構造物理化学 II (20151216)
M: 以下は宮本のコメント
- 14s3001:
- 電子配置が何個もあることからその点を考慮しましたが, 都合のよい (計算しやすい等) 電子配置のものを選んで考慮することはだめなのですか? M: 何の計算をする話か? He 原子の基底状態の電子配置として
を用いて HF 計算しても, 正しくスレーター行列式を用いて計算しても, 結果は同一でしたが, 他の系でもそれが成り立つのか? 自分で確認してください. さらに, C 原子について項記号を考えるのは, スピンオービタルに 15 通りの電子の入り方があるうちで, すべてが同一のエネルギー状態ではないから, あなたの都合で勝手な電子配置を選んだって, それが正しく基底状態をあらわすとは限らない.
- 14s3002:
- 実効ハミルトニアン演算子や, 実効ポテンシャルなどがありましたが, 「実効」とは「実測値」とは違うのでしょうか? M: 言葉の意味が分からなければ, 辞書を見ればいいのでは(?)
- 14s3003:
- 炭素の 2p の電子配置について, もし [三つの p 軌道の一つにペアで電子が入る三通りの方法の図は省略] が電子配置として考えられるならば, ついになっているのでそこで電子間反発がおこるので, 他の電子配置よりも不安定な状態になります. 電子は安定な方に電子配置をとると思うので, 少なくともこの 3 つは電子配置の 1 つとして考えるべきなのですか? M: ``少なくとも〜'' 以降の日本語が変で, 意味がわかりにくい. // そういうことは
の電子配置についての 15 通りのミクロステートをちゃんと考えたから言えることで, そうでなければ全て ``
電子配置'' とひとくくりにされていたものです.
- 14s3006:
- 2 電子系では空間部分とスピン部分へ分解できるが, 一般にはできないことは重要であるとあるが, このことによってどのような違いが生じるのですか. M: 講義でも 20151209 の 14s3011 に関連して説明したのに, 全然理解していただけなくて残念.
- 14s3008:
-
C の
の表し方は全部で 15 通りありますが, S, P, D の 3 つに分類されるときは それぞれどんな電子の入れ方で分類されるのですか? M: ラッセル-ソーンダース結合 (または LS カップリング) と言ってみるテスト. 教科書や参考書を読んで勉強すればいいのでは(?)
- 14s3009:
- 波動関数の行列の要素は考えられる軌道と電子の数を考えていると解釈しましたが, 同じ原子で, この列や行が異なる要因がよく分かりませんでした. M: 提出物が要件を満足していません. // ``同じ原子で, この列や行が異なる'' とは, どういうことか?
- 14s3010:
- 不対電子を矢印で軌道に入れるとき
向きの矢印で基本的に入れますが, これは
向きの矢印が
向きの↓よりもエネルギーが低いということですか. もしそうならば低いエネルギー準位をとる電子の方が存在確率はおおくならないのですか. M:
と
で, 互いのスピンの向きが逆であること以上の意味を持たせている例はほとんど無いと思います. 両者の存在確率の違いについては, ボルツマン分布を考える. 実際に数値を入れて計算してみてください.
- 14s3011+:
- クープマンズの定理に, 電子親和力は LUMO 軌道エネルギーと一致するとあったのですが, 何故 LUMO エネルギーと一致するのでしょうか? M: 酸化還元とは, 結局のところ電子の出し入れです. どのオービタルの電子が出て, どのオービタルに電子を受け入れるのでしょうか?
- 14s3012:
- 教科書にはクープマンスの近似によって求められたイオン化エネルギーと, ハートリー・フォックエネルギーの差の比較として, Ne と Ar 原子の例がありましたが, アルゴンの 2s での実験値がないのはなぜですか. M: 私は知りません. 実験した人に聞けばいいのでは
:-p
// 全ての実験データが完璧にそろっているはずだ/いなければイケナイと考える理由は何か? // そのデータが無いことで, 理解に支障があるのか? 論理に穴が開くのか? その他のどんな不都合があるのか??
- 14s3013:
- スピン多重度の最小値は, 1 ということで, 0 は現実にありえないですよね? M: 自分で考えて分からないのは, 何故か? // スピン角運動量量子数
とスピン多重度との関係は(?)
- 14s3014:
- フォック演算子を使うためにコンピュータープログラムが必要と教科書にはある. 現代の科学者にはコンピューターを活用する技術も必須であるということか? M: そんなこと, 教科書のどこに書いてありましたか?? 現代社会に広く普及している技術レベルを元にして, 自分で常識的に判断できないのは, 何故か?
