化学の基礎II(G) (20141222)
M: 以下は宮本のコメント
- 14s3001:
- 孤立系も条件によっては仕事の出入りもありうるとのことですが, 仕事は物体のもつエネルギーを変化させることなので, それでは孤立系の定義と矛盾してしまうのではないでしょうか? M: 混線しました, スミマセン
m(_,_)m
系と外界との間で, 物質・熱・仕事の出入りの可能性があるわけですが, 組み合わせの 8 通りの全ての種類の系があるわけじゃないので注意が必要. // ということで, それぞれの系がどうであるか, ほかの系と何が違うのか, 講義で私が言ったことを暗記するのではなく, 自分で教科書・参考書を読んで考えて理解しましょう.
- 14s3002:
- p.97 の図8.1 のジュールの実験で仕事が熱に 100 % の効率で変換されると説明されていますが, この実験で発生した熱は外界の影響で奪われなかったのでしょうか? それとも熱の奪われにくい物質を容器に用いたのでしょうか? M: ジュール自身が何を使ったのか, 私は知りませんが, 今この実験を行うとすると, どうしたらよいでしょうか?
- 14s3003:
- 昔, 「熱を全て仕事に変換できるか」という考えで熱力学がうまれたならば, まさつ熱のような「仕事を全て熱に変換できるか」という学問はうまれなかったのですか? M: それもやっぱり熱力学ですけど. ところで, 仕事を熱に変換して, 何がうれしいのですか?
- 14s3005:
- 今回の講義では「定圧」という条件を使って式変形を行う部分がありましたが, 実際に定圧下での反応を見たい場合にはどのようにして圧力を一定に保つのでしょうか. やはり気体の状態方程式から逆算して温度や体積を変化させることで調節するのでしょうか. それとも他に方法があるのでしょうか. M: 熱力学では, 定圧および定容という条件が, しばしば登場します. この二つの条件が重要だからです. なぜ重要なのでしょうか?
- 14s3006:
- エンタルピーを定義することで式が表しやすくなるとありましたが, 他にエンタルピーの定義によって便利になることはあるのでしょうか. M: 微妙に誤解がある予感. // 定圧下で
は重要. 14s3005 のコメントも参照
- 14s3007:
- さまざまなエネルギーが, 相互に変換して別のエネルギーに変わりますが, 今の世の中にあるエネルギーの総和は一定なのですか? M: ``エネルギー保存則'' を理解できないのですか?
- 14s3008:
- エンタルピーは
で表されます. ここで状態方程式から
と変形できます.
(温度) は分子運動の激しさを表していますからつまりはエンタルピーというのは系のもつエネルギー全体を表している, という解釈であってますか? M: ``系のもつエネルギー全体'' という文言の解釈が微妙. // それよりも, 状態の変化にともなうエンタルピー変化の方が重要. また, 定圧条件下で
となることが重要. // また仕事
は状態量ではないが, エンタルピー
は状態量である. ピストンに入った気体を等温で 状態 (
,
) から状態 (
,
) に変化させる場合, 経路によって
力
ピストンの移動キョリ 即ち仕事は異なる.
- 14s3009:
- 現在では一般的に熱の単位は J が使われますが, cal から J に移行するようになったのはなぜでしょうか. cal のままでは何か不都合が生じるのでしょうか. M: 気安く cal と呼んでいるが, cal にも種類があり, J との換算係数は異なる (Green Book 参照). また, その換算係数は基礎物理定数の組み合わせではなく, 特定の物質の特定の状態に依存しています.
- 14s3010:
- 閉鎖系は熱の出入りがありますが, 孤立系は物質とエネルギーのやりとりがありません. 孤立系の中に断熱系が含まれるとおっしゃいましたが,
M: スミマセン. 14s3001 参照
- 14s3011:
- 教科書 p.104 に「すべての安定な単体の標準生成エンタルピーはゼロである」と書いてありますが, 何故なのでしょうか? 反応物から生成物への過程でエネルギーが減るのは化合物も単体の生成も同じなのでは… と思いました. M: ``エネルギーが減る'' というときの, 基準は何でしょうか? 何と比べて ``減る'' のでしょうか? // ということで, 上記の「〜」は ``定義'' と言っていい.
- 14s3012:
- 定容熱容量や定圧熱容量が単位温度あたりの熱量の変化だというところの微分の説明のところはとてもわかりやすかったのです. ですが結局どうしてふつうの微分ではなく偏微分を使っているのでしょうか? M:
や
の変数は何か? 変数の種類はいくつか??
