概要

弘前大学理工学部について

 理工学部は,基礎と応用,理学と工学の調和した全国的に見てもユニークな理工融合学部です。きめ細かな専門基礎教育と先端的な研究環境のもとで,21世紀の高度情報化社会および先端技術社会をになう個性豊かで独創性に富んだ理工系学生の育成を目指しています。
 理工学部には数物科学科物質創成化学科地球環境防災学科電子情報工学科機械科学科自然エネルギー学科の6つの学科があります。
 理工学部では,激しく変化する現代社会に対応できる幅広い視野と理工学分野に不可欠な基礎学力とを同時に習得できるよう,実験・演習に重点を置いた専門基礎教育を重視した教育カリキュラムを受けることができます。
 さらに,大学院理工学研究科博士前期課程および博士後期課程に進学することで,理学や工学の既成概念にとらわれることなく,科学技術の高度化・多様化に順応することのできる幅広い視野と柔軟で総合的な判断力を身に付けられるよう,学部教育と教育上の連携を重視した一貫性のある教育を受けることができます。

教育研究上の目的

 学部は,高度な専門知識や技術の修得に加え,豊かな倫理観と国際感覚を備え,創造力と適応力及び総合判断力に富む人材の育成を目的とする。
 各学科の教育研究上の目的は次のとおりとする。

数物科学科  数学および物理学は,自然現象や社会現象の解明に必要な論理や法則を学ぶ学問です。入学後1年間の数学と物理学の教育を基礎として,2年次より3つのコース別に専門教育を行います。数理科学コースは,代数学,幾何学,解析学,応用数学の知識を活用して問題を数理的に解決する能力を備えた人材を育成します。 物質宇宙物理学コースは,物質材料と宇宙に関する物理学を学ぶ事を通して,将来技術革新を起こしていくことができる技術者・研究者を育成します。応用計算科学コースは,高度情報化社会の現場において生じる諸問題を数理計算の方法を用いて解決できる人材を育てます。
物質創成化学科  有機化学,無機化学,分析化学及び物理化学の学習に重点を置き,基礎学力を有した人材を育成します。これら基礎化学に加えて,二つの選択科目群(「有機・無機材料創成化学領域」及び「エネルギー・機能創成化学領域」)を設定し,各学生の専門性ならびに将来ビジョンの養成にも配慮したカリキュラムに沿って人材を育成します。そして,機能性物質の開発,環境調和を指向した機能性材料,リサイクル技術,省エネルギー・省資源技術の研究開発等に対応できる創造性豊かな化学技術者・研究者の育成を目指します。
地球環境防災学科  地球とそれを取り巻く領域を物理や化学を基礎として精密に扱うとともに,地球全体を一連のシステムと捉えた教育・研究を行います。それにより,地域に密着した視点とグローバルな観点から,地球環境問題や自然災害など今後の人類が直面する課題に対応できる人材を育成します。
電子情報工学科  電子工学,情報工学,情報科学,並びにそれらの融合領域における基礎から応用までの学識を身に付け,電子情報分野の技術革新を支える能力と教養を有し,高度情報化社会の様々な分野においてハードウェアとソフトウェアの両面から柔軟に対応できる専門的な技術者を育成することを目標としています。
機械科学科  知能システムコースでは,知能化機械技術者として国際的に活躍できる多様で柔軟な思考力を備えた創造性に富む人材を,医用システムコースでは,新産業分野として創出が加速される医用システム産業に対応できる専門性の高い人材を育成します。
自然エネルギー学科  自然エネルギーは,理学・工学などの自然科学から人文社会科学,経済学等の様々な分野と関係するため,エネルギーに関する諸問題を俯瞰的視点から検討できる人材が必要です。そのために,エネルギー資源からエネルギー変換・輸送・貯蔵・利用,そしてエネルギーシステムに関する分野をベースとし,グローバルな視点からエネルギー問題を総合的視点で捉えて次世代エネルギー分野へと展開できる人材を育成します。

