JSPS科研費「宇宙線層序学の開拓」

平成22年度から3年間の予定で,日本学術振興会科学研究費補助金(基盤(A))事業「宇宙線層序学の開拓」(研究代表者・弘前大学・堀内一穂)が開始されております.本ページは,その内容と成果を広く一般に公開するためのものです.

銀河から到達する高エネルギーの宇宙線である銀河宇宙線は,地質時代から現在にかけて絶え間なく地球に降り注いでいます.地球大気に到達する銀河宇宙線の強度は,主に太陽磁場や地球磁場の影響を受けて変動しており,その結果,大気中で生成される宇宙線生成核種(宇宙線と物質との相互作用でできる特別な原子)の生成率も絶えず変動しています.このことは,10Beや14Cに代表されるような宇宙線生成核種が,地質時代の太陽活動や地球磁場強度を明らかにするための良い代理指標(プロキシ)になることを意味します.

一方で,上記の事実を逆方向から見ると,次のようなことが言えるはずです.

「地質時代の宇宙線強度変動の特徴がアイスコアや堆積物及び年輪等の様々な地質記録中に存在し得る宇宙生成核種に記録されているのであれば,これらの変動記録を取得・整備することで,様々な地質記録を対比する(≒年代軸を同期させる)ための層序学的手段が得られはずである.」

本プロジェクトでは,アイスコア中の宇宙線生成核種の精密分析による宇宙線標準層序の作成や,様々な記録媒体に含まれる宇宙線生成核種を精度良く分析する手法を確立することを通して,これを実現するための開拓研究を行なっています.同時にこうした試みは,まだまだ未解明の部分が多い地質時代の宇宙線変動の解明にも繋がると期待して,研究を進めています.

 

研究集会「宇宙線生成核種の連続記録と古宇宙線・古環境変動」(H.23.6.4開催)

研究集会「宇宙線生成核種の連続記録と古宇宙線・古環境変動II」(H.24.8.24-25開催)

過去約千年間の太陽活動変動を南極ドームふじアイスコアの分析により復元

ホリウチ研ニュース

 

 

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