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+ 物理化学講座担当の基礎ゼミナールは、企画の都合により、正規の時間に
+ 実施できない場合もあり得ます。掲示に注意して下さい。
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+ 火曜日 2 コマ (3-4時限) 理学部 1 番教室
+ で 5/6(Tue) から開講します。 ... 1997-04-09
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平成7年と平成8年の理学部化学科の基礎ゼミナールは、化学科の1年生36名を
4つのグループに分け、化学科の4つの講座を2週づつ見て回りました。そして
各講座毎に、研究室の紹介や実験や講義等の体験をしてもらいました。
平成9年もほぼ同様の線で、基礎ゼミナールを実施する予定です。
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物理化学講座は、研究室の雑誌会(担当者が論文の概要をまとめて紹介する)の
見学をしてもらいました。1年生にとっては内容が難しく、また高校までの勉
強法と全く違うものを体験させられるはめになり、本講座の企画に対して否定
的な感想も出たようです。しかし、

「大学での学問は高校までの勉強とは違い、自らが積極的に学ばなければなら
ないのだ。」

とか、

「数学、物理、英語がにがてだから化学科へ来たが、その考えは誤っており、
勉強の必要性を痛感した。」

などと、良い意味での衝撃を感じてくれた学生もいたようであり、少し厳しい
けれども、やったかいがあったのかなと、うれしく思っています。

そこで物理化学講座では、今年も同様の趣旨での基礎ゼミナールを実施したい
と考えています。
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ところで「ゼミナール」は、高校までの授業や大学の普通の講義とどこが違っ
ており、なにを目的とした時間なのでしょうか?
以下の資料は、そのことについての簡単な説明です。平成8年度には OHP で説
明しました。
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== Seminarとは何をする所か ==
  * 新しい知識を学ぶ
    + 既存の知識との関連
    + 知識/索引/導出法を記憶
  * 議論の方法を、経験を通して学ぶ
    + 他人の話を聞く
      - メモをとりながら
      - 意見は自然にわいてこない 
        ==> 積極的に意見を作るつもりで、人の発言を聴く
    + 自分の意見を言う 
      ==> 失敗することを恐れていては訓練にならない
      ==> 不勉強を指摘されるのが嫌ならば、必死になって勉強せよ。勉強のや
          りすぎをとがめられることはありえない。
== 科学的な議論の進め方 ==
  * 実験結果の分析 : 複眼的な考察 
    ==> 複眼思考のための目は、ふたつよりも多い方がいい
    + これまでの実験事実との整合性
    + 実験事実と既存の理論とのすりあわせ
  * 仮説検証 : 仮説を提示し、これについて真偽のあらゆる面から検討を加える。
    + 偏った議論にならないためには、異なる立場からの意見が重要
    + できるだけ多くの場合に適応可能な考え方が、望ましい
    + 結果として自分の意見が否定されても、真理の探求にとってどちらが重要か
== 議論の注意点 ==
  * 用語の定義・使用法
    + 同じものを異なる言葉で表現している/異なるものを同じ用語で表現している
    + つまらない言い間違いのために誤解され、本題の議論に入れない
  * 根拠・証拠は何か
    + 主張の根拠にふさわしいか
    + 主張の根拠として充分か 
      ==> 主張を補強するためには、どんな事実を積み上げれば良いか
  * 適応するルールは適切か
    + どんなルールを適応するのか
    + ルールの限界は
  * 論理展開に飛躍・矛盾は無いか
    + 根拠がしっかりしているか
    + 立場が首尾一貫しているか
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以下は、平成8年の基礎ゼミナールで配布した資料です。
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***  化学科~基礎ゼミナール~~(物理化学講座)  ***
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[1] 「世界で始めて」には価値があるが、「2番目」では意味が無い。

  化学の最先端の研究成果は学術雑誌として出版され、全世界の人類の知識の
  蓄積・進歩に寄与している。学部4年生・大学院生の各研究室での実験も最終
  的にはこれら最先端の研究レベルに達することを目的としている。


[2] 世界を相手にするには「国際語」である英語を自在に駆使できなければならず、
    また現代科学の精密な議論には「数学・物理学」という言葉が不可欠である。

  ここでは学術雑誌に発表された論文(研究成果の報告書)の中から、当番の演者
  が自分の研究内容等に関連して興味を持ったものを取り上げ、その内容を紹介
  ・解説する。


[3] 研究成果は批判を受けて磨かれる。そうして生き残った成果が人類の科学知識
    に貢献する。

  さらに紹介された論文の内容についての各人の意見を交換し、化学についての
  知識・理解を深める。また討論を通して議論の進め方を学び、論理的な思考能
  力と意見の発表の仕方を身に付ける。


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| 発表中であっても、わからないことがあれば遠慮せずに質問しよう。 |
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#  1年生への課題  #
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(1) 今回の発表を聞いての感想・意見をまとめる。(レポート用紙2枚以上)
(2) プリントに記載されている文章・図・表から化学に関する事項を一つ選び
    (化合物・物理的化学的現象・実験手法など)、調査してまとめる。

グループで討論した場合には参加者の氏名を、書籍で調べた場合には参考書を、
明記すること。レポートのまとめ方については

    木下是雄~著  「理系の作文技術」~中公新書

を参考にするとよい。

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%%%%% ここまで