化学の基礎 II(G) (20151102)
M: 以下は宮本のコメント
- 15s3001:
- 量子論では小数点等の整数以外の値を用いてエネルギーを求めることはできないのですか. M: (+)
の基礎物理定数に具体的に SI 単位系で数値を入れれば, エネルギーの値は実数値として得られる. すなわち物理量の数値については単位に依存する話ではある. しかし簡単な整数を用いて表現できたほうが分かりやすいのでは? // スピン角運動量が関与する場合には, 半奇数 (1/2, 3/2, など) の量子数をとる場合がある.
- 15s3002:
- 境界条件で
のとき
と言っていましたが,
が 0 より大きくて
となるような
の値はあるのですか. M: 講義で求めて見せたのに, 理解していただけなくて残念.
- 15s3003:
- 一般解でなく, 特殊解を用いても, 最終的に同じ値が出るのですか. M: ``同じ値'' とは, 何のことか? // その特殊解が, 今回の問題の状況 (境界条件) に適合している保障は全く無い. 数学の基礎の復習が必要な予感.
- 15s3004:
- なぜ一般解とは別に特殊解というものが出てくるのでしょうか. M: 講義でも説明したつもりだったのですが, 理解していただけなくて残念. 数学の基礎の復習が必要か(?) // 積分に 不定積分 と 定積分 の二種類があるがごとし. 関数の微分に, 微係数 と 導関数 があるがごとし(?)
- 15s3005*:
- 電子親和力が周期表の右上にいくにつれて高くなるのはなぜか (ハロゲンは除いて). M: (+) ``力 (force)'' という名称ではあるが, 電子親和力はエネルギーです. 原子が電子を捕獲する前後の系のエネルギーを考えてみよう.
- 15s3006*:
- 解が
,
,
の場合を仮定してから一般解を求めたが, この 3 つ以外の関数を解にもつ可能性は考えられないのか. M: (+) われわれは化学または物理の問題を扱っているので, ``方程式を満たす解であれば何でもいい'' の立場です. しかしもちろん ``解の唯一性'' という数学的な観点からは検討の対象になるでしょう. 興味のある人は, 自分で勉強すれば良いのでは(?)
- 15s3007*:
- シュレーディンガー方程式の解につかわれる
,
,
の三つの量子数はなぜ自由な値がとれないのか? M: 自由な値が取れない, 自然数 (整数) などに制限されるから, 量子数として特別扱いされる. // 方程式の解を求める過程で, 自然に導入される. 具体例として箱の中の電子の問題を講義で解いて見せた.
- 15s3008:
- 粒子の存在確率は箱の中のどこにおいても確率は等しいのですか? M: 古典的な箱と粒子ではそのように考えられるが, 量子力学的な箱と粒子では *そうじゃない* というのが結論です. 波動関数の二乗
の値は, 位置
により異なっています.
- 15s3009*:
- 量子論の系では, エネルギーは離散的な値だけをとることがわかりましたが, その離散的な値は古典力学の世界にも影響を与えたのですか? M: マクロな物質もミクロな原子や分子からできていることを考えると, 両者は全く無関係でその間に断絶があるとは考えられません. 実際にも, 量子数の大きい極限では, 量子力学は古典力学に漸近するものと考えられています. 例えばエネルギー準位間のエネルギー差も, マクロな系にとっては小さすぎて無視できるので, エネルギーは連続量であるように見える.
- 15s3010:
- 境界条件のうち
→
を満たす必要があるならば,
と仮定するのは不満なのではないか? M: 微分方程式の一般解を求める段階では, 境界条件まで総合して考慮していないし, 実際に得られた
は振動する解であって, 境界条件を満足している. おちついて式をよく見れば良いのでは(?)
- 15s3011:
-
を時間に依存しない場合と書いていましたが, 時間に依存する場合もあるのですか? M: もちろんある. 例えば電磁輻射場にある電子は, 時間に依存するポテンシャルを受けている. 参考書など参照.
- 15s3012:
- エネルギーの量子化で, とびとびの値しか許されないのはなぜか. M: 自然がそうなっている, それが自然の本質的な性質である, としか言いようがない.
-)+ // 箱の中の電子の問題については, 数式に基づいて一点の曇りもなく明確に論理的に導かれています. しっかり理解しましょう.
- 15s3013:
- 箱の中の電子に関して, 境界は何を基準に設定しますか. 実際の原子で考えるとき, 原子核は箱の外の扱いで良いのですか. M: (+) あなたが現実の系をどのように認識し, モデル化するかによる. この様にモデル化しなければいけないなどという制限は無い.
- 15s3014:
- 教科書ではシュレーディンガー方程式を解く過程で
について言及していませんが, それは結局
の式になおせるからでしょうか. M: 記述内容の取捨選択の理由は, 著者に聞けばいいのでは(?)
