化学の基礎II(G) (20141110)
M: 以下は宮本のコメント
- 14s3001:
- シュレーディンガー方程式の解は n, l, m という 3 つの量子数の入った関数となりますが, このときこれら 3 つの量子数の値が制限されるのはなぜですか. M: 有限な解を得るために制限が加わります. 詳しくは例えばマージナウ・マーフィの物理と化学のための数学など参照
- 14s3002:
- 動径関数と動径分布関数は理解したのですが, 球面調和関数とは何を表しているのでしょうか? また, 教科書にある ``縮退'' は水素以外の原子にも同じことが言えますか? M: 球面の膜の振動, ここではある方向での影響の強さみたいなもの. // 複数の状態が同じエネルギーを持っている事を, ``(状態が) 縮退している'' と言う. ここに水素原子であることの限定条件が付いているか?
- 14s3003:
- 前回の授業で光は, 「波」だと仰っていたのと, 今回の授業で教科書 p.28 図2.2 で
や
が「波」に見えたことから, 化学の世界で「波」というのはとても大切な考え方なんですか? M: 化学に限らず科学にとって重要だと思いますけど.
- 14s3004+:
- 今日の授業で出てきた「古典的な系」の「古典的」とはどのような意味ですか? M: 講義中の使用例から推察できるように, ``量子力学的な系'' に対峙する言葉です.
- 14s3005:
- 陽子も電子も質量をもっていると習いました. ということは, 核と電子は万有引力によって引き合っているはずですが, このことがシュレーディンガー方程式のポテンシャルエネルギーの項に含まれないのはなぜでしょうか. M: クーロン力と力の大きさを計算して比べてみて下さい.
- 14s3006:
- 箱の中の電子の運動ではエネルギーによって範囲が限定されていますが, 不確定性原理によってその範囲を超えてしまうことはないのでしょうか? M: ``範囲が限定'' って何のこと?
- 14s3007:
- 電子が軌道に入る順番が 3p の次に 3d ではなく 4s ですが, なぜ 4s より 3d の方がエネルギー準位が高いのですか? M: 13s3012 参照
- 14s3008:
- 物質を細かくしていくと原子になり, 原子は原子核と電子に分けられます. 電子はこれ以上細かい単位に分けることはできないのでしょうか? もしできたならどのように動くとかも分かる気がするのですが. M: 素粒子物理の初歩の初歩を勉強してはいかがか. 最近は日本人もノーベル物理学賞を受賞しているし. // 構成要素に分割できれば運動の状態が分かる気がするとは, 一体全体どんな論理か.
- 14s3009:
- d 軌道は, 5 つありますが, なぜ 3d
だけ, 他の 3d 軌道と形が異なるのか. その原因は何によるものか. M: 見方による. 関数の式を見れば, 一つだけ違うとは思われず, むしろ全体に統一性を感じる. 見かけに騙されず本質を理解しよう.
- 14s3010:
- エネルギーが高くなるにつれて粒子の存在しない節の数が多くなっていき, 存在確率が均等化されていくはずですが, 粒子の存在する場所があいまいになっていくのでしょうか. M: 自分で位置の分散を計算してみれば?
- 14s3012+:
- 多電子原子のシュレーディンガー方程式を考えるときの「原子核の電荷を遮蔽して…」の部分がよくわからなかったのですが, 核電荷を
ではなく
にして, 実際どのような方程式になるのでしょうか? 復習します…. M: 今考えている電子よりも核側の位置に他の電子があれば, 考えている電子は核から離れる方向に力を受け, 正味で核による引力が減少したように見える. // 同じ方程式を何とか使えないかと考えたのが, ``有効核電荷
'' だと思われるが...
- 14s3013*:
- p.28 の図2.2 で,
にすると節も
に増えると思うのですが, そうなると粒子が存在できるスペースがなくなるのではないでしょうか? M: 面白い視点です. しかし無限大にも二種類あることに注意すると (整数よりも実数のほうが多い!), 節の場所よりも値を持つ場所 (粒子が存在する場所) の方が沢山あることになります.
