分子分光学 (20240701)
M: 以下は宮本のコメント
質問カードには「良い質問」を書くのであって, ふと思いついた疑問や教科書を読んでいてあなたが理解できなかった点についての質問を書くのではない. この違いを理解していないと思われる質問が多数あるようだ.

21S2020: 
E1uとB1uをかけてB2gになるのはなぜですか
M: どこのことでしょうか? カン違いの予感. 2次元の既約表現と1次元表現との直積が1次元の表現になったとしたら, それは計算間違い. 正しくはどうなるかは自分で直積を計算してください。 // 黒板に書き損じた(?)

22S2014: 
ベンゼンの電子遷移について、HOMOからLUMOへの遷移が群論上では振電相互作用によって3つの遷移が考えられるとのことでしたが、その他の遷移については振電相互作用は働かないのでしょうか。また、振電相互作用が働くかどうかの条件はなんなのでしょうか。
M: カン違いの予感. // ベンゼンでは, 単なる HOMO-LUMO 遷移から, 群論的には三つの励起状態が生じることになります ( $ E_{1g} \otimes E_{2u}$). これは多電子原子の項記号で, たとえば $ p^2$ 電子配置から (ひとつでなく) 三つの項が発生することと似ているかもしれません. この段階では振電相互作用と全く関係ありません. // ``その他の遷移については振電相互作用は働かないのでしょうか。'' については, 微妙に感覚がズレている予感. 振電相互作用は常に働いている. 今回は, ただの電子遷移としては説明できない事柄について, 振電相互作用の効果まで考慮することで説明できた, という話. たとえばテイラー展開で一次の項で説明できない場合に二次の項まで考えてみる, というような話.



rmiya, 20240708