構造物理化学 I (20150601)
M: 以下は宮本のコメント
- 14s3001:
- 時間に依存しないシュレーディンガー方程式として (4.16) 式を学びましたが, このとき
が時間を含む場合 (演算子が
で積分などの時) は時間に依存する式になってしまいませんか? このときはそういう場合を除外しているのでしょうか. M: 式の説明の論理をきちんと整理してください.
- 14s3002:
- 箱の中の粒子では, 粒子は限定された空間の中にあることを示すとおっしゃっていましたが, 箱の大きさが無限大であるとしたら, それは限定された空間と言えるのでしょうか. M: 言えませんね. あたりまえです.
- 14s3003:
- 同じ学科の先輩が, 「シュレーティンガー[原文ママ]方程式は 3 年生になってもよく使うから確実におさえた方がいい」と言われました. 今回の講議[原文ママ]で, いまいち実感がわきませんでしたが, 何故重要なのですか? M: その先輩とやらに聞けばいいのでは(?)
- 14s3005+:
- ある友人の小テストの解答を, 私は論理的だと判断し, 先生は論理的でないと判断したとします. この時, 「私と先生の判断のどちらが正しいのか」はどうやって決まるのでしょうか. M: 絶対的な正解があるのでしょうか? // 判断の根拠を示して議論する.
- 14s3006:
- 不確定性原理は本当に「原理」なのでしょうか. 不確定性原理は量子力学の土台ではなく, シュレーディンガー方程式から導き出されたものではないのですか. M: どのようにして導出されるのか?
- 14s3007:
- ニュートンの法則やシュレディンガー方程式以外には, どのような公理が存在するのか? 実験的に求められた以外にも公理は存在するのか? M: 実験で公理を求めるわけではないと思いますけど(?) // パウリの排他原理とか, 最小作用の原理とか, 色々あると思いますけど. // シュレーディンガー方程式は, 公理と呼ぶには違和感がある人が多いと思いますけど(?)
- 14s3008:
- 今日の授業は量子化学ですか? それとも量子力学ですか? だんだん両者の違いが分からなくなってきたのですが. M: なぜ, 両者を区別する必要があるのですか?
- 14s3009:
- 高校の物理ではニュートンの第二法則
は頻繁に用いましたが, シュレーディンガー方程式は波を勉強したのにほとんど用いられることはありませんでした. 高校物理ではシュレーディンガー方程式を使わずにほとんどの波の問題を解いてきましたが, 私たちの身の回りの波はシュレーディンガー方程式を考えずに解くのは不可能でしょうか. M: 著しく勘違いの予感. 高校物理のレベルであつかう波動は, 古典的な波動現象に限り, また微分方程式である波動方程式も用いていないと思います. いわんや量子力学のシュレーディンガー方程式においてをや.
- 14s3010:
- シュレーディンガー方程式に使用する演算子はある文字を 2 回微分しているのですが, 2 回微分することでその文字関数の何を求めたのでしょうか. M: 20150511 の 14s3043 参照, 座標で二階微分することは曲率を与える. しかしハミルトニアンにおいては, 運動量の二乗に関係している.
- 14s3011:
- 私が知る演算子は全て逆の操作と対になっている (積分と微分) と思ったのですが, ハミルトン演算子にも逆の操作をする演算子は存在しますか? M: それって本当に ``逆'' なのでしょうか? 例えば不定積分 (一対多対応) の逆とは??
- 14s3012:
- 教科書に 2 乗の演算子が SQR とありましたが他の演算子もすべて文字で表せるのですか? M: 人が論理的に思考するのに, 文字 (言葉) を使わずにどうするというのでしょうか
:-p
- 14s3013:
- 時間依存性を含んだ一般的なシュレーディンガー方程式が, あるということは, 時間に依存しないシュレーディンガー方程式の必要性があまりないと思うのですが, どうなのでしょう. M: 変数の数がひとつでも少ない方が, 現象の記述が簡単になり, 方程式を解きやすくなるとは思いませんか. 定常状態について考えるときに, いちいち毎回, 時間の変数の変数分離から始めたのでは, ひと手間余計にかかって面倒ではありませんか? // 常に時間に依存するシュレーディンガー方程式から計算を始めたいというのであれば, あえて禁止はしませんけど.
- 14s3014:
- シュレーディンガーの猫という実験はなぜ有名なのでしょうか. M: 現実の実験というわけではありません. 読書感想文(仮)のネタでしょうか(?)