- 14s3014+:
- 多電子原子ではシュレーディンガー方程式を厳密に解けないが, 近似解を出すことが出来ます. 電子がいくつまでなら近似解を使うことが出来るのか? M: ``厳密'' の意味を誤解しているのかな(?) 例えば方程式
の厳密解は
ですが,
は何桁先まで行っても近似値. ``まあまあ厳密'' や ``かなり厳密'' という概念は無い(!) // 厳密解が得られずに近似解を求めるとして, 近似解すら求めることができないという状況が想像できない.
- 14s3015:
- 縮退が解かれる というのは縮退していないということですか. M: 専門的な言葉の意味が分からなければ, 辞典を見たり専門書での使われ方を見ればいいのでは(?)
- 14s3016:
- 波動関数にボーア半径が用いられているということは, 波動方程式はボーアの考え方を基にしているのでしょうか. M: 考えた人 (シュレーディンガーさん) に聞けばいいのでは(?)
- 14s3017:
- 多電子原子において電子同士が反発しあって電子個々の運動に影響を及ぼすのでしょうか. M: ``多体問題'' をキーワードにして調べて下さいと講義で言いました.
- 14s3018*:
- 電子の基底状態のエネルギーは
であり, 最低エネルギーの状態でも完全に静止することはないとありましたが, 巨視的世界における粒子のエネルギーの最低状態は完全に静止した状態です. この違いはどうして生じるのでしょうか. M: マクロな質量の粒子のゼロ点振動の振幅等を計算してみれば(?) マクロ世界にとってプランク定数は小さすてほとんどゼロに見える.
- 14s3019:
- ボーアの原子モデルは水素を元にしたから水素にしか当てはまらないのか. それともたまたま水素だけに当てはまる結果になってしまったのか. M: 他の参考書なども参照. 水素類似原子として核と電子 1 個の系全般に拡張できる. さらに有効核電荷を用いれば...
- 14s3020+:
- p.28, 図2.2 で一番小さいエネルギーの値は
の
である. とされましたが,
というのはありえないのですか? M: 波動関数が恒等的にゼロになってしまうので, 粒子は存在しないことになり, 無意味です. また静止した状態は, 不確定性原理にも違反します.
- 14s3021:
- 多電子原子のエネルギー準位を調べるとき電子どおしの反発相互作用があるとなぜシュレーディンガー方程式では正確に解をだせないのですか? M: 14s3017 参照
- 14s3022*:
- 窒素のほうが酸素より第一イオン化エネルギーが大きいのは窒素が半殻構造をもっているからと本で読んだことがあるのですが, なぜ半殻構造をしていると第一イオン化エネルギーが大きくなるのですか? M: いい質問です. すなわちその説明は説明になっていないということです. 13s3012 の回答も参考に. 酸素では 2 電子が入った p 軌道がひとつ生じ, 電子間反発が大きい.
- 14s3023:
- 物質の色の光と物質の相互作用の例において, 実際は吸収した色の補色に見えるとおっしゃっていましたが, どういうことなのでしょうか. M: 14s3027 参照
- 14s3024:
- 水素原子の波動関数を動径関数と球面調和関数に分けたときになぜ動径関数の変数が n, l で球面調和関数の変数は l, m なのですか. これはそこまで気にする程のものでもないのでしょうか. M: 気にする所ですが, 変数ではなくて量子数です.
- 14s3025:
- 図2.2 のエネルギー準位
で
とありますが, どのような条件下から絶対にゼロにならないと示せるのですか? M: 14s3020 参照
- 14s3026:
- p.35 にある「イオン化エネルギーは
IE
となる」という式は, 今まで勉強したことを活用すると自力で出せるものですか. 何の式を使って出したのですか. M: 導出できるかどうか, 自分で考えてやってみればいいのでは(?)
- 14s3027:
- 物質が吸収した光が私たちの目に見えないことはわかったのですが, 吸収された色の補色が私たちの目に届くのは何故ですか? 補色ではない色が見えることもあるのでしょうか? M: 視覚, 光の三原色, 補色 などについて調べてみればいいのでは(?) 10s3042 も参照 // 補色が目に届くのではない. 吸収された色以外の全部が届く.
- 14s3028:
- ゼロ点エネルギーを持つ状態とはどのような状態なのですか? M: 別に, 普通の状態のひとつ. 基底状態ではあるが.
