化学の基礎 II(G) (20151116)
M: 以下は宮本のコメント
- 15s3001:
- 授業の話の中で, 分散力のみをファンデルワールス力とする事がある, と出てきましたが, その本では配向力と誘起力をどのように扱っているのですか. M: 別に, 本によって違うでしょう. 自分でいろいろ見比べてみれば良いのでは(?)
- 15s3002:
- 分散力は瞬間的な電子分布の偏りで生じる無極性分子間の引力でしたが, 引力の生じる分布と同じ割合で反発する電子分布も発生しないのでしょうか. M: 誘起双極子モーメントは, 常に引力的です.
- 15s3003:
- 分極していない分子が誘起力や分散力により双極子が生成するのならば, 完全な無極性で存在することはほとんどないのですか. M: 原子や分子は剛体ではないと述べたのに, 理解していただけなくて残念.
- 15s3004:
- 教科書にある,
P
M
と黒板で扱った
P
A
P
B
は 同様の式なのでしょうか. M: それぞれ何と何との関係式なのか, 考えればいいのでは(?)
- 15s3005:
- 瞬間双極子は共鳴のように変化するのか. M: ``共鳴のように変化'' とは, どういうことか? // 量子力学的な効果なので ``瞬間'' というのは誤りで, 本当は状態の重ね合わせ. その点では量子力学的な共鳴と同じ.
- 15s3006:
- 水素結合において, プラスに分極した水素原子は, 陽子の形としてやりとりされているのか. M: 激しく勘違いの予感. 分極とイオン化は別の事です.
- 15s3007:
- 誘起力はなぜ極性分子間に働くファンデルワールス力の方に加わるのか. M: 意味不明.
- 15s3008:
- 共有結合のイオン性が 79 % の NaCl はイオン結合であるが, イオン結合性がある値以上をとったときイオン結合となる厳密な値があるのですか? M: 講義での説明を理解していないようで, 残念. 仮に境界値があったとして, それをわずかでも越えたら, とたんに何かが変わるのか(?)
- 15s3009:
- レナード・ジョーンズのポテンシャルで,
がエネルギーの極小値で, 結合エネルギーに相当するとありましたが, 極小値のとき, ファンデルワールス力と共有結合の区別がつかなくなるのですか? M: 激しく勘違いの予感. 何のどういう結合の話をしているのか(?)
- 15s3011:
- 無極性分子の間に生成した瞬間的な双極子とそれによって誘起された双極子との間で起きる相互作用は瞬間的なものになるのですか? M: あなたは, 瞬間的に生成した双極子による相互作用が, 双極子が消えてしまった後も永続的に残ると考えるのでしょうか(?) 双極子を誘起する原因がなくなったのに, 双極子や相互作用が存在しつづける理由が何かあるのか?
- 15s3012:
- ファンデルワールス力は, 配向力・誘起力・分散力に分けられるが, それら以外にはないのか. M: 分類・分割した論理を考えればいいのでは(?)
- 15s3014:
- 授業で書いたポーリングの電気陰性度の式と教科書のものとでは違うようですが なぜでしょうか. M: 15s3004 参照
- 15s3015:
- なぜマリケンはイオン化エネルギーと電子親和力の値を足したものでなく, 算術平均を電気陰性度としたのか? M: 本人に聞けばいいのでは?
:-p
// 算術平均することで, だいたいどんな値になるか, 考えてみればいいのでは(?)
- 15s3016:
- 水素結合している分子間において, レナード・ジョーンズのポテンシャルで全相互作用のポテンシャルエネルギーを正しく求めることが出来るのですか? M: ``正しく'' とは, どの程度を期待しているか(?)
- 15s3017:
- 水素結合において, X-H...Y と X...H-Y 互変異性があると, あったが, X と Y の電気陰性度が異なる場合には どちらかに傾る[原文ママ]ことになるのでしょうか. M: 当然, それぞれの構造の分子のエネルギーは異なりますネ.
:-)
- 15s3018:
- 分子間に働く相互作用の中で, 誘起力がもっとも小さいと書いてあるが, それはなぜでしょうか. M: 簡単な説明は難しいと思います. 配向力, 誘起力, 分散力のそれぞれの相互作用がどうなるのか, 参考書を読んで勉強してください.
そうすると現実的に, それぞれの相互作用の大きさがそうなっているということで, ここは許してください. 15s3020 も参照
- 15s3019:
- なぜファンデルワールス力は分散力の寄与が最も大きいのか. M: 15s3018 参照
- 15s3020:
- 配向力, 誘起力, 分散力の分子間相互作用エネルギーは
に反比例するとあるが, どのようにして求めたのですか. M: // 双極子間の相対運動が全く自由ならば, 相互作用は平均化されてゼロになる. しかし実際には, 双極子のポテンシャルエネルギーは相対的な配向に依存するので, 全エネルギーがわずかに低い引力的な相互作用が平均的には勝ることになる. また, 誘起双極子モーメントが関与する相互作用は, 常に引力的である. これらを考慮した双極子間の相互作用は, 簡単な話ではない. アトキンス の教科書に少し記述があるので, 読んでみてはいかがか(?)