- 14s3015:
- 線形という言葉の由来はなんですか. M: 私は知りません. 調べて分かったら, 教えてくださいネ
- 14s3016:
- ハミルトニアンは波動関数でのみ用いられる演算子なのでしょうか. M: ``波動関数で用いる'' とは, どういうことですか?
- 14s3017+:
- シュレディンガー方程式は
で表わされるとのことでしたが, 式中の
は何を表しているのでしょうか. M: 確かに今回の講義では説明しませんでした. 自分で教科書や参考書を読んで勉強すればいいのでは(?)
- 14s3018:
- 古典的波動方程式とシュレーディンガー方程式の違いは何ですか? M: 式を並べて見比べればいいのでは? // 時間に関する部分が異なります.
- 14s3020+:
- シュレーディンガー方程式について, ``時間に依存する'' とは, どのような状態なのでしょうか. 時間変化によって位置も変化する, という認識でいいのでしょうか. M: 何が ``時間に依存する'' のかは, 重要な問題ですが, とりあえずは波動関数が時間に依存すると考えてよいでしょう. 14s3032 参照 // そしてさらに, ハミルトニアン (に含まれるポテンシャル) が, 時間に依存する場合としない場合があります.
- 14s3021:
- シュレーディンガー方程式の中は時間に依存しない定常状態の波動関数がありますが, なぜ時間に依存しない波動関数の方がよく使われるのですか? M: 理由はひとつではないと思われるが, 例えば 14s3013 参照. 多くの問題で, 定常状態が考慮の対象になる.
- 14s3022:
- なぜ量子力学では線形演算子だけを取り扱うのですか. 非線形演算子ではどんな問題があるのですか. M: 14s3030 参照 // 非線形の微分方程式を解くことを考えてみれば分かるのでは(?) // または, 固有値問題 と言ってみるテスト
- 14s3023:
- 波動関数において
が固有値であると板書されましたが, どういうことでしょうか. M: ``波動関数において'' などと板書した覚えはない. 何かの勘違いでは? // 次の節の題目になっているので, 教科書や参考書を読んで勉強すれば(?)
- 14s3024:
- 箱の中の粒子を考える時に粒子が箱の内面に当たったとき 当たる前とエネルギーの量は変化しますか. M: 一体全体, どんな箱を想定しているのでしょうか? エネルギー保存則は, ミクロの世界でも成立していると考えるのが普通では(?)
- 14s3025:
- シュレーディンガー方程式には, 時間に依存するもの, 依存しないものがあります. 時間に依存しない式は, 実際どのような状態になっているのですか? (定常状態とはどんな物か?) M: 時間に依存しない式の形は, 教科書や参考書を見て勉強すればいいのでは(?) 言葉の意味が分からなければ, 辞書を見ればいいのでは(?)
- 14s3026:
- シュレーディンガー方程式や波動関数は具体的な単位をもちますか? M: 式や関数が単位を持つというのは, どういうことか? // 物理量は当然,
(数値)
(単位) なので単位を持つ.
- 14s3027:
-
となるということは,
は授業で紹介されたような 1 つの操作を表すのではなく, 色んな演算子を組み合わせた形になる, ということでしょうか. M: ``〜ということは'' という前提と, 後半の論理的な関係がわからない. // 複数の要素を組み合わせて一まとまりの意味のあるものを構成したとき, それをひとつと数えるか複数のものの組み合わせと考えるか?
- 14s3028:
- シュレーディンガー方程式がもっともらしいことはわかっているとあるが, 実際に正しいことを証明することはできないのか? M: 原理は何か別のものから証明されるようなものではないということが理解できていないのか(?)
- 14s3029:
- シュレーディンガーの式が波動関数に
が作用すると自身が
の定数倍となるというのはわかったのですが, 重さ
や速度はどこにかかってくるのでしょうか. M: ``自身が
の定数倍となる'' という訳の分からないことをいうのでは, 本当に分かったのか危ぶまれます. // 重さや速度がかかるとは, どういうことでしょうか?
