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分子分光学 (20200615)
M: 以下は宮本のコメント
- 16s2008:
- 点群の規約表現に属する関数とは のスライドのところに括弧書きで、1次元の表現についてとありましたが、これはどういう意味か (2 次元の表現では成り立たないのかそれとも別の理由があるのか) M: 講義中には二次元について説明しようとして準備不足でできませんでした. すみません.
アンモニア分子の H の 1s オービタルを用いて,
点群で E という既約表現に属する関数
と
を作った.
これらが対称操作でどうなるかを考えてみる (
は i 番目の水素の 1s オービタルとする).
例えば
の対称操作による変換を考えると,
となり, ほら回ったでしょ.
つまり二次元の既約表現の場合には, 二つの基底関数を一組にして, そこにまとめて一度に変換行列が作用する.
指標が因子として掛け算されるわけではない (一次元の表現の場合には, 表現行列が
のものだったので, 単純に指標を掛け算したものと同じだった).
同様にして, 恒等操作
の表現行列は
の単位行列であり,
鏡映操作
の表現行列は
である.
ちなみにもちろん変換行列の指標は
であって、既約表現の指標に一致している。
- 16s2043:
- generating machine によって得られた関数について係数の大きさが変化することで分子オービタルにはどのような変化がみられるのですか。 M: ``係数の大きさが変化する'' とは, 何のことか? // 波動関数の定数倍には物理的な意味がない=定数倍しても波動関数の意味は同じ. すなわち, 波動関数の二乗が粒子の存在確率に比例するという物理的意味を持つので, 波動関数の定数倍の違いは, このときの比例定数が異なるだけ.
- 18s2045:
- 1)対角化をしたときに得られた結果が複素数になることはあるのか。// 2)対称性適合関数の基底おとすべきなのは必ずπオービタルである必要はあるのか。 M: 1) ``エルミート行列 (または実対称行列) の固有値は実数である'' という定理がある. 線形代数や化学数学の参考書を参照.
したがって, 物理量に対応する量子力学的演算子はエルミート行列で表現されている (表現されていなければならない).
2) なぜそう考えたのか? //HMO でもあつかうπ電子オービタルが対称性適合関数を考えやすいのでは?
- 18s2051:
- 分子軌道の表し方に、マリケン記号を用いて(Eg,T2gといった具合に)表すやり方のほかにも、8章で出てくる項記号を用い、軌道を表し方があるかと思う。この二つの表し方ではどのような違いがありますか?
M: それぞれの記号は、何を意味しているのか? きちんと教科書や参考書を読めばいいのでは? // マリケン記号は、対称性を表す。では項記号は?
rmiya
平成32年6月22日