- 14s3015:
- 表8.3 で, アルゴンの 2s の電子がとりのぞかれるときのイオン化エネルギーの実験値がありませんが, なぜですか. アルゴンの 2s 電子のときだけ実験がうまくいかなかったのでしょうか. M: 14s3012 参照
- 14s3016:
- 相関エネルギーは どのように利用されるのか. M: なぜ相関エネルギーが問題とされているか, 未だにに理解できないようで, 残念です.
- 14s3017:
- クーパーペアを形成する 2 粒子が同符号であるのであれば, クーパーペアの形成時に反発が起こり, エネルギー的に不安定になってしまうのではないでしょうか. M: 勘違いの予感. 固体物理や物性物理を勉強すればいいのでは(?)
- 14s3018:
- クープマンスの近似で, 教科書の例はネオンとアルゴン (p.136, 表8.3) でしたが, どうしてイオンになれない原子が例なのでしょうか? M: どうしてネオンとアルゴンがイオンになれないのか? イオンになるとは, どういうことか?
- 14s3020:
- L や S, J の値として考えられるパターンの中で,
という値がありましたが, なぜ 1 で引くのか, 理解できませんでした. M: そうですか. しかし提出物が要件を満足していません. // 1 だけじゃなくて 2 や 3 を引く場合もあります. ``ベクトルの和'' とか ``量子化されている'' というキーワードを理解してもらえなかったようで, 残念. // 教科書や参考書を読み, 考えて理解する努力を, 一体どれだけ行ったのか?
- 14s3021:
- 最近ノーベル賞でニュートリノのことが話題になりましたが, ニュートリノはなぜ質量を持っているということがわかったのですか? M: ニュートリノ振動 と言ってみるテスト // 素粒子物理学を勉強すればいいのでは(?)
- 14s3022:
のエネルギーは 5 通りあると出てきましたが, 実際には 1 通りしかないのではないですか? M: なぜ? 3 つの全角運動量 (
,
,
) の値が異なることを意味する異なる項が, 互いに同じエネルギーであるという理由は何か?
- 14s3023*:
- 相関エネルギーの話のときに
exact の計算で, CI は無限個あるが, 有限個の励起状態を用いて計算する, と話していましたが, その有限個の励起状態はどのような基準で用いるのでしょうか. M: 唯一絶対の基準はない. 基本的には ``重要そうなもの, 寄与が大きそうなもの'' を選ぶのですが, 選び方にはいろいろな方法が提案されている. 詳細は例えば分子軌道法の専門書を見るなどしてください.
- 14s3024:
- スピン多重度が
で表されていますが これは単純に全スピン角運動量
を用いたときにわかりやすい数字 (1, 2, 3, ...) に直すためだけですか. M: 見当違いでしょう.
がことさらにわかりにくい数字だとも思えません. //
が何かを意味するような量子数
は他にもありました.
- 14s3025:
-
において「重ね合わせ」, 「共鳴」と書いてあり
のうち
のほうを選んでいますが 理解できませんでした. 何故ですか? M: 波動関数は粒子の交換に対して反対称でなければならないと, 何度も言ったのに, 伝わっていなくて残念.
- 14s3026:
- 8.7 の最後にハートリーフォックオービタルを 0 次の波動関数として摂動論によって計算する方法が開発されているとあるが, なぜ 0 次なのですか. もっと次数を高くしたほうが正確な値を求めることができると思ったのですが…. M: 典型的な勘違いです. MP 法では 2 次または 4 次の摂動がよく使われています. このとき HF 法で得られた波動関数とエネルギーは、その摂動論において, どういう立ち位置でしょうか? 自分で書いているのに分かっていないとは......
- 14s3027:
- 項記号について, P の左上の数字が 3 でしたが, P にあたるものが
であれば, 1 になると思ったのですが, どの
がどの
に対応するのか見分けるには どうしたらよいのでしょうか. M: 勘違いです. スピン角運動量量子数はオービタル角運動量量子数に対応しないので, 見分ける必要はありません. // 講義で対応させたのは,
と
の関係が
と
の関係と同様であるとの説明のためです. そんなに理解が困難なレトリックだったのでしょうか?
