分子分光学 (20240422)
M: 以下は宮本のコメント

21S2020: 
最新の研究でも群論は重要とされていますか?
M: 当然です. 分野によっては, まず群論的な考察から始めます. // 学ぶ必要がある理由を考えてみれば自明では?

22S2014: 
前回の講義では、対称操作で恒等操作を要素とする意味がわからなかったのですが、今回の講義で単位元の条件を満たすために恒等操作が要素の一つのなっていることがわかりました。しかし群論を用いるために恒等操作を導入したのであれば、「分子計算をするときに群論を上手く使える」のではなく「分子計算に群論を用いるために対称操作に恒等操作というものを定義した」というように感じられます。対称性の議論をするときに群論を用いるための定義を行っても、その議論の正しさは補償されるのでしょうか?
M: 微妙にカン違いの予感. ``ある集合が群になるように, その集合に単位元を加えた新しい集合を考える'' というのは論理の方向性としてオカシイ気がします. (今日の講義中で示した例題で言うと, 数の集合が和に対して群を作るようにゼロを追加したわけではないでしょう.) // たとえば置換群では, たとえば { 1, 2, 3 } の並び順を考えますが, それには $ \rm {}_3P_3 = 3 ! = 6$ 通りあることは高校数学で学修した通りでしょう. 具体的には ``(1,2,3), (1,3,2), (2,1,3), (2,3,1), (3,1,2), (3,2,1)'' の 6 通りです. これを初期配置 ( $ n_1,n_2,n_3$) からの並べ替えの操作を表していると考えれば, 初期配置と同じ並びは 恒等操作 ということになります. しかしそれは, あえて後から付け加えたものではありません. // 次に, ``議論の正しさを補償する'' とは, どういう意味か? // 論理的議論の正しさについては, 矛盾が無ければ問題ないのでは? …というか少し視点を変えた話として, ``不完全性定理'' と言ってみるテスト.

22S2034: 
本日の講義の板書で書かれていた、群の定義についてです。 群の定義の条件の単位元というのがEで、逆元がXであるという認識で間違いないでしょうか。
M: 自分で判断できないのはナゼなのでしょうか? 科学や論理の話で定義の話なので, 人によって解釈がブレる余地はほとんどないと思うので, 自分で論理的に考えればいいのでは? // 単位元とは何で, 逆元とは何ですか, どんな性質を持つものですか? E や X は, どんな性質を持つものですか? // シニフィアンとシニフィエと言ってみるテスト. 慣習的な話はあるが, 単位元を E, 逆元を X と名付けなければいけないという規則は無いので, 文脈に応じて自分で判断する必要がある.

22S2051: 
対称操作のうちSnは回転軸Cnと鏡映σの対称操作の2つを行っているが、これは積表をかいたとき、Cnとσの操作に対して群を作っているのはSnであると表しても良いのでしょうか?
M: 質問文の意味不明. ``Cnとσの操作に対して群を作っている'' とは, どういう意味か? 群の定義に関して, 「ある集合がある演算に対して群をつくる」 と述べた. この文脈では ``ある集合が Cn 操作に対して群を作る'' と ``ある集合が σ の操作に対して群を作る'' ととけるが, ある集合とはそれぞれ何か? 二つの群の話が出てきてどうなるのか? とかが分からない. // 今回の講義の初めに前回の質問に対するコメントとして, 動かした結果ではなく動かし方を問題にして注目していると説明した. (ある図形 (分子) について) 動かし方の集合が群をつくっていると説明した. よって, 集合の要素を結び付ける演算だけで群を作るという言い方は意味が分からない. // また ``〜に対して群を作っているのは Sn であると表す'' となると, 何をどう解釈すればいいのか見当がつかない.



rmiya, 2024-05-02