構造物理化学II (20180724) M: 以下は宮本のコメント
17s2001: 
ギリシャ文字は書きづらいのに, なぜひんぱんに用いられるのですか? M: 世界的には, 漢字やひらがなは, 非常に書きづらい文字の部類に入ると思いますが?

17s2003: 
L-S 結合の考え方は, 原子番号の大きい原子でも用いることはできますか? M: 自分で判断できないのはナゼか? // 講義で示した手順に, 原子番号に依存した制限があったか?

17s2004*: 
多電子原子のオービタル角運動量とスピン角運動量の合成で LS 結合は原子番号が小さい原子だけに当てはまるとありました. 原子番号が大きいときは調べたところ jj 結合というものを使うらしいのですが, なぜ原子番号の大きさ, つまりスピン-軌道結合の大きさで合成の仕方が変わるのか. M: 量子数 L, S と, 量子数 j の, どちらを用いて表される波動関数が, 真の状態に近いか? どちらの量子数がより良い量子数であるか? という問題. 厳密に言えば, そもそも L, S で表わされる状態は, スピン軌道相互作用まで考えたハミルトニアンの固有状態ではない. しかし原子番号が小さいうちは, スピン軌道相互作用を摂動と考えることができる. すなわち L, S で記述される状態は, 近似波動関数として優秀であるということ. しかし原子番号が大きくなると, スピン軌道結合定数が大きくなるので, 摂動項が十分に小さいとは言いきれなくなり......

17s2005: 
原子番号が小さい原子だけに選択律が当てはまるのはなぜですか. M: 当該選択律は, 量子数 L, S で記述される状態間に対して厳密に成り立つ. しかし...... 17s2004 参照

17s2006: 
S が小さくなるにつれて安定性が減少するのはなぜでしょうか. M: 章末問題 8.25 に示されているように, 一重項と三重項は, 原子交換積分の二倍 $ 2 K$ だけ, 三重項状態の方がエネルギーが低い. このように, 古典的に対応するものがない交換積分によって, 一般にスピン多重度の大きい方がエネルギーが低くなる.

17s2007: 
新しく発見された原子 (未知の原子) でも ハートリー・フォック法を用いることができるのでしょうか. M: 自分で判断できないのはナゼか? // HF 法による計算手順に, 原子が既知か未知かに依存した制限があったか?

17s2008: 
(8.55) において, スピン-スピン相互作用や軌道-軌道相互作用が重要でないとありますが, 数値が大きくなることはあるのですか? M: どうなったら, 大きくなるのだろうか? それぞれの値は, 例えばどの程度だろうか? // もしも大きくなることがあるのなら, なぜ教科書では重要でないと言いきっているのだろうか?

17s2009: 
例 8.10 で真空中の値では屈折率以外に なぜ不つごうがないのか. M: 意味不明. 何を聞きたいのか? // それぞれが何をやっているのか, よくよく考えればいいのでは?

17s2010: 
無機化学で低スピン状態・高スピン状態があるときいたのですが, これは, 影響をおよぼすのでしょうか. M: 何に影響を及ぼすという話でしょうか? 17s2017 参照

17s2011: 
ミクロ状態を分類するときに, $ \DS (M,M_S)=(1,0)$ となっているものが 2 つあったのに, [図は省略] の状態は $ L=2$ となり, [図は省略] の状態が $ L=0$ となるのがなぜかよくわからなかったです. どの部分を見て区別しているのですか. M: 区別する必要はなく, 区別しても意味はありません. 状態の数を数えているだけです。// 真の状態は, 二つの状態の線形結合なので, ミクロ状態との一対一対応ではありません. しかし真の状態はミクロ状態のユニタリ変換で作られるので, 数は一致しています.

17s2012: 
中性子が磁気モーメントを持つ理由がクォークによるものとわかりました. クォークにもスピンがあるのですか. M: 自分でどこまで調べたのでしょうか?

17s2013: 
なぜフントの規則は (1) S が最大, (2) 同じ S のとき L が最大, (3) L と S が同じとき半充填より小のとき J が最小, 最大のとき J が最大というようになるのか. M: はじめは経験則, 今ではスピン軌道相互作用の項 $ \lambda \vec{L} \vec{S}$ から考えられます. 17s2036 も参照

17s2014: 
L=2 の時 [図は省略] を含まないのは なぜか. M: 17s2011 参照

17s2015: 
D, P, S の使うタイミングがそれぞれ違うと思うのですが, 聞いていてもよく理解できませんでした. 教科書もどのあたりかよくわからなかったです. 何 p を見れば理解できそうでしょうか. M: タイミングについてはおそらく気のせい. あと問題の設定がまずい. 分からないことだけにピンポイントで答えを求めて覚えようとするのは, 勉強法として間違っている. 項記号について順を追って教科書や参考書をよく読んで理解し, 手を動かして自分で計算してみればいかがか.