- 14s3013:
- エンタルピーの概念がイマイチ理解できないのですが, 圧力一定の条件で系がもつエネルギーという理解で良いのですか. M: 14s3008 参照
- 14s3014+:
- 図8.1 のジュールの実験装置では摩擦などで仕事が熱に 100 % 変換することを証明することは出来ないのではないか. M: 現実の系が理想・理論通りでないのは, 当然では(?) そういった制約の中で, なるべく理想的な実験を行うように工夫・努力するのも当然では(?) // ちなみにこの系について言えば, その摩擦によって熱が発生するでしょ
:-p
- 14s3015:
- 熱と仕事の変換効率は どうすれば効率をよくすることができますか. M: 熱力学を勉強すればわかるのでは(?)
- 14s3016:
- 図8.5 において, 温度の
を超えてからグラフの傾きが少し変化しているのは なぜですか? M: 逆に, それ以前のところで傾きが一定なのは, なぜですか?
- 14s3017:
- 固体を加熱する際は
と
が一致するとありますが, 固体から液体に完全に変化するときは
ではないのでしょうか. M: まずは途中に相転移を含まない過程を考えている. // 教科書の該当箇所の直前に ``蒸発や昇華など, 大きな体積変化をともなう場合,
と
の差が大きくなるので注意'' とある. 固体の場合には, 体積変化が (気体の場合に比べて) 無視できると考えている. また 固→液 の相転移において, 体積は一般に有意に変化すると考える. // 結局, 明示・暗示を含めて, どんな条件を考えているかをしっかりと意識することが重要.
- 14s3018:
- 断熱系で熱も物質も変化しないのに, なぜ仕事が変化するのか よくわかりません. M: 微妙に認識にズレがある. // ``変化する'' のではなくて, ``系と外界との間で出入りがある'' だし, 自動的に出たり入ったりするのではなく, 場合によっては積極的に出し入れする (具体的には例えばピストンに力をかけて押し込むとか). すると, 密閉した断熱容器の体積を, 外から力を加えて圧縮するとかが, 質問の状況に該当する.
- 14s3019:
- 図8.1 の実験装置の模式図で仕事の熱への変換効率が 100 % とあるのですが, 糸と滑車間の摩擦などはないのでしょうか. M: 14s3014 参照
- 14s3020:
- 断熱系・孤立系において, 仕事の出入りはあるが, 熱・物質の出入りはない, とありました. そうなると気体の状態方程式に従わない気がします.
で, 仕事
が変化するのに,
または
は変化すべきなのではないですか? それとも出入りしないだけで変化はするのでしょうか? M: 誤解です. まず, 状態方程式は, ある状態について記述しています (状態変化ではない). また ``仕事
が変化する'' とは, おかしな考え方です. 例えば一定の圧力
で系 (気体) を圧縮するのにともなって, 系に投入される仕事は
です. いろいろな概念・状況について, しっかりと考えましょう. 14s3018 参照 // さらに, 出入りする熱
と温度
とは別のモノです.
- 14s3021:
- 仕事をすべて熱に 100 % の効率で変換できることはわかりましたが, もし熱を仕事に 100 % の効率で変換ができると理論上では, 永久機関を作ることができるのでしょうか? M: あなたのいう ``永久機関'' とは, 何ですか? // 熱力学を勉強すればわかるのでは(?)
- 14s3022:
- 3 つの系のうち孤立系だけよく理解できませんでした. 具体的にどのような場合 孤立系となるのですか. M: 14s3001, 14s3027 参照 // 全宇宙(!), 体積が変化しない密閉した断熱容器
- 14s3023:
- p.104, 表8.1 標準生成エンタルピーとモル定圧熱容量にある数値は 結合・原素[原文ママ]等と何か関係・規則性はありますか. M: 自分で見つけてみればいいのでは(?)
- 14s3024:
- 理想気体では定容熱容量
と定圧熱容量
の間には
が成り立つとあるのですが, なぜ
と
の差を取るのですか. この差をとる意味は何ですか. M: 教科書に ``実在気体では気体の種類によって
の値が異なる'' と書いてありますが(?)
