構造物理化学II (20220628)
M: 以下は宮本のコメント
質問カードには「良い質問」を書くのであって, ふと思いついた疑問や教科書を読んでいてあなたが理解できなかった点についての質問を書くのではない.
この違いを理解していないと思われる質問が多数あるようだ.
- 16S2052:
- そこが傾いた一次元の箱の中の粒子は、なぜポテンシャルが低い方に集まるのではなく、全体に広がっていて、傾いている分のポテンシャルが平均化された状態で求まるのでしょうか M: 意味不明. ``ポテンシャルが低い方に集まる'' とか, どういう意味か全く想像もできない.
- 17S2037:
- コンピュータ技術の進歩により量子化学の計算がコンピュータで行うことができるようになっているが、本講義のように量子化学を手計算で行うやり方を学ぶことに対してなにか意味はあるのでしょうか。 M: コンピュータをブラックボックスにしない. 計算の原理を理解する.
- 17S2051:
- 逐次補正は先に進むにつれて重要ではなくなると書いているが、何次まではまとめておいた方がいい、などはあるのか M: 状況や問題は多数あり, また非摂動と摂動の切り分け方にも色々あるのに, 何次まではまとめるなどという一般的な取扱いができると考える根拠は何か?
- 18S2010:
- ゼーマン効果で 2p 起動が 3 つのエネルギー順位に分裂する際、3 つの異なる軌道が磁場方向に応じて変化するのか、軌道自体の変化は起こらないのか M: ``変化する'' とはどういう意味か? 何を ``変化する前'' と考えるのか? // ゼーマン効果を摂動と考えるのなら, 波動関数の補正も考えれば, それは非摂動状態の波動関数から変化したということもできる. どのように変化するのかは, 計算すれば分かるのでは?
- 18S2014:
- 摂動の関数はどれくらいまでなら許されるものですか M: どれくらいとか許すとか, 意味不明.
- 18S2018:
- 無限級数を施行関数として用いるのであれば、もとの求めたい波動関数がそれに近いことを予測して使う必要があるがそれらはどこから判断できるのか。 M: 本気か? さすがに無限個の変分パラメータを持つ無限級数を試行関数にするのは困難では? // 数学の基礎を復習する必要があるのでは? テイラー展開にしろフーリエ級数にしろ, 無限個の項で任意の関数を表現できるのでは?
- 19S2004:
- 摂動論では逐次補正が急速に小さくなっていくのはなぜでしょうか? M: それって本当なのか? // 基本的な ``仮定'' なのでは?
- 19S2049:
- p.281 の全基底状態エネルギーについて、各系において基底状態のエネルギーは異なるのだから「全」ということばに違和感があるが、これは文章の意味の取り違えなのか? M: 誤解の予感. // 全基底状態エネルギーは
のように, 非摂動系のエネルギー プラス 一次の補正 プラス 二次の補正 プラス ......
- 19S2051:
- 摂動法の仮定である逐次補正は急速に小さくなって先へ進むにつれて重要でなくなるということだが,重要とされる場合はあるのでしょうか。 M: ここで言う ``重要'' は, 寄与が大きい, すなわち値が大きいという意味. したがって補正値が小さくなるということと重要でなくなるということは同じ意味.
- 20S2001:
- 最も精度の高い計算結果とは、どのような方法で求められるのでしょうか? M: 教科書の表8.2
について, 講義でも説明したのに, 理解されていないようで, 残念.
- 20S2004:
- 摂動法で加える補正を適切に選ぶことが出来なかった場合、近似値としての精度が悪くなることはありますか。 M: 意味不明. ``補正を適切に選ぶ'' とはどういう意味か? // あなたが恣意的に補正値の大きさを決めることができるのか?
- 20S2010:
- 異なる波動関数を持っていながら、エネルギー固有値が同じである状態(縮退)の場合も、同様に摂動法を用いることはできるのでしょうか。 M: 状態に応じて, 摂動の考え方を用いることが出来たり出来なかったりするのか? なぜそのような違いが生じるのか? // 解けている系に近いと考えることに, 状態に依存した制限があるのか? // 非縮重系の摂動と縮重系の摂動とでは, 手続き的に少し異なるものもあるので, 参考書等をよく読んで勉強すればいいのでは? // 縮重系の摂動では, その摂動により縮重が解けるというのがよくある話 (関連して, ヤーン・テラー効果とか振電相互作用とか).
- 20S2027:
- 摂動法で用いる解けている系は好きなものを選んでいいならば、なぜ類似の系と教科書に書かれているのですか?摂動項をできるだけ小さくすることが必要なのですか? M: 本気か? そもそも ``摂動'' って, どういう意味か?
