化学の基礎 II(G) (20151109)
M: 以下は宮本のコメント
- 15s3001:
- 授業の中で出た 2 通りの電子の結合で, キャッチボールが例えに出ていた結合の方が, C
H
の二重結合のうち, 付加反応を起こす結合ということでしょうか. M: 勘違いでしょう. // もしそうなら, 付加反応を起こさない方の結合は, どのような紐で結ばれているつもりなのでしょうか?
- 15s3002:
- O
などの実際の状態を正しく表せていないとわかっているルイス構造式が使われているのは何故ですか. M: 使っている人に聞けばいいのでは? // 世の中で使われているものは, 全て完璧に正しいと思っているのでしょうか(?) // 15s3016 も参照
- 15s3003:
- 原子の結合性, 反結合性は意図的に操作可能なのですか. M: 結合している分子に, エネルギーを与えて結合を切れば… // 15s3018 も参照
- 15s3004:
- AO が二つ一次結合するときに同数の AO と MO ができますが, 一次結合以外で AO が結合することもあるのですか? M: 意味のある結合かどうか知りませんが, 好きに組み合わせればいいのでは(?)
- 15s3005:
- 第 2 周期の原子は最外殻に電子が 8 コあると安定になる (オクテット則) というのがあるが, なぜ 8 コなのか. M: 残念ながらスキップした教科書 2 章の最後辺りや, 参考書にヒントがあるのでは(?) // そもそも初めにオクテット則が提唱された当時は, 量子力学的な知識などない時代だったので, 経験則とかつじつま合わせ的な要素が大きかったのでは(?) 現代ではホウ素の三中心四電子結合のようにオクテット則に反する例は良く知られているし, 第 3 周期以降でも反例が多数ある (リン酸イオン, 硫酸イオン などがすぐに思い浮かぶ) ことが分かっています. こんな程度の規則を重要視する意味があるのでしょうか(?)
- 15s3006:
- 電子が結合性となるか反結合性となるかは 波が干渉する際に初めてわかるのか. M: いいえ. 分子もやはり構成原理に従います。
- 15s3007:
- 三重結合の時も, 二重結合と同じく常磁性を持つと考えていいですか? また, 例外としてならないものはありますか? M: 激しく勘違いの予感. 結合次数と常磁性とは直接の関係はありません. それぞれの分子について, 結合次数と磁性を考えればいいだけです.
- 15s3008+:
- 二重結合の 2 本の結合が非等価で付加反応するときエネルギー差があり, 低い方にきれて付加反応するのですか? M: 結合のエネルギーに着目することは重要です. 一般に
結合に比べて
結合の方が結合エネルギーが小さく, 切れやすいと言えます. // ところで ``低い方にきれて'' が意味不明.
- 15s3009+:
- 異核二原子分子では, その原子がもつすべての電子のスピンを考えないのですか? M: もちろん, 常に全電子のスピンを考えます. しかしたいていは, 一つの軌道に二個の電子がスピンを逆向きにして入っているので, その分は磁気モーメントがキャンセルされてしまいます. 結果として不対電子の分だけを考えれば良い.
- 15s3010:
- 波動関数をもとにした結合の説明について, 電子の存在確率の大小と原子同士の相互作用の関係性が分かりません. M: そうですか, しかし提出物が要件を満足していません. // 教科書や参考書を読むなど, 理解するための努力をどれだけしたのでしょうか(?)
- 15s3011:
- 教科書に妥当な近似のもとに波動方程式を解くことによって MO のエネルギーをかなり正確に見積もることができるとありますが 妥当な近似とはどのように求められるものなのですか. M: 自然な物理的世界観にもとづいてモデルを考え, 数学的に最適化します. 詳しくは参考書の近似法の項などを参照.
- 15s3012:
- 第 2 周期の原子で, 最外殻が 8 個の電子に取り囲まれると安定になるといえるのはなぜか. M: 15s3005 参照
- 15s3013+:
- O
の結合を考えたとき, 反結合性軌道にも電子が入っていましたが, この電子は実際には孤立しているということですか. M: H
の反結合性軌道を説明したときに, そんなことは全然言っていません. 反結合性軌道に入った電子も二つの原子に渡って広く分布している様子は, 波動関数が物語っています. これはいわゆる孤立電子対とは全く違うものです.
- 15s3014+:
- 異核二原子分子で
A と
B の差がとても大きい場合, 結合できないということもあるのでしょうか. M: 差が最も小さい場合は, 差がゼロ, すなわち両者が等しい場合です. 逆に差が最も大きい場合は, 差が 1 です (大雑把に言って). すなわち電子一個が完全に一方の原子から他方の原子に移動したことに相当します. これって完全なイオン結合ですよね.