- 15s3015:
- 一次元の箱のなかを自由に運動する電子が箱の中にあるか調べるのにポテンシャルエネルギー以外に運動エネルギーなどでも求める事はできないのか? M: 意味不明. 電子の存在確率を求めたければ, 波動関数の二乗でしょ(?) なぜポテンシャルエネルギー??
- 15s3016:
- 最低のエネルギーを
なのになぜゼロ点エネルギーとよぶのですか. M: 通常は調和振動子について, エネルギーが最低の
の状態のエネルギーのことを ``ゼロ点エネルギー'' と呼びます (もちろん
). その点で教科書の記述は, 確かに少し違和感がありますね.
- 15s3017*:
- エネルギーが離散的な値しかとることができないということは, エネルギーはどのように変化することになるのですか. 変化しないということになるのでしょうか. M: いいえ. エネルギー差に相当する振動数
の電磁波を吸収または放出して, 状態間を遷移します. これをボーアの振動数条件ということもあります.
- 15s3018:
- なぜ, エネルギーは整数
によって番号づけられたとびとびの値しか許されないのか. M: 15s3012 参照
- 15s3019:
- なぜ 2 つの特殊解から一般解へ結びつけられたのでしょうか. M: 数学の基礎を復習すればいいのでは(?)
- 15s3020:
- 中間レポートの本は物理化学の分野にこだわらなくてもいいですか. M: 初めの時間に説明したし, サポート web ページ (シラバス (コピーを配布済み) でも紹介している) にも記載されている.
- 15s3021:
- エネルギーが離散的な位[原文ママ]しかとれないのは ボーアの量子条件と不覚関係しますか. M: 箱の中の電子や本当の水素原子の電子では, ボーアの量子条件など無いのだが. しかし量子数というただ一点で, 無関係とは言い切れない.
- 15s3023:
- シュレーディンガー方程式はド・ブロイの式と同じ性質をもつことから, ド・ブロイの式でも一次元の箱の中の電子を求められるとすると, ド・ブロイの式で求めようとすると シュレーディンガー方程式より難しくなりますか. M: 同じ性質とは, 何のことでしょうか? 自分でやってみればいいのでは(?)
- 15s3024:
- マクロな物質ではエネルギー準位の間隔は全エネルギーに対して無視できるほど小さい値となるとあるので, マクロな物質に関しては連続しているとみなしてもよいか? M: 自分で判断できないのは, 何故でしょうか? ``みなす'' という主観的な行為に, なぜ他人の許可が必要なのか?
- 15s3025:
- 教科書 (2.16)
は量子数で、量子数はこのようにして導入されることに注目して欲しいとありましたが, 何故ですか? 量子数が導入されるのには, 何か規則性があるのですか? M: もちろん, 重要だから. ボーアモデルでは力の釣合いの式の *外* から別の式として量子条件を与えた. (+) しかし, 箱の中の電子の問題では量子条件を外から与えることが無く, 数学的規則に従って自動的に導入された.
- 15s3026:
- なぜ, 等価な軌道では スピンを同じ向きにして 1 個ずつ配置しなければいけないのですか. M: ``基底状態'' の意味は, 最もエネルギーの低い状態という意味です. すなわちそうしたほうがエネルギーが低い. 詳細は参考書など参照.
- 15s3027:
- 水素原子が重水素や三重水素の場合でも, シュレーディンガー方程式は厳密に解くことができますか? M: 系の粒子の数や相互作用の種類などは同じですね. 自分で考えてみたり, 参考書を見て勉強すれば良いのでは(?)
- 15s3028:
- なぜ量子論では整数
しか用いられないのですか? M: 15s3001, 15s3012 参照
- 15s3029:
- フントの規則の「等価な軌道についてはスピンを同じ向きにしてなるべく 1 個ずつ配置する」という規則はどのようにしてわかったのですか. M: フントに聞けばいいのでは(?)
:-p
- 15s3030:
- 今回, エネルギーがとびとびの値をとることを, 計算から求めたが, 実験から求めることは可能なのか. M: 水素原子のスペクトル (ぼそっ)
- 15s3031:
- 波動関数は有限なのに, 箱を考えて, 箱の外には電子が存在しないとできるのはなぜですか. M: 何が疑問なのかわからない. 波動関数が有限であることと, 箱の外に電子が存在しないこととは, 両立すると思うのですが(?) // 箱の中の電子は, 理想的なモデル系のひとつです. モデルなので, どのような設定にするかは, 自由に考えていいでしょ(?)
- 15s3032:
- エネルギー準位の間隔が無視できる程小さくなれば古典力学で説明がつくのでしょうか. M: 15s3009 参照
- 15s3033:
- p.26, 図2.1 のような井戸型ポテンシャルは現実に存在するのですか. M: するとどうで, しないとどうなのでしょうか? 講義でも少し触れたはずですが. 15s3031 のコメント後半参照
- 15s3034:
- 水素原子のエネルギーは一つの量子数
だけにしか依存しないのは なぜですか. M: 水素原子の (正しい) シュレーディンガー方程式の解について, 参考書など参照すればいいのでは(?)