- 15s3021:
- 配向力, 誘起力, 分散力のなかで, 誘起力が一番小さい力となるのはなぜですか. M: 15s3018 参照
- 15s3022:
- 瞬間的な双極子において 分子内の分極の程度が時間の経過により変化したりしないのですか. M: 15s3011 参照
- 15s3023:
- 分散力は瞬間的にしか双極子を生じないのに なぜ, 配向力や誘起力よりも大きいのですか. M: 15s3018 参照
- 15s3024:
- 分子間相互作用エネルギは距離の 6 乗に反比例するとあり, 全引力相互作用のエネルギーは
で表現できるとありましたが, どのようにしてこの式がでてきたのでしょうか. M: 15s3020 参照
- 15s3025:
- 3 つの分子間相互作用では一般に分散力の寄与が最も大きいとありましたが, それはなぜですか? M: 15s3018 参照
- 15s3026:
- 水素結合の結合エネルギーは, なぜ直線状態の時に最大になるのですか. M: 双極子 (X-H) と点電荷 (Y) との相互作用として考えるのが最もわかりやすいかな.
- 15s3027:
- 混成が, 同一原子内でのエネルギーが近い AO どうしで起こりやすいのは なぜですか. M: 図3.13 の昇位エネルギーを考えてみればいいのでは(?)
- 15s3029:
- 共有結合の結合距離が無機化合物と有機化合物で差があるのは なぜですか. M: 共有結合に関与する原子の種類が具体的に何か, 考えてみればいいのでは(?)
- 15s3030:
- なぜ双極子モーメントはベクトルを使い, 分散力の相互作用では, ベクトルがでてこないのか. M: 別に, 双極子モーメントは本来ベクトル量なので, 使いたければベクトルを使って考えればいいのでは(?) 一方, (ポテンシャル) エネルギーはベクトル量ではない. // 教科書は簡単のために省略しているところがあるので, 正確なところや詳細は参考書を見て自分で勉強すれば良いのでは(?)
- 15s3031:
- マリケンの値で, 希ガスはイオン化エネルギーをもつため電気陰性度をもつことになる. しかしポーリングの値だと電気陰性度を求めることができない. どちらが正しいのか. M: 一方が絶対的に正しいとか, それでなくちゃダメとかいうものではないと, 講義で話したのが伝わっていなくて残念. // 両方正しい. // ``正しい (とされる) 知識を暗記しさえすれば良い'' と考える勉強法は, やめてください.
- 15s3032:
- 水素結合では, 水素原子と電気陰性度が大きい原子 (X) との間で非常に強い分子間相互作用が起こるが, 水素より電気陰性度が小さい原子と原子 (X) の間の分子間相互作用の方が強いですか? M: どういう状況を想定しているのか? たとえば表4.1 をよく見て考えればいいのでは(?)
- 15s3033:
- 電子親和力という名前はまずい, とおっしゃっていたのは なぜですか. M: 力 (force) とエネルギー (energy) は, 別の物だから. 電子親和力と言いながら, それはエネルギーを指している.
- 15s3034:
- 配向力, 誘起力, 分散力について, すべての分子間相互作用エネルギーは距離の 6 乗に反比例するとありますが, 分子が離れている場合には働かないのでしょうか. M: 自分で書いていますが, ``距離の 6 乗に反比例'' して働くでしょ.
- 15s3035:
- 共有結合やイオン結合をしている分子のファンデルワールス力は, 分子のもつエネルギーを考えるときに近似的に無視できますか. M: 分子内の話と分子間の話を混同しているのでは(?)
- 15s3036:
- ファンデルワールス力のなかでも一般に分散力が大きいというのは, 距離と関係がありますか. M: 教科書 p.58 の記述の何がむずかしいのでしょうか(?)
- 15s3037:
- 配向力が, 配向状態の分布も考慮した相互作用エネルギーの平均であるならば, 配向力は常に引き合う力であるとは限らないのですか. M: 講義でも説明したのだが, 伝わっていなくて残念. 教科書や参考書をよく読めば良いのでは(?)
- 15s3038:
- 電気陰性度はマリケンとポーリングがそれぞれ提案していましたが, より扱いやすいのはどちらと言えますか. M: 自分で使ってみればいいのでは(?)
- 15s3039:
- 電子配置において, 結合による安定化がなされるのはなぜか. M: 実際に結合性軌道の MO のエネルギーを計算すれば, 自由原子の AO のエネルギーよりも低下していることが分かる. 電子の可動範囲が広くなったから, という解釈も可能 (箱の中の電子の問題を考えてみよ).
