構造物理化学II (20220531) M: 以下は宮本のコメント
質問カードには「良い質問」を書くのであって, ふと思いついた疑問や教科書を読んでいてあなたが理解できなかった点についての質問を書くのではない. この違いを理解していないと思われる質問が多数あるようだ.

17S2037: 
d 軌道の中で、 $ \DS d_{z^2}$ 軌道だけ形が大きく異なっているのはなぜですか。 M:  $ \DS 3 z^2 - r^2 = 3 z^2 - (x^2 + y^2 + z^2) = (z^2 - x^2) + (z^2 - y^2)$ // $ \DS x^2 - y^2$, $ \DS y^2 - z^2$, $ \DS z^2 - x^2$ の三つは独立ではない. 独立なのは二つだけなので, たがいに直交するように二つを選んでおく.

17S2051: 
図6・6 では、全体の 40% が入る領域を塗りつぶして強調しているが、この領域は特に重要な部分なのか。 M: 自分で考えて分からないのはナゼか? 40 が 45 や 50 になったとして, 本質的に何かが変わるか? // どこから数えて 40 % なのだろうか?

18S2010: 
球面調和関数を用いると実際の水素原子の軌道と近い形が見えるのは何故か M: 球面調和関数と水素原子のオービタルとの関係は? // ``実際の水素原子の軌道の形'' とは, 一体どんな形か? だれがどこでそう言っているのか?

18S2018: 
調べると m=1 l=1 と m=-1 l=1 が区別されずにトーラス状のものとして描かれていたものがあり、それはなぜなのでしょうか。 M: 本気か? それは何を描いたものか? // $ \DS \left\vert Y_1^{1} \right\vert^2$ $ \DS \left\vert Y_1^{-1} \right\vert^2$ は, 何がどう違うか?

19S2004: 
ゼーマン効果ではなぜ原子が磁場中に存在するとき準位の分裂が起こるのでしょうか? M: この質問はピンボケの予感. そもそもその現象を ``ゼーマン効果'' と命名したのだから (定義のようなもの). // 教科書 pp.245-246 にも記述があるし, 講義でも計算過程を示してエネルギー準位が分裂することを説明したのだが, 何が分からなかったのか?

19S2022: 
球面調和関数を, 1 ミリの狂いもなく正確にプロットするにはどうしたらよいのでしょうか。 M: 作図の仕方は色々あるので, 自分でやりやすい方法を工夫すればいいのでは? 細心の注意を払って作業するとか, 作図の訓練をするとか, 個人の努力の要素が少しはあるのでは? // こうすれば必ずできるという方法などあるのだろうか?

19S2049: 
変分などの近似法は、モデルを考えた際にはどういった物理的意味を持つか。 M: 質問の意図が分からない. // 近似しようがしまいが, 現象を記述する物理モデルに関係ないのでは?

19S2051: 
球面調和関数のプロットを三次元に拡張するには二次元の時と全く同じ原理でプロットできるのでしょうか? M: 意味不明. ``できるできない'' ではなくて, あなたが ``やるかどうか'' なのでは? // そういう拡張をしたければ, やればいいだけでは?

20S2001: 
電子の存在確率と球面調和関数の図に違いがあるのはなぜでしょうか?見やすさを重視したからでしょうか? // また、ゼーマン効果はなぜ起こるのでしょうか? M: 本気か? 異なるものを描画したのだから, 異なる図になって当たり前では? // 19S2004 参照

20S2004: 
電場と磁場中で原子の縮退した軌道が分裂した場合、その分裂はゼーマン効果とシュタルク効果それぞれによる分裂の合算ですか。 M: 自分で計算してみれば分かるのでは?

20S2006: 
先生のオススメのプロットしてくれるサイトなどありますか? M: 特にありませんが, それが何か?

20S2010: 
p.237、7行目の 「化学者の直感から」 というのは具体的にどういうことでしょうか。 M: 本気か? 言葉通りの意味だが, あなたは直感的に思わないのか? // 原子間の化学結合に方向性があり, それによって分子が三次元的に構成されていると考えるのは, 化学者の常識では?

20S2021: 
変分法と摂動法から求めた値をより正確な値に近づけるにはどうしたらよいのか? M: 勉強すれば分かるのでは?

20S2027: 
ゼーマン効果を用いて観測される m は必ず 2l+1 通りになるのですか? M: 本気か? 水素型原子オービタルの量子数について復習する必要があるのでは?

20S2029: 
量子力学では物理量に対する演算子が重要な役割をはたしますか M: 本気か? 正気か? // 教科書 4 章の仮説2, 3, 4 をよーーーく復習する必要があるのでは?

