分子分光学 (20250414) M: 以下は宮本のコメント

21S2006: 
演算に対して単位元が存在しないものは考えられますか?
M: 好きに考えればいいのでは? たとえば, 講義時間の最後に示した例題を考えてみればいいのでは? 23S2053 も参照

22S2014: 
分子分光で使う光について、ラジオ波などの振動数の少ない光では分子の回転などが計測できてエネルギーの高い光を使用すると内側の殻の電子を計測できるとのことですが、分子の回転のエネルギーギャップより 電子軌道のエネルギーギャップの方が大きいということになりますが、その違いは何によるものなのでしょうか
M: 事実がそうなのだから, しょうがないですね. 全く異なる物理現象に関するエネルギーなので, そういうものなのでしょう. // または, 普通に物理的に考えてみればいいのでは? 例えば, 分子の回転運動の運動エネルギーは $ \DS E_$rot$ = \frac{1}{2} I \omega^2$ なのだから, 簡単な分子について計算してみればいいのでは(?) そして, 原子の内殻電子の静電ポテンシャルエネルギー (と運動エネルギー) についても...

23S2021: 
二酸化炭素は直線型ながらも曲がることが出来る、について、直線型の方が安定してそうなのに、現実で瞬間的に曲がったほうがいい状況というのがあるのか、また、それはどんな時か疑問に思いました。
M: そうですか, あなたは疑問に思ったのですね. で, 質問は何でしょうか? // ``曲がることが出来る'' と ``曲がったほうがいい'' とは, 全く別の話では? // ``いい'' とは, どういう意味だろうか? 良し悪しの価値観の基準・指標は何か?

23S2022: 
授業中に折れ線型の分子は紫外線を吸収するという話がありましたが、このような法則は複雑な構造をとる一分子の錯体にも適応されるのでしょうか?
M: ``折れ線型の分子は紫外線を吸収するという話がありましたが'' については, 何かの勘違いでは? そしてそんな一般則を述べたつもりはないのだが(?) // あ, もしかして, オゾンという個別具体的な分子の話か? オゾンが紫外線を吸収することは, 常識なのでは? 地球環境問題におけるオゾンホールの話題を知らないのか?

23S2023: 
分子の形によって性質が異なると言っていたのですが、なぜ折れ線型だと赤外線を吸収するのですか。 同じ光を見ても人によって少しずつ色が異なって見えるのはなぜですか。
M: 赤外線吸収スペクトル (IR スペクトル) の選択則については, 後に学びます (マッカーリ&サイモン の 13 章参照). // 簡単に言うと, 赤外線を吸収するためには, 振動の間に分子の永久双極子モーメントが変化することが必要です. すなわち, 折れ線型であることが必要なのではなく, 折れ曲がりの角度が変化できることが必要なのです. そこで, 二酸化炭素は直線型 (180) から折れ曲がって 180でない角度をとることができるし, 水は開いたり閉じたりと折れ曲がりの角度を変化させることができるので, 両者ともに赤外線を吸収します. // ``色が異なって見える'' とは, どういうことか? 生物には感覚器官および認識に個体差があるのは当然では?

23S2032: 
N2、O2などは赤外線を吸収しないと言ってましたが光の種類によってこれはこの程度吸収するとか違いはあったりするのでしょうか。また、光の強さ、速さなども重要になってくるのでしょうか。
M: 質問の意味がよく分からない. 物質・分子により, 異なる形状の光の吸収スペクトルを示すのは, よく知られたことなのでは? これはつまり, ある分子について光の吸収の程度は波長に依存するということであり, また同じ波長の光でも分子により吸収の程度が異なるということでもある. これの何が聞きたいのか? // 電子の運動状態が変化する紫外可視領域の光の吸収について考えれば, 物質・分子によって電子の持つエネルギーやエネルギー準位が異なる事は, 量子化学 (本学科のカリキュラムでは 構造物理化学) で学んだのではないでしょうか?

23S2049: 
なぜ群は閉じていなければならないのか。群が閉じていないとき、どのような不具合が起こるのか。
M: 閉じていることが群の ``定義'' です. したがって ``群が閉じていないとき'' ということはあり得ない. 閉じていないものは群ではない. よって, 後半の質問は無意味. // あなたが考えたいのであれば, 閉じていない集合を考えても良いが, それは群ではない.

23S2050: 
今日の講義で温室効果ガスの話があり分子の性質は分子の形によっても決まることがわかりました。そこで等核二原子分子であり直線形のもので熱を蓄えやすい分子はありますか
M: 23S2023 の前半のコメント参照 // 等核二原子分子において, 分子の永久双極子モーメントが変化するような分子振動は可能だろうか?

23S2053: 
群論において、結合則が成り立つかどうかは演算に依存すると思うのですが、集合によって成り立たなくなることはあるのでしょうか。
M: そのような演算があるかどうか, 私は知りません. あるかもしれないし, ないかもしれませんね. // 21S2006 も参照.



rmiya, 20250421