分子分光学 (20250609) M: 以下は宮本のコメント

22S2014: 
遷移許容か禁制かを判断するときに、終状態の波動関数を示す規約表現と遷移を起こす作用を表す演算子を表す規約表現が一致する場合に積分の結果が全対称表現となり、遷移許容と判断できるとのことですが終状態の規約表現の指標が 1 や -1 ではない場合は演算子を表す規約表現が終状態と同じだったとしても全対称表現にならないと思うのですが、この場合でも同じ考え方ができるのでしょうか M: 具体的にどの場合 (どの点群のどの既約表現の場合) でしょうか? では, 計算してみてください. // 直積が規約表現ではなく可約表現になる場合は, もちろん簡約する.

23S2021: 
直積について、3つの対象操作に対しての直積を考えなければいけない状況はありますか?また、3つの対象操作に対しての直積を求める際に、計算する順番など、2つの時と異なるような点はありますか? M: 三つの表現の直積が必要になる場合は, あるかもしれませんね. 自分で探したり考えたりすればいいのでは? // 講義では, 水分子の振動状態について, 三つの振動モードの波動関数の積を考えました. では同様に, 電子状態について一電子波動関数のスレーター行列式で表す場合, その表現 (対称性) は, どうなるか? // ``直積表現の指標は、各表現の指標の積'' なわけで, 答は自明では?

23S2049: 
電子双極子モーメントに x, y, z の対称性があることは、双極子モーメントが x, y, z 方向の 3 成分を持つことを意味しますが、分極率に $ \DS x^2$, $ \DS y^2$, $ \DS z^2$, $ xy$, $ yz$, $ zx$ と同じ対称性があることは何を意味しますか。 M: 講義で, 光吸収は一光子の過程であり, 電気双極子モーメント (dipolemoment) の対称性であるのに対して, ラマン散乱は入射光と散乱光の二光子過程であって, 分極率 (polarizability) の対称性であるという話をしました.

23S2053: 
今回の講義では、ラマン散乱の説明の際に、帰ってくる電子は v1 に逆励起しする。これは振動によって一定のエネルギーが吸収されるためである、との話がありましたが、振動の種類によっては波長が異なるため、エネルギーが異なる。よって、dE は異なるため、v1 のみではなく、別な振動状態に逆励起する可能性があるのではないかと考えたのですが、逆励起は v1 に起こるものなのでしょうか。 M: 意味不明, ``帰ってくる電子'' とか ``逆励起'' とか, どういうことでしょうか? ラマン散乱では電子が原子や分子の外にいったん飛び出してしまう訳ではない. // 質問の意味も論理もわかりません. 初めに v1 に逆励起すると述べていて, 最後に逆励起は v1 に起こるのかと問うている. 自分で起こることを認めているモノについて, 起こるのかと問う意味が理解できない. // 水分子は, その三つの基準振動モードの全てがラマン活性, すなわちラマン散乱において遷移許容であることを, 講義で説明しました. すなわちラマンスペクトルでは $ \DS \nu_1$ だけでなく, 三種類の異なる振動数 (振動エネルギー) の遷移が全て観測されるということです.



rmiya, 2025-06-13