- 15s3040:
- ポーリングの計算式の 1.35 という数字にはどのような意味があるのですか. それとも 1.35 がたまたま都合のよい数字だっただけですか. M: 15s3004 参照
- 15s3041:
- 水素結合が電気陰性度に関係するということでしたが, H-X-Y より Li-X-Y [原文ママ]のほうが結合エネルギーが高いと思います. また水素結合のエネルギーを求める式は存在しますか? M: 思うのは勝手ですが, それがどうかしたのか(?) // あるかもしれませんが, 私は知りません. 調べて分かったら, 教えてくださいネ
- 15s3042:
- ファンデルワールス力をある系で考えると, 引きつけ合っている分子も反発し合っている分子も同じだけあり, 全体では力が働かないように感じてしまいます. どうして結果的に引力が働くのでしょうか. M: 勘違いがある予感. どんな系を考えているのか(?) // 15s3018 も参照
- 15s3043:
- 分散力で瞬間双極子はじかんによって双極子の状態が変わって, それに誘起双極子が対応して引き合っているということですか. M: 教科書を読んで, 自分で判断できないのは, 何故か?
- 15s3044+:
- 二重結合の 2 本の結合を等価にすることは可能ですか. M: カノニカルな (正準な) 軌道をユニタリ変換して局在化軌道を作るという操作で, 数学的には可能かもしれないが, それは現実の系を反映していないでしょう. 局在化軌道は全ハミルトニアンの固有関数ではないので, 固有状態でもない. 全電子エネルギーは正しくても, 個々の MO からのイオン化エネルギーの実測とは合わないだろうと予想します.
- 15s3045:
- 水素結合で X-H-Y が直線状態のときに結合エネルギーが最大になるとあるのですが, なぜですか. M: 15s3026 参照
- 15s3046:
- 配向力, 誘起力, 分散力についての全エネルギーがどうして距離の 6 乗 (
) に反比例するのか. M: 15s3020 参照
- 15s3047:
- なぜ NaCl が現実的に存在しないのですか. M: 極限状況では存在するかもしれないが, 一般的ではない. 電気陰性度の差 (または AO のエネルギー差) がありすぎて, 電荷の偏りが大きいので, 結合に方向性の無いクーロン力が支配的になるのでしょう.
- 15s3048:
- 互変異性はどのようにして起こるのか. M: 例えば ケト・エノール 互変異性のようなものを考えてみればいいのでは(?) 有機化学で習いませんでしたか(?)
- 14s3008:
- イオン化エネルギーと電子親和力がほとんど変わらない原子ってありますか? M: 私は知りません. 調べて分かったら, 教えてくださいネ // てゆーか, それを知ってどうするのか(?)
- 14s3015:
- 表4.4 では, ファンデルワールス力のなかの配向力, 誘起力, 分散力の大きさの大小は
dis
or
ind となっていますが, これにあてはまらない分子は存在しますか. M: 私は知りません. 調べて分かったら, 教えてくださいネ
- 14s3021:
- 双極子モーメントが変化することと分極率が変化する事は違うのでしょうか? M: 双極子モーメントと分極率は, 異なる物理量です.
- 14s3030:
- もし分子 A-B それ自身にエネルギーを与えた (熱を与えるなどして) とすると, A, B 原子がそれぞれ自身の軌道にエネルギーを得てそこからまた相互作用しオービタルを形成するのか, それとも分子 A-B の双互作用[原文ママ]されているオービタルがエネルギーを得て変化するのかどちらでしょうか. 私は前者であると思いました. M: 分子を形成しているときに, 原子それ自身の軌道はどこにあるのか? // ``軌道にエネルギーを得る'' とは, どういうことか? // ヘスの法則を知らないのか(?)
- 14s3040:
- 極性分子について, 前回から学んでいるが, 無極性分子は, 極性が無いということであると思うのですが, そららの分子中でも瞬間的に双極子ができているようなので完全に無極性な分子とは, どのような意味で完全に無極性な分子といっているのでしょうか? M: 本気ですか? HCl は極性, N
は無極性と, 普通に言うでしょ. それをじっくり時間をかけて考えてみればいいのでは(?)
- 12s3017:
- 永久双極子モーメントは, 主にどういった分子が持っているのですか. H
O などがその例ですか? M: 本気ですか? 教科書や参考書の説明とか, ``永久'' という言葉の意味とか, 何がわからないのでしょうか?
- 12s3024:
- 水素結合やファンデルワールス力は, 結合エネルギーが他の結合に比べて 1/10 以下であるのに, 結合距離がほとんど同じくらいであるのはなぜですか. M: 本当に同じくらいなのか? ``原子サイズ'' という意味では同じくらいなのかもしれないが, それはずいぶんと大雑把な議論ですね.
rmiya, 2015-12-07