程度よりも深い地震が発生するのは,
沈み込んでいったプレートの周辺と内部に限られます。
- [質問]
- 高校の地理では,拡大する境界→広がる境界,収束する境界→狭まる境界,すれ違う境界→ずれる境界,
と習ったのですが,どちらを使ってもよいですか。
- [答]
- どちらでもかまいません。
- [質問]
- 海溝(沈み込み帯)はなぜ自然災害が多いのですか。
- [答]
- 今回と次回の授業の内容から考えてみて下さい。
- [質問]
- 23ページの図IVの震源0°となっているところは震央ではないでしょうか。
この図は震源を地球の中心として見ればよいのですか。
- [答]
- このスケールで見ると,地震はほぼ地表で起きているとみなされます。
そのため図上では,左端の「0°」と書いてある場所が震源=震央になります。
- [質問]
- 計算の説明がよく分かりませんでした。
- [答]
- わからない点をもう少し詳しく説明して下さい。
- [質問]
- 日本で地震が起きたとき,地震波は外国まで届くのですか。
- [答]
- ある程度以上の規模であれば海外でも観測されます。
- [質問]
- なぜ断層がずれると数分間もゆれるのですか。
- [答]
- 動いた後反動で戻り,それが繰り返されて「振動」になります。
- [質問]
- ホットスポットから上がってくるマグマは地球内部の深い所の成分を含んでいますね。
ということは,ハワイ周辺の土地とそれ以外の火山近くの土地では,大地の成分が異なるのでしょうか。
- [答]
- マグマが固結してできた火山岩の化学組成を詳しく調べると,沈み込み帯や
海嶺の岩石とは異なっていることがわかります。
- [質問]
- マントルにはダイヤモンドがあるとテレビで見ましたが,
そうするとマントルからやってきた海山や火山島にはダイヤモンドがあるのでしょうか。
- [答]
- ふつうはマグマが上昇するのに時間がかかるので,ダイヤモンドは
途中で石墨に変わってしまいます。宝石になるような大型のダイヤモンドが含まれるのは,
マントルからきわめて急速に上昇した特殊なマグマがによりできた岩石中に限られます。
- [質問]
- 地球以外の惑星で地球のようなプレートが存在している惑星はありますか。
- [答]
- 少なくとも太陽系の他の惑星には認められません。
- [質問]
- なぜ拡大する境界はほとんどが海の中にあるのですか。
- [答]
- 拡大境界であらたにつくられる地殻は海洋地殻で,大陸地殻が直接つくられることはありません。
よって拡大が大陸内で起こったとしても,拡大が続くとその場所は結局海になってしまいます。
- [質問]
- 大陸パンゲアの時代からどのように現在のプレートが形成されたのでしょうか。
- [答]
- 第2部で簡単に説明します。
- [質問]
- ネパールでおきた地震はどのようなメカニズムでおきたものでしょうか。
- [答]
- 以下のページを参照して下さい。
2015年ネパール地震のテクトニクスとカトマンズの極軟弱地盤(日本地質学会)
- [質問]
- ホットスポットができる場所に何か条件はあるのでしょうか。
- [答]
- 地下深所(下部マントル〜マントル核境界)からマントル内に上昇流が
発生している場所の上と考えられています。
- [質問]
- どうしてプレートの境界に複数の種類があるのですか。
- [答]
- プレートが相互に運動していると,相対運動の違いによって必然的に
3種類の境界ができます。
- [質問]
- 約7000万年前の島の位置はどのようにしてわかったのですか。
- [答]
- プレート運動の逆算による推定です。
- [質問]
- P波が地球の裏側まで伝わるというのは,計算上のことではなく,実際に観測されているのですか。
- [答]
- 実際に観測されています。
5月7日の授業から
- [質問]
- 火山が噴火しそうだというのはどのようにして判断するのですか。
- [答]
- 地震活動や噴気活動の活発化によります。
- [質問]
- 複数の地震がごく近い場所で同時または誘発して発生した場合,地表への影響はどうなるのですか。
- [答]
- 両方の地震の影響を足し合わせたものになります。
- [質問]
- 深発地震の原因は海溝型地震の発生の原因とどのように違うのですか。
- [答]
- 正確な説明は私には難しいので,地震関係の授業を受講してみてください。
- [質問]
- 火山以外の山はどのようにしてできるのですか。
- [答]
- 基本的には褶曲や断層を形成するような地殻変動によって,
ある部分が長期間継続的に隆起することにより形成されます。
- [質問]
- 大きな地震の後の余震は,さらに大きな地震の前震と捉えることはできますか。