- 14s3025:
- どのような法則でも元となっている法則がわかっているから新たな法則が生まれます. 熱力学第一法則は教科書には実験結果とあるので結果だけで法則が成りたったのでしょうか? M: 当然, たった一つの実験結果から導出された法則ではない. // 実験式等もあるのに, 科学をなめるな
- 14s3026:
- 熱容量について, 理想気体での場合の話をしていてなんとなく理解できたのですが, p.101 の (18.13) 式は実在気体のときは式は変わるのですか? M: ``なんとなく'' ではなくて ``しっかりと'' 理解しましょう. 式の導出過程を追って, 自分の手を動かして計算してみればいいのでは(?)
- 14s3027:
- 孤立系について, 最初はふたの閉まった容器に入った水と空気を思いうかべましたが, 常温におかれたとしても熱の移動が考えられるので, 孤立系を作るのは難しいと考えましたが, 孤立系を身近に作る, 発見することは可能でしょうか. それとも孤立系について誤解しているのでしょうか. M: そこで熱の移動を抑えるにはどうすればいいか, 考えてみればいいのでは(?) // 14s3022 参照
- 14s3028:
- 孤立系は, 外界との間で物質とエネルギーのやりとりのない系のことであるのに, 仕事をやりとりすることができるのですか? M: スミマセン. 14s3001 参照
- 14s3029:
- 系と外界の関係で孤立系の仕事が△でしたが, 熱のやりとりのない系で仕事のやりとりもない場合は
となるのでしょうか. M:
において, 熱のやり取りがないとはどういうことか, 仕事のやりとりがないとはどういうことか, よく考えればいいのでは(?)
- 14s3030:
- p.96 の系の説明をした図の (c) 孤立系 のビンを振ればそれは系に仕事を及ぼしたということとなり, 振った瞬間にその系を孤立系と呼ぶよりも断熱系と呼ぶほうが適切ということになるのでしょうか. M: 用語の意味をしっかり理解し, 区別できるようになってください. // ここで ``仕事'' とは何か?
- 14s3031:
- 孤立系での仕事の変化があるのは どのような状況なのでしょうか. M: スミマセン. 14s3001 参照
- 14s3032:
- 孤立系と断熱系は唯一熱の出入りを遮断しますがその 2 つの系の違いは何ですか? M: 仕事の出入りがあるか否か. 14s3001 も参照
- 14s3033:
- 孤立系を作ることは可能でしょうか. M: 14s3022 参照
- 14s3034:
- 微分は今回の説明で少し分かりましたが, 積分とはどういうものなのでしょうか. M: え〜, これは困りますね. 数学力の猛烈な補強, まずは自助努力が必要な予感.
- 14s3035:
- 標準状態を考えるときに, 温度に特に指定がない場合 298.15 K (25
C) を基準とすると教科書にありますが, なぜこの温度が基準として採用されているのでしょうか? M: 私は知りません. 調べて分かったら, 教えてくださいネ. // 100 K, 375 K や 500 K よりも適切だとは思いませんか? 標準状態というものを設定することの意義は何でしょうか?
- 14s3036:
- 熱容量に
と
があるのは なぜですか. 条件によって熱容量を定める値が異なるからでしょうか. // また p.101 に定圧熱容量がわかればエンタルピーの温度変化を計算できるとありますが定圧熱容量は実際にどのように求めているのですか. M: ``熱容量を定める値'' って, どういうことですか? // 定圧熱容量の定義・意味は(?)
- 14s3037:
- 熱力学第一法則はほぼ経験則ということでしたが, 何か, 根拠づけられるような理由がありそうな気がしますが, ほかの法則をもちいても説明できないのでしょうか. M: 私は知りません. 調べて分かったら, 教えてくださいネ. // 読書感想文(仮) のネタか(?!)
- 14s3038:
-
の Q と W について, 系が外界から仕事をされたり, 熱をもらうときに正になり, 逆のときには負になるのはなぜですか? これも, 過去の膨大な結果から導かれたものですか? M: もし Q と W の符号が互いに逆なら, この式は ``エネルギー保存則'' を表していると言えるか? ``系が熱エネルギーをもらうと, 内部エネルギーが減少する'' という記述は, 自然で理解しやすいか?
- 14s3039:
- 断熱系は孤立系であるが, 孤立系は必ずしも断熱系ではないということを学びました. では, 孤立系であり, 断熱系ではない系には, どのようなものがあるのでしょうか. M: 逆ですネ. 14s3001 も参照
- 14s3040:
- 物質もエネルギーも出入りしない孤立系で仕事だけ出入りする条件とは断熱系以外にどのような条件があるのですか? M: ``条件'' という言葉の使い方が変です. 正しい使い方は, 「``物質もエネルギーも出入りしない'' という条件を満たす系が孤立系です.」です.
