化学の基礎 II(G) (20151026)
M: 以下は宮本のコメント
- 15s3001:
- 実験結果と一致することで正しさが証明された式を, 前提となる定理がないという理由で, 何となく正しいと思われる式等を使って説明するのは正しいことなのでしょうか. M: 言葉づかいが雑です. 誤解しているのかもしれません. // 実験結果と一致しても, 数学的な意味で証明されたとは言えません. また教科書で示されている式 (2.1) から (2.7) は, 何となく正しいのではなく, 計算の過程については厳密に正しい.
- 15s3002:
- 授業では一次元のシュレーディンガー方程式を扱っていましたが, 3 次元より上の次元まで拡張する事はできますか. できるとしたら何に応用できますか. M: 教科書でも一次元から三次元への拡張が示されています. この考え方 (拡張方法) に, 次元数の制限はあるか? // 参考書を読んで, 勉強すれば良いのでは(?)
- 15s3003:
- シュレーディンガー方程式で, 一次元のときは粒子が箱から出られないとありますが, 二次元, 三次元のときは粒子はどうなりますか. M: どういう系を考えているのか? // いちいち他人に教わって暗記するのではなく, 自分で論理に従って拡張すれば良いのでは(?)
- 15s3004:
- なぜまずは一次元から考察を始めるのですか. M: 初めて学ぶ概念を, いきなり (多次元の) 難しい問題として例示されて, 本質以外に目を奪われずに理解に至ることが, あなたには可能ですか? それともなるべく簡単な系で, 理解する必要がある概念だけが抽出された形で登場するような例を用いて学ぶほうがいいですか?
- 15s3005:
- なぜ多電子原子のエネルギ準位は 1s→2s→2p→3s→3p→4s→3d... のようになり 1s→2s→2p→3s→3p→3d→4s にならないのか. M: 電子間の反発があるから. 詳細は参考書を見れば良いのでは(?)
- 15s3006:
- シュレーディンガー方程式は, 実際の研究ではどのような場面で利用されているのですか. M: 別に. 普通に, 陰に陽に, 利用されています. 現代の化学においてシュレーディンガー方程式と無縁でいることは, ほとんどありえない.
- 15s3007:
- 「自分で判断できないのか」とありましたが, 書きながら考えてる内にわからなくなったので書きました. // 教科書でエネルギー準位を実験的に証明されていますが, 理論的に証明するとなると先生はどのように証明しますか? M: ``証明'' の言葉の使用方法が不適切です. 何をやりたいのか, よくわかりません. // 頭の中を整理せずに考えても, 混乱するだけでしょう.
- 15s3008:
- シュレーディンガー方程式はド・ブロイの概念の表現を変えたものであるというが, ド・ブロイの概念を応用した他の式もあるのですか? M: 無関係ではないということで, それを言うならシュレーディンガー方程式は不確定性原理の概念の表現を変えたものであると言っても良いかもしれない. またその意味で, 量子力学に関係する全ての式は, ド・ブロイの概念の表現を変えたものと言っていいかもしれないが, そのような文言にこだわることに何か意味があるのか.
- 15s3009:
- 教科書で見られる電子のオービタルの図はシュレーディンガー方程式によってどのように求めるのですか. また, 混成軌道の時のオービタルの図もシュレーディンガー方程式で求められるのですか. M: どちらについても, 参考書を見れば良いのでは(?)
- 15s3010:
- 不確定性原理について 位置と運動量の同時決定ができないのが何故なのか未だに分かりません. M: そうですか. しかし提出物が要件を満足していません. // まず誤解がある. 位置と運動量は同時に決定できる. ただし少々の不確かさを伴って. // 不確定性原理の理解のために, 何冊くらい参考書を読みあさる努力をしたのか?
- 15s3011:
- 水素原子以外の原子のシュレーディンガー方程式は解くことはできないのですか? M: (+) 多体問題のため, 一般には厳密に解くことはできないが, (任意の精度で) 近似解を得る事はできる.
- 15s3012:
- シュレーディンガー方程式を, 一次元だけでなく, 三次元にまで拡張して考える必要があるのはなぜか. M: 正気ですか? 私たちが興味のある原子や分子は, 何次元の世界の物体か?