- 14s3029:
- 水素原子でエネルギーを考える際, 現在判明している考えるべき要素 (軌道, スピン量子数, その他) を考慮すると実測値と一致はするのでしょうか? 一致しない場合, それは今用いてる公理にどこか誤りがあるのか, それともまだ何か考えるべき要素が抜けているということでしょうか? M: 相対論的効果から出てくるスピン軌道相互作用を考慮していない.
- 14s3030:
- とても分かりやすかったです. この授業でも, 他の科学の授業全般に, ときどき英語が出てきますが, 3 年生の専門の英語の際には, 一般の英語の力は (会話などの英語), 関係あるのだろうかと思いました. M: お褒めに預かり光栄です. しかし提出物が質問になっていません. // やはり reading と writing が重要かな. そもそもの国語力とか論理力とも言うかも...
- 14s3031:
- 粒子の存在確率において n が大きくなれば古典的な系と量子力学系で節に差がなくなることはわかったが n が小さいとき発生する節の差が大きくなることは問題でないのでしょうか? M: ``節の差'' とは? 意味不明. 誤解の予感. // 古典力学的な粒子の位置の分布に節は無い.
- 14s3032:
- エネルギー準位と波動関数, 粒子の存在確率の分布のグラフで
のとき節がないということは箱の中では必ず粒子どこにでもある[原文ママ]ということですか. やはり, 節が多いほど不安定なのですか. M: 質問の意味がよくわからない
- 14s3033:
- スピン量子数はどうして 2 つの状態が存在するのか. 角運動量が固有なので, 1 つのような気がしましたが…. M: スピン角運動量の z 成分が二通りのどちらかの値をもつ, ということ.
- 14s3034:
- 触媒はなぜ, 特定の化学反応で適したものと適さないものがあるのですか? M: 触媒が何をしているのか, 分子論的に考えてみればいいのでは(?)
- 14s3035:
- 化学は 3 次元空間に存在する物質を扱うのでエネルギーなどの式も 3 次元に対応したものなのだと思いますが, 数学のように 4 次元を考えるような分野は存在しますか? M: 例えば二電子系のシュレーディンガー方程式には, 変数がいくつあるだろうか?
- 14s3036:
- 量子数 n はどのようにして求めればよいのですか. // イオン化エネルギーや電子親和力がそれぞれの原子で異なるのはなぜですか. それぞれの元素のエネルギーが異なるからでしょうか. M: 別に. 必要なら普通に求めればいいのでは(?) // 異なる元素 (電子の置かれている環境が異なる) であっても同じエネルギーを持つ必然性が何かあるのか. (2.24) 式や p.32 の記述をよく読んで考えてみればいいのでは(?)
- 14s3037:
- 物質が光を吸収したとき, なぜ光そのものの色ではなく補色になるのか. M: 14s3023 参照
- 14s3038:
- 量子力学的な系で n (node) を大きくすることでどうして古典的な系のように質点として見ることができるのですか? また, 古典的な系と量子力学的な系でそれぞれ粒子の存在確率を求めた場合, 答えは同じになるのですか? M: 著しく誤解の予感. 量子力学的な系でも古典力学的な系でも, 質点は質点. // 量子力学的な系で量子数が大きくなると, 古典力学的な系に収束するという話を講義でしたのだが, 伝わっていなくて残念.
- 14s3039:
- 原子核を電子が遮へいしていると考えて, 多電子原子の 1 つの電子に注目してシュレーディンガー方程式を解いていたが, この考え方はイオンの場合でも用いることができるのか. M: 核を電子が遮蔽することについて, 原子がイオンかどうかで, 何か違いがあるのか?
- 14s3040:
- 動径分布関数と動径関数の違いは何ですか? M: 字が違う, 関数の形が違う. もちろん表しているものが違う.
- 14s3041:
- 多電子原子ではシュレーディンガー方程式を厳密に解くことができないとおっしゃってましたが, イオン化エネルギーと電子親和力はエネルギー値をしっかり求めることができるのですか. M: 論理不明. イオン化する前後の状態のエネルギーの差がイオン化エネルギーに相当します. // そうか! ``厳密に解く'' の意味を誤解しているのか. 14s3014 参照
- 14s3042:
- 水素原子の波動関数からオービタルの形状を導くことができることで, 当たり前と言われてしまうとその通りなのですが, 私は感動しました. エネルギー準位を 0 より下に示すのは なぜですか? M: その感動を忘れずに
;-)
// 物理を復習してください. 坂道を下ればポテンシャルエネルギーは減少します.