- [答]
- そのように考えて意味があるような具体的な状況があまり思いつきません。
- [質問]
- 陸のプレートのゆがみが限界に達した時,隆起するスピードはどれくらいの速さになりますか。
- [答]
- 地震発生時の断層面の動く速さと解釈すると,1m/s程度のオーダーのようです。
- [質問]
- 最近話題に上る西ノ島の火山活動はどこでも起こりうるものなのでしょうか。
- [答]
- 西ノ島はフィリピン海プレートに対する太平洋プレートの沈み込みに伴い形成された火山と
考えられます。伊豆諸島からマリアナ諸島に達する島弧の一部になっており,「どこでも」同様の
火山が形成されるわけではありません。
- [質問]
- 大森公式が複雑でよく分からなかった。
- [答]
- 式自体はきわめて単純だと思いますが。導出もスライドの式を順に追っていけばさほど難しくないと思います。
- [質問]
- 教科書の34ページの図17では,
太平洋プレートはユーラシアプレートに沈み込む所よりもフィリピン海プレートに沈み込む所の方が急な角度で沈み込んでいることが読み取れますが,このような沈み込む角度の違いはなぜ生じるのですか。
- [答]
- 沈み込むプレートと沈み込まれるプレートの「結合度」の違いによるという議論が古くから行われています。詳しくは,例えば,
上田誠也「プレート・テクトニクス」(岩波書店)などを参照して下さい。
- [質問]
- なぜ断層は地表ではほぼ直線的な地形として見られるのですか。また地下ではどうなっているのですか。
- [答]
- 断層は大まかには地下の岩石を切る平面と考えることができます。
この面と地表面の交線が交差する角度が地表に現れる断層になりますが,仮に断層面が垂直な面だとすると,
地形に係らず平面に投影した交線は直線になるのがわかると思います。垂直から離れて傾斜がゆるくなると,
地形の影響を受けて複雑な曲線となります。
- [質問]
- 異常震域は震源の深さ何kmから起きるのですか。
- [答]
- はっきりした数値は見つけられませんでした。
- [質問]
- 火山噴火は予測可能ですか。可能な場合はどのような現象で予測できるのですか。
- [答]
- 地震活動,地殻変動,噴気活動などから予測可能な場合もありますが,
顕著な前兆が認められず噴火する場合も(特に小規模な噴火の場合には)珍しくはありません。
さらに,噴火の前兆と判断されるような活動が見られても噴火が起こらないケースも多いので,
全体としてみた場合かならずしも予測できるとは限りません。
- [質問]
- 日本全体で見れば,どのような性質のマグマが多く噴出しているのでしょうか。
- [答]
- 平均的に見れば安山岩質マグマが多く噴出しています。
- [質問]
- 火山に伴う地震,地震に伴う火山噴火はどれ位あるのでしょうか。
- [質問]
- 地震と火山噴火は直接関係はあるのですか。
- [答]
- 明らかに関連していそうな例がいくつかありますが,
つねに関係が見られるわけではありません。
- [質問]
- 最近箱根山で噴火警戒レベルが初めて2に引き上げられたそうですが,
どのような現象に基づいてレベル2に引き上げられるに至ったのでしょうか。
- [質問]
- 箱根山の火山活動が活発化していますが,今後どのようになるのでしょうか。
- [質問]
- 過去に箱根山が大きな噴火を起こしたのはいつなのでしょうか。
- [答]
- 5月21日の授業で説明しました。5月21日のスライドを参照して下さい。
- [質問]
- 1つの火山が複数回噴火する場合にはマグマの性質は変わらないのでしょうか。
- [答]
- 火山により様々で,あまり変わらない場合もありますが,大きく変化することもあります。
1回の噴火の間でも変わる場合があります。
- [質問]
- 日本よりも地震の多い国はありますか。
- [答]
- 正確なデータが見つけられませんでした。
- [質問]
- 同じマグニチュードの地震でも地震の領域が異なるのは地盤と関係しているのですか。
- [答]
- 地震の発生する深さが一番大きく影響すると考えられます。細かく見れば
それぞれの場所の地盤も大きく影響します。
- [質問]
- 大きな地震が起こった後,比較的小さな余震が続くのはどうしてですか。
- [答]
- 本震時に解放されず残ったエネルギーが,順次放出されることによると考えられます。
- [質問]
- 火口に大量の土を流し込めば火山の噴火を止めることができますか。
- [答]
- 実際に噴火が起こるような状況では無意味と考えられます。
- [質問]
- 南海トラフの「トラフ」とはどういう意味ですか。
- [答]