- 15s3013:
- 電子の存在確率の分布がそのまま電子雲の分布になると考えてよいのですか. M: 自分で判断できないのはナゼか? // ``電子雲'' とは, 何か?
- 15s3014:
- p.36 のイオン化エネルギーの話で, He から Li になると急減少する理由がよくわかりません. M: そうですか. しかし提出物が要件を満足していません. // 教科書の説明や数式の, 何が分からないのか? 参考書を何冊くらい読みあさったのか?
- 15s3015:
- シュレーディンガー方程式はド・ブロイの式とまったく同じ性質をもっているのに なぜシュレーディンガー方程式の方が原子や分子を取り扱うのに適しているのか? M: ``まったく同じ性質をもっている'' とは, どういうことか? どんな性質のことか? // 全く同一の式ではないので, 異なる性質も持っているのでは?
- 15s3016:
- 不確定性原理において, なぜ
が
より小さくならないと定めることができたのですか. M: 15s3010 参照
- 15s3017:
- シュレーディンガー方程式において 確率密度 とは どういうことですか. M: ``確率'' とか ``密度'' という言葉の意味が分からないのなら, 辞書を見れば良いのでは(?) // 質量密度 (普通は単に密度と言うが) や電荷密度とか人口密度とかの意味も分からないのだろうか?
- 15s3018:
- シュレーディンガー方程式が成り立つという証明をしようとした人はいなかったのでしょうか. また証明しようとした時に障害になった事はどのようなことなのでしょうか. M: 私は知りません. 調べて分かったら, 教えてくださいネ. // てゆーか, 講義中に話したことを理解していただけなくて残念.
- 15s3019:
- ド・ブロイの式やシュレーディンガーの式と同じ性質をもつ式は他にもありますか. M: ``同じ性質'' とは, どんな性質を想定しているか?
- 15s3020:
- 遮蔽効果のところで, 電子間の斥力が核電荷からの引力と反対方向にはたらくという解釈でいいですか. M: 自分で判断できないのはナゼか? // 物理学の基礎の復習が必要か?
- 15s3021:
- なぜシュレーディンガー方程式は電子が複数もつ原子にも適用できるのですか. M: 何を対象にした方程式なのか, 良く考えてみればいいのでは? // 古典力学のうちの波動力学や解析力学という背景があったことも考慮すべし.
- 15s3022:
- 電子は運動量と位置が同時に定まらないのに本当に粒子と言えるのだろうか. M: 不確定性原理について誤解がある予感. 15s3010 参照 // あなたの ``粒子'' の定義は?
- 15s3023
:
- ボーアの水素原子モデルで電子は円運動をしていて, クーロン力と遠心力がつり合っているのは理解したが, すると, 他の電子を有している原子がその水素原子に近づくと電子の反発力で水素原子モデルの電子の速度が上がり遠心力が大きくなり電子がはずれる現象もあるということですか? M: 全然ダメですね. これでは ``〜は理解した'' と言っても, ``暗記することにした'' と言っているのと同じに聞こえますが, それは理解ではない. 自分で判断できないのも納得です. // 粒子間に物理的に働く力を全部考えて, 状況を整理して論理的に考えましょう.
- 15s3024:
- 一次元の箱の中の粒子の問題は, どこからでてきたのでしょうか? M: ``どこから'' とは, 何を想定していますか? // 15s3004 も参照
- 15s3025:
- 前提となる定理があったわけではないのに, シュレーディンガー方程式が複数の電子をもっている一般の原子や分子にも広く適用できるものであるのは何故ですか? M: 15s3021 参照
- 15s3026:
- ハミルトン演算子は様々な形をとるのですか. M: (+) 形式は変わるかもしれないが, 系の全エネルギーに対応している事は変わらない.
- 15s3027:
- ある時間における正確な電磁波のエネルギーが求められないのであれば, 仮に求められた電磁波のエネルギーというのは, 平均的なものだということですか. M: 参考書を読んだり, 自分でじっくりと考えてみればいいのでは(?)