- 15s3015:
- 二重結合の 2 本の結合は非等価ということをある実験をして分かったと言っていましたが ある実験とはどのような実験ですか? M: 二重結合に対する臭素の付加反応を講義で示したのだが, 理解されていないようで残念です. そもそも有機化学で習わなかったのでしょうか(?)
- 15s3016:
- 常磁性の有無はルイス構造式では分からないといってましたが, 常磁性が分かる書き方はあるのでしょうか. M: ですから波動関数をもとに分子軌道を考えた説明をしたのだが, 理解していただけなかったのでしょうか(?)
- 15s3017:
- 異核二原子分子では, 構成原子のエネルギーの差が大きいと結合は不安定になり, 結合が生じにくくなるのでしょうか. M: あなたの言う ``不安定'' とは, どういうことですか? // 講義では波動関数と電子分布, エネルギーなどにもとづいて説明したのだが, 全く理解されていないようで残念です.
- 15s3018+:
- H
分子を考える時, 普通は結合性軌道に 2 つの電子が入ると思いますが, どのような場合に反結合性軌道に電子が入るのでしょうか. M: 別に. 結合性軌道に電子が 2 個入った状態が最もエネルギーが低いというだけです. そうじゃない電子の入り方は, 単にそれだけエネルギーが高いということです. 15s3003 も参照
- 15s3019:
- O
以外にも常磁性がある分子はありますか. M: もちろんある. 簡単な例では NO とか.
- 15s3020*:
- 結合性軌道が反結合性軌道よりエネルギーが低いのはなぜか. M: もちろんその状態のエネルギーを求めてみれば, 実際に高いことが分かる. また波動関数の節の数を数えると, 反結合性軌道の方が多くなっている. 箱の中の電子の問題でも, 節が多いほどエネルギーが高い様子が見られた. 波が存在する領域の大きさが同じであれば, 節の数が多いほど波の波長が短いことになる. また節の数 (量子数) が同じでも箱の大きさが大きくなれば, 波長が長くなり, エネルギーは低下することを確認せよ. // これは光子の波長とエネルギーとの関係とも一貫性があるネ.
- 15s3021:
- 等核二原子分子の Ne
には結合長があるのに He
には結合長がないのは, p 軌道のあるなしが影響しているのですか. M: 影響していると言えばしているのかもしれない. すなわち前者は実験的に存在が確認されて結合長の実測値が存在するが, 後者はまだ存在が確認されていないので, 結合長を決められない (だから表に数値を書けずに空欄にするしかない). ではなぜ結合次数がゼロの Ne
が存在し得るのか? そこには p 軌道が関与した微妙なエネルギーのバランスがあるのかもしれない… 以上は全くの想像ですので, 正解は自分で調べてみればいいのではないでしょうか(?)
- 15s3022:
- 結合性軌道と反結合性軌道が等しく存在するのはなぜですか. M: ``等しく存在する'' とは, どういう意味か? // 15s3030 参照
- 15s3023:
- オクテット則は第二周期の原子では最外殻は 8 個の電子に取り囲まれて安定になるとしていたが, P は 10 個で安定になると聞いたことがありますが その他にもあるのでしょうか. M: P は第二周期の原子ではないが(?) // 15s3005 参照
- 15s3024:
- MO のなかの電子は相互作用するとあるが, なぜ, Li
, Be
, B
, C
, N
だけなのか. M: 誤読では? 自分がどの元素にあるかを感じて振舞いを変える電子などあり得ないと思いますが(?) // 相互作用の大きさが, 軌道の順番を逆転させる程度なのかどうかという, 程度問題でしょう. しょせん図3.7 は定性的な図で, 縦軸にメモリは存在しないものだと, 本文中にも書いてある.
- 15s3025:
- 核間距離 (
) は, 結合性 MO である
から得られるエネルギーが極小を示した後, 急激に増大するとありました. なぜ急激に増加するのですか? M: 同一空間を複数の物体 (核) が占めることはできないし, また同じ電荷をもった粒子 (核) が接近すればポテンシャルエネルギー (クーロンポテンシャル) が増加するのは当然では(?) 物理の基礎の複数が必要なのか(?)
- 15s3026:
- 混成がエネルギーが近い同士で起こりやすいのはなぜですか. M: そもそも混成を理解していない(?) 電子が昇位するために要するエネルギーと, 結合による安定化の大きさとの関係を考えればいいのでは(?)