- 14s3030+:
- なぜ「量子力学では線形演算子だけを取り扱う」(p.82 にそう記述してありました.) のでしょうか. 現実問題又は, 原子の状態を知るのに線形演算子を必要とするからでしょうか. それともある簡略化のため非線形演算子を取り扱わないのでしょうか. M: 残念ながら科学は, 自然がこうなっているということを記述することはできても, なぜそうなのかという事には答えを与えてくれません. 量子力学はそういう (線形演算子を用いる) 理論体系であり, これにより自然 (の一部分) をうまく記述できるとしか言えない. または, 解ける問題を解くとか 14s3022 参照 // 波の重ね合わせ (干渉) という現象と線形演算子との相性が良いという面はあるかも.
- 14s3031:
- 演算子が線型[原文ママ]かどうかは演算子によって決まっていると学びましたが, 操作される側の式によって変わってしまうこともあるのではないでしょうか? 変数が 0 のときなど M: 演算子の性質が, 演算子が作用する相手によって変わるということか? それって演算子に固有の (普遍的な一般的な) 性質と言えるのか? その性質を利用した計算が可能か? 有用な性質といえるか?
- 14s3032+:
- 時間に依存しないシュレーディンガー方程式について触れましたが, 箱の中の質量が
が
で運動しているとすると, 時間によって粒子の位置が変化すると思うのですが, それは時間に依存してはいないのでしょうか. M: その場合, ある時刻の粒子の位置と運動量が正確にわかっていることになりますが, 不確定性原理から, そうではないと言えます. すなわち量子力学の世界では, 粒子が時々刻々と位置を移動させていくという描像を持てないということです.
- 14s3033:
- 式 (3.9) で演算子を線形と非線形のものに分けられるということですが, どうして分ける必要があるのでしょうか. 線形演算子は特別なものなのでしょうか. M: 特別なもの. 14s3022 参照
- 14s3034:
- 一次の箱[原文ママ]の例えで, ブタジエンの
電子がありましたが, 金属中の自由電子はどのような扱いとなるのでしょうか. M: 別に. 必要に応じて好きにすればいいのでは(?) 特定のモデルを使わなければいけないという制限など無いと思いますが.
- 14s3035:
- シュレーディンガー方程式の説明において, 「
: (数) 固有値, エネルギー」とありましたが, これには単位 J などは含まれているのでしょうか? M: 物理量なので, 例えば J を単位として測ることができると説明したものが伝わっていなくて残念. ハミルトニアンが演算子であるのに対して
は数であるという, 対比を理解していただけなかったのかなぁ.
- 14s3036:
- シュレーディンガー方程式の
は決まったものがあるのでしょうか. それとも その時によって考えてみちびきだすのでしょうか. M: 問題としている系に応じて考えるのが基本ではあるが, 一般的な形があると言えばある. 教科書や参考書を見て勉強すればいいのでは(?)
- 14s3037:
-
は演算子が
に作用すると
の定数倍となるということでしたが,
,
であったときは定数倍ではないように考えられたのですが, どのように考えるべきでしょうか. M: それが次回予告の ``固有値問題'' です :-)
- 14s3038*:
- シュレーディンガー方程式を使って古典的な運動を説明することは可能ですか? M: シュレーディンガー方程式で記述されるミクロの世界と, 古典力学で記述されるマクロの世界は, 連続的につながっています. したがって古典力学で記述できることは, 量子力学でも同じ結論を与えなければいけないという ``対応原理'' があります. したがって質問のことは, 原理的には可能なはず, と答えることになります.
- 14s3039:
は振幅
の空間部分であるから, 波動の空間振幅といっていたり, ただ物質波の振幅の尺度, と表現していたりするが, まったく同じ事を指している, とは思えないのですが,
は状況によって指す内容は変わるということでしょうか. M: あなたが ``思えない'' のは勝手ですが, 同じ
を色々な視点から説明しようとしているだけですけど. いくつかの参考書も相互参照して勉強すればいいのでは(?)
- 14s3040:
- ある演算子が
を満たすならば線形であるとなっているが ここでいう線形の意味はことばで表すと 2 章でもでてきた重ね合わせの原理が成り立つ現象であることと同じなのですか? M: 何と何とが同じと聞いているのか, よくわからない. // 2 章の現象とやらが上記の式を満たすかどうか, 考えてみればいいのでは(?) // ある特定の重要な用語が, ひとつの本のあちらとこちらで意味が異なることがあるだろうか?
- 14s3041:
- ある演算子が線形演算子か非線形演算子かを区別することが重要とおっしゃっていましたが, どうして区別することが重要なのですか. M: 14s3030 参照
- 14s3042:
-
が演算子ということでしたが, 具体的にどう操作して固有値にするのですか? M: 14s3037 参照
- 14s3043:
-
のハミルトニアン演算子はどのような作用を
にして
にするのですか?