- 14s3028:
- クープマンスの近似と直接 HF 計算とでは表8.3 を見ると, 直接 HF 計算の方が実験値に近い値を得ることが多いが, Ne ではクープマンスの近似の方が近い値をとる. クープマンスの近似が Ne, Ar のイオン化エネルギーを基準にしているからかとも思ったが, Ar では直接 HF 計算の方が近い値となっている. これはなぜですか? M: 偶然でしょう. // ``クープマンスの近似が Ne, Ar のイオン化エネルギーを基準にしている'' とは, どういうことか?
- 14s3029:
- 例えば s 軌道に電子が 2 つ入って閉殻となった場合, 電子間の反発によって軌道のもつエネルギーは不安定化すると思うのですが これは今回少し紹介された配置間相互作用で補正できるのでしょうか. M: 勘違いがある予感. HF 法では電子間の反発はもともと考慮済みです. 独立粒子近似による実効ポテンシャルにおいては, 自分以外の電子がどの軌道に入っているかに応じてポテンシャルが決まります. // ただし厳密にいえば正しいポテンシャルとの差異はあるはずなので, それが CI により修正されるという見方も可能ではある. // [裏面について] 使用しているのは ISO-2022-JP または EUC-JP です.
- 14s3030:
- なぜ
では 1S0 のみをとり上げ 3S1 が
のエネルギーとして考え上げられないのかが分かりません. 3S1 の方がエネルギーが低いので他の低エネルギーの軌道と何か相互作用する可能性もあるのではないでしょうか. M: 誤解の予感. そもそも 3S1 という状態自体がありえません. 可能なもののうちから最低エネルギーのものを選んでいることとは訳が違います.
- 14s3031:
- クープマンスの近似と直接ハートリーフォック計算の値には有意差はあるのでしょうか. M: それはあなたが有意差をどう考えるかによります. // というか, この場面で ``有意差'' とは, どういう意味か? どういう帰無仮説を検定にかけるのか?
- 14s3032:
- 2 電子原子の波動関数は
と
の線形結合で表し, パウリの排他原理などを考え, 差の方を用いましたが, 和の方は無意味なものなのですか. M: 自分で判断できないのは, なぜか? // それは何を表している波動関数か?
- 14s3033:
- 前回した質問の詳細ですが例えば Li 原子で [1s に 2 個, 2s に 1 個の電子が入っている図は省略] のように不対電子の向きが違うと性質が違うのでしょうか. M: 当然, 磁場中におかれた時のエネルギーが違う.
- 14s3034:
- MP 法, CI から得た CE を比べて真値に近づけることはできますか. M: 真値が分からないのに, 近づいたかどうかを判定できるのだろうか?
- 14s3035:
- 板書の項記号の例で, 1D2, 3P2, 3P1, 3P0, 1S0 と 5 通りのものがありましたが, これに
方向,
方向,
方向の区別をして 15 通りなのでしょうか. M: 全然違います. 14s3008 参照
- 14s3036:
- フェルミ粒子は
であるため, 粒子の交換に対して波動方程式が反対称となり, パウリの排他原理が成立したが, ボース粒子の場合,
であるため, パウリの排他原理に矛盾すると思うのですが, 良いのでしょうか. ボース粒子は複数の粒子が同じ状態をとることが可能だから, そのようになるのでしょうか. M: 勘違いの山盛りの予感. フェルミ粒子について反対称なのは, 波動関数. 適用対象ではないボース粒子にパウリの排他原理を適用しても, 矛盾が生じるのは当たり前. ``そのよう'' が何を指すのか, 意味不明.
- 14s3037:
-
の場合, 15 通りの電子配置があり, それが項記号で 5 通りに表せるということでしたが, 同じ項記号で表せる電子配置は必ずしも同じエネルギーをもつと言えるのでしょうか. M: 日本語が変, ``必ずしも〜ない.'' では(?) // 同じ項記号で表される状態が複数あれば (例えば 1S0 が二つ), それらの状態のエネルギーが互いに異なっていてもおかしくない. 別の状態なのだから, 当たり前. 表8.6 参照 // 外場のない原子であれば,
だけが異なる状態は縮重していますネ.
- 14s3039:
- Li 原子の行列式波動関数について, 1s オービタルに 3 つの電子を入れると行列式の 2 つの列が同じになってしまうが, それが妥当な波動関数といえないのはなぜですか. M: スレーター行列式は妥当な波動関数です(!) // 講義で行列式の性質を用いて説明したのに, 全く理解されていなくて残念. 自分の手を動かして, 行列式を展開してみればいいのでは(?)
