分子分光学 (20200525) M: 以下は宮本のコメント
16s2008: 
酒石酸のようにc‐c結合がある程度自由に動き、対称性に変化が生じる分子はどこまでどのように考えればよいか M: それにより, あなたは何を議論したいのか? // 構造が変化する分子内運動の時間スケールに対して, あなたが議論したい現象は, 早いのか遅いのか? 早い現象に対しては分子構造は止まって見え, 遅い現象に対しては構造変化は平均化されて見えるのでは?

16s2019: 
対称性の低い点群にCsとCiがあったが、Csはシス型の、Ciはトランス型の分子のみが配属されるのか。 M: はぁ? 何かの勘違いでは?? そんな規則はどこにもない.

16s2043: 
分子の点群の帰属で非常に低い対称性とありましたが対称性の高い低いとは何ですか。 M: 球対称や直線形を除けば, 位数の大小が, 感覚的にスッキリするのでは? // ある点群と, その部分群とでは, 前者の方が対称性が高いと考えるのが普通だろう.

17s2001: 
点群のフローチャートで見分けることのできない分子は存在しますか? M: 実はあのフローチャートは完ぺきではない. 記載されていない点群も存在する. しかしそのような点群が必要となるような分子は極めて稀, 等の理由によりあのようなフローチャートになっている. // 具体的には多面体群における $ \DS T$, $ \DS O$, $ \DS T_h$, $ \DS I$ や球対称の群 $ \DS R_3$ などが抜けている.

18s2016: 
分子の点郡への帰属についてですが、なぜ鏡映面の有無を見るときにhを優先するのですか? M: 別に, 好きにすればいいのでは? // 単にそう考えたフローチャートだというだけ. 他の順のフローチャート (もし有るのなら) で, 正しく分子の点群がわかれば, それでもいいのでは? // $ \DS \sigma_h$ $ \DS \sigma_v$ とで, どちらがことさらに取り上げる価値があるだろうか? 特異だろうか?

18s2018: 
点群を問題で出すならどんな問題を出しますか。 M: 意味不明. 何の問題の話か?

18s2045: 
分子のσ結合が自由回転可能なことにより点群が複数存在する場合のルールわけにはどのような決まりがあるのか M: 別に. // あなたはどの *配座異性体* を問題にしたいのか?

18s2051: 
同じ組成の分子でも構造によって(ブタジエンであればcisとtrans、課題でも取り上げられているエタンではねじれ型配座、重なり型配座といった具合に)点群が異なるということがあるが、どの点群に属するかで「この構造は安定である」といった予測をすることは可能でしょうか。 また、異なる分子同士でも「この点群に属するから、こちらの方が安定である」といった予測をある程度立てることは可能でしょうか。 M: 残念ながら群論は, エネルギーの大小を言うことはできない. しかし, エネルギーの異同を言うことは可能. すなわち, 異なる対称性を持つ配座異性体は, 異なるエネルギーを持つと予想される. これはスペクトルでも同じ. 例えばブタジエンは cis- と trans- の異性体で対称性が異なり, 前者に $ i$ (反転中心) は無いが, 後者にはある. そのために振動の自由度は同じであるにもかかわらず, 振動スペクトルの選択則が異なるために, IR と ラマン とで観測される信号の本数が異なる. また NMR などでも, どの H が互いに等価なのかやカップリングが異なる可能性がある.



rmiya 平成32年6月2日