20S2036: 
水素の原子波動関数は主量子数、角運動量量子数、磁気量子数の 3 つに依存するとありますが、4 つめの量子数としてスピン量子数は考慮しなくて良いのでしょうか? M: 自分で判断できないのはナゼか? // 教科書 6 章や参考書をよーーーく読んで復習すれば, 水素の原子波動関数にどの量子数が必要か, スピン量子数がそこにどう関与してくるのか, 分かるのでは? 本当は関係があるのに, あらゆる教科書に全く記載されていないということがあり得るだろうか? // 電子の三次元空間内における運動状態を記述するのに, 自由度 (変数の数) はいくつ必要か?

20S2042: 
電子軌道は、主量子数 n、角運動量子数 l、磁気量子数 m の 3 つの量子数で形などが決まっていますが、スピン量子数は電子軌道の形などを決める上で影響などはないのでしょうか。 M: 20S2036 参照

20S2046: 
変分原理において試行関数は何を基準に考えるのですか。 M: 別に. 好きにすればいいのでは? 試行 (trial) なのだから. // 物理的状況を吟味して先験的に考慮すべき要素があれば取り入れればいいのでは? 必ずそうしなければいけないという規則などないのだから, 取り入れなくてもいいのでは?

20S2047: 
233 ページ図6.6 の 3p0 において、確率分布の山は 3 つあると思うのですが、227 ページ図6.3 における 3p 軌道の確率密度の山が 2 つしかないのはなぜなのでしょうか?3 つになるのではないのですか? M: それぞれの図は何を表わしているのか? 何をどう数えて, 山が 3 つだったり 2 つだったりするのか?

20S2051: 
球面調和関数のプロットに関して、他の教科書にて正しいプロットに対し形状がやや変化しているのは何か意図があるのか? M: 著者に聞けばいいのでは? // 故意に劣った図を掲載する意味があるのだろうか?

20S2052: 
3s, 3p 軌道に比べて 3d 軌道の方が確率密度の値が大きい部分の r がより小さいのは何が原因ですか. M: 自分でいろいろと考えてみるのも面白いのでは? (与えられた答えを暗記するのは, 勉強ではない) // オービタル角運動量 l が小さい方が, 核に近い位置にまで電子が貫入してきている.

20S2053: 
ゼーマン効果はスピンについても同様におこりますか? M: 勉強すれば分かるのでは?

21S2001: 
スピン磁気量子数はオービタルに影響しないのですか? M: 20S2036 参照

21S2002: 
教科書 p.226 に、水素原子のエネルギーは、磁場が存在するときにはエネルギー準位が分裂し、磁気量子数 m に依存する、とありますが、これは主量子数の値が水素原子のエネルギーに与える影響より大きいのでしょうか。/また、磁場が存在する時としない時で反応のしやすさにどれほどの影響があるのでしょうか。 M: 自分で計算してみれば分かるのでは? // 化学反応の磁場効果についての研究はありますが, 非常に強い磁場をかけて, ごくわずかの差が出る程度です. これは磁気量子数よりもスピン多重度の違いによる (一重項は結合的, 三重項は解離的).

21S2004: 
どうして電子を磁場中に置くと、エネルギー順位が分かれるのですか? M: 19S2004 参照

21S2005: 
磁場中の水素原子のエネルギーは m に依存するが、磁場の有無が反応の起こりやすさに影響することはあるのか? M: 21S2002 の後半参照

21S2006: 
xy方向とz方向で磁場の作用が異なるのはなぜですか? M: どの作用の話か?

21S2007: 
ゼーマン効果は、磁場中だけでなく、電場中や電磁場中では起こらないのですか。 M: 本気か? そもそも ``ゼーマン効果'' とは, 何のどんな効果を言うのか? それは電場と関係するか? 電磁場の磁場と関係するか (原理的に)?

21S2009: 
(1)講義中先生は【教科書p233 図6・6】の(c)3sを「存在確率の高い部分が3つになっていないから正しくない」と仰られていましたが、図を見れば中心に近い方の等高線の密度が高くなっている部分に白い円(存在確率が低いことを示す部分)があるのはわかると思います。つまり存在確率の高い部分はしっかりと3つあるわけで、この3sの図は正しいと思うのですが、何故正しくないと仰られたのでしょうか。 // (2) 球面調和関数から原子オービタルの形が求められるのは分かりましたが、その形が実際の原子オービタルの形と同じかどうか確かめる方法はあるのでしょうか。 M: 確かによく見ると中心に最も近い黒い輪に白い円があるように見えます. 講義の時のスクリーンに映った絵では上手く認識できませんでした. スミマセン. しかしどうしてその場で指摘していただけなかったのでしょうか?? そうすれば, この質問はしなくてよかったし, 私を信じて誤解する人もいなかったであろうに. // ``実際の原子オービタルの形'' とは何か?