17s2016: 
フントの規則で, 軌道エネルギーが等しいとき電子スピンの方向を同じにした方が安定になるのはなぜか? M: 17s2011 参照

17s2017: 
同じ軌道でも状態が異なるとあり, 5 つに分類されましたが, 無機化学でやった低スピン状態や高スピン状態のこれに関係しているのですか. M: 期末レポートの課題を考えればいいのでは?

17s2018: 
例 8.10 でわずかなずれができたが, これは影響があるのか? M: 意味不明. 何が何にどんな永久がある話か?

17s2020: 
ミクロ状態とは現実ではどのように存在しているのか. なぜミクロ状態で計算するのがよいか. M: ミクロ状態は真の状態を記述するための基底. わかりやすいものを基底に取ればいい. // 17s2011 参照

17s2021: 
スピン軌道相互作用を求めるとき, 電子の軌道運動を考える必要性はあるのか. M: 必要性があるからスピン軌道相互作用を考えるのでは? もしも必要性がなければ, スピン軌道相互作用は存在しない.

17s2022: 
ありません M: そうですか.

17s2024: 
フントの規則は, 主要族元素でも遷移元素でも例外なく考えられるのですか. M: 自分で判断できないのはナゼか? // フントの規則に元素の種類による制限はあるのか?

17s2025: 
ライマン系列のスペクトル線の振動数で $ J=0$ の状態から別の $ J=0$ の状態への遷移が許されない理由は何ですか? M: 時間に依存するシュレーディンガー方程式を解けばわかるのでは? 教科書 13 章や参考書をよく読んで考えれば分かるのでは? 参考書によって記述が異なるので, 結果を暗記するのではなく, 自分で導出してみてください. で, できたら教えてネ :-)

17s2026: 
スピン-軌道相互作用の項の他に他に考慮しなければならない作用はあるか. M: そりゃ, 時と場合によって, いろいろでしょ. 何を議論したいのか? 何との相互作用を議論したいのか? どの程度のエネルギーの大きさを議論したいのか? // 様々な外場 (電場・磁場, 一定だったり変動していたり) との相互作用. 周囲の環境 ((点) 電荷や核スピンによる磁気モーメント) との相互作用, 多電子 (高スピン) 系では他の電子に由来する磁場との相互作用......

17s2027: 
フントの規則のルールから最も離れている項の記号が, 逆に一番電子状態のエネルギーが大きいのですか? M: 自分で判断できないのはナゼか? // 近さ, 遠さをどう判定するのか? // (8.55) 式をにらんで考えればいいのでは?

17s2028: 
励起状態で角運動量とエネルギーの異なる粒子だが, エネルギーの値が異なると, どのようなことが起こりうると考えられるのか? M: 自分で考えればいいのでは? // 基底状態であるかないかが異なるとか.

17s2029: 
項記号が原子以外に用いられることはあるのか. M: 勉強すれば分かるのでは? // 同じものではないが, 類似の発想はあるのでは? 教科書 9.14-15 節や参考書をよく読めば分かるのでは?

17s2030: 
スピン-軌道結合が小さい場合のみ, 遷移が起こらないのはなぜか. M: 意味不明. 何の話か?

17s2031: 
例題6.1 で規格化定数 $ \DS A_m$ を正と決めて問題がないのは なぜか. M: あなたは,. どんな問題が生じると危惧しているのか? // 負の方を選んで得られる波動関数と, 何が違うのか? 何が同じなのか? 波動関数の基本から復習する必要があるのでは?

17s2032: 
スピン軌道相互作用が大きいほどスピン反転がしやすいと参考書で見たのですが なぜですか? M: 著者に聞けばいいのでは? // どんな話の流れでそういうことになったのか? // もしかして, スピン禁制な電子遷移であっても, スピン軌道相互作用が大きいと項間交差が促進されるという話か? それなら普通に遷移確率を計算してみれば分かるのでは?

17s2033: 
シュレーディンガー方程式で見分けられる程のエネルギーの違いはどの程度差なのでしょうか. M: 厳密解とか近似解とかの解法で得られる結果, 与えられた状態のエネルギーの期待値, などを 全く理解していない予感.

