月刊ホームページ    2008年5月
 青森県気象問題連絡会  気象災害を理解し軽減する産官学の取り組み
担当: 寒地気象実験室

  青森県では,ヤマセや豪雪による気象災害が数年に一度発生しているのに加え,豪雨や強風などによる突発的な気象災害がしばしば発生しています。顕在化しつつある地球温暖化に伴う気象災害の変化という新たな問題も生じています。青森県およびその周辺で発生する気象現象に対する理解を深め,気象災害の防止・軽減に資するため,産官学から構成される「青森県気象問題連絡会」が2006年3月に発足しました。寒地気象実験室はその事務局を勤めています。気象を対象とした地域における産官学の取り組みは,全国でもあまり例のないユニークな活動だといえます。
  青森県気象問題連絡会では,年2回会合を開催しており,大きな気象災害が発生した場合は,それを特集して踏み込んだ討論をするほか,ヤマセや雪問題,地球温暖化の影響などの息の長いテーマについても議論します。
このホームページでは,発足以来行われた4回の会合を紹介したいと思います。

第1回(2006年5月)(弘前市)

平成17年12月から18年2月にかけて,日本各地で低温となり,日本海側を中心に各地で記録的な豪雪に見舞われました(平成18年豪雪)。
青森県の津軽地方では,2006年2月9日に激しい吹雪が発生し,各地で交通傷害が起こりました。
この事象について,気象状況や,道路や鉄道などへの被害状況について報告がなされ,活発な討論が行われました。
また,平成18年豪雪にかかわる大気循環や県内外の被害状況についても報告がありました。

 2007年11月11〜12日にかけて,青森県の東部で大雨が発生しました。青森市では,12日の降水量が208mmに達し,1886年の統計開始以来の記録を更新する記録的な豪雨となり,床上・床下浸水の被害も多発しました。気象台からはあらかじめ大雨警報,洪水警報等が発令されていましたが,季節はずれの未明の豪雨であり,不意打ちを食らったと感じた市民も多かったようです。
今回の豪雨時の天気状況について,青森地方気象台の久塚気象情報官より解説があり,その後,豪雨時の国道管理,住民の目から見た豪雨災害と気象情報の伝達の問題点(新聞記事参照),豪雨をもたらした気象擾乱の特異な特徴,について報告がなされ,活発な討論がなされました。
第4回(2007年12月)(青森市)
吹雪時の国道4号線の状況(2006年2月9日) 
 画像提供:国土交通省青森河川国道事務所
10月の馬淵川洪水の状況
  画像提供:国土交通省青森河川国道事務所
猿倉岳での観測風景
  画像提供:石田 祐宣
青森県気象問題連絡会の報道記事
  (2007年12月13日 東奥日報朝刊)
第2回(2006年12月)(青森市)
平成18年秋季には青森県内で豪雨災害が相次ぎました。
豪雨時の天気概況について,青森地方気象台の福山気象情報官から解説があり,
その後,8月30日に発生した八戸市内の浸水被害,
10月6〜7日に八戸市に河口を持つ馬淵川流域で生じた洪水,
10月7日に青森市内で発生した風水害,
について報告がなされ,活発な討論が行われました。
その他,青森空港の霧や,可搬型気象レーダーについて話題提供がなされました。
第3回(2007年6月)(弘前市)
前回以降で特に大きな気象災害の発生はありませんでした。2007年の暖冬の気象学的な背景,岩木川の流況,八甲田山系の降雪と積雪,南八甲田山系の猿倉岳で発生した強風災害,青森県の雪崩災害について話題提供がなされました。