- 20S2029:
- 一分子の系に温度は定義できますか M: 出来るかどうかを暗記してもつまらない. // どのように定義すればいいか, 自分で色々と考えてみれば面白いのでは?
- 20S2036:
- 永年方程式を立てる際、Hij=Hji が成り立たない時は可換でないとしてバラバラで計算すれば良いのか、またその時はエネルギーが実数でない場合どのように取り扱えばよいのか。 M: 正気か? 実数でないエネルギーとは, 一体全体何のことか? また, ``可換でない'' とは, 何のことか? ``バラバラで計算する'' とは, 具体的に何をどう計算することか? // ハミルトニアンはエルミートなので, 行列要素には
の関係がある. またエルミート演算子の固有値は実数である (証明してみよう).
- 20S2037:
- 原子を磁場中においたときなぜスペクトル線は分裂するのでしょうか? M: ゼーマン効果 と言ってみるテスト
- 20S2042:
- 摂動論の基本的な過程で逐次補正は急速に小さくなって先に進むにつれて重要ではなくなると教科書に記述されていますが、この逆で徐々に大きくなり重要になってくる場合はあるのでしょうか。また、その場合摂動論による解き方にどのような影響があるのでしょうか。 M: そもそも仮定なのだから, 仮定が成り立たないのであれば, その先の議論・結論も成り立たない. // もしも質問にあるような状況が成り立ち, 徐々に大きくなっていくならば, 結局発散してしまうということでは?
- 20S2046:
- 教科書 p.280 のハミルトニアン演算子の H(1) にあたる部分はどのように導き出すのでしょうか。 M: 本気か? 自分で考えて分からないのはナゼか? //
の, どこが分からないのか?
- 20S2047:
- 摂動項は増やせば増やすほど、より精度の良い演算ができる、とありましたが、多次 (13 次をはるかに上回るような次数) の補正項でもって計算すれば、理論的には求めたい Φ や E の厳密解を求められるのでしょうか? M: 本気か? 自分で考えて分からないのはナゼか? // 実験ガイダンスの時間でも説明したのに, 理解されていないようで残念. 1.41421356...... はどこまで行っても
と一致しない.
- 20S2051:
- 量子力学における基礎となりうるが未だに判明しておらず今も研究されていることはあるのか?もしあるならば何が問題で判明できていないのか? M: 解釈論, 波動関数の収縮について
- 20S2052:
- 1次元の箱の中の粒子に摂動項を考えるとき、箱の中がどのように変化しているのかわからないです M: そうですか, 質問が記載されていない.
- 20S2053:
- 3次、4次…の摂動エネルギーも、2次の時と同様に分子が3乗、4乗…とすることで求められるのですか? M: 補正項の求め方は, 教科書にも記載されていないし, 講義でも説明しなかったので, 興味のある学生は参考書をよく読んで勉強すればいいのでは?
- 21S2001:
- 摂動法の誤差は1%と、極めて小さな誤差であるが、なぜ変分法より摂動法のほうが優れた近似ができるのか。 M: 未だに, 教科書 p.263 の ``ほとんど望みの精度で解くことができる'' の意味を理解していない人がいるとは......
- 21S2002:
- 摂動法や変分法が古典物理学の分野で利用されていることはありますか? M: 有ったらどうで, なかったらどうだというのか? // 摂動は天文計算で用いられた.
- 21S2004:
- 変分法で得られた解と、摂動法で得られた解との差異はあるのでしょうか? M: 教科書の表8.2 を見て考えればいいのでは?
- 21S2005:
- 摂動論について、テイラー展開などの近似展開された波動関数をもとに厳密に計算するのと、どちらが優れているのか。 M: 厳密解が分からないのに, どうやってテイラー展開するのか?
// 近似波動関数を元にして厳密に計算するとはどういうことか? 近似解を用いたら近似的な計算になるのでは?
- 21S2006:
- 変分方の摂動法以外の近似の方法は存在しないのでしょうか? M: 意味不明 // 微分方程式の数値解法があることは紹介したことがあるはずだが, 伝わっていなくて残念.
- 21S2007:
- 古典力学や量子力学において、どのような場面で摂動論が用いられるのか。 M: 自分でどれだけ調べたのか? 調べる努力をしたのか?
- 21S2008:
- 類似の系はどのような観点から類似してると判断できるのでしょうか M: 似ているかどうかは主観だと言ったのだが, 伝わっていなくて残念. // そもそも厳密に解けている系は少ない. // 対象としている系をどう認識しているかという問題でもある. 好きにすればいいのでは?
- 21S2009:
- 一様な電場の中に置かれている水素原子の問題で摂動論を適用すると、水素原子の分極率を求めることができますが、分極率からどのような化学的現象を説明できるのでしょうか。 M: 自分でどれだけ調べる努力をしたのでしょうか? // シュタルク効果, ラマン効果, 原子オービタルの変形のしやすさの指標なのでハードソフトと関連するかも, その他に調べたり考えたりすればいいのでは?