17s2034: 
Na の D 線については, 2 重線であると分かっているから良いが, 他についてはシュレーディンガー方程式を解いた段階で「これは二重線であるはずなのにおかしい」と気づく方法はあるのか. M: 科学観がオカシイのでは? // 同じ電子配置に複数の項が存在することが分かっていれば, それを考慮していない (スピン軌道相互作用を考慮していない) シュレーディンガー方程式は, 解く前にオカシイと分かる. (しかし, それを承知の上で, 解を利用することもあるでしょう.)

17s2035: 
フントの規則により, 項の記号から基底状態がわかったが, この考え方で基底状態から最大のエネルギーまで順位を考えることはできるのか. M: 自分で考えてみれば分かるのでは?

17s2036: 
フント則の 3 番目で副殻の半分以上, 以下の占有によって基底状態が決まるのはどうしてですか. M: 副殻に入る電子の最大数を $ N$ とすると, 電子数 $ n$$ N-n$ では全く同じ項を与える. これは副殻に入る電子の数が $ n$ と, 平角の副殻に入る正孔の数が $ n$ と論理的には全く同じ話になるからだが, 唯一あつかう粒子の電荷の正負だけが異なっている. これがスピン軌道結合定数の符号に反映されることになる. このため, 両者は全く同じ項がエネルギー的には逆順に並ぶことになる. 17s2013 も参照

17s2037: 
ミクロ状態の電子の入り方は どのようにして決まるのですか. M: 教科書や参考書をよく読めば分かるのでは? // すべての場合を考える. ただしパウリの排他原理などの規則には従い, 禁止された状態はとらない.

17s2038: 
古典的な考えでは, 電子の軌道運動によって磁場が生じていますが, 量子力学的には, 電子のどのような動きが磁場を生じ, スピンの磁気モーメントと相互作用を起こしているのでしょうか? M: ゼロではない軌道角運動量が, 磁気モーメントの由来. これによる準位の分裂を正常ゼーマン効果という. これに対してスピン角運動量に由来する磁気モーメントによる分裂は, 異常ゼーマン効果と呼ばれて区別される. 電子の古典的な軌道運動をあらわに考えなくても, 量子力学的に考えられる軌道角運動量だけで話はできる. // それでも場当たり的な感は残る, というのであれば, もうちょっと高度な参考書を参照することになる. それによると, 中心力場中での電子の運動についての相対論的なディラック方程式から, スピン軌道相互作用の項が導出されるらしい. 詳細は, 自分で勉強してみてください.

17s2039: 
基底状態を判断するのに フントの規則が必要だが, 別の方法はあるか. M: フントの規則は, はじめは経験則だったが, 現在では教科書の式 (8.55) により説明される. // 前提として L-S 結合?

17s2040: 
特にありません. M: そうですか. 質問を作る練習を, 実行しないということですね.

17s2041: 
L=2 の時 5 通り, 1 の時 9 通り, 0 の時 1 通りだが, L=2 の時は 9 通り, L=1 の時は 12 通り, L=0 の時は 3 通りではないのか. // L-S 結合は英語で書くときと区別すべきか. M: 意味不明. 何をどう考えると, そういう数になるのか? 17s2011 参照 // これまた, 何と何とを区別する話か?

17s2043: 
なぜ等価オービタルを用いると 例えば $ \DS M_S=1^+$, $ \DS M_L=0^-$; $ \DS M_S=0^-$, $ \DS M_L=1^+$ のようにできないのでしょうか? M: 使われている記号の意味が分からない. // 理解していない予感. 教科書や参考書をよく読んで考えればいいのでは?

17s2044: 
p.334-335 でかかれている選択律が原子番号が大きくなるにつれて破れるのは どうしてか? M: 17s2005 参照

17s2045: 
スピン軌道相互作用が大きいほどスピン反転しやすいのはなぜですか. M: 17s2032 参照

17s2046: 
各軌道のエネルギーの大小に関して, フントの規則に従わない場合はあるのですか? M: 17s2039 参照

17s2048: 
Na の D 線が 2 重線であるとあったが, なぜ 2 重線と分かったのですか. M: 本気か? 簡単な実験で, そのように観測されるでしょ?

17s2049: 
電子のスピンの相互作用を含めた $ \DS \hat{H}$ での計算は, 今までと同様に近似などできるのでしょうか? M: 近似を使えるかどうかに, 何か制限がるのか? 教科書 7 章や参考書をよく読めばいいのでは?

17s2051: 
ナトリウムの D 線の D とは どういう意味でしょうか. M: フラウンホーファー線で顕著な線にアルファベット順に名前が付いている.