が整数倍になっているので,
を
で微分するような操作しか思いつきません. M: 14s3037 参照
- 14s3044:
- 教科書で「量子力学では, 線形演算子だけを取り扱う」とありますが, これはなぜですか? 物理的な理由を教えてください. M: 14s3030 参照
- 14s3045:
- 箱の中にある粒子は, シュレーディンガー方程式とどういった形で関係してくるのですか? M: は? という感じの質問だ. 古典力学において, 投げたボールと運動方程式の関係を問われている感じ.
- 14s3046:
- 線形と非線形の特徴の違いは ``3.9 式が適用できるかどうか'' だけなのでしょうか. M: 線形演算子の定義式について, あなたはどう考えているのでしょうか?
- 13s3001:
で微分する演算子は
と表せますが, 二乗したり対数をとる場合にはどのような記号で表せますか? M: 別に. 好きにすればいいのでは(?) 一般的な記号があれば, それを使った方が他人に分かってもらいやすいけど, それを使わなければいけないということはないので.
- 13s3006:
- 極限をとるとき,
は関数に作用しますが, 別の関数に等しくなるわけではないので, 演算子ではないのでしょうか. M: 通常 ``関数の極限'' という場合, (変数
の値がある値
に近づく場合に) 関数の値
がどうなるか (発散か収束か) が問題になります. これでは関数
自体に何かが作用しているとは言えないのでは(?) しかし関数の引数ではない何らかのパラメータの値の極限をとる話だと, パラメータの値に応じて関数が変化するので, 今問題としている演算子と言えるかもしれない.
- 13s3012:
- 単に定数倍するだけの演算子なら両辺を
で割って〜 のような操作をしても問題がないように感じたのですが, そうでもないのでしょうか. M: 個別の演算子に応じた操作は, そりゃあるでしょう. しかしそれでは, いろいろな演算を ``演算子'' という共通の概念でまとめる意味がありませんね.
- 13s3025:
- 教科書に「
を導けないように, シュレーディンガー方程式も導出することができない」と書かれていたが, つまりシュレーディンガー方程式は永遠に仮説のままだということになるのだろうか. M: 自然現象・実験結果と一致するということは, 演繹的な証明とは異なりますから, その意味ではそうでしょう. または, 証明せずに正しいものとして前提として採用するという意味では, 公理と言えるかもしれない. しかしシュレーディンガー方程式が正しいことが自明であると納得できるようなものではないので, 苦しい.
- 12s3014:
- 時間に依存しないシュレーディンガー方程式 何次元のことを指すのか. M: 好きにすればいいのでは, というか, あなたは何次元の問題を解きたいのか? 時間に依存するかどうかと, シュレーディンガー方程式の空間次元の数とは, 独立した話ですが...
- 12s3024:
- 時間に依存するシュレーディンガー方程式では, 時間とともに変化するのに変数分離をして位置だけを求められるのはなぜですか? M: 誤解では? 位置だけを求めたりしていません. // (+) 実は, 変数分離が可能であるためには, ある制限があります. 何でしょう?
- 12s3029:
- 時間に依存する, 時間に依存しないの違いがイメージつかないのですが, どう違うのですか? M: 言葉の通りです. 14s3020 も参照
- 12s3045:
- 線形結合は一次結合に限られるのでしょうか. M: 言葉の意味が分からなければ, 辞書を見ればいいのでは(?)
- 11s3046:
- シュレーディンガー方程式を見る限りでは, ハミルトニアンと系全体のエネルギーは等しくなりそうだが, これは常に成り立つのか. M: ハミルトニアンは演算子であり, エネルギーは数 (物理量) であって, まったく違うものである. したがって両者を等号で結ぶことはできない (等しいと書けない), との説明を理解していただけないようで, 残念.
- 10s3008:
- 式 (3.9) を満たせば線形演算子であるということならば, シュレーディンガー方程式で用いる関数
が
にならっている関数でなければいけないのですか? M: 線形演算子の定義式と, シュレーディンガー方程式は全くの別物. 前者は演算子の性質を示しており, 関数
や定数
が何であるかは問わない. しかし後者は固有値方程式なので, 演算子であるハミルトニアンと固有関数である
と固有値である
の間の関係を規定している.
rmiya, 2015-07-29