- 15s3027:
- ルイス構造式は, O
分子の常磁性などを正しく表現していないにも関わらず, 今でも使われているのはなぜですか. M: 15s3002 参照
- 15s3028:
- 同位相のとき中央部の電子の確率が大きくなっても核付近のほうが大きいということで, 電子間距離が常に変わって結合力も変わるのですか? // 異核二原子分子で, 係数と電気陰性度は大きく関係がありそうですが, あるとすればどのような関係ですか? M: 意味不明. 電子間距離が変わるとは, 何の話か? // 無関係とは言いませんが, それよりむしろ軌道エネルギー (イオン化ポテンシャルや電子親和力) でしょ. 電気陰性度について良く調べてみればいいのでは(?)
- 15s3029:
- O
には常磁性があるため, 不対電子が存在することを意味するためにルイス式は現実を正しく表現していないとあるのですが, ルイス式より O
を正しく表現するものはありますか. M: 15s3016 参照 // 15s3002 も参照
- 15s3030+:
- なぜ二つの AO が一次結合するとき, AO と MO は同数でないといけないのか. M: 数学的には単なる一次変換 (ユニタリ変換) なので, 元になる変換前の関数 (AO) の数と変換後の関数 (MO) の数は等しい. 詳細は線形代数の本を参照.
- 15s3031:
- H がたくさんあるとバンドを形成でき, 金属結合と同じしくみになるが, 非金属でも金属結合をすることができるといえるのか. 電子の軌道モデルで原子からの移動距離はバラバラだが, 電子の振動運動はその時々によって大きさが変わるのか. M: 前半について, 金属と非金属の違いは何か? 物性物理を勉強すればいいのでは(?) // 後半について, ``原子からの移動距離'' とか ``電子の振動運動'' とか, 意味不明.
- 15s3032:
- 異核二原子分子の原子間で, 一方の原子に電子の存在確率が極端に寄っていればイオン結合であるといったが, その偏りに明確な基準はあるのか? M: 意味不明, 何の基準の話か? // もしどこかに境界線があったとして, それをごくわずかでも超えれば, 全く違ったものになるというのか? 連続的に変化することが可能な量に, 明確な境界線を引くことができるだろうか?
- 15s3033:
- 反結合性軌道よりも結合性軌道の方が安定であるならば, 原子は同位相の重なりしかせず, 逆位相で重なることはないように思うのですが, どうでしょうか. // 例えば H-Cl では Cl の方に電子が寄って, H が
を帯びることはないと思います. それでも電子の存在 ``確率'' と聞くと可能性は低いがあり得ると感じてしまうのですが, どうでしょうか? M: 自分で判断できないのは何故か? 分子が外からのエネルギーを得て結合が切れるとは, どういうことか? 15s3003 参照 // 自分で判断できないのは何故か? 感じるのは勝手だが, 波動関数から言えることは何か? H 側の電荷が
ではなくて
なのは, どう理解すればいいのか?
- 15s3034:
- 混成は一般に同一原子内でのエネルギーが近い AO どうしで起こりやすいとありますが, なぜ同一原子内のエネルギーが関係するのですか. M: 混成軌道が形成されるしくみの説明に出てくる昇位エネルギーを, 理解していないのでしょうか(?) その大きさは, どこで決まるか?
- 15s3035:
- 水素分子から, 水素原子を得ようとして, 水素分子にエネルギーを与えるとき, 反結合性状態を経由して解離しますか. それとも直接解離しますか. M: 別に, 好きにすればいいのでは(?) そもそも解離エネルギー (または結合エネルギー) とは, どういう意味か?
- 15s3036:
- 共有結合による分子の形は, 混成を考えることで全て説明することができますか. 複雑なものは他の相互作用などを考慮する必要がでてきますか. M: そもそも水分子 H
O の結合角ですら, 混成では正確に説明できないのでは(?) その意味で, 混成による説明は定性的な便法といえる.
- 15s3037:
- 2 章の内容ですが, Cr の電子配置が, 3d 軌道に 4 個, 4s 軌道に 2 個ではなく 3d 軌道に 5 個, 4s 軌道に 1 個になるのはなぜですか. M: 多電子原子では, 電子間の反発のクーロンエネルギーがあるので単純ではなくなります. 電子が軌道に配置された状態の全エネルギーを考えて, これが最低のものが基底状態となります。
- 15s3038:
- 教科書に「水素原子のシュレーディンガー方程式は厳密に解くことができる」とありますが, それ以外の原子になったとたん, 正確に求めることができなくなるのはなぜでしょうか. M: 多体問題. 物理の基礎を復習する必要があるか(?)
