化学の基礎 II(G) (20161108)
M: 以下は宮本のコメント
- 15s3006:
- 酸素分子は, なぜ対になっていない電子をもった状態で安定に存在するのですか. M: 教科書 p.45 参照
- 15s3007:
- ルイスが提唱したオクテット則で, 最外殻が 8 個の電子に取り囲まれて安定となるとあるが, それなら d 軌道も最大 10 個ではなくて 8 個でもよいのではないか. M: 思うのはあなたの勝手だが, 現実には d 軌道の最大は 10 個だ. // オクテット則の拡張ともいえる 18 電子則というものもある.
- 15s3014:
- 気体の酸素は磁石によって空気から分けることはできますか? 一旦液体にすればできるとは思いますが気体のままでは可能かわかりません. M: 磁場による力と, 気体分子運動の運動エネルギーがどの程度かに依存する問題ですね. 計算してみればわかるのでは?
- 15s3022:
- ベンゼンのような分子を考える上で, 共鳴の概念を持ち込むと 混成軌道の概念は矛盾しませんか. M: 何がどう矛盾するというのでしょうか?
- 15s3028:
- 結合性軌道に入っている電子 1 つと反結合性軌道に入っている電子 1 つが入れ変わることは可能か? M: そもそも同種粒子なので区別できない. したがって交換する可能性も考慮に入れなければならない. そこで電子の交換に対して波動関数が反対称でなければならないという要請もあるので, 通常はスレーター行列式を考える.
- 15s3030:
- 四重結合やご重結合などはあるのか. M: どうやったら実現できるか, 自分で考えてみればいいのでは?
- 15s3033:
- 各電子殻同士にはっきりとした境界線はあるのですか. 主量子数が 2 の原子についても M 殻は存在するのですか. M: 理解不十分な様子でがっかり. // 原子の中の電子は, 決められた離散的な軌道しか許されていないという点で, 軌道ははっきりしている. しかし空間に境界線 (境界面) を引いたように電子が分布しているわけじゃないのは, ポテンシャルを考えれば自明では? // ``主量子数が 2 の原子'' の意味不明
- 15s3037:
- 配位結合のように片方の分子あるいは原子が 2 つの電子を供与する場合も, 結合性軌道と反結合性軌道が生じるのですか. M: 今日の講義の論理を理解されていなくて残念. 軌道は電子の有無とは別に構成され, できあがった軌道にあとから電子を詰めることを考える. すなわち軌道はそこに入る電子の由来とは無関係.
- 15s3038:
- ファンデルワールス力の説明の際に, 「分子内の電荷のゆらぎ」と言っていましたが, これは低温であるほど増加するのでしょうか. M: 時間的に揺らいでいるわけではありません. ベンゼンにおける二つのケクレ構造間の ``共鳴'' と同じことです. p.57 の分散力の説明では ``瞬間的な'' という説明ですが, それは少し違う. 電子がある瞬間に右側にいて次の瞬間に左側にいる, というような軌跡を描いて電子は運動しているわけではないし, そもそも原子軌道・分子軌道は定常状態のシュレーディンガー方程式の解なので, 時間変数に依存して電子分布が変化することは考えていない.
- 15s3040:
- 酸素は常磁性で磁石に引きよせられるということは, 金属は全て常磁性で不対電子があるということですか? M: なぜそういう結論になるのか意味不明だが, 全然違う. 例えばアルミニウムは反磁性だし, 超伝導状態にある物質 (金属) は完全反磁性.
- 15s3041:
- 結合性軌道と反結合性軌道とで, エネルギーに差があるのはなぜですか? M: 状態を表している波動関数
のエネルギーは,
で求められる. 状態を表している波動関数が異なるのだから, エネルギーが異なることに何の不思議があるのだろうか?
- 15s3045:
- 今日の講義で出てきた結合の種類以外で他にも結合はあるのですか? M: たかだか高等学校の化学レベルの話なのだから, 自分で調べてみればいいのでは?
- 14s3008:
- それぞれの軌道の波動関数の数式はどうやって求められたのですか? 実験ですか? それとも理論的に導出できるのですか? M: 構造物理化学で学んでいるはずでは? // 水素原子の波動関数は, 純粋に理論的に導出された.
- 14s3021:
- オクテット則によるとジボランの電子状態を説明することができないので最外殻が 8 個の電子に取り囲まれて安定になるということが間違いなのでしょうか? M: 間違いである・間違いでなく正しい を暗記することが化学の学習ではありません. 自分で考えて判断できるようになってください.
- 14s3040:
- ルイス構造では, 分からないようなこともしっかりと考慮され, 理にかなっている便利な構造のあらわし方は存在しないのでしょうか? やはり, 何かに特化している分 別の何かを表すことは, 難しいのでしょうか? M: まあ, とりあえずスレーター行列式で表すのが良いのでは?
- 12s3029:
- 水素原子の波動関数の同位相の重なりにおいて, 中央の電子密度が原子単独のときよりも多くなっていますが, それがなぜ原子単独の時より減少する時よりもエネルギーが小さく安定しているのですか. M: クーロンポテンシャルのエネルギーは, 正電荷と負電荷の距離が小さい方がエネルギーが低い. 結合性軌道では, 両方の原子核に近い原子間の中央にある電子の量が多い.
rmiya, 2017-01-16