カリキュラムの特徴

  • コア基礎科目~基礎分野をより強化させ、より広い応用分野へ裾野を広げるカリキュラム
  • マネジメント科目~経済・経営を俯瞰できる人材育成のための実地的カリキュラム
  • グローバル科目~グローバル化に対応した総合的な英語力・相互理解力の強化

重点3領域

1. グリーンイノベーションを支える材料科学

 今日の豊かな生活を支え,持続的な社会の構築のため,環境調和型で高付加価値を有する革新的な先端材料の創製および効率的な創製技術の開発が求められています。特に資源の乏しい我が国においては,原子効率あるいは元素の希少性を無視して,材料創成研究を行うことは,社会の要請とは相矛盾します。元素固有の性質に着目し,分子または材料を精密設計していく元素科学的視点が今後ますます重要となることは必然です。理工学部は,物質創成化学科や物理科学科を初めとして,多数の先端材料開発に関わる第一線の研究者を擁しており,元素科学を基盤とした新物質創成研究を展開しています。理工学部の理念となる理工融合に基づき,応用までを見据えたデバイスならびにシステム開発研究を並列することで,資源や環境など人類に課せられた問題の解決のためにグリーンイノベーションを巻き起こすことを目指して研究に取り組んでいます。

 リサイクル分取GPC装置,リピートインジェクタ,紫外検出器,示差屈折計,フラクションコレクタ等が装備されたフルオート仕様のHPLC実験装置
 10-1Paのガス雰囲気下で測定可能なX線光電子分光装置,走査型プローブ顕微鏡,反射高速電子回折装置,イオンスパッタ銃,固体MBE蒸着装置,試料加熱装置等が装備された超高真空実験装置

2. 医工連携による健康科学

 理工学研究科に「医用システム創造フロンティア」を設置し,学内連携,地域連携による医用システムに関する研究,教育,社会貢献に関するCOC (Center Of Community:地域連携拠点)の機能を担っています。研究分野では医学と理工学が協同し,地域企業との連携により新たな医用システム産業の創出を目指しています。研究は治療・手術につかうシステムから,リハビリや健康・スポーツ科学まで広汎な領域を対象としています。教育分野では研究科において医学および薬事法令などの健康科学分野に関するカリキュラムを実施し,分野融合の高度なキャリア教育を実施しています。地域連携分野では共同研究をはじめ,講演会や講習会を通じて企業技術者に先端技術を紹介するなどの啓発活動に取り組んでいます。地域に医用システム産業を創出し,国内基幹産業転換の先進地域となるよう自治体,工業会との連携を進めています。

 大学院「健康科学分野教育」:内視鏡装置を使った胃ファントム観察実習から新規の医用システムを考えます。

大動脈弓のCT画像
血流のシミュレーション結果

 血管内血流可視化の研究:CTデータから大動脈弓血管をモデル構築して血液の流れを可視化します。

3. 地域の安全を守り発展を支える地球科学

 東日本大震災をはじめ,これまでに繰り返し甚大な地震被害を受けている我が国では,地震防災に関する社会の要請はとても高く,地震防災技術は安全で安心な社会を実現するために必須のものです。地震防災技術は,強震動や津波などの予測,構造物や施設の安全性評価と地震対策,防災情報の活用など,多岐に及びますが,これらの技術は,広く自然災害の抑止軽減にも役立てることができます。青森地方では,最近,竜巻や豪雨などによる気象災害も頻発し,また,県内には火山もあります。こうした状況を踏まえ,理工学部では自然防災研究センターを設置し,地震防災を中心に気象災害や火山災害も含め,世の中の役に立つ技術を研究し,将来に向けた防災を担う人材を育成するために自然防災に関する教育・研究に取り組んでいます。

 地震による災害を抑止軽減するためには,都市を構成する構造物や施設の耐震化が必要になります。
 都市では,地上空間だけではなく地下空間も利用されています。
 精緻な三次元動的解析により,毎日の生活に必要な構造物や施設の安全性を合理的に評価することが可能になります。