分子分光学 (20250725)
M: 以下は宮本のコメント
- 23S2021:
- 面積強度について、等価な水素の数とあったのですが、もし水素が0個だった場合、面積強度はどのように表せますか? M: どこの話でしょうか? // もし信号(吸収)を与える水素原子核の話であれば, それがゼロ個ということは, 吸収がないことになります. 大丈夫ですか? // もしもスピン-スピンカップリングの相手の水素の話なら, カップリングする相手がいないので, この効果による吸収の分裂は無い, すなわち一本線 (パスカルの三角形の頂点の 1 に相当).
- 23S2050:
- 教科書p599の図14.8でスペクトルが下に伸びている部分があります。これはなぜ起こるのか教えて下さい M: リンギングという現象です. 教科書にあるスペクトルは, 最近の パルスFT-NMR ではなく, 旧来型の cw-NMR (連続波) の装置のスペクトルだと思われます. チャートにそういうリンギングが出たり, 観測するラジオ波の周波数からの判断ですが.
このような cw-NMR の場合, 横軸を掃引しながら (ペンが横方向に動きながら) 検出された信号強度に合わせてペンが縦方向に動いて吸収ピーク (信号) をチャート紙に記録します.
ここである鋭い吸収ピーク (信号) があると, ペンが縦方向に素早く動いてそれを記録した後で, ベースラインレベルに素早く戻ってきたペンがすぐに信号のゼロレベルに止まるのではなく, 少し縦方向に振動し,.それが記録紙に書かれるわけです.
図ではリンギングがピーク信号の右側に見られることから, ペンが左から右へとゆっくり移動しながらスペクトル線形が記録されているとわかります.
以上が現象論. //
リンギングは電気回路の中で信号が伝わるときに, 反射や LC 共振などが起こるために生じるのだそうです.
rmiya, 20250830