- 21S2010:
- 摂動法は変分法に比べて誤差の伝搬が激しいように感じるのですが、どうなのでしょうか。 M: そのように感じる根拠は何か?
- 21S2012:
- 未知の系について摂動論を使って近似を得ようとする際、前に摂動論で求めた近似解を既知の解として求めることはできるのですか。 M: 自分で計算して求めてみれば良いのでは?
- 21S2013:
- 摂動論の基本的な仮定で逐次補正が急速に小さくなっていくのはなぜですか M: 本気か? // ``仮定'' の意味を理解していないのか?
- 21S2015:
- 変分法と摂動法、二つの近似法がありますが、この二つを使い分けるコツやどちらか一方が近似において有利(より良い精度で得られる)状況はありますか。 M: 使っているうちに分かるのでは? 両方でやってみて比べればいいのでは? // 背景となる思想が全く異なるので, 事案によって有利なものは, そりゃあるでしょうね.
- 21S2016:
- 原子のエネルギーの実際の値はどのような実験で求められているのですか? M: そりゃ, 色々あるでしょうね. 教科書 p.328, 332 参照 // 教科書では分子のオービタルエネルギーを求めるのに UPS, XPS のデータがしばしば示されている (p.378 他参照).
- 21S2017:
- 近似解を求める前に、変分法と摂動法どちらの方がより良い解を求められるのかを予測したいのですが、そのような方法はありますか? M: 21S2001 参照 // 使い分けはそういう観点ではない. ``(何がわかっていて,) 何を知りたいのか.'' という目的によるのでは? 教科書でもいくつか取り上げられている. どういう問題に変分法を用いて, どういう問題に摂動法を用いているか?
- 21S2019:
- 摂動論の補正項について、今日の講義で宮本先生は「大抵は1次や2次の補正項で落ち着く」と説明しましたが、補正項が何次にも連なる場合には、何か変わった事象が起こっているのですか。 M: あなたが何をやりたいのか, 何を知りたいのかによるのでは? // 変わった現象というよりも, 摂動・非摂動の切り分けがまずくて, ``摂動が十分小さい'' という前提条件が成り立っていないということでは?
- 21S2020:
- 励起状態が複数存在するのは何故ですか。 M: 正気か? そもそも状態はいくつあるのか? 例えば箱の中の粒子や調和振動子では? 多電子原子・分子における電子配置は? // 基底状態以外はすべて励起状態.
- 21S2023:
- 摂動論について、縮退がある系ではどのように考えるのですか。 M: 20S2010 参照
- 21S2024:
- 補正項に限度はありますか。無限に精度を上げられますか。 M: 本気か? 21S2001 参照
- 21S2026:
- 摂動論の仮定で、逐次補正は急速に小さくなるとあるのですが、どうしてそのようなことが起きるのですか。 M: 21S2013 参照
- 21S2028:
- 類似性のある別の系については解き方が分かっているが、類似性のないものはどのようにするのでしょうか M: 21S2008 参照, 20S2046 のコメント参照
- 21S2029:
- 近似をするときに変分法と摂動論ではどちらの方がより簡単によりたくさんの原子に適用できるのか?また、不向きな関数というのは存在するのか? M: 統計を取ったことが無いので, 私は知りません. 調べて分かったら, 教えてくださいネ.
- 21S2031:
- 摂動論は次数を大きくすればどこまでも精確になりますか。それともどこかで破綻しますか。 M: 本気か? 21S2001 参照
- 21S2032:
- 時計が存在しない時代の人々はどうやって夜に時間を測っていたのでしょうか。 M: 自分で調べてばいいのでは? // ランプの油がもったいないので, 寝ていたのでは? // 時を計る機器・装置を時計と呼ぶのであれば, 時計がない時代に時を計ることはできない
:-p
- 21S2033:
- リッツの変分法について、前回の宿題に訂正が加えられ試行関数が少し変わりましたが、なぜ定数項と一次の項があるとうまく行くことが予測されるのですか? M: 本気か? // 教科書で求められた近似波動関数
を展開して整理すれば
の一次の項が含まれているのは自明では?
- 21S2034:
- 摂動論の非摂動部分の計算にさらに近似法を用いてもよいのか M: 良し悪しの基準は? 判断は誰がするのか, 神か? // あなたの責任において好きにすればいいのでは? // 摂動論的に電子相関を考慮する方法 MP2, MP4 等は, HF 解をゼロ次としている. (教科書 p.317 や参考書参照)
- 21S2035:
- 変分法と摂動論はどのような基準で使い分ければよいのか。 M: 21S2017 参照
- 21S2036:
- より正確な値を出すための試行関数の決め方というものはありますか。 M: 適切な試行関数を選べば, あるいは厳密解に近い関数を試行関数に選べば, 正確な値が期待できるところではある. しかし教科書にも示されている通り, リッツの変分法において充分な数の関数の線形結合で試行関数を構築すれば (変分パラメータの数が充分に多ければ) 近似解は厳密解に近づくと期待できるので, それでもいいのでは? この場合は試行関数の形に特別な工夫は不要.