- 15s3035:
- 箱の中の電子の運動において, 自由電子同士の相互作用などは考えますか. M: あなたは, 一体全体どのような系を考えているのでしょうか? 教科書では, どんな系を考えていたのでしょうか?
- 15s3036:
- 波動関数を微分方程式を解くことが困難で, 求めることができないという場合はありますか. M: 三粒子以上の系では, 一般には厳密解を得られないのですが, 近似解はいつでも得ることができます.
- 15s3037:
- 波動関数が連続であるのは, 波動関数の 2 乗が粒子の存在確率を表すから, というのが理解できませんでした. なぜ, そうなるのですか. M: 常識的に考えて, 粒子の存在確率が不連続に変化する事は, 現実にあると思いますか?
- 15s3038:
- ボーアは, 電子の角運動量はとびとびであると仮定しましたが, その角運動量は 結局, エネルギーの量子化で説明されることができるのでしょうか? M: なにか誤解がある予感. 教科書や参考書をよくよく読めば良いのでは(?)
- 15s3040:
- 質問の点数ですがプリントに +,
が書かれていなくても点数が入ったり引かれたりしているんですか? M: 付加的な記号が何を意味しているのかについては, 説明済みのはずです.
- 15s3042:
- 時間に依存するシュレーディンガー方程式はどうなりますか. M: 20151026 の 15s3037 のコメント参照 (一次元の場合), または参考書を参照
- 15s3043:
- 工夫して, エネルギーが量子化されないようにできないんですか. M: やってみればいいのでは(?) // 自然の本質的な性質に逆らうということですね(?)
- 15s3044:
- どのような値になれば, 特殊解と言うことができるのですか. M: 15s3004 のコメント参照
- 15s3045:
- 波動関数は連続であり, 箱の外の電子が 0 であるから,
と
は存在が 0 とおっしゃっていましたが, 箱の中に電子が存在しない場所はあるのでしょうか. M: 15s3008 のコメント参照
- 15s3046:
- 微分方程式の一般解を求めるときに 2 回微分すると任意定数を 2 つ置いているのですが 3 回, 4 回微分して一般回を求めるには任意定数を 3 つ, 4 つ置いたらいいのですか. M: なぜ 2 つなのか, 暗記ではなく理解していれば, 自分で考えて分かるはず. または数学の基礎の復習(?)
- 15s3047:
- エネルギーが量子化されていると言われていましたが, なぜなのかいまいち理解出来ないです. M: そうですか, しかし提出物が用件を満足していません. // ``いまいち'' などと感覚的にとらえるのではなく, 数式にもとずいた計算過程をしっかり理解してください. または 15s3012 参照
- 15s3048:
- なぜエネルギーは量子化されているのですか. M: 15s3012 参照
- 14s3015:
- 電子のスピンが同じ向きで軌道に入っていることを確かめるにはどうすればよいのですか. M: 磁気モーメントを測定すれば良いのでは(?) // 他にも手はあるかもしれないので, 考えてみてください.
- 14s3021:
-
を解くときに
を使って解いていましたが 2 回微分しても変化しない
の関数では, 解くことができないのですか? M: 教科書とは異なり, 講義では指数関数を用いて解を得る過程を示しました. 理解してもらえなくて残念.
- 14s3034:
-
⇒
の変換がよく見ていないだけかもしれませんが分かりません. (
がどうなったのか) // 時間に依存する場合とは, 電子が非局在化していることを指すのでしょうか. M: おそらく書き間違えたのでしょう. スミマセン m(_,_)m
しかしなぜその場で指摘してくれなかったのでしょうか? クラスの全員に恩恵があったのに… // いいえ. 時間に依存していなくても, 空間の唯一点だけに電子が存在しているわけじゃないので, 電子は非局在化していると言えます.
- 14s3040:
- なぜ古典力学の世界とはまったく異なってエネルギーが整数
によって番号づけられたとびとびの値しか許されない量子論の世界が, 色々な場面で作用したり, 対応できるのですか? M: これは逆の立場からも問えます. なぜマクロな世界では, 量子力学の世界とは全く異なって, エネルギーが連続的に変化するように見えるのでしょうか? 古典力学がマクロスケールで成り立つように見えるのでしょうか? 15s3009 も参照
- 12s3017:
- 波動関数が量子状態を表す関数であるということは, 波動関数の正体はベクトル (の成分) とも言えますか? M: 言葉の意味を理解せずに遊んでいるようにしか見えません. // 確かに量子力学のことを, 線形複素関数空間 (またはヒルベルト空間) における作用素の問題だと言うことはできます. しかし, このことの意味は理解されていないだろうなぁ.
- 12s3024:
- 波動関数の特殊解は三角関数や
の他にもありますか? M: 激しく誤解している予感. 数学の基礎の復習が必要か(?)
rmiya, 2015-12-07