- 15s3028:
- 化学に積分がはいってくるとよくわからなくなるんですが, 化学的に無限大はどのくらいの規模まで想定できるのでしょうか? M: 積分と無限大と化学とは, 何を意図しているのかさっぱり見当がつかない. 数学とか物理とか化学に関係なく, 無限は無限でしょ. ``無限大と近似できる'' ということなら, 何を問題にしているかに依存する話であって, 化学に特化した話ではない.
- 15s3029:
- シュレーディンガー方程式で話を簡単にするために一次元の波を考えるとありますが, 一次元の波とは
軸方向に進むたて波を考えるのですか. M: 縦波か横波かは波の次元と関係ない. 位置 (と時間) に依存して変位が伝わっていくのが波. 物理の基礎を復習する必要があるか(?)
- 15s3030:
- なぜ不確定性原理の式で, 『
』, 『
』 の両方に共通して,
を下まわることはないのですか? M: 色々な参考書を読み比べてみれば, それぞれに説明があるでしょう. 下限の定数はプランク定数程度ということで, 本によって数倍程度異なる場合がある.
- 15s3031:
- 粒子の存在の確率で複素数共役が出てきますが, 確率の計算過程で虚数の値をとりうる複素数という数学的概念をとり入れても問題がないのはなぜですか. M: (+) それが自然の本質だから. // 確率を求めたいときには絶対値の二乗をとって実数になるため不都合は全く無い. 逆に言えば, 波動関数は複素関数なので, それ自体では物理的意味を持たず, (絶対値の) 二乗して初めて確率という物理的な意味を持つ.
- 15s3032:
- ボルンは, 波動関数の 2 乗
がある位置 (
,
,
) で粒子を見い出す確率密度であると定義した, とあるが, 確率密度とは何でしょうか. M: 15s3017 参照
- 15s3034:
- パウリの排他原理で二つの電子について, すべての量子数が完全に等しいことは許されないとありますが, それはなぜですか. M: 電子はフェルミ粒子なので, 二つの電子の交換に対して反対称 (波動関数の符号が反転する) でなければならないという要請がある. 詳細は参考書を参照.
- 15s3035:
- 同じ原子において, 第一イオン化エネルギーと第二イオン化エネルギーの大きさは異なりますか. M: 自分で調べてみればいいのでは(?) 自分で論理的に考えてみればいいのでは(?)
- 15s3036:
- エネルギーを与えるなどすれば, 全ての原子はイオンの状態にすることができるということですか? 原子自体が不安定なものにイオンは存在しませんか? M: 何故自分で判断できないのか? // ``原子自体が不安定'' とは, どういうことか? (+) どういう系のどういう状態のことを考えているのか? その状態のエネルギーはどうなっているのか?
- 15s3037:
- シュレーディンガー方程式の導出の過程で波動関数は時間に依存しない波を考えていますが, これはなぜですか. M: (+) 定常波や定在波のように時間に依存しない波はありますし, それはそれで重要ですし, またそれを考えることに意味がある場合も多くあります. しかしそれだけをとりあげて ``導出'' して見せるのは, これまた一種のまやかしです. 本来の波は (2.1) 式に示されるように, 位置と時間に応じて変位が伝わるものです. したがって時間に依存する一次元のシュレーディンガー方程式は
です. ハミルトニアンが時間に依存しないならば, 変数分離という数学的手法を使うことで, 定常状態のシュレーディンガー方程式 (たとえば (2.7) 式) が得られます. 詳細は参考書など参照.
- 15s3038:
- ニュートンの運動方程式も, シュレーディンガー方程式も, 仮定をもっているため証明できないとありましたが, これら 2 つの式は互いに全く無縁なのですか? M: ``〜とありましたが'' にヘンテコな誤解を含んでいる様子. 参考書をよく読んでください. // (+) ミクロな物質とマクロな物質は境目なくつながっているはずなので, 二つの方程式に関係はあるはずです. 一例としてエーレンフェストの定理という名前をあげておきます.
- 15s3039:
- なぜ, 電子の運動方程式は量子力学に従うのか. M: 古典力学・ニュートン力学に従うと考えると説明できない現象があったとか, 教科書 1 章からの流れを全く理解していないのか(?)