- 21S2037:
-
とおいて計算した時、E の符号が逆転しました。教科書 p.276 の
において、ただ置いているだけでなく定義として存在しているのですか? M: 質問の意味が分からない.
と
の関係について符号が異なる置き換え方をしているのだから, 同じ
から符号違いの
が得られるのは当たり前で, 何の疑問点もないのだが?
- 21S2038:
- p.279 の摂動論の背後にある考え方とあるが、背後にあるとはどのような意味なのか? M: 日本語力不足か? // 言葉の意味が分からないのなら, 辞書を見ればいいのでは?
- 21S2039:
- 底が傾いた一次元の箱の中の粒子のエネルギーを求める問題があったが、実際どのような場面で底が傾いた一次元の箱の中の粒子というモデルを用いることができるのでしょうか? M: このモデルをどこで使うか, すなわち道具の使い方は, 自分で工夫すればいいのでは?
- 21S2040:
- 摂動論について、底が傾いた箱を考えたときにすべてのエネルギー準位が同じだけ大きくなると考えるのはなぜですか。 M: 計算結果がそうなることを示しているのだが, それのどこに問題があるのか?
- 21S2041:
- 鉄原子などのかなり電子が多い系では水素原子を基にして摂動法で計算しても誤差がかなり大きくなってしまい、実用に耐える数値は出せないと思うのですが実際はどのように計算しているのでしょうか。 M: 教科書 8 章や参考書を見ればいいのでは? // ハートリー・フォック法, DFT
- 21S2042:
- 第一励起状態の下限は求められますか(基底状態のエネルギーとの差など)? M: 自分で考えて分からないのはナゼか? // 第一励起状態は基底状態よりはエネルギーが高いので, 基底状態のエネルギーが下限.
- 21S2043:
- ある系が対称性を持っていれば、縮退が起きているとありましたが、縮退が解かれる要因とは何ですか。 M: 点群では
以上の回転軸という対称要素があれば, 縮重の既約表現がある. よって縮重が解けるのは, このような対称性が低下する要因となる相互作用が存在すること. 外部要因としては電場や磁場などの外場. 内部要因の例としては, 縮重した電子状態に対する分子内振動とのカップリング (振電相互作用) や分子構造の歪み (ヤーン・テラー効果).
- 21S2044:
- 摂動論はどのような場合で適応できるのですか M: 教科書や参考書をよーーーく読んで勉強して考えれば分かるのでは? // あなたがそれで近似解を求めたいと思った場合に使えばいいのでは?
- 21S2045:
- 箱の中の粒子では節が 2 つあることから E2 を第二励起エネルギーであると判断していましたが、未知の系の場合にはどのようにするのですか? M: 自分で考えて分からないのはナゼか? // 教科書の箱の中の粒子の系をリッツの変分法であつかった例では, 先験的な知識を利用して判断した. 未知の系については先験的な知識を活用することができないので, そのような判断はできない.
- 21S2046:
- 摂動論について、縮退の有無によって扱いが変わるのはなぜなのか、また、二次のエネルギー固有値が負の値を持つのはなぜか。 M: 非摂動系で二重縮重している状態についての一次の摂動エネルギーを考えてみよう. 縮重した状態の波動関数 (固有関数) を仮に
,
とすると, これらの線形結合もまた同じ状態の固有関数である. すなわち縮重した状態の固有関数は一意には決まらない. この系に摂動がかかる事を考えると,
などとしても一次の摂動エネルギーを正しく求めたことにはならない. 一方, 摂動系において
,
はもはや固有関数にはなっていないので, これらの線形結合をとって摂動系の固有関数を作らなければならない. すなわち摂動により縮重が解けることになる. これには 2×2 の行列の対角化が必要となり, これが縮重のある系の摂動論の肝である.
- 21S2048:
- 永年方程式の「永年」とは方程式のどのような性質を示しているのか。 M: 私は知りません. 名付けた人に聞けばいいのでは?
:-p
- 21S2050:
- 変分法と摂動論の他に良い近似の方法はありますか? M: 21S2006 参照
- 21S2052:
- 摂動論について、近似法を用いて非摂動部分を計算してもよいのでしょうか。それとも、厳密解がわかる部分までを非摂動部分とすべきなのでしょうか。 M: 21S2034 参照
rmiya, 2022-07-05