化学の基礎II(G) (20141117)
M: 以下は宮本のコメント
- 14s3001:
- H 原子が 2 つ結合して H
分子になると結合する前よりエネルギーが低くなり安定化することを学びましたが, 結合してエネルギーが高くなることはあるのでしょうか? M: そういう場合には, あえて結合を形成する必要がないのでは(?)
- 14s3002:
- P の原子オービタル
-AO,
-AO,
-AO での 1 つは
結合であり, 逆位相であるとき離れると習いましたが, どの程度離れるのでしょうか? M: 知識が整理されていない感がありますネ. そもそも力を受けた粒子は, 別の力により運動の方向を変えられない限り, 当初の運動を続けるのが基本では(?)
- 14s3003:
- B
, C
に関して, 教科書 p.45 の図3.9 でなぜ
が先にくるのですか? 教科書 p.44 のところの理由を読んでもあまり理解できませんでした. M: 確かにあまり良い説明とは言えなさそうですね. 実際には詳しい計算をしないと分からないことですが, 2 個の 2s と 2 個の 2p
が相互作用して, 4 個の
オービタルができるというのが正しい. このとき元素により 2s と 2p のエネルギー差が異なるので相互作用の程度が異なり, 結果が違ってくると言える.
- 14s3004:
- 今日の授業を聞いても, オービタルというものがあまり理解できませんでした. 電子密度を示す, 以上にくわしく教えてください. M: 提出物が質問になっていません. 自分で何冊くらい参考書を読み, どのくらい努力しましたか?
- 14s3005*:
- H
分子の
軌道,
軌道のもつエネルギーは実験から求められますか. そもそも, エネルギーが低いと安定だと言えるのはなぜでしょうか. // B.O. が同じであれば, 原子同士の結合の強さも同じであるといえますか. M: できる. // 言葉遣いの問題. // ``結合の強さ'' とは何か? 11s3001 も参照
- 14s3006:
- He
という分子は結合性軌道と反結合性軌道の相殺により存在しませんが, He
から電子が 1 個とれると He
として存在することは可能なのでしょうか? M: 自分で考えて判断できないのは何故か?
- 14s3007:
- 非結合性オービタルは結合する前のオービタルと何か違いがあるのですか? M: 三中心の分子オービタルの非結合性オービタルなど, 原子オービタルそのものではない例はいくらでもある.
- 14s3008:
-bond という言葉は初めて聞きましたが, 三重結合のことを指してるんですよね? 自分は三重結合は
-bond +
-bond
2 だと習ったのですが そのイメージで大丈夫でしょうか? M: 違う. 自分でよく確認して下さい. // 前半の理解では後半のようになりません, 自己矛盾です.
- 14s3009:
- 単原子分子 2 つから 互いに電子一個ずつ取って無理矢理結合させることは不可能ですか. [図は省略 (そもそも意味不明)] M: 14s3006 参照
- 14s3010:
- 分子のオービタルを考えたときに授業では O
, N
のような同じ原子の分子しか考えませんでしたが, HCl や CaO などの分子でも同様に AO の重ね合わせができるのでしょうか. M: 自分で, 教科書の続きおよび参考書を読めばいいのでは(?)
- 14s3011:
- オクテットが安定である理由は結合性, 反結合性オービタルで説明できるようですが, 超電子価[原文ママ]などの話も これによって説明できるのでしょうか? M: 冒頭部分に誤解の予感. ある分子が安定であることと, 分子を構成している各原子がオクテットであることは因果関係にない.
- 14s3012:
- 最後に説明した結合次数についてですが, 結合次数がおなじでも原子の種類が違う場合は, また他の結合を考えることでそれぞれ強さは変わりますか? (二原子分子に限らない考え方で) M: 意味不明. ``また他の結合を考える'' とは, 何のことか? ``それぞれ'' は何を指すか?