21S2010: 
水素原子内の電子の存在確率をグラフにプロットする際、原子核内に電子があるはずはないのにそこが考慮されていないのではないのかと疑問に思いました。 // これに関してはモデルがそこを考えていないということで理解してもいいのでしょうか。 M: グラフのどこの話か? ``原子核内に電子があるはずはない'' と考える根拠は? // むしろシュレーディンガー方程式の解としてオービタル波動関数は, 核の位置で値を持つ (電子密度分布がゼロではない) との結果を与えているのだから, 現実もそうだと考えない根拠に欠けるのでは? // ``フェルミ接触項'' と言ってみるテスト

21S2012: 
ヘリウム原子のシュレディンガー方程式は厳密に解くことができないため、近似法を用いるとある。その近似が正しく、目的に合った近似がされているのかを判断するにはどのようにすればよいのですか。 M: 方程式に近似解を代入すればいいのでは? // 方程式の解であるかどうかの確認には何をすればいいか?

21S2013: 
摂動論と変分法以外にどのような近似法があるのでしょうか M: 勉強すれば分かるのでは? // 現代では微分方程式を数値的に解く方法も発達している. 数値解析の参考書を参照.

21S2014: 
実際にプロットして得られたグラフと、教科書のグラフが異なるのは何か理由はあるのですか? M: 本気か? 自分で判断できないのはナゼか? // 理由もなく二つのグラフが異なることはあるのか? あり得るのか??

21S2015: 
オービタルは 3 つの量子数 (n,l,m) に依存していたが、スピン量子数はオービタルに影響しないのですか。また、その理由はなぜなのですか。 M: 20S2036 参照

21S2016: 
教科書の式をもとにプロットした図が教科書の図と異なっていた場合、どちらが正確な図か判断するにはどうすればいいですか? M: 自分で式を導出したり計算してみたり, 作図してみたりすればいいのでは? // 正しいと称するものを与えられるのを待ち, それを暗記すればいいと考えているのなら, それは勉強ではない.

21S2017: 
教科書 p.232-233 で、水素原子オービタルについてニ種類の表現方法を扱いましたが、それぞれの表現方法における短所と長所はありますか? M: 本気か? 自分で考えて分からないのはナゼか?

21S2018: 
ゼーマン効果は電子のスピンだけではなく、中性子や陽子の核スピンにも適用されるのですか M: 勉強すれば分かるのでは?

21S2019: 
昨日紹介していただいた、アトキンス物理化学に書いてあるプロット図はなぜあのような形になるのですか。 M: どの図のことを言っているのか? 著者に聞けばいいのでは??

21S2020: 
球面調和関数は教科書では二次元や三次元で表されていますが、一次元で表すことはできますか M: 本気か? 自分でやってみれば良いのでは?

21S2022: 
球面調和関数の符号の取り方について、講義の中でコンドン&ジョートレー流の紹介がありましたが、ただ単に符号が反転するだけでは物理的な意味合いに違いが無いように思うのですが、それぞれどのような場面で有用なのでしょうか? M: 色々と影響があることを講義でも紹介して説明したのに, 全く理解されていないようで残念. // 波動関数の定数倍 ($ -1$ 倍) に, どのような物理的な意味があるのか? この物理的意味を考慮して, 波動関数の符号を一意に決定する事は可能か?

21S2023: 
教科書 p.226 「磁場中の水素原子のエネルギーが m に依存している」 とありますが、磁場がある場合と無い場合では化学反応に大きな差は出るのですか。 M: 21S2002 の後半参照

21S2024: 
ゼーマンエネルギーとはどのようなものですか M: 自分で調べても分からなかったのでしょうか? 教科書 p.245 の問題6.44 や参考書をよく読んで勉強すれば分かるのでは? // 磁場中に置かれた磁気双極子モーメントの持つポテンシャルエネルギー.

21S2025: 
ゼーマン効果について半導体に磁場をかけると、伸縮していた電子軌道が分離するのはなぜですか。 M: 半導体とか伸縮とか, 意味不明. // 19S2004 参照

21S2026: 
磁場が存在しない場合は単一の波長であったスペクトル線が、原子を磁場中に入れた時には複数のスペクトル線に分裂するとありますが、なぜ磁場中では分裂するのですか。 M: 19S2004 参照

21S2031: 
ゼーマン効果でエネルギーの縮退が解けて異なるエネルギーを持つとき差は何を表しているんですか M: 何と何との差の話か? 自分で計算してみれば良いのでは? // 19S2004 参照

21S2032: 
p.227 の図6.3 は多原子でも成り立ちますか。 M: 本気か? 自分で判断できないのはナゼか? // 水素型原子と多原子とのちがいは何か? // そもそも ``多原子'' とは何を意味しているのか??

