化学の基礎 II(G) (20161011)
M: 以下は宮本のコメント
- 15s2005:
- モーズレーの実験において, 特性 X 線の波長は, 原子番号に依存することは, ラザフォードのモデルを用いることで説明できますが, では, 連続的な部分も観測されるのはどうしてですか. M: 連続 X 線は, 対陰極に入射した電子の制動放射すなわち電子の運動エネルギーが元です.
- 15s3006:
- ボーア理論から導かれた理論式がリュードベリの実験式と同じであるならば, その仮定のあいまいな部分は許容されるのか. M: 現実として, 許容されたことは事実のようだ.
- 15s3007:
- 電子があいている軌道上にはいろうとするときに特性 X 線が発生するといっていましたが, それ以外で, 熱エネルギーなどは発生しないのですか. M: 余剰のエネルギーがあれば熱になる可能性はあるが, ボーアの振動数条件
から, 原子の場合に余剰エネルギーが発生することは考えにくい. 15s3041 参照
- 15s3014:
- ラザフォードの散乱実験で
線が大きく曲げられる (はね返される) ことがトムソンのモデルと矛盾するということがわかりません. なぜトムソンのモデルでははね返されないといえるのですか. M: トムソンのモデルでは, 正電荷はほぼ一様なプディングにたとえられます. 入射した
粒子が通過する場合と反射される場合のような劇的な差はありません.
- 15s3022:
- ド・ブローイの式は実験事実により証明されますが, 質量の大きいマクロな物質をミクロの集合体とした時, 元々持っていたミクロな性質である波動性はどのようにして失われたのでしょうか. M: 別に, 失われていませんが? ド・ブローイの式に応じた波動性があるだけです.
- 15s3028:
- なぜ波導関数を微分すると教科書のようになるのか. M: 意味不明. ``波導関数'' とは何か? ``教科書のよう'' とは, どんな様子のことか??
- 15s3030:
- 不確定性の関係において, 位置とエネルギー, や運動量と時間といった関係はないのか. M: なぜ特定の物理量の組にだけ, 不確定性関係があるのかを考えてみればいいのでは?
- 15s3037:
- 電子が他のエネルギー準位に遷移するとき n=3 → 2 → 1 のように段階的ではなく n=3 → 1 のように遷移できるのはなぜですか. M: もちろん段階的に遷移しているものもあるかもしれない. しかし n=3 → 1 のような遷移についても, 遷移モーメントがゼロでなければ, 遷移する確率はある. 時間に依存する摂動を勉強すればわかるのでは?
- 15s3038:
- 電子の位置は確率で考えるが, 何らかの規則性を持って運動をしている可能性はないのか? M: 例えばどんな規則性か? // 古典的な意味での軌跡をもった運動 (位置と運動量が同時に確定しているような運動) はしていない.
- 15s3040+:
- 発光スペクトルは特定の波長の光を放出するとのことでしたが, 吸収スペクトルがいまいちイメージ出来ません. これが起きると周りが暗くなるのでしょうか. また, わざわざ不安定な状態になるということで, これは自発的に起こることはあるのでしょうか. M: 微妙に違う, 誤解の予感. (放電などでエネルギーを供給されて励起された) 水素原子は特定の波長の光を放出し, その発光強度を波長に対してプロットしたものが発光スペクトル. また (基底状態にある) 水素原子に光を照射すると特定の波長の光を吸収し, その吸光度を波長に対してプロットしたものが吸収スペクトル (周囲に飛び交っている光の進行方向をねじ曲げて引き寄せる訳ではない). 分析化学でも習いませんでしたか?? したがって発光スペクトルや吸収スペクトルは, 起こる現象ではない. // また, 光と物質との相互作用を考えるときには, ``自発的に (sponteneous)'' という言葉には特別な意味がある. すなわち周囲に全く何もない状況で, 水素原子だけが単独で存在しているときにある事が起こることを ``自発的に起こる'' という. 光を吸収する場合には, 周囲には光による振動する電場や磁場が必ず存在するので, 全く ``自発的に'' 光を吸収するということはありえない. 必ず, 振動する電場に誘導されて吸収が起こることになる.