- 15s3039:
- 二重結合の 2 本の結合は なぜ非等価なのですか? M: エチレン分子の結合の様式の軌道による説明図 (図3.15) を見て考えればいいのでは(?)
- 15s3040:
: 磁気量子数の軌道の空間的な配向って なんですか? M: 言葉の意味が分からないのなら, 辞書を見ればいいのでは(?) // 原子軌道については, 表2.1 の波動関数にもとづいて考えたり, 図2.4 を見て考えればいいのでは(?)
- 15s3042+:
- なぜ電子が結合性軌道に入るとエネルギーが低くなって安定するのですか. M: 軌道エネルギーを求めてみたり図を見れば自明では? 15s3020 も参照
- 15s3043:
- 等核二原子分子と異核二原子分子ではどちらの方が結合性や反結合性のエネルギーが高くなりやすいというのはあるんですか. M: 個別の分子軌道のエネルギーは, 元になる AO のエネルギーレベルに依存する. また AO のエネルギーよりもどれだけ安定化 (または不安定化) するかは, AO 間の相互作用の程度によるが, これは AO のエネルギー差に関係する. 教科書や参考書を読んで勉強すればいいのでは(?)
- 15s3044:
- なぜエネルギーは低い方が安定なのですか. M: 本気ですか? 物理では ``エネルギーが低い'' ことと ``安定である'' ことは, 同義語です. 物理的なセンスが欠けているのでしょうか(?)
- 15s3045:
- 二重結合は等価ではないとおっしゃっていましたが, 区別はできるのですか? 例えば, エチレンに H
が付加して二重結合の 1 つが切れる時に切れる方の結合はもともと決まっているのですか? M: ``非等価'' の意味を理解していない予感. 15s3008 参照
- 15s3046:
- ルイス構造式が何種類か存在することはありますか. M: いまさらこれですか? ベンゼンやナフタレンなどの共役系は, どう書きますか?
- 15s3048:
- 水素原子が干渉するとき, 同位相と逆位相に重なるかは どのようにして決まるのですか. M: 15s3006 参照, 15s3018 も参照
- 14s3008:
- 結合性軌道と反結合性軌道のエネルギー準位の差がほとんどなくて, 電子を入れていく際に結合性軌道に 1 つしか電子が入っていなくても反結合性軌道に電子を入れた方が安定するというような例はありますか? M: 三原子以上の多原子分子では, 二原子分子のように明確に結合性・反結合性と区別しにくい場合が多々あります. そして基底状態の最終的な電子配置は, 電子が入った結果の全エネルギーが最低になるような配置ですから簡単に予測できない場合もあり得ます.
- 14s3014:
- 孤立電子対が電子を引っぱる力のほうが他の原子が中心原子から電子を引っぱる力よりも強いことは, どのように説明できるのだろうか. M: 例えば ``孤立電子対が電子を引っぱる'' など, 意味不明な記述多数.
- 14s3015:
- O
分子のエネルギー準位図で, 2s と 2p の相互作用を考えていないのは なぜですか. M: 15s3024 参照
- 14s3021:
- 光は干渉実験の結果を見ると「光は波である」と言われ, 光電現象の結果を見ると「光は粒子である」と言われていますが, この結果を比べると互いに矛盾しているように思うのですが, いったい光とは, 粒子と波のどちらなのでしょうか? M: 粒子と波のどちらかという発想が間違い. 光は光, それ以上でもそれ以下でもない.
- 14s3034:
- 「物が切れる」ことの原理がまだ説明できないという話を聞いたのですが, マクロとミクロを同時に考えないといけないためでしょうか. M: そのように主張する人に聞けばいいのでは(?)
- 14s3040:
- 双極子モーメントの SI 単位は クーロン・メートル (C m) で表すのですが, 慣習的にデバイ (D) 単位がよく使われているとのことだったので他に SI 単位には認められてはいないもののよく使用されている単位はありますか? M: そりゃあるでしょうね. L (リットル) とか t (トン) とか cal (カロリー) とか, いろいろ.
- 12s3017:
- 異核二原子分子の場合, その分子軌道を規格化すれば, お互いの原子間の距離などが分かりますか? M: 核間距離
をパラメータとして全エネルギーを求め, ポテンシャル曲線を書くという手続きはいつも同じ. マッカーリ &サイモン の 9 章参照.
- 12s3024:
- 等核の多原子分子の場合, それぞれの結合性軌道のエネルギーは異なるのでしょうか? M: ``それぞれの'' とは, 具体的に何を指しているのか?
rmiya, 2015-12-07