- 14s3013:
- 教科書には, O
, F
, Ne
分子は図3.7 をあてはめることができ, Li
, Be
, B
, C
, N
ではできないと書いています. その理由は, 相互作用によるものだと理解したのですが, なぜ O
, F
, Ne
のなかの電子は相互作用が起きないのですか. M: 14s3003 参照
- 14s3014*:
- 2s-AO と 2p-AO の分裂によって生じるエネルギー準位の図の 2p はなぜ
が外側で
が内側にあるのか. M: 2p の形をよく考えると, 2p
同士の
オービタルと 2p
同士の
オービタルとでは, 前者の方が AO の重なりが大きく, すなわち相互作用が大きいと言える.
- 14s3015*:
- フントの規則で同じ向きのスピンの電子を配置した方がエネルギーが低くなるのはなぜですか. M: フントの規則は, 現在では スピン軌道相互作用 で説明されています. すなわち, 電子の軌道角運動量とスピン角運動量との相互作用です. 詳細は参考書等を参照
- 14s3016*:
- 結合のとき, 同位相の重なりと逆位相の重なりが存在するのは, なぜですか? M:
において
なら同位相,
なら逆位相なわけだが, 場合によってこれ以外の事もある. しかし今回は等核二原子なので
であり, 一方を優遇する (
等) 理由がない. また
であっても, 符号の正負だけを問題にして同位相/逆位相と言うことはあるかもしれない.
- 14s3017*:
- AO の重ね合わせにおいて, 同位相, 逆位相以外にも位相のズレ方があり, そのズレ方の分だけ MO ができると思うのですが, 同位相, 逆位相の場合による 2 種類の MO だけなのはなぜでしょうか. M: 14s3016 参照
- 14s3018:
- O
より O
の方が B.O. は低いが反応しやすいとありましたが, B.O. が低いと不安定でむしろ反応しにくいのではないかと思いました. M: どうして ``B.O. が低いと不安定でむしろ反応しにくい'' と考えられるのか? ``不安定'' ということは ``(より安定な) 別の状態に変化しやすい'' という意味でしょ.
- 14s3020:
- 結合性オービタルと反結合性オービタルの違いがよく分かりません. 位相が違うということは, 分子の結合自体が異なる, ということなのですか? M: 違います. どちらも原子間の (AO 間の) 相互作用がある状態. ただし結合性と反結合性とで, 相互作用の様態・向きが異なる. 参考書なども沢山読んでみてはいかがでしょう.
- 14s3021:
- 第二周期の中でも Li
, Be
, B
, C
, N
では複雑なことが起きると教科書にかいてあったのですが, どうして二つの準位が相互作用すると新しい結合性と反結合性の二つの準位に変わるのですか? M: 14s3003 参照
- 14s3022:
- 常磁性を示す分子は必ず不対電子をもつのですか? M: 物質の磁性の原因・起源は, ほとんどが電子スピンによる磁気モーメントです.
- 14s3023:
- 今まで何となくで結合を書いていましたが, 結合次数の式できちんと数値で値が出てきていたので凄いなあと思いました. この事は化学においてどのように用いられていきますか. M: その感動を忘れずに. // ``この事'' が何を指すのかよく分かりませんが, 化学は決して事例集の暗記ではありません. 物質を構成している原子や分子は, 定量的な物理法則にしたがっています.
- 14s3024:
- 原子同士が近づくと電子同士の反発や原子核と電子の引き合いどちらも起こるのに それでもエネルギー準位が下がり安定化し結合するのは反発する力より引き合う力の方が強いからなのですか. M: まあ, 色々な理解の仕方があってもいいでしょう. ただしあたりまえですが, クーロン力は電荷の正負の違いによって大きさは変わりません.
- 14s3025:
- O
は電子のスピン磁気モーメントが理由なので常磁性をもっている. それ以外にもどんな特徴をもっているのか? M: 何を期待しているのでしょうか?
- 14s3026:
- 分かりやすくおもしろい講義でした. 結合次数は必ず今日学んだ式で求められるのでしょうか? 例外はないのですか? M: お褒めに預かり光栄です
:-)
場合によって (使えるものが異なるので) 違う定義を用いることもあります. ある種の分子軌道法では, AO の係数の積を電子が占有しているオービタルについて和をとったもので表します (言葉で言われてもわかり難いネ).
