分子分光学 (20240708)
M: 以下は宮本のコメント
質問カードには「良い質問」を書くのであって, ふと思いついた疑問や教科書を読んでいてあなたが理解できなかった点についての質問を書くのではない.
この違いを理解していないと思われる質問が多数あるようだ.
- 21S2020:
- 自然放射と誘導放射はどちらの方が多く起こるとかありますか
M: 自分で言っている ``多く起こる'' の意味を理解していますか? それが分かっていれば自明だと思うのだが? // 異なる物理過程なので, 当然遷移確率は異なる可能性があるでしょうね. ていうか, そこが速度定数で表現されているのだが. そして, 遷移の速度は時間
にも依存していたりするのだが…… // どうしたら数式の意味を考えてくれるのだろうか?
- 22S2014:
- 光と分子との相互作用を速度論で考えた際、励起の速度が吸収と自然放出、誘導放出の速度の単純な和になるのはなぜなのでしょうか。誘導放出の速度の式などは誘導放出のみの場合を考えた式ということなので、吸収と自然放出、誘導放出が全て起こってる場合にはなんらかの補正項が入ってもいいように思えます。
M: 微分方程式の形で表現されている物理は明白です. 全体の速度が, 三つの過程の速度の単純な和になっているのは, 非常に単純で素直なモデルです. なぜ単純なモデルから考え始めようとせずに, いきなり複雑なモデルを採用しよう (探し求めよう) とするのだろうか? なぜわざわざデータの解析や結果の理解が困難なモノから始めようとするのだろうか? 普通は, まず単純なモデルで考えて, それで説明できない微小なズレについて, より詳細な解析を進める, のではないのか? すなわち, いきなりどこかに存在している ``正解'' に飛びつくのではなく, 徐々に近似を高める, 精度を高める, といったような...... そもそも正解 (絶対的な真理) を知ることができるのだろうか? これが真理だと, どうして確信できるのか? // 暗黙の前提条件としては, 三つの過程がそれそれ独立な確率過程であることですが, 実験的には稀薄な条件と言えるでしょう. すなわち, 励起光が弱く, 多光子吸収や励起状態からのさらなる吸収が起こらないこと, 励起状態からの発光を別の分子が再吸収するようなことがないこと, などが暗黙の条件と言えるでしょう.
rmiya, 20240716