- 英語の“trough”(細長い箱型の飼い葉桶,および同様な形の容器)で,
地形を表す場合は細長く比較的幅の広い海底の凹地を指します。
「舟状海盆(しゅうじょうかいぼん)」という訳語があります。
- [質問]
- 青森県で最近活発な火山はありますか。
- [答]
- 2013年に八甲田山でやや活発な地震活動が見られましたが,
その後落ち着いています。現在のところ他に目立った活動は見られないようです。
- [質問]
- 地震の前兆として地震雲というものが見られることがあると聞きましたが,本当なのでしょうか。
- [答]
- 地震の「宏観現象(宏観異常現象)」と呼ばれるもののひとつです。
客観的な前兆とみなすのは難しいと思います。
- [質問]
- ユーラシアプレートと北アメリカプレートの境界と思われる場所と火山の分布には関係はありますか。
- [答]
- 関係があるという意見もありますが,はっきりとはしません。
- [質問]
- 都市直下型地震は海溝型地震ですか,内陸地震ですか。
- [答]
- 内陸地震です。
- [質問]
- 本震のエネルギーと余震のエネルギーには簡単な関係式が成り立ちますか。
- [答]
- エネルギーについては知りませんが,本震の発生から時間の経過と
余震の数の関係が「改良大森公式」(震源距離を求める大森公式とは別)と呼ばれる式で表される
ことが知られています。
5月21日の授業から
- [質問]
- 化石の中で「こはく」というものが出てきましたが,どのような物で,どのように形成されるのですか。
- [答]
- 授業でも説明しましたが,簡単に言えば松脂の化石です。針葉樹の樹脂が地層に埋積されて化石となったものです
(参考:久慈琥珀・琥珀のお話)。
- [質問]
- 岩石はいつどのようなきっかけで地球上に出現したのですか。
- [答]
- 今回および5月28日の授業で説明します。
- [質問]
- 日本で最古の岩石・最古の化石はいつ頃のものでどのようなものですか。
- [答]
- 岩石としては,岐阜県に分布するのジュラ紀の「上麻生礫岩」に含まれている片麻岩礫(約20億年)
とされています。礫ではなく地層を形成している岩石では,茨城県日立市の「日立変成岩」(約5億年),
化石を含む地層としては岐阜県上宝村のオルドビス紀の地層で,この地層中の「コノドント」と呼ばれる
生物の化石が日本最古の化石とされています。
- [質問]
- 教科書77ページの「プレートの沈み込みと変成岩の形成」と岩石サイクルは別物ですか。
- [答]
- 77ページに示されている変成岩の形成プロセスは,岩石サイクルの一部を構成しています。
- [質問]
- 背斜と向斜は必ずいっしょに起こりますか。
- [答]
- 地層の分布する領域に比べて起伏の波長が十分に長ければ,
一方のみが存在することになります。
- [質問]
- 放射性物質はいくら年代を経ても0になることはないのですか。
- [答]
- 残っている最後の1個の原子が崩壊すればなくなります
(原子が0.5個存在するということはないので)。
年代測定に用いられるような半減期の長い同位体は原理的にはほとんど無限になくなりませんが,
半減期よりも十分に(十倍〜数十倍)時間が経てば,事実上測定不可能なくらい減少してしまいます。
- [答]
-
- [質問]
- 化石の発掘調査の際に化石が壊れてしまうことはありませんか。
- [答]
- よくあることで,非常に大きな化石の場合は分解して運搬することもあります。
その後接着して復元します。
- [質問]
- 放射性年代がよく分からなかった。
- [答]
- どういう点がわからなかったのかもう少し詳しく教えて下さい。
- [質問]
- 天然ダイヤモンドと人工ダイヤモンドの違いは何ですか。
- [答]
- 少々古い知識しかないのですが,微量に含まれる成分の違いで
いくつかの物性が異なり区別できるとされています。
コストを気にしなければほとんど区別できないものも
作成できるようですが。
- [質問]
- 世界最古の化石は何の化石ですか。
- [答]
- 5月28日の授業で説明します。
- [質問]
- マグマだまりは火山ごとにあるのですか。それとも地下でつながっているのですか。
- [答]
- 火山ごとに存在する(場合によっては1つの火山でも複数存在する)と考えられています。
- [質問]
- 足跡は生物の体の一部のあとなので印象化石とは考えられないのでしょうか。
- [答]
- 印象化石は
「古生物遺体の実質あるいはその置換物が保存されず,形態の印象だけが形となって残った化石」
(新版 地学事典,平凡社)とされています。形成された時点ですでに生物体がいなくなっている
足跡の場合は生痕化石と考えるべきでしょう。