16s2001: 
p.329 で ここでは選択律を一応認めるという表現だが, 一応というのはどう意味で[原文ママ]使っているのか. M: 言葉の意味が分からなければ, 辞書を見ればいいのでは? // 正当性が示されていない規則を天下りに与えられ, それを使うことに抵抗がないのか? 科学的な態度・理解・説明と言えるか?

16s2006: 
$ \Delta L$ の値によって遷移が禁制か決まるが, その禁制は, ラポルテ禁制やスピン禁制であるのか. M: ラポルテ禁制な遷移は, 遷移の前後で, どの量子数がどれだけ変わるか? スピン均整な遷移は〜 (以下同文)

16s2009: 
光化学で三重項状態を T としていたが, 項記号は統一されていないのか. M: T は項記号ではない. 単に ``三重項 (triplet states)'' の頭文字では?

16s2017: 
微細構造は, スピン-軌道結合によって生じるスペクトルの複雑さを表すとありますが, その例として, どのようなものが挙げられるのでしょうか. M: 国語力不足か? まさにその実例が, それ以降の教科書の pp.330-335 に書いてあるのでは? 参考書も参照.

16s2019: 
例 8.10 の解答で $ \DS \tilde{\nu} = 16956.183 ~$cm$ ^{-1}$ は どのようにして導いたのか. M: ``表 8.6 を用いて'' と問題文にあるが, 表の数値を見て, 自分で考えて分からないのはナゼか?

16s2026: 
原子核は陽子と中性子から成るが, 原子核がスピン量子数をもつとき陽子と中性子自身はスピン量子数をもつのか. M: 自分でどれだけ調べたのでしょうか? // 陽子のスピンについては他の講義でも話を聞いているはず, 常識なはずだが, なぜここで質問するのか? 1H-NMR (ぼそっ)

16s2028: 
真空中と空気中ではスペクトルが異なるのか? M: 物理学の基礎を復習する必要があるのでは? // (真空中ではなく) 媒質中の光速度とは?

16s2044: 
今日の講義で勉強した項記号の決定法は 3 原子分子でも可能か. M: 勘違いの予感. 教科書や参考書をよく読めばいいのでは? // 二原子分子については, 17s2029 参照. 多原子分子の話は教科書 10 章ですが?

16s2046: 
1P1/2 が 1P3/2 よりエネルギーが小さいのはなぜか. M: フントの規則を用いて. 自分で純に考えてみれば分かるのでは? // 教科書の式 (8.55) で計算すれば分かるのでは?

16s2048: 
なぜ二つの電子の交換に対して反対称になるのか. M: 自然がそうなっているのだから仕方がない. フェルミ粒子はそういう性質をもっているのだからしょうがない.

16s2049: 
フントの規則に従わない分子は存在しますか? M: 17s2039 参照

15s3005: 
分路の規則で出した基底状態と実際の基底状態は誤差が少ないのか. M: 意味不明. ``誤差'' という言葉の使い方がヘンテコ.

15s3007: 
スピン結合[原文ママ]が小さい場合, つまり原子番号が小さい原子だけ, 観測されるスペクトルが 2 組のスペクトル線の重ね合わせであるとあるが, 原子番号が小さくても, この理論が破綻する場合もあるのでは? M: どんな理由によって破綻するのか? // 普通は前提条件が成り立たないとか, ``小さい'' のような主観的な表現に由来する問題とかだが.

15s3014: 
フントの規則の L と S が同じ場合 J で判断する規則はなぜ副殻の占有度で条件が変わるのか. M: 17s2036 参照

15s3025: 
副殻がどう満たされているかは, どの様にして考えるのですか? M: 別に. 普通にミクロ状態を全部考えればいいのでは? 17s2037 参照

15s3048: 
なぜフントの規則で, L と S が同じとき, 半充填とり小さいとき J 最小, 大きいとき J 最大で基底状態になるのか. M: 17s2036 参照

14s3019: 
励起状態でエネルギーが一番高いのを調べるためにはフントの規則の逆の条件を当てはめればいいのか. M: 教科書の式 (8.55) で計算してみれば分かるのでは?

14s3030: 
[図は省略] なぜ左図のような (1) のときが L=2 に分類されるのかが分かりません. L=0 であると思いました. (2), (3) も同様に同じ項記号で示されていると思ってしまいました. (1) のときのベクトルは, 下図[図は省略] のようになると思いましたが, どこが違うのでしょう. M: 17s2011 参照



rmiya, 20180731