- 14s3041:
- 孤立系では外界との間で熱と物質のやりとりはないけど, 仕事については問題によるとおっしゃっていましたが, もし, 外界と仕事のやりとりがあった場合, 孤立系と断熱系は同じ系として考えることができるのですか. M: スミマセン. 14s3001 参照
- 14s3042:
- エネルギー保存則の時の科学者が研究するにあたっての態度のお話や微分の説明を用いて熱容量を説明していただけて, わかりやすかったです. エンタルピーについて, とても便利な物だということはわかりましたが, いまいち実感できず, 理解できませんでした. エンタルピーはどのように考えられ, 生まれたのですか? M: 14s3008 参照 // 読書感想文(仮) のネタか(?!)
- 14s3043:
- 蒸発や昇華など, 大きな体積変化をともなう場合,
と
の差が大きくなるので, 注意が必要と教科書に書いていますが, どういう注意が必要なのですか? M: 国語力の養成が必要な予感. // 内部エネルギー変化とエンタルピー変化は, 別のモノです.
- 14s3044:
- 系の中の開放系は物質の出入りがあるそうですが, このときの外界というのはただの外界ではなくて, 同じような系をつなげて, それを外界とするんですよね? そうでないと計算できませんよね? M: 外界は外界です. 原理的には, 系以外の宇宙全体と言ってもいい. p.96 の図で言えば, 開放系のビンの外に, 同じように水の入ったビンがつながっている必要はない.
- 14s3045:
-
即ち熱力学第一法則はエネルギー保存則であるとありましたが, もし熱が外界 (大気中) に出ていくとするならば, その時に熱量が変わってしまい, 保存則が成りたたなくなってしまうのではないでしょうか? M: あなたが考えている ``系'' は, 何ですか?
- 14s3046*:
- なぜエンタルピーは状態量であるのに仕事は違うのでしょうか. そもそもエンタルピーが何であるか あまりイメージできません… M: 14s3008 参照
- 13s3012:
- エンタルピーを H の文字で置いたのは誰で何故この文字だったのでしょうか. M: 私は知りません. 調べて分かったら, 教えてくださいネ // あるいは読書感想文(仮) のネタか(?!)
- 13s3025:
- 我々の住んでいる宇宙からはグラビトン (重力子) が漏れ出しているという説がある. これが本当ならば宇宙は完全な孤立系ではないということになるのか? M: ``孤立系'' の定義にあてはめて考えればいいのでは(?)
- 13s3030+:
- 高校で熱化学方程式では発熱の符号は正で表していましたが, エンタルピーでは負です. このような違いはどうして出てしまうのですか. M: 内容を理解せずに, 表面的な形式を暗記しようとするから. // 日本の高校化学の教科書における熱化学方程式は, 原系と生成系を等号で結んで, 両辺が等しいとおきます. 一方, それ以外における普通の熱化学方程式では, 反応にともなう系のエンタルピー変化を示します. 例えば前者は
であり, 後者は移項して整理した
と言っているだけです. 意味を理解していれば, 全く同じ事を述べているとわかるはずです. なお, 世界標準の書き方は, 後者.
- 13s3041:
- 傾き
が一定でないのは物質の状態が固体から液体などに変化しているという解釈でよろしいですか? M: よろしくありません. てゆうか, 何の話か意味不明です. // 14s3016 参照(?)
- 12s3024:
- 系と外界の間の境界面がエネルギーを吸収する際, それはどちらに含まれますか? M: あなたが考えている ``系'' は, 何ですか? そして境界面とやらは, 何ですか?
- 11s3001:
- エンタルピー
は, 言葉で表現すると何のエネルギーを表現しているといえるのでしょうか? M: 何のエンタルピーの話か? 数式という言葉で書けば
ですね.
- 10s3042:
- 講義内容とはあまり関係ないのですが… スレーター行列式の規格化定数は, 規格化条件から考えれば負の値や虚数値も可能であると思われるのですが, 多くのテキストで
と正の値ばかり定義されるのは単に便宜のためですか? それとも負の値や虚数値だと何か不都合が生じるのでしょうか? M: ``定義'' ?? // あなたは何をやりたいのですか? そのために負や虚の数では不都合ですか??
rmiya, 20150202