写真:とけゆく北極海の海氷(提供:独立行政法人海洋研究開発機構)
ご案内
弘前大学大学院理工学研究科の寒地気象実験室は,岩木山山麓に実験室をおき,北東北の気象に関する研究,教育,社会との連携活動,等を行っております。
20周年となる今年,2名の講師をお迎えして,「市民気象講演会」を青森市において開催することになりました。
地球温暖化の影響が最も劇的に現れる地域は,北極域であると言われております。
海氷の減少でシロクマが住みにくくなるという話は良く知られるようになりました。
講師の猪上さんは,現地調査や衛星データの解析,さらには北極航路の航空機パイロットの協力も得ながら,北極海の海氷の減少について熱心に調査している気鋭の研究者です。
現地の写真なども交えて,北極海の環境変化の現状について分かりやすく話してくださると思います。
もう一人の講師の廣田さんは,長年京都大学において気象学の研究・教育に携わり,多くの研究者を育ててきた先生です。
現在は,天気検定協会理事長として,天気に関わる様々な知識を一般の方に普及する活動にも力を入れておられます。
気象学は,天気予報や地球温暖化予測のような実社会の要請に答えるだけでなく,大気の興味深い振る舞いを扱う学問として発展してきました。
大気の満ち引きを題材として,大自然の奥深さ・美しさを語って頂きます。
先生の下に気象学を志す若者が集まった理由がわかるかもしれません。
地球温暖化の研究の一端や,気象学の面白さを知って頂くまたとない機会だと思いますので,ご案内申し上げます。
弘前大学大学院理工学研究科 寒地気象実験室 室長 児玉安正
対象:一般,大学生,高校生,気象学や地球温暖化に関心のある方
日時:平成20年10月25日(土)13:30〜16:30(開場13:00)
場所:青森市男女共同参画プラザ AV多機能ホール (JR青森駅すぐ,アウガ5階)
参加:入場無料。事前申し込み不要
主催:弘前大学大学院理工学研究科 寒地気象実験室
後援:青森地方気象台,青森県気象予報士会,青森県教育委員会,独立行政法人海洋研究開発機構むつ研究所
問合せ:弘前大学理工学研究科 児玉安正
講演内容(講演順)
猪上 淳 氏(海洋研究開発機構 地球環境観測研究センター 研究員)
タイトル: 海氷の減少から探る北極異変
北極海の海氷はどうして減りつづけるのでしょう?
地球温暖化でとけて無くなるから? 海氷の減少について誤解されやすい点に着目しながら、観測研究の最前線を紹介します。
廣田 勇 氏(京都大学名誉教授、元日本気象学会理事長,天気検定協会理事長)
タイトル: 潮のみちひき、風のささやき・・大気潮汐論に見る気象の美学
浜辺で見る潮の満ち引きや大小の波と同様に、地球を取り巻く大気の中にも天体の引力や地球の重力と自転の効果を受けた様々な波動があります。
それは目では直接見ることの出来ない地球規模の大きな空気の動きや日々の天気図の陰に隠れた小さな気圧の揺らぎなど、実に多様な風の振る舞いを示します。
この講演では気象の世界に見られる大自然の奥深さと美しさを人類文化としての科学の立場から楽しく語ります。
講師略歴(講演順)
猪上 淳 (いのうえ じゅん)
1997年: 弘前大学 理学部地球科学科 卒業
1999年: 北海道大学大学院 地球環境科学研究科修士課程 修了
2001年: 北海道大学大学院 地球環境科学研究科博士課程 修了
2001-2002年: 北海道大学 低温科学研究所 (学振PD研究員)
2002年: コロラド大学 宇宙航空学科 (Visiting Scientist)
2003-2004年: ジョージア工科大学 地球大気科学科 (Research Scientist)
2004年-現在: 海洋研究開発機構 地球環境観測研究センター (研究員)
2006年 日本気象学会山本正野論文賞受賞
廣田 勇 (ひろた いさむ)
1961年: 東京大学 理学部物理学科地球物理学課程 卒業
1966年: 東京大学理学系大学院博士課程 修了
東京大学理学部助手,米国大気科学研究センター客員研究員,
気象庁気象研究所主任研究員,京都大学理学部助教授,
オックスフォード大学客員研究員,
京都大学大学院理学研究科教授等を経て
2001年:京都大学定年退官
現在 京都大学名誉教授
1976年: 日本気象学会賞受賞
1998-2006年: 社団法人日本気象学会理事長
2005年 日本地球惑星科学連合初代議長
特定非営利活動法人 天気検定協会理事長
著書・監修:
「気象の遠近法-グローバル循環の見かた-」(成山堂書店,気象ブックス001)
「気象のことば 科学のこころ」(成山堂書店,気象ブックス017)
「なるほど!お天気学
天気検定公式テキスト」(毎日新聞社)
「気象の教室 1 グローバル気象学」 (東京大学出版会)
他