- 15s3041:
- 発光スペクトルは, 高いエネルギーから低いエネルギーへの電子の遷移によっておこりますが, 光以外のエネルギー変換は起こらないのでしょうか? また, 吸収スペクトルも同じでしょうか? M: 分子であれば, 電子のエネルギー準位のほかにも振動や回転のエネルギー準位があるので, 余剰のエネルギーが振動や回転のエネルギーになることはありうる. それらは熱エネルギーとみなされる.
- 15s3042:
- リュードベリ定数は非常に小さな値ですが, どのようにして発見されたのですか. M: 水素原子の発光スペクトルの波長について成り立つリュードベリの式が発見されたなら, 同時に定数の値も決定されると思うが? 何が分からないのでしょうか??
- 15s3045:
- 不確定性原理で正確には決められないとあったが, 原子を直接見ることもできないのに, なぜ正確なのか不正確なのか分かるのか?
M: 位置と運動量よりも, 時間とエネルギーの方が分かりやすい. 光のエネルギーを決定するには振動数を測る必要があるが, 振動数を数えるには時間がかかる. 例えば 1 秒間に 1 回と少しだけ振動するものも, 10 秒間観測すれば 13 回と少しの振動であり, 100 秒かければ 132 回と少しのように, 時間をかければかけるほど振動数を正確に求めることができる. しかしそれでは, いったい何時の時点の振動数と言えばよいだろうか?
- 15s3046:
- 原子のスペクトルで出てきた光をプリズムや回折格子で分光すると, とびとびの特定の波長をもった一連の線スペクトルが観測されるが, 赤外線, 可視光線, 紫外線の他に線スペクトルはあるか. M: せっかく特性 X 線の話をしたのに, 全く関連付けて理解していないようで, 残念.
- 15s3047:
- 位置とエネルギーの組み合わせでは, 同時に正確に決めることが可能でしょうか? M: 個別の可能な組み合わせについて, いちいち可能・不可能を教わらなければいけないのでしょうか?
- 14s3008:
- トムソンのモデルと + と
が逆になったようなモデルは提唱されなかったのでしょうか? もしされていたのなら なぜトムソンのモデルだけ有名なのでしょうか? M: 珍奇なモデルをいちいち取り上げる必要はありません. 物質から負の電荷を帯びた粒子 (電子) が放出されるという事実に反するモデルは, 初めから考慮の対象外です.
- 14s3021:
- ラザフォードの実験によって, 原子核の周りを電子が移動していることがわかりましたが, 原子核が陽子と中性子から成り立っているということは どのような方法でわかったのでしょうか? M: 読書感想文(仮) のネタ発見?!
- 14s3040:
- 今回の授業でモーズレーの実験が, ランタノイドの発見, 選別に役に立ったことをききましたが, アクチノイドの発見や選別はどのように行われたのでしょうか? これらもモーズレーの実験でわかったのですか? また, 違う方法でやったとするならばどのような方法なのでしょうか? M: 超ウラン元素は, 天然には存在しません. 元素発見の歴史を調べてみればいいのでは?
- 13s3012:
- ラザフォードの散乱実験が公になった時点で 原子の構造のモデルについての支持はラザフォードのものが主流になったのでしょうか. そうであれば, 何をもって, ラザフォードのものにも問題があるにも関わらず, そちらの方がより妥当であると判断されたのでしょうか. そもそも時系列がよく分かっていないのが問題か. ラザフォードの原子モデルは元々提唱されていたものだったのか, それとも散乱実験の結果に合わせて, つじつまが合うようにして提された[原文ママ]ものだったのか. M: 時系列が問題だと考えるなら, それを軸に自分で整理すればいいのでは? ただしモデルが公になることと, 多数の科学者に認められることは, 同値ではない. さらに現代とは異なり, 公にされた方法とそれが伝達されるのにかかる時間にも注意が必要.
- 12s3029:
- ボーアの量子条件は, どうやって導き出されたのですか. M: 本人に聞けばいいのでは?
:-p
// ド・ブローイの式により理由付けられたことは説明した.
rmiya, 2017-01-16