- 14s3043:
- 多電子原子では電子の影響でシュレーディンガー方程式でも正確な値はでないことがわかりましたが, シュレーディンガー方程式は水素原子にしか使えないんですか? M: 一次元の箱の中の粒子の問題について, 講義で説明しましたが(?)
- 14s3044:
- 計算の結果得られた値と実測値が完全に一致するということはあり得るのでしょうか? M: そりゃ, 可能性はあるでしょうネ. それがどうかしましたか?
- 14s3045:
- 授業の中で, 古典的な系の場合と量子力学系の場合で
が変わってくることをやりましたが, そこがよく分からなかったです. M: そうですか, 参考書なども見て, 良く考えて復習しておきましょう. // なお, 提出物が要件を満足していません (質問になっていない).
- 14s3046:
- 多電子原子では電子同士が反発しているそうなのですが陽子同士も反発しあっているのでしょうか. M: 強い力 (核力) の話を聞いたことがないのですか?
- 13s3010:
- 電子の自転によってスピン量子数が 2 種類存在しますが, 自転の仕方が変わるだけで電子のふるまいが変わるのですか? M: 変わる. 例えば既にαスピンの電子が入っている軌道には, αスピンの電子は入れずβスピンの電子しか入ることはできない.
- 13s3012:
- 元素の電子配置について 3d 軌道には電子が 10 個入れることができるのに, 電子が 6 個入ったところで先に 4s 軌道に入るのは何故だったでしょうか. M: 電子間の反発があるので, 軌道エネルギーの和と全エネルギーは一致しない. 電子が低いエネルギーの軌道に入って大きな反発を受けるのと, 少し高いエネルギーの軌道に入って小さな反発しか受けないのとで, どちらが全エネルギーが低いか? という問題になる.
- 13s3025:
- 多体問題における
において
はザイツェフ則を適用できるのだろうか. M: ここでどうして ``ザイツェフ則'' が出てくるのか, 理解できない.
- 13s3030:
- フントの規則は経験則であると聞いたことがありますが, スピンが同じ向きで軌道に入っていることを知るにはどのようにすればいいのですか. M: 磁気モーメントの大きさ (またはその z 成分の大きさ) を測る.
- 13s3033:
- 多電子原子の場合は, シュレーディンガー方程式を厳密に解くことができなく, 近似解を求めるということでしたが, 解き方は水素原子と同じような感じでいいのでしょうか. M: いいえ. 厳密解 (解析解) の求め方と, 近似解の求め方は, 当然異なる.
- 13s3041:
- 教科書では, 軌道をばらばらに考えていましたが, 実際はすべて重ね合わされた状態であると思います. 軌道同士の相互作用は考えなくてよいのですか? M: 意味不明. ``軌道をばらばらに'' とか ``すべて重ね合わされた状態'' とか, 一体どういうことですか? 多電子原子の, 電子間の相互作用は, 当然考えている.
- 12s3024:
- 周期表で第 2 周期と第 3 周期の最外殻の境目が 3p と 3d なのはなぜですか? M: 意味不明. ``最外殻の境目'' とは何か?
- 11s3001+:
- 節では存在確率がゼロになるということですが, 電子は節をどのように通り抜けているのでしょうか? M: 電子は節を通り抜けていない. 軌跡を描いて運動している描像が誤り.
- 11s3046:
- 電子の数が多いほど, 多電子原子のシュレーディンガー方程式の近似解の精度は下がるのか. [後半は省略]
M: 14s3014 参照 // 後半について, 一度でも講義を聞けばわかりそうなものだが...
- 10s3042:
- 眼球内に可視光を吸収して反応する化合物が存在するとのことでしたが, 可視光全ての波長を 1 つの化合物が吸収しているのですか. そのような有機化合物は存在するのでしょうか. M: 眼の構造を知らないのか? 色を認識できるのは何故だろうか? なぜ ``三'' 原色なのだろうか?
rmiya, 2014-11-27