5月28日の授業から
- [質問]
- 地球上に次の超大陸が形成されるのはいつ頃になるでしょうか。
- [答]
- 今から2〜4億年後と考えられます。
- [質問]
- 教科書95ページの図19に示されている温度変化はどのくらいの温度幅になるのでしょうか。
- [答]
- 図の出典を見つけられなかったのですが,おそらく相対的な海水準の変化を
気候の温暖・寒冷に読み替えたものと思われます。温度の数値としてどの程度に相当するかは
わかりませんでした。
- [質問]
- 海洋プレートが形成されてから2億年で沈み込むとすると,
海溝に沈みこむ直前のプレート上には2億年間の情報が残されているのですか。
- [答]
- 海洋プレート最上部の玄武岩溶岩はプレート形成時に噴出したもので,
その上にはそれ以降の堆積物が堆積しています。それらが保存されていれば
プレートが形成されてから沈み込むまでの情報を読み出すことができるはずです。l
- [質問]
- 大陸の移動はどのような証拠から推定されているのですか。
- [答]
- 大陸の移動はプレートの移動に乗って起こりますから,
第1部で説明したプレート移動の証拠から推定されます。
超大陸形成以前のような現在とは異なった方向への移動については,
大陸を構成する地層・岩石に残された断片的な情報から間接的に推定しています。
- [質問]
- 全球凍結の後に生物が急激に進化したと考えられるのはなぜですか。
- [答]
- 全球凍結の起こった時期と,生物進化における大きな変化
(真核生物の出現,多細胞生物の大型化)の時期がほぼ対応することから,
何らかの関係があったと推測されています。
- [質問]
- なぜ大陸は合体と分裂を繰り返すのですか。
- [答]
- 例えば以下のような説明があります。
「超大陸はマントルから熱が出てくるのを遮断するから,その下は温度が上がる。
このために大きな上昇流,すなわちスーパープルームが発生する。スーパープルームが
地表にぶつかると,火山活動が起きて超大陸が分裂する。そうして割れた大陸は
散り散りになるが,やがて地球の裏側でまた出会って新たな超大陸を作る。」
(熊沢・伊藤・吉田[編],2002,「全地球史解読」,東京大学出版会)
- [質問]
- どうして新第三紀に寒冷化がおこったのですか。
- [答]
- この時期に南極大陸が現在のような状態になり,大規模な氷床が形成されたことが
原因という説が有力です。
- [質問]
- なぜ大量絶滅の後には新しい生物が出現し多様化するのですか。
- [答]
- 大量絶滅によってそれまである生態学的地位(ニッチ;niche)を占めていた
生物が絶滅し,生き残った生物の一部がその地位を埋めるように進化するからと考えられます。
- [質問]
- 「ビッグバン」とは宇宙でどのようなことが起こったのですか。
- [答]
- 簡単にですが第4部で説明されます。
- [質問]
- ペルム紀末および白亜紀末以外に起きた大量絶滅は,
どのような原因によって生じたのですか。
- [答]
- はっきりと有力説が存在するものはありませんが,
隕石衝突,巨大火山活動のほかに,気候の寒冷化,太陽系近傍での超新星爆発などの
説が提唱されているようです。
- [質問]
- 原人がアフリカから世界中に進出したとありますが,
当時陸はつながっていたのですか。
- [答]
- 原人の分布は主にアフリカ大陸とユーラシア大陸で,両者は陸続きです。
一部インドネシアでは島伝いに海を渡っています。
- [質問]
- 人類の進化がアフリカ大陸で起こったのはなぜですか。
- [答]
- いろいろな説はあるようですが(私は詳しくは知りません)
はっきりとしたことは言えないようです。
- [質問]
- プレート運動では大陸は沈み込まないのですか。
- [答]
- 基本的には沈み込むのは海洋プレートで,
大陸地殻がプレート上に存在する場合はその部分は沈み込みにくいと考えられます
(場合によってはかなり深くまでプレート運動で運び込まれることがあることも
わかっています)。
そのために大陸地殻を載せたプレートが運動を続けると大陸が衝突・合体して集まっていき,
超大陸を形成することになります。
- [質問]
- 現在の人類はこの先,進化すると思いますか。
- [答]
- 現在の人類から新しい種が分化する可能性はありますが,
直系の子孫を残さず絶滅する可能性の方が高いような気がします。
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Minoru SASAKI
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