分子分光学 (20250623) M: 以下は宮本のコメント

22S2014: 
ベンゼンの電子スペクトルにおいて、205nmの光と225nmの光による電子遷移はどちらも同じ振電相互作用によって遷移許容となるにも関わらず、遷移確率に大きな差があるのは何によるものなのでしょうか M: 遷移モーメント積分の被積分関数の対称性 (属する既約表現) が全対称か否かにより, 遷移許容か禁制かを判定しています. 非全対称であれば積分の値が zero になり, すなわち遷移確率が zero で遷移禁制です. 一方全対称であれば, 積分の値が non-zero であり遷移確率がゼロではなく, すなわち遷移許容です. この時に遷移確率が大きいのか小さいのかは, 積分をきちんと評価して値を求める必要がありますが, 基底状態や励起状態の波動関数を正確に求めることは, 一般には非常に難しい問題です.

23S2021: 
直積を計算し、同じ対称性があるかを確認する時、対称性の有無のみが関係するのですか?、それとも対称性の個数まで関係するのでしょうか? M: 何のために 「直積を計算し〜」 を行ったのでしょうか? その時の判定基準は何だったでしょうか?? // この講義の内容が身についていないようで, 残念です.

23S2049: 
電子遷移のみを考慮したとき許容となる既約表現からは、遷移が起こるときの偏光の方向がわかりましたが、電子遷移と振動を合わせて考えたときに許容となる既約表現からは、何かわかりますか。 M: もちろん同じです. むしろナゼ, 違う原理を当てはめようと考えるのでしょうか? あちらの現象とこちらの現象とは全く無関係で独立であり, 関連性の欠片もないのでしょうか? 科学観がオカシイのでは?? // 科学は, なるべく少数の法則でなるべく多数の現象を説明する. いつでもどこでも, 同類の現象には同類の説明を適用する. 科学は独立した知識の単なる羅列・集積ではない. // 偏光方向だけでなく, その励起状態で分子の変形する方向・変形しやすい方向も示している (cf. ヤーン・テラー効果, 疑ヤーン・テラー効果).

23S2050: 
反転分布を作るにはどのような方法がありますか M: 自分で調べてみればいいのでは? 例えば教科書 pp.639-652 を読めばいいのでは??



rmiya, 20250830