- 14s3027:
- 例えば, 節面が 3 つのとき, それぞれの面が垂直になるように節面が存在することはあるのでしょうか? M: 三次元空間内では, そりゃあるでしょうね. それがどうかしましたか?
- 14s3028:
- なぜ, スピンが平行な不対電子が存在すると常磁性を示すのですか. 反結合性で, お互いに離れていく方向に力が働くのに結合ができるのはなぜですか. M: 電子スピンによる磁気モーメントは, 棒磁石だと思っていいでしょう. スピンが反平行で対になりすなわち棒磁石が逆向きに並んでいれば, 全体としては磁気モーメントは打ち消し合ってゼロ, すなわち反磁性です. これに対して, スピンが平行で不対電子二個ならすなわち棒磁石の向きが同じなら, 全体で磁気モーメントは残るので常磁性です. (ベクトルの合成で考えるのが最も合理的) // 14s3020 参照
- 14s3029:
- 分子のオービタルで考えると原子番号が大きくなればなるほど全体で見ると He
の様に全エネルギーが低くならない状態に近づいていく様に思えますが, これは電子を多くもつほど切れやすい分子だということでしょうか? M: ``全体で見ると He
の様に全エネルギーが低くならない状態に近づいていく'' が何を指しているのか分かりません. 等核二原子分子の結合エネルギーについては表3.1 にいくつか数値が載っています. その他については参考書など参照
- 14s3031+:
- 電子はたえず動いているのになぜ位相を確定することができるのですか? (オービタルも様々な要因で変化してしまうので確定することはできないのではないですか?) M: ``位相'' の主体を誤解している予感. また, ここまで出てきているシュレーディンガー方程式は, 時間に依存しないものであり, 波動関数 (オービタル) も定常状態を表している.
- 14s3032:
- 結合の数が多い方が安定だと聞いたことがありますが, 多い方がエネルギー準位が高いものが増えるので不安定になりそうなのですが どうして安定になるのですか. M: 寡聞にして聞いたことがありませんでした. どこの誰が言ったのでしょうか? 主張している本人に理由を聞けばいいのでは(?)
- 14s3033:
- 結合次数が 1.5 とはどのような結合ですか. 単結合と二重結合の間ということでしょうか. M: 別に, 特別に変わった結合とも思えませんが.
- 14s3035:
- ルイス電子式において, 非共有電子対は結合に全く関与していないのですか? また共有電子対はつねに同じ電子なのですか? M: それをここで聞くとは, 高校化学の復習が必要ということか? // 実際の電子は互いに区別できないので, そのことを考慮したスレーター行列式で分子の状態を表します.
- 14s3036:
- 2s 軌道の
が 2p の
よりもエネルギーが低いのはなぜですか. // 結合次数が整数でなかった場合, イオンとなるのですか. M: 実際にそうだから. // ``イオン'' の定義を再確認する必要がある(?)
- 14s3037:
- p 軌道の同符号の部分にかさなりが生じているとき, 反発が起こらないのはなぜですか. M: オービタルと電子とを混同している(?!)
- 14s3038:
- 極性分子を p.41 の図3.4 に示したとき, 極性分子それぞれの原子のエネルギー準位によって反結合性オービタルや結合性オービタルが失われることはあるのですか? M: 極性を持つ異核二原子分子について, 講義で紹介できなかった教科書の 3 章の残り部分を自分で読んでみればいいのではないでしょうか.
- 14s3039:
- O
には, 常磁性があることが実験的に分かったということから不対電子があるということが分かる, と言っていたが, なぜ常磁性があると不対電子がある, ということが分かるのですか. そのメカニズムはどうなっているのですか. M: 14s3022, 14s3028 参照
- 14s3040:
- 酸素に常磁性があるのは, 2p オービタルの
に 1 個ずつ電子が入っているということから理解することができたが, これは他の元素でも, どこかのオービタルの軌道に 1 個ずつ電子が入っていたら常磁性を持つのですか? M: 14s3039 参照
- 14s3041:
- 酸素分子は常磁性を示すのでルイスの電子式は正しくないとおっしゃってましたが, 酸素分子をルイスの電子式以外で書けるのですか. また酸素分子以外で常磁性を示す分子はあるのですか. M: 私は知りません. // O
とか, いろいろ. 自分で調べてみればいいのでは(?)