21S2033: 
今回の講義で見させていただいた f オービタルの 3 次元プロットについて、実数化の手法を変えると出力される図が異なっていましたが、出力されている図の意味は電子の存在確率だと考えると電子が見出される空間が違うと結合の様子などに変化は生じないのでしょうか? M: 自分で考えて分からないのはナゼか? 原子間の化学結合に方向性はあるのか? 例えば $ \sigma$-結合と $ \pi$-結合とで, 関与する電子の分布は同じか違うか? // 原子間で結合を形成するとき, その結合に関与する電子はどこに存在しているのか? なぜそこに電子が存在しているのか? 電子の存在確率密度分布は何を元にして考えればいいだろうか?

21S2036: 
ゼーマン効果はどのようなところに利用されているのでしょうか。 M: 自分で調べてみれば良いのでは? 教科書や参考書を読んで勉強すれば分かるのでは? // 磁気共鳴法 (NMR, EPR) // 21S2046 参照

21S2037: 
ボーアモデルでは軌道上で運動することが誤りであったのに、エネルギーに誤りがないのはなぜですか? M: 20220524 の 17S2037 参照 // 電子が円軌道上を運動するという意味では, ボーアモデルは誤りだったが, エネルギー (状態) がひとつの整数で特徴づけられる (量子数) という点, および状態間の遷移に伴って光子としてエネルギーが出入りする ( $ \Delta E = h \nu$) という点においては, 本質をとらえていた.

21S2039: 
$ \DS z^{(2)}$ $ \DS 3z^{(2)}-r^{(2)}$ の省略と言っていましたが,なぜ $ \DS 3z^{(2)}-r^{(2)}$ になるのでしょうか? M: 17S2037 参照

21S2041: 
水素原子のオービタルを正と負のローブに分ける理由と基準とは何なのか。正の部分と負の部分で性質が変わらないのになぜ分けるのか。 M: 本気か? 正気か? オービタル波動関数をよーーーく見て考えて計算してグラフに書いてみれば良いのでは?

21S2043: 
原子を磁場中に置いた場合に、電子の進行方向に対して右周り、左周りのスピンの方向によってエネルギー準位が変わるのはなぜですか。 M: 著しく勘違いの予感 // ``電子の進行方向に対して右周り、左周りのスピン...'' とはどういうことか? どこにそんなことが書いてあったのか??

21S2044: 
磁場中でエネルギー準位が分裂することは、どのような性質や法則によるものなのですか M: 19S2004 参照

21S2045: 
磁場中の水素原子のエネルギーは m に依存しているとありますが、磁場の有無によって反応性に違いはあるのでしょうか? M: 21S2002 の後半参照

21S2046: 
電子のスピンに対して、常磁性のある時、ゼーマン効果が起こりますが、これは陽子や中性子のスピンに対しても起こりますか。 M: 正確には, 電子のオービタル角運動量にもとづくものが (正常) ゼーマン効果で, 電子のスピン角運動量にもとづくものは 異常ゼーマン効果 と区別されている. そして核スピンによるものは 核ゼーマン効果. したがって物質の常磁性は, 電子の異常ゼーマン効果との関係が重要と言うべき. // 21S2036 参照

21S2047: 
外部磁場をかけた時、スピンの向きは磁場の向きと同じ方向に向きますか? それとも、磁場の向きとは反対の方向に向きますか? M: 物理的な感覚がズレている予感. // 重力場がかかったとき, ボールは上昇しますか下降しますか? ではなぜ, 全てのボールが床に落ちずに, 机の上や棚の上, または天井からぶら下がった網の中にあるのでしょうか? // 向きに応じてポテンシャルエネルギーの大小があるだけ. 教科書 p.245 の問題6.44 を参照するか, あるいは物理学の基礎を復習する必要があるのでは?

21S2048: 
ゼーマン効果は陽子などといった電子以外にも適用されるのか。 M: 21S2046 参照

21S2050: 
水素原子より複雑な場合、厳密にとけないとありますが、水素原子の他に厳密にとけるものはあるのでしょうか M: 正気か? 自分の質問文の前半で言っていることを理解していないのか? // なぜ 6 章で水素原子について学んだのか, 水素原子について学ぶ意義は何だったのか? 全ての物質・系に対して, 水素原子の系はどのような位置づけなのか? // He$ ^+$ 等の水素型原子 (イオン) は水素原子よりも複雑か? 箱の中の粒子, 調和振動子, 剛体回転子などは厳密に解けなかったか?

21S2052: 
L=√l(l+1) で l≧1 のとき、L の最小値は 0 以外になりますが、p 軌道が角運動量を持って公転運動していることは p 軌道に方向があるためですか。 M: 本気の正気か? $ l \geq 1$ のときの $ L = \sqrt{l (l+1)}$ の最小値は, 本当に zero 以外なのか?? // 角運動量と方向がうんぬんという話は意味が分からない. 一方向に往復運動をしている場合, 運動に方向性があるが, 角運動量は zero だし......



rmiya, 2022-06-06