- 14s3040:
- 多電子原子のエネルギーを求めるために計算を授業で行っているが, このエネルギーを計算する際にでてくる方法をつくった人たちの時系列はどうなっているのでしょうか? 今授業でやっているように順番よく計算できていたのでしょうか? M: 科学史を勉強すればいいのでは(?) ていうか, 読書感想文(仮) のネタか(?)
- 14s3041:
- 電子スピンの向きは電子の自転の向きを表しているのでしょうか. それとも電子が原子核のまわりを公転する向きを表しているのでしょうか. M: 根本的なところが全く理解されていなくて残念
orz
// 古典物理学でスピンに対応するものは無い. 電子は軌跡を描いて運動しない.
- 14s3042:
- 項記号の考えについて, よくわからなかったので もしよろしければご説明いただきたいです. クープマンスの近似は, 何をどのように計算し近似するのですか? M: まず教科書や参考書を読んで理解する努力をしてください. // 勘違いの予感. 計算といえば HF 計算しただけです. あとは教科書や参考書をよく読めばいいのでは(?)
- 14s3043:
- ボース粒子のスピンは整数, フェルミ粒子のスピンは半奇数とありましたが, これらの物理的な違いは何ですか? また, スピン量子数と関係はありますか? M: スピンとスピン角運動量との関係について, 教科書や参考書をよく読んで復習する必要が大いにある予感.
- 14s3044:
- クープマンズの近似によるイオン化エネルギーと実験値のイオン化エネルギーでは, ハートリーフォックから求めたエネルギーよりも差が大きく見えます (教科書 p.316, 表8.3). なので, クープマンズの近似が成り立っているのか少々疑問です. 正しいのでしょうか? M: どれくらいの差までなら, あなたは ``近似'' と言うのか? // 近似の根拠となる論理をどう考えるか?
- 14s3046:
- 2 つの電子を交換すると波動関数が変わるのは なぜですか. M: いまさらな質問にガッカリ
orz
既に何度も講義で説明したのだが, あなたはそれを理解するどんな努力をしたのか? 教科書や参考書もよく読めばいいのでは(?)
- 13s3001:
- 軌道や項の記号で使われるアルファベットの並びには何か決まりがあるのでしょうか? M: 当然あります. 整数の 0, 1, 2, 3, 4, ... に s, p, d, f, g, ... の順で対応するという決まり.
:-)
- 13s3006*:
- 配置間相互作用で励起状態を考えていましたが, なぜ, それによって相関エネルギーが求まるのでしょうか. 相関エネルギーに含まれるのは 同じスピンをもった電子が同じオービタルを占めることによる相関だけではないのでしょうか. M: HF 法では 1 電子近似とオービタル近似を採用しており, この範囲で最良のエネルギーと波動関数が得られる. ここで CI を考慮すると, 変分パラメータが増えるので, より真の値に近い解が得られると期待される. これを HF 法の結果と比べれば, 定義により, 相関エネルギーが求まったことになる. または, HF 法で得られた基底状態の電子分布とは異なる電子分布の寄与を考慮に入れて, 波動関数を改良する. // 何かの誤解でしょう. パウリの排他原理により, 同じスピンをもった電子は同じオービタルを占めることはありません.
- 13s3023:
- オービタル角運動量やスピン角運動量の計算がベクトル和であるのは 電子があらゆる方向に運動しているからなのでしょうか. M: 全然違いますし, そもそも意味不明です. // そもそも角運動量はベクトル量です.
- 13s3025:
- --
-- --
-- --- は, 電子がまずスピンを互いに平行にして, 別々の軌道に入るという規則に反しているように見えるが, これはなぜ可能なのか. これが可能ならば --
-- --- --- という配置も可能なのではないか? M: まず前半の規則はなぜ存在するのか? なぜ成り立つのか? // 最後の電子配置は, パウリの排他原理で禁止されている.
- 12s3017:
- 電子状態の項記号に含まれる
の数値の例として, singlet や triplet と表記していましたが, これは NMR などで用いられる, 一重項, 二重項, 三重項などと何か関係はありますか? M: NMR で一重項などは, どこに出てきましたか?
- 12s3024:
- 全角運動量 J は L と S で表すことができるのに項記号に含まれるのはなぜですか? M: ある L と S から, 複数の J が可能だから.
rmiya, 20160126