- 14s3042:
- 結合次数の所で, 高校生のときに使っていた不飽和度を求める際の計算式にも今回の結合次数がからんでいるように思え, 関心が持てました. // 一番最後の O
の 1.5 結合とは, どのように存在するのですか? M: 形式的なボンドの数という点では何らかの関係があってもおかしくないですね. 簡単ではなさそうだけど. // 14s3033 参照
- 14s3043:
- 結合性オービタルか反結合性オービタルのエネルギー準位に行くまえに活性化エネルギーを越えていくんですか? M: ``行く'' とはどういうことか? どこから行くのか?
- 14s3044:
- エネルギー準位を用いた考え方は,
H,
H,
H などの同位体間においても適切に使用できるのでしょうか? M: 同位体は, 何がどう異なるのか? 今回のエネルギー準位は, 何のエネルギーか?
- 14s3045:
- どの原子においても, 結合性オービタルより非結合性オービタルの方がエネルギーが大きくなっているのですが, それは何故ですか? M: 結合性オービタルは, エネルギー的に元の AO よりも安定化されているから, 当たり前では(?) ところで, どこに非結合性オービタルのエネルギー準位が出てきましたか?
- 14s3046:
- もし He の二原子分子 He
が作成できたとしたら He の単原子分子とは全く別の性質をもつのでしょうか. M: 同素体は互いに別の性質を持つのでしょうか?
- 13s3010:
- P や S のように原子のまわりに電子を 10 個や 12 個とって安定になるものもありますが, 閉殻に必要な電子数より多いのに安定になるのは なぜですか? M: ですから, オクテット則に代表される ``閉殻'' を好むとか安定とかいう概念に, 理論的な根拠は無いという話を講義でしたのですけど...
- 13s3012+:
- p.46, 表3.1 にある等核二原子分子 He
について, 結合長が -- となっているが, これは結合長が存在しない, という意味でしょうか (単に小さすぎるというだけか?) M: 結合次数がゼロで安定な二原子分子を形成しないという文脈で登場した He
に対して, 非常に短い結合距離をとる (二原子分子を形成する) という結論に至る道筋は, 一体全体どんなものなのだろうか? // 図3.5 のようなポテンシャルエネルギー曲線において, 結合エネルギーが非常に小さくてまた結合のバネ定数も小さい場合には, 極小の位置 (平衡核間距離) が決めにくいのかなぁと予想してみる.
- 13s3025:
- He
分子は B.O.=1 となり存在できそうな気がするが, 実際に単離できるものなのか? M: 結合次数については, 自分で求めてみた通り. これに基づいて分子 (イオン) の安定性については予想できる. 実際に単離できるかどうかについては, 私は知りません. 調べて分かったら, 教えて下さいネ.
- 13s3030:
- 18 電子則とはどのようなものですか. M: 自分で調べてみればいいのでは(?)
- 13s3041:
- 表3.1 で, ネオンが結合次数が 0 で結合長をもっているのはなぜですか. M: 現実にそうだから, (弱いが) 安定な二原子間の結合を形成するからでしょう. 11s3001 も参照.
- 12s3024:
- 結合距離
には文献値があり, これは, 周りの影響により変わると思いますが, これはどのような条件で測定した結果ですか? M: それぞれの文献を参照すればいいのではないでしょうか.
- 11s3001:
- 結合性オービタルや反結合性オービタルの中でも結合への寄与が異なると思うのですが, 結合次数のように単純な数の合計で考えても問題はないのでしょうか. M: 結合次数はあくまでも, 図3.7 のようなモデルを考え p.45 の式を考えた時の, 結合の強さの指標です. 絶対的で万能な真理ではありませんヨ. // 14s3026, 13s3012 なども参照
- 11s3046:
- O
や O
も理論的には存在可能なのか. M: 14s3006 参照
- 10s3042:
- 巨大な化合物や金属錯体等の特殊な化合物でも結合次数の考え方は成り立つのでしょうか. M: 14s3026 参照
rmiya, 2014-11-27