- 15s3040:
- 質問に点数なんてあるんですか? その点数は単位に関係あるんですか? // 前回の質問の質問に対する答えですが, 自分が授業をするにあたって参考にしようという意図がありました. M: 最初の回に説明したし, シラバス (コピーを配布した) にも記載している. // 教員希望なら, 他とは関係なしに, あなたはあなたの授業をすればいいだけでは(?)
- 15s3041:
- 不確定性原理の
はどこからでてきたのか. M: 15s3030 参照
- 15s3042:
- 電子は質量がある粒子であるが波でもあるという認識でいいですか. M: なぜ自分で判断できないのか? // 教科書や参考書を読みあさって考えればいいのでは(?)
- 15s3043:
- シュレーディンガー方程式は複数の電子をもっている一般の原子や分子にも広く適用できるみたいですが, 適用できないのはどういった原子や分子なんですか. M: 相対論的な効果は考慮されていない.
- 15s3044:
- 陽子は電子のように物質波をつくりだすことはありますか. M: 例えばド・ブローイの式を適用可能な粒子に制限はあるか?
- 15s3045:
- ブタジエンの
電子は 1 次元の箱の中を移動していると説明がありましたが, 他に 2 次元, 3 次元の例はありますか. M: 自分で考えてみるのじゃダメな理由があるのか?
- 15s3046:
- なぜ s 軌道は 1 つ, p 軌道は 3 つ, d 軌道は 5 つなのか. M: (+) 磁気量子数の取りうる値に制限があるため. 詳細は参考書など参照.
- 15s3047:
- なぜハミルトン演算子は
なのでしょうか?
じゃ駄目なんですかね? // あと, この講義の単位を落としてしまったら卒業できないんでしょうか. M: 演算子であることをはっきりと示すために
をつけると講義で説明したのを理解していただけなくて残念. オレサマ記号を使うのは自由だが, それで他人に理解してもらえるか? // 化学の基礎 II(G) は, 物質創成化学科の学生には必修ですし, また実験科目の履修条件, 進級条件になっています.
- 15s3048:
- シュレーディンガー方程式は, どのようにして実際の研究に利用されていますか. M: 15s3006 参照
- 14s3008:
- シュレーディンガー方程式は運動方程式と同じく証明できないとききましたが, ではこの方程式はどこからきたのでしょうか? M: 15s3021 のコメント参照
- 14s3014:
- 不確かさをもつ電子の軌道を数式で示そうとするのはなぜか. M: 他にどうやって ``定量的に'' 扱えば良いですか?
- 14s3015:
- 演算子を決める方法はありますか. M: ``演算子を決める'' とは, どういうことか? // どれだけ参考書を読み込んだのか?
- 14s3030:
- 粒子の存在確率は波動関数の二乗であるというのはボルンが考えた仮定の定義でしょうか, それともしっかりと実験などで証明された定義なのでしょうか. M: 仮定, 定義, 証明 などの基本的で重要な単語の使い方に微妙に違和感がある. それで言えば, 教科書の ``確率密度であると定義した'' も少し変だ.
- 14s3034:
- ベンゼン環のような環状中の電子のシュレーディンガー方程式をたてるときも「一次元の箱」として近似できるのでしょうか. M: マッカーリ &サイモン の p.108 参照.
- 14s3040:
- コラムにでていたシンクロトロン放射光が夢の光源といわれたとあったのですが, あまり世間に浸透していないように見え, 過去形にかかれていたので, この電磁波よりも優れたものが発見されたということなのでしょうか? M: 過去形に深い意味は無いと思うが. // ``発見'' でなくて ``作成'' された. X 線自由電子レーザー SACLA.
- 12s3017:
- 量子力学の演算子と古典力学の物理量が対応しているのはなぜですか? M: そういう風に量子力学を作ったから... かな(?)
- 12s3024:
- 時間とエネルギーの間にも不確定性原理があるのであれば, 時間を含む波動関数のエネルギーは求められないのでしょうか? M: 誤解がある様子. 15s3010 のコメント参照. // 時間を含む波動関数で時刻を求めるわけではない.
rmiya, 2015-12-07