分子分光学 (20240617)
M: 以下は宮本のコメント
質問カードには「良い質問」を書くのであって, ふと思いついた疑問や教科書を読んでいてあなたが理解できなかった点についての質問を書くのではない.
この違いを理解していないと思われる質問が多数あるようだ.
- 21S2020:
- 対称伸縮の変形とはどういうことですか
M: あなたは, 分子をどういうものだと, 考えていますか? どのようにモデル化して, 考えていますか? // もしも分子を CPK モデル や 球棒モデル で考えているのならば, それらは分子を剛体だと考えていることになりますネ. 特に前者は, 分子に表面がある, あるいは空間を分子の中と外に区切る境界の面 (曲面) があると考えていることになります. また量子化学の分子軌道法では分子を, 真空中に正電荷を持つ原子核が配置され, その周囲で電子が運動しているものと考えています. ここでは, 化学者が普通に考える考え方である分子を原子の集合体と考える余地はほとんどありません. // 分子振動を考えるときには, 分子を, 球棒モデルにおける原子間結合 (価標) を剛体の棒ではなくバネと考え, また結合角についても, 角度が変わるバネ (握力のトレーニング用の握るバネの器具みたいなもの) と考えています。すなわち平衡核間距離や平衡結合角からのズレに対してフックのポテンシャルを (第一次近似として) 考えています。// そして, 原子の平衡位置からの変位については, 勝手気ままな変位ではなく, 分子の属する点群の対称性の要請に従うような変位, すなわち既約表現の基底になるような変位を考えます. 対称伸縮振動の変位は全対称です.
rmiya, 2024-024